市場見通し
4日のニューヨーク外国為替市場でドル円は一時144.21円まで弱含みに推移した。独立記念日の米祝日のなか、対資源国通貨中心にドル安が進んだ影響を受けた。一方、ユーロドルは1.0877ドルまで軟調に推移した。ユーロ円は、ドル円の下落やユーロドルの失速に伴う売りで一時157.14円まで下落した。
本日の東京外国為替市場のドル円は、145円台での本邦通貨当局によるドル売り・円買い介入への警戒感から上値が重い展開が予想される。
神田財務官は、昨日、「為替に関し、米国と様々な意思疎通を行っている」と述べ、鈴木財務相も「財務官レベルで米国と緊密に連携を図っていることは事実」と述べていた。昨年秋のドル売り・円買い介入の時は、イエレン米財務長官が東京からの事前の連絡がなかった、と述べていたことに配慮した緊密な連携かもしれず、注意しておきたい。
なお本邦通貨当局の為替介入は、「注視、適切な措置」という口先介入は、警告の段階であり、「断固たる措置」になれば、介入断行の段階となる。
ドル円は、7月25-26日の米連邦公開市場委員会(FOMC)での0.25%の第11次の追加利上げ、そして、年内もう1回の0.25%の利上げ観測を背景に144円台で底堅い展開だ。しかしながら、145円以上のドル買い進めるには、米10年債利回りが3.8%台で伸び悩んでいることや本邦通貨当局によるドル売り・円買い介入への警戒感などが立ちはだかっている。
さらに、6月の日銀金融政策決定会合の「主な意見」で、長短金利操作(イールドカーブ・コントロール、YCC)の早期修正論が取り上げられたことにで、7月27-28日の日銀金融政策決定会合でのYCC許容変動幅の拡大観測が台頭している。植田日銀総裁が明確に否定していないことも、円売りへの壁となっているか。
一方で、財務省は昨日、同日入札する10年物国債の表面利率を、6月入札までの0.5%から0.4%に引き下げると発表した。海外投資家による日本国債(JGB)売り、いわゆる「YCCアタック」が鎮静化し、市場実勢利回りが0.4%程度で推移していることを反映した措置とのことらしい。
昨年10月21日の高値151.95円(※米10年債利回りは4.335%)から今年1月の安値127.23円までの半値押し(※102.59円~151.95円)は、本邦通貨当局による3回のドル売り・円買い介入と12月の日銀金融政策決定会合でのYCCの許容変動幅の±0.5%への拡大が要因となっていた。
すなわち、10月の151.95円から12月20日の136円台までの約16円の円高は円買い介入効果、その後の1月の127.23円までの約9円の円高はYCC修正効果だといえる。
米連邦準備理事会(FRB)がインフレ指標として注視している5月の個人消費支出(PCE)価格指数は、前年比+3.8%まで伸び率が鈍化していた。日銀がインフレ指標として注視している5月のコアコアCPI(生鮮食品およびエネルギーを除く)が前年比+4.3%まで上昇。日米の金融当局が注視しているインフレ率が逆転していることも、日銀の政策金利(-0.1%)とYCC許容変動幅(±0.5%)に対する懐疑的な見方を強めている。
なお、FRBのドット・プロット(金利予測分布図)での年末のFF金利誘導目標5.6%(※5.50-5.75%)に対しても、「フェドウオッチ」は1回の利上げのみという懐疑的な見方のままである。
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本日の東京外国為替市場のドル円は、145円台での本邦通貨当局によるドル売り・円買い介入への警戒感から上値が重い展開が予想される。
神田財務官は、昨日、「為替に関し、米国と様々な意思疎通を行っている」と述べ、鈴木財務相も「財務官レベルで米国と緊密に連携を図っていることは事実」と述べていた。昨年秋のドル売り・円買い介入の時は、イエレン米財務長官が東京からの事前の連絡がなかった、と述べていたことに配慮した緊密な連携かもしれず、注意しておきたい。
なお本邦通貨当局の為替介入は、「注視、適切な措置」という口先介入は、警告の段階であり、「断固たる措置」になれば、介入断行の段階となる。
ドル円は、7月25-26日の米連邦公開市場委員会(FOMC)での0.25%の第11次の追加利上げ、そして、年内もう1回の0.25%の利上げ観測を背景に144円台で底堅い展開だ。しかしながら、145円以上のドル買い進めるには、米10年債利回りが3.8%台で伸び悩んでいることや本邦通貨当局によるドル売り・円買い介入への警戒感などが立ちはだかっている。
さらに、6月の日銀金融政策決定会合の「主な意見」で、長短金利操作(イールドカーブ・コントロール、YCC)の早期修正論が取り上げられたことにで、7月27-28日の日銀金融政策決定会合でのYCC許容変動幅の拡大観測が台頭している。植田日銀総裁が明確に否定していないことも、円売りへの壁となっているか。
一方で、財務省は昨日、同日入札する10年物国債の表面利率を、6月入札までの0.5%から0.4%に引き下げると発表した。海外投資家による日本国債(JGB)売り、いわゆる「YCCアタック」が鎮静化し、市場実勢利回りが0.4%程度で推移していることを反映した措置とのことらしい。
昨年10月21日の高値151.95円(※米10年債利回りは4.335%)から今年1月の安値127.23円までの半値押し(※102.59円~151.95円)は、本邦通貨当局による3回のドル売り・円買い介入と12月の日銀金融政策決定会合でのYCCの許容変動幅の±0.5%への拡大が要因となっていた。
すなわち、10月の151.95円から12月20日の136円台までの約16円の円高は円買い介入効果、その後の1月の127.23円までの約9円の円高はYCC修正効果だといえる。
米連邦準備理事会(FRB)がインフレ指標として注視している5月の個人消費支出(PCE)価格指数は、前年比+3.8%まで伸び率が鈍化していた。日銀がインフレ指標として注視している5月のコアコアCPI(生鮮食品およびエネルギーを除く)が前年比+4.3%まで上昇。日米の金融当局が注視しているインフレ率が逆転していることも、日銀の政策金利(-0.1%)とYCC許容変動幅(±0.5%)に対する懐疑的な見方を強めている。
なお、FRBのドット・プロット(金利予測分布図)での年末のFF金利誘導目標5.6%(※5.50-5.75%)に対しても、「フェドウオッチ」は1回の利上げのみという懐疑的な見方のままである。
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DZH Finacial Research
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