本日の東京為替見通し(為替/FXニュース):143円台でもみ合いか、円安基調変わらずもサプライズには要警戒(2023年6月27日)

マーケットレポート

June 27, 2023

【前日の為替概況】ドル円、3日続伸 日銀緩和継続で投資家は円売り姿勢

 

26日のニューヨーク外国為替市場でユーロドルは3営業日ぶりに反発。
終値は1.0906ドルと前営業日NY終値(1.0894ドル)と比べて0.0012ドル程度のユーロ高水準だった。
米10年債利回りが3.67%台まで低下するとユーロ買い・ドル売りが先行。
21時30分前に一時1.0920ドルと日通し高値を更新した。
ただ、米10年債利回りが低下幅を縮めると1.0900ドル付近まで伸び悩んだ。

なお、今日一日の値幅は0.0032ドル程度と小さかった。
米経済指標の発表などもなく手掛かり材料に欠けたことから、相場は大きな方向感が出なかった。
市場では「27・28・29日のNYカット(日本時間23時)に行使期限を迎えるまとまった規模のオプションが1.0900ドル近辺に観測されており、同水準を睨んだレンジ取引に収れんしやすい」との声が聞かれた。

ドル円は4日ぶり反落。
終値は143.51円と前営業日NY終値(143.70円)と比べて19銭程度のドル安水準だった。
神田財務官や松野官房長官から円安をけん制する発言が伝わり、日本時間夕刻に一時142.94円まで売られた影響が残った。

ただ、NY市場に限れば下値の堅さが目立った。
日米金融政策の方向性の違いに着目した円売り・ドル買いが出やすく、24時前には143.71円付近まで上昇し、アジア時間に付けた日通し高値143.73円に迫った。

ユーロ円は小幅続落。
終値は156.52円と前営業日NY終値(156.66円)と比べて14銭程度のユーロ安水準。
欧州市場では独経済指標の下振れを受けて一時155.75円まで売られたものの、NY市場ではドル円の持ち直しにつれた円売り・ユーロ買いが優勢に。
24時前には156.71円付近まで値を戻した。

【本日の東京為替見通し】143円台でもみ合いか、円安基調変わらずもサプライズには要警戒

 

本日のドル円も143円台でもみ合いとなるか。
先週トルコ中銀が利上げしたことで、日本と中国のみが金融引き締めに動かず、円と元が売られやすい状況が続いている。
もっとも、昨日公表された6月15-16日に行われた「日銀金融政策決定会合における主な意見」では、「基調的なインフレ率を示す各種指標も、軒並み2%を超えてきている。
消費者物価(除く生鮮食品)の前年比は、年度半ばにかけ低下していくものの、2%を下回らない可能性が高い」と明言している。
これは、植田日銀総裁が6月16日の日銀政策決定会合後の記者会見で発言した「持続的・安定的な2%にはまだ達していない」と整合性が無いと言える。
「イールドカーブコントロール(YCC)はある程度のサプライズが発生することはやむを得ない」とも発言している植田氏のことなので、今後のサプライズには要警戒となりそうだ。

また、昨日も政府要人や財務官から円安けん制発言が出ていることで、本日も口先介入がドル円の上値を抑えそうだ。
長期間為替介入が行われなった場合は、最初の介入は東京勢が参入している時間帯に行われる傾向があることで、東京勢がいる間はなかなかドル円を持ち上げるのは難しくなりそうだ。
なお、昨年の円買い介入は9月22日に始まり、ドル円が145.90円に到達した後に行われている。

なお、本日は4月の本邦の景気動向指数改定値以外は、主だった経済指標の発表がアジア時間ではないことで、円だけでなく多くの通貨で動意が薄くなりそうだ。
もっとも、昨日プーチン露大統領は(ワグネルの代表の)プリゴジン氏の名前には言及しなかったものの「武装蜂起の主催者らは裁かれる」と発言していることで、週末の反乱の余波でロシア情勢が急変する可能性には要警戒となりそうだ。

【本日の重要指標】 ※時刻表示は日本時間

<国内>
○14:00 ◇ 4月景気動向指数改定値

<海外>
○17:00 ◎ ラガルド欧州中央銀行(ECB)総裁、講演
○17:15 ◎ ディングラ英中銀金融政策委員会(MPC)委員、講演
○17:30 ◎ テンレイロ英MPC委員、講演
○21:00 ◇ 5月メキシコ貿易収支(予想:11.50億ドルの赤字)
○21:30 ◎ 5月カナダ消費者物価指数(CPI、予想:前月比0.5%/前年比3.4%)
○21:30 ◎ 5月米耐久財受注額(予想:前月比▲1.0%/輸送用機器を除く前月比▲0.1%)
○22:00 ◇ 4月米住宅価格指数(予想:前月比0.5%)
○22:00 ◎ 4月米ケース・シラー住宅価格指数(予想:前年比▲2.6%)
○23:00 ☆ 5月米新築住宅販売件数(予想:前月比▲1.2%/67.5万件)
○23:00 ◎ 6月米消費者信頼感指数(予想:104.0)
○23:00 ◎ 6月米リッチモンド連銀製造業景気指数(予想:▲12)
○28日02:00 ◎ 米財務省、5年債入札
○ECB中央銀行フォーラム(ポルトガル・シントラ、28日まで)
○夏季ダボス会議(中国・天津、29日まで)

※「予想」は特に記載のない限り市場予想平均を表す。
▲はマイナス。
※重要度、高は☆、中は◎、低◇とする。
※指標などの発表予定・時刻は予告なく変更になる場合がありますので、ご了承ください。

【前日までの要人発言】

26日08:01 神田財務官
「為替、行き過ぎた動きには適切に対処したい」
「為替、足もとは急速で一方的」
「為替はファンダメンタルズを反映すべき」
「どんな場合でもあらゆるオプションが可能」

26日16:12 松野官房長官
「為替相場は安定的に推移することが重要」
「行き過ぎた動きに対しては適切に対応」
「足もとでは急速で一方的な動きも見られる」
「為替相場の動向を高い緊張感を持って注視する」

26日17:39 独IFO経済研究所
「ドイツ経済が、第2四半期に再び縮小する可能性が高まっている」

26日23:36 ボレル欧州連合(EU)外相
「ロシアは政情不安の時代に入りつつある」
「今週末の出来事は、ロシア国家とプーチンが弱体化していることを示している」

27日01:17 バイデン米大統領
「米国はロシア情勢に関与していない」
「米国はウクライナ支援を継続する」
「米国は同盟国との連携を維持する」
「ロシアでの出来事の結果はまだ分からない」

27日01:38 シムカス・リトアニア中銀総裁
「少なくともあと1回の利上げが必要」

27日04:21 プーチン露大統領
「ワグネル部隊の多くは愛国者、彼らは利用された」
「我々は危険を無力化するためにあらゆる手段を講じた」
「流血を免れたワグネルの指揮官と兵士たちに感謝」

※時間は日本時間

〔日足一目均衡表分析〕

<ドル円=5日線を上回る水準で底堅さ維持>

ドル円=5日線を上回る水準で底堅さ維持

各ラインの期間

 

下影小陰線引け。
142.94円まで下振れが先行した。
しかし142.70円台で推移していた5日移動平均線や先週末安値142.72円までに至らず戻し、143円台を回復してNYを引ける底堅さを示した。
小さな足型ながら相対的に長めな下ひげを形成していることも底堅さの示唆といえよう。
下押しがあっても143.14円前後へ上昇した5日線付近や昨日安値近辺で下げ渋り、高値圏を維持する展開を想定する。

レジスタンス2 145.11(2022/10/27安値)
レジスタンス1 144.18(ピボット・レジスタンス2)
前日終値 143.51
サポート1 142.94(6/26安値)

<ユーロドル=雲との値位置で基調判断する局面>

ユーロドル=雲との値位置で基調判断する局面

各ラインの期間

 

上影小陽線引け。
一目均衡表・雲の上限1.0906ドル水準でNYを引けた。
本日、雲の上限は1.0903ドルへ小幅に低下。
相場が横ばいでも雲を上回って推移できる状態だが、本日NY終値ベースで雲を上回ることができるか、雲の低下に沿うように下値を探るか基調が判断できる。
一目・転換線が基準線を上回り、一目・遅行スパンが実線を上回っていずれも買い示唆となっていることもあり、まだ上昇傾向が続いている転換線1.0908ドル付近で底堅く推移する展開を予想する。

レジスタンス1 1.0959(6/23高値)
前日終値 1.0906
サポート1 1.0845(6/23安値)

<ポンド円=転換線の切り上がりが反落限定するか注視>

ポンド円=転換線の切り上がりが反落限定するか注視

各ラインの期間

 

小陰線引け。
2015年12月以来の183円にワンタッチした。
しかし気迷いの感もあり、総じて182円台を軸とした高値もみ合いだった。
本日182.24円前後へ切り上がった5日移動平均線を割り込む調整局面も想定しておきたい。
下値を探る動きが早めに出た場合、現在180.13円に位置する一目均衡表・転換線まで押し目を深めるリスクもある。
少し高値圏を維持できれば、明日には181円に近づき、その後181円台に乗せる見込みの転換線が反落幅を限定するだろう。

レジスタンス1 183.00(6/26高値=年初来高値)
前日終値 182.43
サポート1 181.69(6/26安値)

<NZドル円=5日線を再び割り込んでも底堅さ続きそう>

NZドル円=5日線を再び割り込んでも底堅さ続きそう

各ラインの期間

 

下影小陽線引け。
88.62円までわずかながら年初来高値を更新する底堅さを示した。
本日88.32円前後へ切り上がった5日線を再び割り込んでも、昨日安値87.98円などをめどに下げ渋り、底堅く推移する流れが続くとみる。
深押しがあっても上昇中の一目均衡表・転換線87.59円や先週末安値87.48円が下げ渋りのポイントになるだろう。

レジスタンス1 89.01(2015/6/9・10高値)
前日終値 88.46
サポート1 87.98(6/26安値)

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