本日の東京為替見通し(為替/FXニュース):週末リスクもありドル円の上値は限定的、円高に加えドル安に(2023年7月14日)

マーケットレポート

July 14, 2023

【前日の為替概況】ドル円、6日続落 弱い米PPIやタカ派FRB高官の辞任が重し

 

13日のニューヨーク外国為替市場でドル円は6日続落。
終値は138.05円と前営業日NY終値(138.50円)と比べて45銭程度のドル安水準だった。
前週分の新規失業保険申請件数が予想より強い内容だったことが分かると円売り・ドル買いが先行。
21時30分過ぎに一時138.95円と日通し高値を付けた。

ただ、同時に発表された6月米卸売物価指数(PPI)が前日の6月米消費者物価指数(CPI)に続き、予想より弱い内容だったことが分かると米連邦準備理事会(FRB)による利上げ長期化観測が後退し、一転円買い・ドル売りが優勢に。
米10年債利回りが3.75%台まで低下したことも相場の重しとなり、3時30分過ぎに一時137.92円と5月22日以来の安値を更新した。

市場では「FRBでタカ派として知られるブラード米セントルイス連銀総裁が本日付で辞任したこともドル売りを誘った」との声も聞かれた。
なお、ブラード氏は8月14日までは顧問として残るものの、米連邦公開市場委員会(FOMC)での金融政策を巡る役割やその他の関連職務からは身を引き、講演などもすべて中止したという。

ユーロドルは6日続伸。
終値は1.1226ドルと前営業日NY終値(1.1129ドル)と比べて0.0097ドル程度のユーロ高水準だった。
欧州中央銀行(ECB)の利上げ継続観測が根強い一方、米インフレ指標の鈍化でFRBの利上げ長期化観測は一段と後退。
欧米金利差縮小への思惑からユーロ買い・ドル売りが優勢となった。
5時30分前には一時1.1228ドルと昨年3月以来1年4カ月ぶりの高値を更新した。
主要通貨に対するドルの値動きを示すドルインデックスは一時99.74と昨年4月以来1年3カ月ぶりの安値を記録した。

ユーロ円は8営業日ぶりに反発。
終値は154.99円と前営業日NY終値(154.14円)と比べて85銭程度のユーロ高水準。
ドル円が日通し高値を付けたタイミングでユーロ円も155.13円と本日高値を付けた。
23時過ぎには154.49円付近まで下押ししたものの、ユーロドルの上昇につれた買いが入ると155.01円付近まで持ち直している。

【本日の東京為替見通し】週末リスクもありドル円の上値は限定的、円高に加えドル安に

 

本日のドル円は、上値の重さは変わらずか。
先週7日の日経新聞による内田日銀副総裁へのインタビューから始まった円高相場だが、ドル安相場の勢いも加わっていることが、ドル円の重しになる。
昨日のアジア市場のドル円は、4営業日だけで6円超の下落幅を見せたのにもかかわらず、ドル円は1円すら買い戻すことが出来なかった。
これは、円高地合いだけでなく、ドル安が鮮明だからといえる。
一昨日発表された、6月の消費者物価指数(CPI)は前年比で米国が3.0%上昇、ドイツは6.4%上昇、フランスは4.5%上昇、英国は19日発表予定だが8.3%程度の上昇予想、本邦は21日発表されるが5月は4.2%の上昇だった。
他国と比較し米国がインフレ鈍化になっていることもあり、ドルが売られやすい状況に陥るのは致し方のないことだろう。
日銀の金融政策の変更については、実質賃金が14カ月連続でマイナスとなっていることで、緩和姿勢を継続するとの声が依然として多い。
しかしながら、6月から電気料金が大幅に値上がりするなど、インフレ高進への懸念が高まっていることで、7月には変更がない場合でも年後半にはイールドカーブコントロール(YCC)の引き上げなどを含め、日銀の緩和姿勢に変化が見えてくる可能性は高そうだ。
また、市場が7月の日銀政策決定会合に向けて若干前のめりで、政策変更への期待が高まっているにもかかわらず、日銀関係者のけん制発言がほぼ伝わってこないことも不気味な様相を呈している。
なお、昨年12月にYCC拡大の観測記事が発表されたのが12月17日土曜日の日経新聞だったこともあり、同様の地ならし記事が週末にかけて掲載される可能性にも注意を払いたい。

本日は本邦からは5月鉱工業生産確報、同月設備稼働率などが発表されるが、両指標とも為替を動意づけるのは難しい。
アジア時間では引き続き、時間外の米金利や、続伸が期待される日経平均株価の動向、連日東京仲値を中心に円売り地合いが強い本邦勢の動きを見ながらの取り引きになりそうだ。

【本日の重要指標】 ※時刻表示は日本時間

<国内>
○13:30 ◇ 5月鉱工業生産確報
○13:30 ◇ 5月設備稼働率

<海外>
○07:45 ◎ ウォラー米連邦準備理事会(FRB)理事、講演
○09:00 ◎ 4-6月期シンガポール国内総生産(GDP)速報値(予想:前期比年率▲0.2%)
○09:00 ◎ シンガポール金融通貨庁(MAS)、金融政策発表
○15:00 ◇ 6月独卸売物価指数(WPI)
○15:00 ◎ 6月スウェーデン消費者物価指数(CPI、予想:前月比0.9%/前年比9.1%)
        コア指数(予想:前月比0.8%/前年比6.1%)
○15:30 ◇ 6月スイス生産者輸入価格
○18:00 ◇ 5月ユーロ圏貿易収支
○21:00 ◎ 5月ブラジル小売売上高(予想:前年同月比2.0%)
○21:30 ◇ 5月カナダ製造業出荷(予想:前月比0.8%)
○21:30 ◇ 6月米輸入物価指数(予想:前月比▲0.1%)
○23:00 ◎ 7月米消費者態度指数(ミシガン大調べ、速報値、予想:65.5)
○20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議(インド・ガンディーナガル、18日まで)
○ニュージーランド(マタリキ)、休場

※「予想」は特に記載のない限り市場予想平均を表す。
▲はマイナス。
※重要度、高は☆、中は◎、低◇とする。
※指標などの発表予定・時刻は予告なく変更になる場合がありますので、ご了承ください。

【前日までの要人発言】

13日16:41 ビスコ・イタリア中銀総裁
「ターミナルレート(利上げの最終到達点)に接近している」

13日16:44 神田財務官
「足元の円は、キャリートレードの勢いが弱まっているとの見方が強い」
「投機的な円売りポジションの急激な巻き戻しと市場は見ている」
「政府としては引き続き為替市場の動向をしっかりと注視していきたい」
「デフレ期に定着していたノルム、企業の賃金価格設定行動に変化の兆しありインフレ基調変わりつつあるのではないか」

13日20:35 欧州中央銀行(ECB)理事会議事要旨(6月15日分)
「メンバーは金利をさらに引き上げて金融政策スタンスを引き締めるのは正当であるとの認識で一致」
「高インフレがより持続するリスクを考慮して金利を50ベーシスポイント引き上げることを支持する意見もあった」
「必要に応じて7月以降の利上げを検討する可能性がある」

14日00:40 デイリー米サンフランシスコ連銀総裁
「今週のインフレに関するニュースは確かに良いニュースだ」
「インフレに関して勝利を宣言できると言うには時期尚早」
「金利を制限領域まで引き上げる必要」
「インフレ率が2%に向けて再び低下する軌道に乗っていると確信できるまで、利上げに取り組む」

※時間は日本時間

〔日足一目均衡表分析〕

<ドル円=戻しても雲上限の動きに沿った限定的なペースか>

ドル円=戻しても雲上限の動きに沿った限定的なペースか

各ラインの期間

 

上影陰線引け。
一時138.95円まで上昇と、一目均衡表・雲の上限138.52円を上回って推移する場面もあった。
しかし失速して雲の中へ潜り込み、137.92円まで5月22日以来の安値を更新している。

下げ渋って戻すにしても雲上限の切り上がりに沿った限定的なペースにとどまそう。
雲を抜けることができても139円台で低下中の5日移動平均線で動きが重くなりそうだ。

レジスタンス1  138.95(7/13高値)
前日終値  138.05
サポート1  137.43(5/19安値)
サポート2  136.68(5/16高値)

<ユーロドル=5日線の上昇ともなう堅調地合いを維持>

ユーロドル=5日線の上昇ともなう堅調地合いを維持

各ラインの期間

 

陽線引け。
強い上昇波形を維持したまま一時1.1228ドルと昨年3月以来、1年4カ月ぶりの高値を更新した。
目先のすう勢を示す5日移動平均線の上昇をともない上値を伸ばす展開。
調整の反落が入っても本日1.1116ドルへ切り上がった同線付近までにとどめ、強い流れを維持するとみる。

レジスタンス1  1.1288(2022/2/22安値)
前日終値  1.1226
サポート1  1.1185(2022/3/31高値)

<ユーロ円=転換線-基準線レンジから方向うかがう軌道>

ユーロ円=転換線-基準線レンジから方向うかがう軌道

各ラインの期間

 

陽線引け。
上昇傾向の一目均衡表・基準線を上回る水準を維持して一時155円台へ戻した。
本日153.82円に位置する基準線と、一目・転換線155.70円に挟まれたレンジでの推移が続いている。
両線の交差が予想される155円付近へいったん収れんして、次に動き出す方向を見定める軌道にある。

レジスタンス1  155.70(日足一目均衡表・転換線)
前日終値  154.99
サポート1  153.82(日足一目均衡表・基準線)

<豪ドル円=基準線付近へ再び回帰できるか注視>

豪ドル円=基準線付近へ再び回帰できるか注視

各ラインの期間

 

大陽線引け。
上昇が続く基準線を追うように95.31円まで上伸したものの、低下傾向の一目・転換線95.05円付近に押し戻された。
転換線付近の攻防だが、いったん押し目が深めになっても94円台で推移する5日移動平均線付近で粘り再び戻すことができれば転換線の抵抗もこなせそう。
そうなれば本日95.42円へ上昇した基準線前後へ回帰できるだろう。

レジスタンス1  95.80(21日移動平均線)
前日終値  95.11
サポート1  94.53(7/12-13上昇幅の38.2%押し)

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