【本日の東京為替見通し】ドル円、9:30開始の米下院での財政責任法案の採決を見極める展開

マーケットレポート

【本日の東京為替見通し】ドル円、9:30開始の米下院での財政責任法案の採決を見極める展開

June 1, 2023

【前日の為替概況】ドル円140.38円から139.24円まで下落、FRB高官が6月利上げ見送り支持

 

31日のニューヨーク外国為替市場でドル円は3日続落。
終値は139.34円と前営業日NY終値(139.79円)と比べて45銭程度のドル安水準だった。
NY序盤は139円台半ばから後半で方向感を欠いていたが、4月米雇用動態調査(JOLTS)求人件数が1010.3万件と予想の937.5万件を大きく上回ったことが伝わると、本日高値となる140.38円まで買い上げられた。

 

ただ、140円台での滞空時間は短く、米・中長期金利が低下したうえ、ダウ平均が300ドル超下落すると失速。
今年の米連邦公開市場委員会(FOMC)投票メンバーであるジェファーソン米連邦準備理事会(FRB)理事とハーカー米フィラデルフィア連銀総裁から6月会合での利上げ見送りを支持する発言が伝わると、3時40分過ぎには日通し安値となる139.24円まで値を下げた。

 

ユーロドルは反落。
終値は1.0689ドルと前営業日NY終値(1.0736ドル)と比べて0.0047ドル程度のユーロ安水準だった。
NY勢参入後に1.0705ドルまで値を上げたが、良好なJOLTS求人件数を受けて一転下落。
ユーロポンドやユーロスイスフランの下落につれた面もあり、一時1.0635ドルまで下げ足を速めた。
一方、FOMCメンバーからのハト派発言を受けてショートカバーが活発化し1.0690ドル台まで切り返した。

 

ユーロ円は3日続落。
終値は148.95円と前営業日NY終値(150.08円)と比べて1円13銭程度のユーロ安水準だった。
ドル円が高値を付けたタイミングで149.77円付近まで上昇したが、その後にその他ユーロクロスが下げたうえ、ドル円が急失速した影響から148.59円まで再び値を下げた。

【本日の東京為替見通し】ドル円、9:30開始の米下院での財政責任法案の採決を見極める展開

 

本日の東京外国為替市場のドル円は、米東部時間5月31日午後8時半(日本時間6月1日午前9時半)から予定されている米下院での財政責任法案の採決を見極めることになる。

 

ジェファーソンFRB理事やハーカー米フィラデルフィア連銀総裁が「6月米連邦公開市場委員会(FOMC)では利上げ見送り支持」と発言したことで、6月FOMCでの据え置き確率が高まっており、ドル円の上値を抑えている。

 

米国東部時間5月30日に下院議事運営委員会で審議された財政責任法案は、13人中(共和党9・民主党4)、賛成7、反対6の1票差で可決した。
そして、5月31日の午後8時半(日本時間6月1日午前9時半)から開催予定の下院本会議(435議席:共和党222・民主党213)での採決結果を待つ展開となっている。
債務上限合意を盛り込んだ「財政責任法案」について、両党指導部は両党の穏健派による支持を背景に下院可決に必要な218票を確保できると表明していた。

 

下院で過半数218票を確保して可決した場合、上院(100議席:共和党49・民主党50・無所属1)での採決となり、可決した場合は、米国がデフォルト(債務不履行)に陥ることは回避できることになる。
上院で予想されているフィリバスター(議事妨害)を阻止する60票到達には、民主党会派の51議席(民主党50・無所属1)に加えて、共和党からも9票以上の上積みが必要となっている。

 

しかしながら、バイデン米大統領が財政責任法案に署名した後でも、格付け会社による米国債格下げへの警戒感は払拭されない。
2011年8月5日の米格付け会社スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)による米国債格下げは、8月2日の期限にオバマ第44代米大統領が債務上限引き上げ法案に署名した3日後だった。
2011年夏の債務上限を巡るオバマ米政権と下院共和党とのチキンゲームは以下の通りとなっている。

  • ・7月31日:民主・共和両党が債務上限引き上げで合意
  • ・8月1日:下院で可決
  • ・8月2日(Xデイ):上院で可決し、オバマ米大統領が法案に署名して成立
  • ・8月5日:S&Pが米国債格下げを発表
 

リスクシナリオは、共和党保守強硬派の下院議員連盟「フリーダム・コーカス」の反対により、否決される場合となる。
「フリーダム・コーカス」は、今年1月に共和党のマッカーシー下院院内総務を議長に選出(過半数:216票対212票)するまで15回の投票を繰り返させたが、今回は、否決してマッカーシー米下院議長を解任する、と表明している。

【本日の重要指標】 ※時刻表示は日本時間

<国内>
○08:50 ◇ 1-3月期の法人企業統計調査(法人季報、ソフトウェアを含む設備投資額、予想:前年比6.0%)
○08:50 ◇ 対外対内証券売買契約等の状況(週次・報告機関ベース)

<海外>
○10:30 ◇ 1-3月期豪民間設備投資(予想:前期比1.0%)
○10:45 ◎ 5月Caixin中国製造業購買担当者景気指数(PMI、予想:49.5)
○15:00 ◎ 4月独小売売上高(予想:前月比1.0%/前年比▲5.0%)
○15:00 ◇ 5月英ネーションワイド住宅価格指数(予想:前月比0.1%)
○16:00 ◇ 5月トルコ製造業PMI
○16:30 ◇ 5月スイス製造業PMI(予想:44.5)
○16:50 ◎ 5月仏製造業PMI改定値(予想:46.1)
○16:55 ◎ 5月独製造業PMI改定値(予想:42.9)
○16:55 ◎ クノット・オランダ中銀総裁、講演
○17:00 ◎ 5月ユーロ圏製造業PMI改定値(予想:44.6)
○17:30 ◎ 5月英製造業PMI改定値(予想:46.9)
○17:30 ◇ 4月英消費者信用残高(予想:15億ポンド)
○17:30 ◇ 4月英マネーサプライM4
○18:00 ☆ 5月ユーロ圏消費者物価指数(HICP)速報値(予想:前年比6.3%)
○18:00 ☆ 5月ユーロ圏HICPコア速報値(予想:前年比5.5%)
○18:00 ◎ 4月ユーロ圏失業率(予想:6.5%)
○18:30 ◎ ラガルド欧州中央銀行(ECB)総裁、講演
○20:30 ◇ 5月米企業の人員削減数(チャレンジャー・グレイ・アンド・クリスマス社調べ)
○20:30 ☆ 欧州中央銀行(ECB)理事会議事要旨(5月4日分)
○21:00 ☆ 1-3月期ブラジル国内総生産(GDP、予想:前期比1.3%/前年同期比3.0%)
○21:15 ☆ 5月ADP全米雇用報告(予想:17.0万人)
○21:30 ◇ 1-3月期米非農業部門労働生産性・改定値(予想:前期比▲2.5%)
○21:30 ◎ 前週分の米新規失業保険申請件数/失業保険継続受給者数(予想:23.5万件/180.0万人)
○21:30 ◎ ビルロワドガロー仏中銀総裁、講演
○22:45 ◎ 5月米製造業PMI改定値(予想:48.5)
○23:00 ☆ 5月米サプライマネジメント協会(ISM)製造業景気指数(予想:47.0)
○23:00 ◇ 4月米建設支出(予想:前月比0.2%)
○24:00 ◇ EIA週間在庫統計
○24:00 ◇ 5月メキシコ製造業PMI
○2日02:00 ◎ ハーカー米フィラデルフィア連銀総裁、講演
○2日03:00 ◎ 5月ブラジル貿易収支(予想:90.00億ドルの黒字)

※「予想」は特に記載のない限り市場予想平均を表す。▲はマイナス。
※重要度、高は☆、中は◎、低◇とする。
※指標などの発表予定・時刻は予告なく変更になる場合がありますので、ご了承ください。

【前日までの要人発言】

31日08:18 ロウ豪準備銀行(RBA)総裁
「金利についてはデータ次第」
「RBAの政策決定を左右する単一の変数はない」
「賃金上昇はインフレの要因ではない」
「低い生産性がインフレ見通しにとっては問題」

31日09:11 植田日銀総裁
「供給要因のインフレ、景気面で引き締めしたくない半面でインフレ放置もできず難しいかじ取り迫られる」
「物価動向、様々な指標を丁寧に分析し基調見極めていくことが非常に重要」
「物価、LOW FOR LONGとは新しい常態に移行している可能性も一概に否定することは難しい」

31日13:07 メスター米クリーブランド連銀総裁
(FT紙のインタビューで)
「利上げを待つ必要はない」

31日17:07 ビルロワドガロー仏中銀総裁
「仏におけるインフレはおそらくピークを過ぎた」

31日17:41 ビスコ伊中銀総裁
「コアインフレは依然として高い」
「ECBはゆっくりではなく徐々に2%目標に戻ることを保証する必要」

31日22:37 ハベック独経済相
「インフレは依然として高いが、それを抑えるための対策が効果を発揮している」

6月1日01:39 コリンズ米ボストン連銀総裁
「FRBはインフレ率を下げることに専念している。インフレ率は高過ぎる」
「物価安定は最大雇用の基盤」

6月1日02:28 ジェファーソン米連邦準備理事会(FRB)理事
「次回会合での利上げ見送りは金利のピークを意味しない」
「利上げを見送ることでデータを精査する時間を確保できる」

6月1日02:47 ハーカー米フィラデルフィア連銀総裁
「インフレは頑固だが、時間の経過とともに低下する可能性」
「次回の会合で利上げをスキップできる」
「スキップであり、一時停止ではない」
「インフレ抑制に全力をつくす」
「景気後退は予想されていない」

6月1日03:04 米地区連銀経済報告(ベージュブック)
「4月と5月初旬の経済活動は、全体としてほとんど変化なし」
「将来の成長期待はわずかに悪化」
「雇用はほとんどの地区で増加したが、そのペースは前回の報告より緩やか」
「労働市場が幾分冷え込んだ」
「物価上昇は多くの地域でペースが鈍化した」
「個人消費は引き続き堅調」

※時間は日本時間

〔日足一目均衡表分析〕

<ドル円=5/25安値を支持に押し目買いスタンス>

<ドル円=5/25安値を支持に押し目買いスタンス>

各ラインの期間

 

陰線引け。
転換線は基準線を上回り、遅行スパンは実線を上回り、雲の上で引けていることで、三役好転の強い買いシグナルが点灯中。
2手連続陰線で下落したものの転換線を上回って引けており反発の可能性が示唆されている。
本日は、転換線139.22円を念頭に置き、5月25日の安値を支持に押し目買いスタンスで臨み、同水準を下抜けた場合は手仕舞い。

レジスタンス2:142.51(151.95円~127.23円の61.8%戻し)
レジスタンス1:140.93(5/30高値)
前日終値:139.34
サポート1:138.83(5/25安値)
サポート2:137.29(200日移動平均線)

<ユーロドル=転換線を抵抗に戻り売りスタンス>

<ユーロドル=転換線を抵抗に戻り売りスタンス>

各ラインの期間

 

陰線引け。
転換線は基準線を下回り、遅行スパンは実線を下回り、雲の下で引けていることで、三役逆転の強い売りシグナルが点灯している。
抱き線で反落して転換線を下回って引けており続落の可能性が示唆されている。
本日は、転換線を抵抗に戻り売りスタンスで臨み、同線を上抜けた場合は手仕舞い。

レジスタンス1:1.0733(日足一目均衡表・転換線)
前日終値:1.0689
サポート1:1.0635(5/31安値)

<ユーロ円=転換線を抵抗に戻り売りスタンス>

<ユーロ円=転換線を抵抗に戻り売りスタンス>

各ラインの期間

 

陰線引け。
転換線は基準線を上回り、遅行スパンは実線を上回り、雲の上で引けていることで、三役好転の強い買いシグナルが点灯中。
しかし、3手連続陰線で転換線を下回って引けていることで続落の可能性が示唆されている。
本日は、転換線を抵抗に戻り売りスタンスで臨み、同線を上抜けた場合は手仕舞い。

レジスタンス1:149.83(日足一目均衡表・転換線)
前日終値:148.95
サポート1:147.61(5/16安値)

<豪ドル円=転換線を抵抗に戻り売りスタンス>

<豪ドル円=転換線を抵抗に戻り売りスタンス>

各ラインの期間

 

陰線引け。
転換線は基準線を上回り、遅行スパンは実線を上回り、雲の上で引けていることで、三役好転の強い買いシグナルが点灯中。
しかし、3手連続陰線で転換線を下回って引けていることで続落の可能性が示唆されている。
本日は、転換線を抵抗に戻り売りスタンスで臨み、同線を上抜けた場合は手仕舞い。

レジスタンス1:91.31(日足一目均衡表・転換線)
前日終値:90.62
サポート1:89.55(日足一目均衡表・雲の上限)

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