June 6, 2023
【前日の為替概況】ドル円、反落 米ISM非製造業指数が弱い内容で米金利低下
5日のニューヨーク外国為替市場でドル円は反落。
終値は139.58円と前営業日NY終値(139.95円)と比べて37銭程度のドル安水準だった。
5月米サービス部門PMI改定値が54.9と予想の55.1を若干下回ったほか、5月米ISM非製造業指数が50.3と予想の52.2より弱い内容だったことが分かると、米長期金利の低下とともにドル売りが先行。
オセアニア時間の安値139.91円を下抜けて一時139.25円まで値を下げた。
米10年債利回りは3.75%台から3.65%台まで急低下した。
ただ、米10年債利回りが上昇に転じるとドル円にも買い戻しが入り、139.82円付近まで下げ渋る場面があった。
ユーロドルは小反発。終値は1.0713ドルと前営業日NY終値(1.0708ドル)と比べて0.0005ドル程度のユーロ高水準だった。
低調な米経済指標が相次いだことで全般ドル売りが先行。
ラガルド欧州中央銀行(ECB)総裁が「物価圧力は依然として強い」と述べたほか、ナーゲル独連銀総裁が「基調的なインフレ圧力はあまりに高すぎる」「まだ数回の利上げが必要」などと発言するとユーロ買いが優勢となり、一時1.0722ドルまで値を上げた。
ただ、そのあとは1.07ドル台前半で値動きが鈍った。
ユーロ円は3営業日ぶりに反落。
終値は149.56円と前営業日NY終値(149.76円)と比べて20銭程度のユーロ安水準。欧州市場では一時150.20円まで買われる場面もあったが、NY市場に入ると失速した。
ドル円の下落につれた売りが出て、23時30分前には一時149.23円と日通し安値を更新した。
ただ、ユーロドルの上昇につれた買いも入ったため下値は限定的だった。
代表的な暗号資産(仮想通貨)であるビットコインは軟調だった。
対ドルでは一時2万5415ドル前後まで下落したほか、対円では355万円台まで売られた。
米証券取引委員会(SEC)が大手仮想通貨取引所であるバイナンスと同社のチャンポン・ジャオ最高経営責任者(CEO)ら経営陣を提訴したことが嫌気された。
【本日の東京為替見通し】ドル円 先週末の調整の域は出ず、豪金融政策がメインイベント
本日の東京為替市場でドル円は139円台を中心に上下が続きそうだ。
午後に予定されている豪準備銀行(RBA)の政策金利発表後からは、豪ドル主導の相場が予想される。
先週末の5月米雇用統計後に強まったリスク志向ムードは、昨日の同月ISM非製造業指数で後退。
同指数は景況感の境目となる50をなんとか上回ったものの22年12月以来の低水準となった。
新規受注が減少し価格指数も低下するなど、経済活動の滞りが顕著に。
雇用指数は50を割り込み、こちらは昨年10月以来の低水準となった。
本日は米国経済の動向を示す指標は予定されておらず、昨日ISMの結果をベースとした相場となりそうだ。
ただ米株が売られて終ったとはいえ、下げ幅は限られた。米長期金利の低下も限定的。
CME日経先物も同様であり、そうなると為替も先週からの調整に留まることになるだろう。
本日のアジア・オセアニア市場のメインイベントはやはりRBA金融政策の発表だろう。
前回5月のRBA理事会では、市場予想「政策金利3.60%で据え置き」に反して3.85%への引き上げが決定された。
その後に明らかにされた議事要旨では「利上げか据え置きの判断は微妙だった」との文言もあり、今回は3.85%で据え置きというのが市場予想の中心値とされている。
4月豪雇用統計が悪かったことも「今回は金利に触らず」との見方を後押ししているもよう。
もっとも一部通信社のアナリスト予想をみると、全体の約3分の1が利上げを予想している。
先月末に発表された4月豪消費者物価指数(CPI)が前年比6.8%上昇となり、もともと前回より加速を見込んでいた予想値を更に0.4ポイント上回った。
ロウRBA総裁はCPI発表日の朝、「政策決定を左右する単一の変数はない」と述べ、物価だけでなく豪経済の全体像を把握する重要さを訴えていた。
しかしながらインフレの加速度を見る限り、RBA総裁がこれまで強調していた「インフレを目標に戻すために必要なことを行う」という文言がどうしても気になってしまう。
足もとの短期金融市場でも利上げ織り込み度は30%程度と、アナリスト予想の割合とある意味変わらない。
しかしながら逆に、「2回連続の市場予想裏切り」となった場合の反応は一層激しくなりそうだ。
重要なのはやはり、複数のパターンを考えたポジション管理だろう。
【本日の重要指標】 ※時刻表示は日本時間
<国内>
○08:30 ◇ 4月家計調査(消費支出、予想:前年比▲2.3%)
○08:30 ◇ 4月毎月勤労統計(現金給与総額、予想:前年比1.8%)
<海外>
○10:30 ◇ 1-3月期豪経常収支(予想:150億豪ドルの黒字)
○13:30 ☆ 豪準備銀行(RBA)政策金利発表(予想:3.85%で据え置き)
○15:00 ◎ 4月独製造業新規受注(予想:前月比3.0%/前年同月比▲8.4%)
○16:05 ◎ クノット・オランダ中銀総裁、講演
○16:30 ◎ ブイチッチ・クロアチア中銀総裁、講演
○17:30 ◎ 5月英建設業購買担当者景気指数(PMI、予想:51.1)
○18:00 ◎ 4月ユーロ圏小売売上高(予想:前月比0.2%/前年比▲3.0%)
○18:30 ◎ 1-3月期南アフリカ国内総生産(GDP、予想:前期比0.4%/前年同期比0.2%)
○未定 ◎ ポーランド中銀、政策金利発表(予想:6.75%で据え置き)
○21:30 ◇ 4月カナダ住宅建設許可件数(予想:前月比▲5.0%)
○23:00 ◇ 5月カナダIvey購買部協会景気指数
○7日00:30 ◎ センテノ・ポルトガル中銀総裁、講演
〇韓国(顕忠日)、スウェーデン(建国記念日)、休場
※「予想」は特に記載のない限り市場予想平均を表す。▲はマイナス。
※重要度、高は☆、中は◎、低◇とする。
※指標などの発表予定・時刻は予告なく変更になる場合がありますので、ご了承ください。
【前日までの要人発言】
5日22:19 ラガルド欧州中央銀行(ECB)総裁
「物価圧力は依然として強い」
「基調的なインフレ圧力は依然として高い」
「賃金圧力はさらに強まった」
「決定は引き続きデータ次第」
「基調インフレがピークに達したという明確な証拠はない」
5日23:07 ナーゲル独連銀総裁
「基調的なインフレ圧力はあまりに高すぎる」
「まだ数回の利上げが必要」
「今夏、金利がピークに達するかどうかは定かではない」
「ドイツの成長見通しについては慎重ながらも楽観的」
※時間は日本時間
〔日足一目均衡表分析〕
<ドル円=1日安値など試しにいくリスクも>
上影陰線引け。
5月30日以来の水準140.45円まで上振れ後、139.25円まで売られた。
一目均衡表・転換線が位置した139.58円に一致する水準までやや戻してNYを引けた。
転換線付近の底堅さを維持した格好だが、同線は本日139.69円へ上昇したところで頭打ちとなる公算。
転換線がやがて低下へ向かうとともに相場も下押すことになりそう。
転換線が横ばいを維持する週内にレンジを切り上げたいところ。
だが、139.40円台で低下中の5日移動平均線の動きに追随するように下値を探り、1日安値138.45円や138.16円前後で推移する21日線などを試すリスクも視野に入れておきたい。
レジスタンス1:140.45(6/5高値)
前日終値:139.58
サポート1:139.07(ピボット・サポート1)
サポート2:138.45(6/1安値)
<ユーロドル=早朝は切り下がった転換線を上回って推移>
下影極小陽線引け。
一目均衡表・転換線が位置していた1.0718ドルをやや下回ってNYの取引を終えている。
転換線は本日1.0707ドルへ低下。
同線を追うようにレンジを切り下げる可能性はあるものの、本日早朝時点では転換線を上回って推移している。
来週13日にはいったん上昇へ向かう見込みの同線付近の底堅さを維持し、相場水準を回復する展開が想定できる。
レジスタンス1:1.0779(6/2高値)
前日終値:1.0713
サポート1:1.0635(5/31安値)
<ポンド円=転換線付近の底堅さ維持>
下影陰線引け。
一時172.86円と、5月26日以来の安値をつける下振れとなった。
しかし、一目均衡表・転換線172.96円を割り込んだ同水準では下げ渋り、NY終値ベースで173.61円まで戻している。
173.70円台で上昇中の5日移動平均線を回復できなかったものの、一定の底堅さは維持している。
本日173.19円へ切り上がる転換線前後までに下押しをとどめ、5日線の上昇をともないじり高となる展開が期待できる。
レジスタンス1:174.45(6/5高値)
前日終値:173.61
サポート1:172.86(6/5安値)
<NZドル円=21日線などが重し、転換線を追う下落を想定>
小陰線引け。
一目均衡表・転換線や85.20円台で低下中の21日移動平均線を上値に控え、85円台では動きが重く失速した。
本日84.50円へ低下した転換線を追うようなさえない展開が予想される。
83.75円前後で推移する90日線などを意識して84円割れとなるリスクも念頭に置いて臨みたい。
レジスタンス1:85.22(21日移動平均線)
前日終値:84.72
サポート1:84.09(6/2安値)
Provided by
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