市場見通し
◆ポンド、英中銀は金利据え置き見込みも、MPC議事要旨に注目
◆加ドル、足もとのインフレ動向を確認
◆トランプ関税による不安定さは継続、日米金融政策に振らされる展開も
予想レンジ
ポンド円 188.50-194.50円
加ドル円 100.50-104.50円
3月17日週の展望
来週のポンドは、20日の英中銀金融政策委員会(MPC)に注目。政策金利については現行4.50%で据え置きが予想されており、こちらはサプライズなしと見る。ポイントは今後の経済・金利見通しについてMPC内でどのような議論が交わされたか。政策金利と同時に明らかとなる議事要旨を精査し、今後の利下げペースを改めて推測することになる。なお、金利市場では、夏前と秋口の会合で0.25%ずつの利下げを織り込み、年内3回目は判断が定まっていない。
このところ、各国中銀からはインフレの先行きに不確実性が高まっているとの声が相次いでいる。トランプ関税と報復関税により貿易戦争の様相を呈し始めたことがその要因だ。ただ、英政府は米政権による鉄鋼・アルミニウム輸入への一律25%関税発動に対して、報復措置を取らない方針を示している。英輸出にとって米国向けは14%弱を占め、国別では最大。政府はその国をこれ以上刺激せず、2国間の経済協定締結を目指しているようだ。英米首脳が先月末の共同会見で発表した「貿易協定に着手」に具体的な進展があれば、ポンドにとっても追い風となるだろう。
加ドルは、トランプ関税を巡る両国との関係を見据えた取引が続く。ただ、週前半18日に発表されるカナダの2月消費者物価指数(CPI)は確認する必要があるだろう。前年比では、前回まで3カ月連続でカナダ中銀(BOC)の目標値2%を下回っているが、米政権による関税強化の影響で、今後のインフレ上昇圧力が警戒されている。BOCは、12日の会合で予想通り政策金利を3.00%から2.75%に引き下げたが、「昨年の加経済は堅調に推移した」としつつも、米関税により「新たな危機に直面している」との認識だ。貿易摩擦による物価上昇と内需低迷を危惧する見方が広がるなか、マックレムBOC総裁の今後の判断は難しいものとなるだろう。
カナダでは与党・自由党の新党首にマーク・カーニー元BOC総裁が選ばれ、14日に加首相に就任する。政治経験のない新首相が、トランプ米大統領とどのように渡り合うかを注目したい。交渉の行方次第ではあるが、支持率が上向けば早期の解散総選挙に踏み切るとの見方もある。
来週は19日に日米の金融政策も公表予定だが、どちらも政策金利は据え置き見込み。市場参加者は、中銀声明や当局トップの会見を通じて次の一手(日本は追加利上げ、米国が利下げ)の時期を探ることになる。ポンドや加ドルは、金融イベントに反応した円相場やドル相場の動向に左右され、レンジを伴った動きが見られるかもしれない。
3月10日週の回顧
ポンドや加ドルは対円で荒い値動き。トランプ関税で貿易戦争への懸念が一層高まると、リスク回避の動きからポンド円は188円後半、加ドル円は一時101.30円台まで下落。過度な警戒感が緩むとそれぞれ193円前半、103.60円台まで切り返すも、一巡後は再び上値を切り下げた。
対ドルでは、ポンドは1.29ドル台を中心に上下した。加ドルは、1.45加ドル前半まで加ドル安が進むも、週後半には一時1.43加ドル半ばまで持ち直した。(了)
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本ホームページに掲載されている事項は、投資判断の参考となる情報の提供を目的としたものであり、投資の勧誘を目的としたものではありません。投資方針、投資タイミング等は、ご自身の責任において判断してください。本サービスの情報に基づいて行った取引のいかなる損失についても、当社は一切の責を負いかねますのでご了承ください。また、当社は、当該情報の正確性および完全性を保証または約束するものでなく、今後、予告なしに内容を変更または廃止する場合があります。なお、当該情報の欠落・誤謬等につきましてもその責を負いかねますのでご了承ください。
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◆加ドル、足もとのインフレ動向を確認
◆トランプ関税による不安定さは継続、日米金融政策に振らされる展開も
予想レンジ
ポンド円 188.50-194.50円
加ドル円 100.50-104.50円
3月17日週の展望
来週のポンドは、20日の英中銀金融政策委員会(MPC)に注目。政策金利については現行4.50%で据え置きが予想されており、こちらはサプライズなしと見る。ポイントは今後の経済・金利見通しについてMPC内でどのような議論が交わされたか。政策金利と同時に明らかとなる議事要旨を精査し、今後の利下げペースを改めて推測することになる。なお、金利市場では、夏前と秋口の会合で0.25%ずつの利下げを織り込み、年内3回目は判断が定まっていない。
このところ、各国中銀からはインフレの先行きに不確実性が高まっているとの声が相次いでいる。トランプ関税と報復関税により貿易戦争の様相を呈し始めたことがその要因だ。ただ、英政府は米政権による鉄鋼・アルミニウム輸入への一律25%関税発動に対して、報復措置を取らない方針を示している。英輸出にとって米国向けは14%弱を占め、国別では最大。政府はその国をこれ以上刺激せず、2国間の経済協定締結を目指しているようだ。英米首脳が先月末の共同会見で発表した「貿易協定に着手」に具体的な進展があれば、ポンドにとっても追い風となるだろう。
加ドルは、トランプ関税を巡る両国との関係を見据えた取引が続く。ただ、週前半18日に発表されるカナダの2月消費者物価指数(CPI)は確認する必要があるだろう。前年比では、前回まで3カ月連続でカナダ中銀(BOC)の目標値2%を下回っているが、米政権による関税強化の影響で、今後のインフレ上昇圧力が警戒されている。BOCは、12日の会合で予想通り政策金利を3.00%から2.75%に引き下げたが、「昨年の加経済は堅調に推移した」としつつも、米関税により「新たな危機に直面している」との認識だ。貿易摩擦による物価上昇と内需低迷を危惧する見方が広がるなか、マックレムBOC総裁の今後の判断は難しいものとなるだろう。
カナダでは与党・自由党の新党首にマーク・カーニー元BOC総裁が選ばれ、14日に加首相に就任する。政治経験のない新首相が、トランプ米大統領とどのように渡り合うかを注目したい。交渉の行方次第ではあるが、支持率が上向けば早期の解散総選挙に踏み切るとの見方もある。
来週は19日に日米の金融政策も公表予定だが、どちらも政策金利は据え置き見込み。市場参加者は、中銀声明や当局トップの会見を通じて次の一手(日本は追加利上げ、米国が利下げ)の時期を探ることになる。ポンドや加ドルは、金融イベントに反応した円相場やドル相場の動向に左右され、レンジを伴った動きが見られるかもしれない。
3月10日週の回顧
ポンドや加ドルは対円で荒い値動き。トランプ関税で貿易戦争への懸念が一層高まると、リスク回避の動きからポンド円は188円後半、加ドル円は一時101.30円台まで下落。過度な警戒感が緩むとそれぞれ193円前半、103.60円台まで切り返すも、一巡後は再び上値を切り下げた。
対ドルでは、ポンドは1.29ドル台を中心に上下した。加ドルは、1.45加ドル前半まで加ドル安が進むも、週後半には一時1.43加ドル半ばまで持ち直した。(了)
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DZH Finacial Research
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