【本日の東京為替見通し】ドル円、上値重い展開か 米長期金利の伸び悩みで

マーケットレポート

June 22, 2023

【前日の為替概況】ドル円 142.36円まで上昇後に上値切り下げ、FRB議長のハト派発言で

 

21日のニューヨーク外国為替市場でドル円は反発。
終値は141.88円と前営業日NY終値(141.47円)と比べて41銭程度のドル高水準だった。
米連邦準備理事会(FRB)が公表したパウエルFRB議長の議会証言の事前原稿では、「インフレとの戦いにはまだ長い道のり」「今月は利上げ休止を決定したものの、FRB当局者は金利はまだ上昇する必要があるとの見解で一致している」と伝わった。
米金融引き締めの長期化観測が高まると米長期金利の上昇とともにドル買いが先行し、一時142.36円と昨年11月以来7カ月ぶりの高値を付けた。

 

ただ、買い一巡後は上値が重くなった。
パウエルFRB議長が質疑応答で「利上げの初期段階ではスピードが重要だったが、現在はそれほど重要ではない」「より緩やかなペースで金利を引き上げるのが合理的かもしれない」などと述べたことが相場の重しとなり、一時141.68円付近まで下押しした。
2022年11月11日の高値142.48円がレジスタンスとして意識された面もあった。

 

ユーロドルは4営業日ぶりに反発。
終値は1.0986ドルと前営業日NY終値(1.0918ドル)と比べて0.0068ドル程度のユーロ高水準だった。
パウエルFRB議長の米下院金融サービス委員会での議会証言が始まると、全般ドル売りが活発化。
前日の高値1.0946ドルを上抜けて一時1.0991ドルと5月11日以来の高値を付けた。
主要通貨に対するドルの値動きを示すドルインデックスは一時102.02まで低下した。

 

ユーロ円は3日ぶりに反発。
終値は155.89円と前営業日NY終値(154.44円)と比べて1円45銭程度のユーロ高水準。
ドル円の上昇につれた買いが入ったあとは、ユーロドルの上昇につれた買いが入り一時155.92円と2008年9月以来15年ぶりの高値を付けた。

【本日の東京為替見通し】ドル円、上値重い展開か 米長期金利の伸び悩みで

 

本日の東京外国為替市場のドル円は、パウエルFRB議長の議会証言を受けて米10年債利回りが3.72%付近で伸び悩んでいることで、上値が重い展開が予想される。
ドル円は昨日142.36円まで続伸し、昨年11月11日の高値142.48円や151.95円(2022年10月21日高値)から127.23円(2023年1月16日安値)までの下落幅のフィボナッチ・リトレースメント61.8%戻しの142.51円に迫った。

 

ドル円は高値を更新し続けているものの、相対力指数(RSI)が高値を更新できない「弱気の乖離(ベアリッシュ・ダイバージェンス)」が出現しつつあることには警戒しておきたい。
また、142.50円には大口のNYカットオプションが控えており、ガンマロングの売り圧力がドル円の上値を抑制している。

 

本邦通貨当局は、昨年9月と10月にボラティリティー(過度な変動)を抑制するという名目で、ボリンジャー・バンド+2σ付近でドル売り・円買い介入を断行しており、本日(※+2σは142.27円付近)も引き続き警戒していくことになる。
一昨日の142円台では、鈴木財務相が「為替動向を『注視』。
必要であれば適切に対応」と述べ、西村経産相が「過度な変動・投機的な動きはしっかりと『注視』」と述べ、『注視』の段階に留まっている。
本邦通貨当局がドル売り・円買い介入に踏み切る場合は、「断固たる措置」という警告が発せられるため、鈴木財務相や神田財務官の発言内容を見極めつつ、「神田シーリング」を探っていくことになる。

 

パウエルFRB議長の米下院金融サービス委員会での金融政策に関する半期に一度の証言では、タカ派とハト派が入り混じる内容だった。
タカ派的見解は、「今月は利上げ休止を決定したものの、FRB当局者は金利はまだ上昇する必要があるとの見解で一致している」とのことで、ドット・プロット(金利予測分布図)が示唆してしるように、タカ派的スキップ(見送り)に続く、年内2回(0.25%x2)の利上げが示唆された。

ハト派的見解は、「より緩やかなペースで金利を引き上げるのが合理的かもしれない」というもので、米10年債利回りは3.7%台、米2年債利回りは4.7%台で伸び悩んだ。
そして、シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)グループがFF金利先物の動向に基づき算出する「フェドウオッチ」では、7月FOMCで5.25-50%へ利上げ、そして、9月、11月、12月FOMCでは据え置き確率が高まったままであり、年内1回の利上げだけを示唆している。

【本日の重要指標】 ※時刻表示は日本時間

<国内>
○08:50 ◇ 対外対内証券売買契約等の状況(週次・報告機関ベース)
○10:30 ◎ 野口旭日銀審議委員、あいさつ
○未定 ◇ 6月月例経済報告

<海外>
○07:45 ◎ 5月ニュージーランド(NZ)貿易収支
○15:45 ◇ 6月仏企業景況感指数(予想:100)
○16:30 ☆ スイス国立銀行(中央銀行、SNB)、政策金利発表(予想:1.75%に引き上げ)
○17:00 ◎ ノルウェー中銀、政策金利発表(予想:3.50%に引き上げ)
○17:00 ◎ ウォラー米連邦準備理事会(FRB)理事、講演
○18:15 ◎ パネッタ欧州中央銀行(ECB)専務理事、講演
○20:00 ◎ トルコ中銀、政策金利発表(予想:21.00%に引き上げ)
○20:00 ☆ 英中銀(BOE)、政策金利発表(予想:4.75%に引き上げ)
○20:00 ☆ 英中銀MPC議事要旨
○21:00 ◎ ナーゲル独連銀総裁、講演
○21:30 ◎ 前週分の米新規失業保険申請件数/失業保険継続受給者数(予想:26.0万件/178.2万人)
○21:30 ◎ 1-3月期米経常収支(予想:2175億ドルの赤字)
○22:55 ◎ ボウマンFRB理事、講演
○23:00 ◎ 5月米中古住宅販売件数(予想:前月比▲0.7%/年率換算425万件)
○23:00 ◎ 5月米景気先行指標総合指数(予想:前月比▲0.7%)
○23:00 ◎ 6月ユーロ圏消費者信頼感指数(速報値、予想:▲17.0)
○23:00 ☆ パウエルFRB議長、米上院銀行委員会で金融政策に関する半期に一度の証言
○23:00 ◎ メスター米クリーブランド連銀総裁、講演
○23:30 ◎ デギンドスECB副総裁、講演
○24:00 ◇ EIA週間在庫統計
○23日04:00 ◎ メキシコ中銀、政策金利発表(予想:11.25%で据え置き)
○23日05:30 ◎ バーキン米リッチモンド連銀総裁、講演
○米印首脳会談(ワシントン)
○中国、香港(端午節)、休場

※「予想」は特に記載のない限り市場予想平均を表す。▲はマイナス。
※重要度、高は☆、中は◎、低◇とする。
※指標などの発表予定・時刻は予告なく変更になる場合がありますので、ご了承ください。

【前日までの要人発言】

21日05:46 ジェファーソン米連邦準備理事会(FRB)理事
「金融安定の脅威に引き続き注意を払う」
「米国の銀行システムは健全で回復力がある」
「経済はインフレを含む課題に直面している」
「インフレは落ち着き始めた」
「インフレ率を2%に戻すことに引き続き注力する」

21日05:47 クック米連邦準備理事会(FRB)理事
「インフレの高止まりが米経済への深刻な脅威」
「依然としてインフレ率を2%に戻すことが焦点」

22日00:11
「インフレ率はまだ目標に戻らず」
「経済成長が鈍化するリスクがある」

21日06:01 クーグラー次期米連邦準備理事会(FRB)理事
「物価の抑制に強くコミット」
「インフレ率を2%に戻すことが重要」

21日10:38 安達日銀委員
「メインシナリオに大きな不確実性、緩和修正は時期尚早」
「物価の先行き、長い目で見た場合は下振れリスクが大きい」

21日15:36 植田日銀総裁
「日本の景気は資源高の影響受けつつも持ち直している」

21日16:27 中国外務省報道官
「習主席が独裁者とのバイデン米大統領の発言はでたらめだ」

21日17:49 カジミール・スロバキア中銀総裁
「9月の利上げ決定にはさらなるデータが必要」
「インフレがすぐに低下するとは予想していない」
「コア・インフレは依然として頑強」

21日18:12 岸田首相
「33年ぶりの高い株価水準など日本経済には前向きな動き」
「国民目線で価格高騰対策」

21日23:03 ナーゲル独連銀総裁
「2%のインフレ目標は達成可能。ただ、依然として長い道のり」

21日23:32 パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長
「利上げの初期段階ではスピードが重要だったが、現在はそれほど重要ではない」
「より緩やかなペースで金利を引き上げるのが合理的かもしれない」
「インフレ目標からは程遠く、2%に戻すことに注力」
「時間をかけてインフレ率を2%に戻すことに強くコミット」
「労働市場は徐々に冷え込んでいるが、まだ目標に至っていない」
「労働力不足は依然として深刻」
「ドルは今後も世界の基軸通貨であり続けると考える」
「準備通貨としてのドルの地位は非常に重要」

22日04:44 ボスティック米アトランタ連銀総裁
「2024年の利下げは予想せず」
「インフレ率が2%に戻るにはもう少し時間がかかるだろう」
「今、追加利上げを進めれば経済の勢いが不必要に失われる可能性がある」
「さらなる政策を講じる前に、経済に利上げに適応するための時間を与えたい」
「インフレ率が2%に戻るには、労働市場のさらなる減速が必要となる可能性」

※時間は日本時間

〔日足一目均衡表分析〕

<ドル円=昨年11月以来の高値更新、押し目買い姿勢継続>

<ドル円=昨年11月以来の高値更新、押し目買い姿勢継続>

各ラインの期間

 

陽線引け。
転換線は基準線を上回り、遅行スパンは実線を上回り、雲の上で引けており、三役好転の強い買いシグナルが点灯中。
142.36円と昨年11月以来の高値を更新した。
孕み線で切り返して転換線を上回って引けており続伸の可能性が示唆されている。
本日は転換線を支持に押し目買いスタンスで臨み、同線を下抜けた場合は手仕舞い。
ただし弱気の乖離(ベアリッシュ・ダイバージェンス)の出現には警戒しておきたい。

レジスタンス2:142.48(2022/11/11高値)
レジスタンス1:142.36(6/21高値)
前日終値:141.88
サポート1:140.69(日足一目均衡表・転換線)
サポート2:139.83(日足一目均衡表・基準線)

<ユーロドル=強い買いシグナル「三役好転」が点灯>

<ユーロドル=強い買いシグナル「三役好転」が点灯>

各ラインの期間

 

陽線引け。
転換線は基準線を上回り、遅行スパンは実線を上回り、雲の上で引けたことで、三役好転の強い買いシグナルが点灯した。
3手連続陰線の後、抱き線で切り返して転換線を上回って引けており続伸の可能性が示唆されている。
本日は、転換線を支持に押し目買いスタンスで臨み、同線を下抜けた場合は手仕舞い。

レジスタンス1:1.1091(5/4高値)
前日終値:1.0986
サポート1:1.0862(日足一目均衡表・転換線)

<ポンド円=6/20・21安値を支持に押し目買いスタンス>

<ポンド円=6/20・21安値を支持に押し目買いスタンス>

各ラインの期間

 

陽線引け。
転換線は基準線を上回り、遅行スパンは実線を上回り、雲の上で引けており、三役好転の強い買いシグナルが点灯中。
2手連続陰線の後に孕み線で切り返して転換線を大きく上回って引けており続伸の可能性が示唆されている。
2日連続で180円割れとなったが下値の堅さを確認するにとどまった。
本日は20・21日安値を支持に押し目買いスタンスで臨み、同水準を下抜けた場合は手仕舞い。

レジスタンス1:182.13(6/19高値)
前日終値:181.15
サポート1:179.93(6/20・21安値)

<NZドル円=86円後半まで上昇の転換線が支持に>

<NZドル円=86円後半まで上昇の転換線が支持に>

各ラインの期間

 

陽線引け。
転換線は基準線を上回り、遅行スパンは実線を上回り、雲の上で引けており、三役好転の強い買いシグナルが点灯中。
2手連続陰線の後に孕み線で切り返して転換線を上回って引けており続伸の可能性が示唆されている。
本日は、86円後半まで上昇してきた転換線を支持に押し目買いスタンスで臨み、同線を下抜けた場合は手仕舞い。

レジスタンス1:88.56(6/16高値)
前日終値:87.97
サポート1:86.86(日足一目均衡表・転換線)

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