July 10, 2023
【前日の為替概況】ドル円、続落 米雇用統計が強弱入り混じる内容で次第にドル売り優勢
7日のニューヨーク外国為替市場でドル円は続落。
終値は142.21円と前営業日NY終値(144.07円)と比べて1円86銭程度のドル安水準だった。
注目の6月米雇用統計の結果が強弱入り混じる内容だったことが分かると、当初は売りと買いが交錯したものの、そのあとは次第にドル売りが優勢となった。
一時は4.0898%前後と昨年11月10日以来約8カ月ぶりの高水準を記録した米10年債利回りが低下に転じたり、米2年債利回りが節目の5%を下回ったりしたことも相場の重しとなり、5時30分前には一時142.07円と6月22日以来の安値を更新した。
米10年債利回りは再び上昇に転じたものの、ドル円の戻りは非常に鈍かった。
なお、米労働省が発表した6月米雇用統計では非農業部門雇用者数が前月比20.9万人増と予想の22.5万人増を下回ったほか、失業率が3.6%と前月の3.7%から低下し、予想と一致した。
一方、平均時給は前月比0.4%/前年同月比4.4%と予想の前月比0.3%/前年同月比4.2%を上回った。
市場ではこの結果について「今月の米連邦公開市場委員会(FOMC)に向けた米連邦準備理事会(FRB)の見通しを大きく変えるほど軟調ではなかった。
ただ、来週12日の6月米消費者物価指数(CPI)次第とも言える」との指摘があった。
ユーロドルは続伸。
終値は1.0967ドルと前営業日NY終値(1.0889ドル)と比べて0.0078ドル程度のユーロ高水準だった。
しばらくは1.08ドル台後半でのもみ合いが続いていたが、米雇用統計発表後に米金利が低下すると全般ドル売りが優勢となった。
2時30分前には一時1.0973ドルと日通し高値を更新した。
主要通貨に対するドルの値動きを示すドルインデックスは一時102.23と6月22日以来の低水準を付けた。
ユーロ円は4日続落。
終値は155.94円と前営業日NY終値(156.90円)と比べて96銭程度のユーロ安水準。
ドル円の大幅下落につれた売りが出て一時155.39円と6月23日以来の安値を付けたものの、ユーロドルの上昇につれた買いが入ると156.00円付近まで下げ渋った。
【本日の東京為替見通し】米金利に連れず円高継続か、さくらレポート・中国指標に要注目
本日の東京市場も円高基調は変わらずか。
先週は、米10年債利回りが昨年11月以来の水準、同2年債利回りは2007年6月以来となる16年1カ月ぶりの高水準を記録した。
しかしながら、通常は米金利上昇に連れて買われるドル円の反応は非常に鈍く、結果的には株安を嫌気しドル円は軟調な動きになった。
4・5月の円売り・株買いなどを仕掛けたのは本邦勢、6月は海外勢だったこともあり、回転の速い海外勢は7月に入り相場展開に変化が出てきたことで、今後は円安局面では円買いの逃げに転じる可能性もありそうだ。
株安を嫌気した円安が重しになっているが、それ以外にも7月27-28日に行われる日銀政策決定会合を前に、日銀の動向への警戒モードがワンランク上がっていることも円の買い戻しの一因になっている。
先週7日の日経新聞朝刊に掲載された内田日銀副総裁のインタビューでは、金融緩和継続を強調したものの、イールドカーブコントロール(YCC)の将来の見直しの可能性を否定しなかった。
昨年12月の長期金利の許容上限を0.5%に引き上げ時のように、日銀が報道を利用し、YCCの上限引き上げの地ならしを行う可能性が出てきていることも円買い要因だ。
本日は本邦からは5月国際収支速報、6月景気ウオッチャー調査などの経済指標が発表される。
これらの指標で円相場が動意づくのは難しいだろうが、14時頃に公表される日銀の地域経済報告(さくらレポート)には目を向けておきたい。
4月の同レポートでは、7地域が景気判断を据え置き、1地域は引き上げ、1地域は引き下げた。
もし、引き上げ地域が増加していた場合は、日銀政策決定会合へ影響を与える可能性もありそうだ。
また、中国からは6月の消費者物価指数(CPI)と同月の生産者物価指数(PPI)が発表される。
CPIがわずかにプラス予想となっているが、PPIは5月の-4.6%から更に弱まり-5.0%予想となっている。
市場は株安への警戒感が高まっていることもあり、両指標が予想比で下振れた場合は元相場だけでなく、リスク回避の動きになり円高が更に進みそうだ。
【本日の重要指標】 ※時刻表示は日本時間
<国内>
○08:50 ◎ 5月国際収支速報
◇ 経常収支(予想:季節調整前1兆8840億円の黒字/季節調整済1兆8678億円の黒字)
◎ 貿易収支(予想:9731億円の赤字)
○14:00 ◇ 6月景気ウオッチャー調査(予想:現状判断指数54.7/先行き判断指数54.2)
○14:00 ◇ 日銀地域経済報告(さくらレポート)
<海外>
○10:30 ◎ 6月中国消費者物価指数(CPI、予想:前年比0.2%)
○10:30 ◎ 6月中国生産者物価指数(PPI、予想:前年比▲5.0%)
○15:00 ◎ 6月ノルウェーCPI(予想:前月比0.1%/前年比7.0%)
○16:00 ◇ 5月トルコ失業率
○21:30 ◇ 5月カナダ住宅建設許可件数(予想:前月比▲3.9%)
○23:00 ◇ 5月米卸売売上高(予想:前月比0.6%)
○23:00 ◎ バー米連邦準備理事会(FRB)副議長、講演
○24:00 ◎ デイリー米サンフランシスコ連銀総裁、討議に参加
○24:00 ◎ メスター米クリーブランド連銀総裁、講演
○24:00 ◎ ベイリー英中銀(BOE)総裁、講演
○11日01:00 ◎ ボスティック米アトランタ連銀総裁、講演
○11日04:00 ◇ 5月米消費者信用残高(予想:210.0億ドル)
※「予想」は特に記載のない限り市場予想平均を表す。
▲はマイナス。
※重要度、高は☆、中は◎、低◇とする。
※指標などの発表予定・時刻は予告なく変更になる場合がありますので、ご了承ください。
【前日までの要人発言】
7日15:15 イエレン米財務長官
「中国による重要鉱物の新たな輸出規制を懸念し、その影響を評価中」
「米国は中国との経済の全体的な分離を求めておらず、分離ではなく多様化を目指している」
「米中両国にとって最善の利益となるよう、上層部で直接かつ明確な意思疎通を図る」
7日23:16 グラピンスキ・ポーランド中銀総裁
「7月のMPC会合では利下げについて議論せず」
「9月に0.25%の利下げが可能」
「2023年の利下げはCPIの道筋を大きく変えることはない」
8日00:48 グールズビー米シカゴ連銀総裁
「米雇用市場はかなり強いが、バランスの取れた持続的なレベルに戻りつつある」
「不況なし、かつ低インフレへの黄金の道を進んでいるようだ」
「住宅の供給は限られている」
「金融政策には遅れがある」
「インフレは若干低下しているが、さらに低下する必要がある」
「今年はあと1-2回の利上げが行われる可能性」
「7月利上げはまだ未定、今後発表されるインフレ統計が重要」
8日02:58 マン英中銀金融政策委員会(MPC)委員
「英国でインフレが定着しつつある証拠がある」
「インフレは急上昇する局面よりも低下する局面の方が時間がかかる」
※時間は日本時間
〔日足一目均衡表分析〕
<ドル円=基準線付近で底堅さ示すことできるか見定めたい>
大陰線引け。
一目均衡表・転換線を下抜け一時142.07円と6月22日以来、2週間ぶり以上となる142円割れをうかがう水準へ下振れた。
ここからは一目・基準線141.92円付近で底堅さを示すことができるか見定める局面となる。
緩やかながら上昇傾向を維持する基準線は下支えになると期待するが、上昇が頭打ちとなった転換線が反発を抑制することが予想される。
レジスタンス1 142.94(6/26安値)
前日終値 142.21
サポート1 141.61(6/22安値)
サポート2 140.93(5/30高値)
<ユーロドル=調整局面で支えとなるテクニカル指標乏しい>
下影陽線引け。
1.09ドル付近で抵抗となっていた一目均衡表・転換線を上抜けて上伸した。
6月27日以来の高値1.0973ドルをつけている。
下支えとなりそうな日足テクニカル指標は1.0911ドル前後で推移する5日移動平均線程度で、調整の反落となった際に推移がやや不安定になることも考えられる。
しかし、5日高値1.0908ドル付近で下げ渋ることも想定でき、一定の底堅さを維持するとみる。
レジスタンス1 1.1012(6/22高値)
前日終値 1.0967
サポート1 1.0908(7/5高値)
<ユーロ円=基準線方向を意識した下押しも視野に臨みたい>
下影陰線引け。
一目均衡表・転換線156.70円を割り込み、6月23日以来、2週間ぶりの安値155.39円まで下値を探った。
155円台で上昇中の21日移動平均線付近で下げ渋ったが、本日155.65円前後へ切り上がった同線を割り込む場面もありそう。
戻りを試しても低下傾向の転換線が重し。
伸び悩み、153円台で推移する基準線方向を意識して下押しが進むリスクも視野に入れて臨みたい。
レジスタンス1 156.70(日足一目均衡表・転換線)
前日終値 155.94
サポート1 155.06(6/23安値)
<豪ドル円=転換・基準線の交差する水準への収れん想定>
下影陰線引け。
6月14日以来、3週間ぶり以上となる安値94.76円まで下落が進んだ。
ここからは94.91円へ切り上がる一目均衡表・基準線付近の攻防となる。
基準線前後で下支えされ、同線と転換線の交差が予想される95.79円前後へ収れんする相場展開が想定できる。
レジスタンス1 95.79(日足一目均衡表・転換線)
前日終値 95.11
サポート1 94.76(7/7安値)
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