週間為替展望(ドル/ユーロ)−ドル円、円安基調は変わらず

市場見通し
◆ドル円、財政拡大や日米金融政策維持への期待感から底堅い
◆リスク要因はFRB議長の解任問題
◆ユーロドル、ECBは約1年続いた利下げサイクルを一時停止へ

予想レンジ
ドル円   147.00-152.00円
ユーロドル 1.1450-1.1800ドル

7月21日週の展望
 ドル円は、参院選の結果次第で週明けから大きく動意づく可能性があるだろう。投開票の3日前となっても自公与党が過半数割れとなる可能性は一段と高まっており、衆参両院で少数与党となった場合、野党が推し進める減税に向けて動き出すとの思惑が広がる。すでに今週は超長期債利回りが大きく上昇し、為替市場では財政拡大を先取りするかたちで円売りが強まっているが、結果が判明すれば一段と円安が加速することもあり得る。しかも、週明け21日は東京市場が海の日で休場であり、薄商いで値が振れやすく、ドル円が大きく上昇するリスクがある事は想定しておいた方が良いだろう。一方で、過半数割れでも石破政権が続投し、減税に消極的な立憲民主党との連立政権を樹立するようなら円が買い戻されるケースも想定しておきたい。

 ただ、ドル円の上昇要因はそれだけではなく、米連邦公開市場委員会(FOMC)の利下げ観測、日銀の利上げ観測がさらに後退していることも挙げられる。今週発表された6月米消費者物価指数(CPI)は、衣料品価格など、関税の影響を受けやすいカテゴリの上昇が顕著に見られた。7月以降はより一層、関税による物価圧力の影響を大きく受けるとされており、米利下げ観測は一段と後退している。また、日銀は日米関税交渉の期限となる8月1日の前日に決定会合が予定されており、今回は利上げを見送る公算が大きく、円売り・ドル買いの地合いは継続しそうだ。

 リスク要因としては、パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長の解任問題だろう。「トランプ米大統領がFRB議長の解任を共和党議員らに打診」との報道を米大統領は否定したが、米大統領自身、FRB議長解任を望んでいることは明らか。今後も、あらゆる理由を付けて解任に追い込も動きが出てきた場合は、FRBの独立性を脅かし、ドルの信認問題に発展しそうだ。なお、来週は22日にFRB主催のカンファレンスでパウエルFRB議長のあいさつが予定されている。

 ユーロドルは、米長期金利の動向に振らされる神経質な動きが続くとみている。来週は欧州中央銀行(ECB)理事会が開催されるが、現時点では据え置き予想。2024年6月から続いた利下げサイクルを一時停止することが見込まれている。ラガルドECB総裁が米関税政策の影響を考慮した上で次回会合での利下げ再開を示唆するかどうかが注目される。

7月14日週の回顧
 ドル円は荒い値動き。週明けに146.86円まで売られたものの、米CPI後に米長期金利が急上昇すると買いが優勢に。一時149.18円と約3カ月半ぶりの高値を付けたが、FRB議長の解任報道で一時146.92円まで急落。米大統領が否定すると反発し17日には149.09円まで切り返した。
ユーロドルは一進一退。米金利上昇で1.1563ドルまで下落した後、FRB議長の解任報道が相次ぐと1.1721ドルまで反転。米大統領による否定で失速すると1.1557ドルまで値を下げた。(了)
(執筆:7月18日、9:00)


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