本日の東京為替見通し(為替/FXニュース):ドル円、6月の日本のコアコア消費者物価指数に要注目か(2023年7月21日)

マーケットレポート

July 21, 2023

【前日の為替概況】ドル円、新規失業保険申請件数減少と米10年債利回り上昇で140.50円へ

 

20日のニューヨーク外国為替市場でドル円は3日続伸。
終値は140.07円と前営業日NY終値(139.65円)と比べて42銭程度のドル高水準だった。
前週分の米新規失業保険申請件数が予想より強い内容だったが分かると、米連邦準備理事会(FRB)の利上げ継続が意識されて、米10年債利回りが一時3.8701%前後まで急伸。
全般ドル買いが優勢となり、前日の高値139.99円や12日の高値140.39円を上抜けて一時140.50円まで上値を伸ばした。

ただ、買い一巡後はやや上値が重くなった。
米10年債利回りが上昇幅を縮めたことが相場の重しとなったほか、50日移動平均線の140.51円がレジスタンスとして意識された。

ユーロドルは3日続落。
終値は1.1130ドルと前営業日NY終値(1.1201ドル)と比べて0.0071ドル程度のユーロ安水準だった。
欧州中央銀行(ECB)の利上げ継続観測が後退する中、米労働指標が良好な内容だったことが伝わると、米金利の上昇とともにドル買いが活発化した。
市場では「今夏以降、ECBが利上げを一時停止する可能性が意識されている」との声も聞かれ、一時1.1119ドルと日通し安値を更新した。
主要通貨に対するドルの値動きを示すドルインデックスは一時100.97まで上昇した。

ユーロ円は反落。
終値は155.90円と前営業日NY終値(156.43円)と比べて53銭程度のユーロ安水準。
ドル円の上昇につれた買いが入ったものの、ユーロドルの下落につれた売りが出ると一時155.87円と日通し安値を付けた。

南アフリカランドは対ドルで一時17.9857ランドまで下落した。
南アフリカ準備銀行(SARB)はこの日、政策金利を現行の8.25%で据え置くことを決めたと発表。
予想は据え置きと0.25%の利上げで拮抗していたため、結果公表後はランド売りが優勢となった。

なお、クガニャゴSARB総裁は会見で「利上げサイクルが終わったわけではない、今後はデータ次第」「金利がピークに達したと言うことはできない」などと発言した。

【本日の東京為替見通し】ドル円、6月の日本のコアコア消費者物価指数に要注目か

 

本日の東京外国為替市場のドル円は、日本の6月のコアコア消費者物価指数を見極めた後は、日銀関係者による見解に注目する展開が予想される。

昨日発表された日本の6月の貿易収支は、467億円の赤字予想に対して、23カ月ぶりとなる430億円の黒字だった。
輸出が、自動車の+49.7%などにより、+1.5%の8兆7441億円、輸入は、原油や液化天然ガスの減少が9.2%ポイント影響したことで、-12.9%の8兆7010億円だった。
貿易黒字が続いた場合、円売り圧力が後退することになるため、今後は、7月の貿易収支(8月17日に発表予定)に向けて、上旬分(7月28日に発表予定)や上中旬分(8月8日に発表予定)の貿易収支にも注目していきたい。

8時30分に発表される6月全国コア消費者物価指数(CPI)は、前年比+3.3%と予想されており、5月の同比+3.2%から上昇、コアコアCPIは同比+4.2%と5月の同比+4.3%からの伸び率鈍化が見込まれている。
日本銀行がインフレ指標として注視しているコアコアCPIが予想通りに鈍化していた場合、2月の+3.5%、3月の+3.8%、4月の+4.1%、5月の+4.3%までの上昇基調が一服となる。
しかし、もし、6月も上昇基調を辿っていた場合、7月27-28日の日銀金融政策決定会合での「経済・物価情勢の展望(展望リポート)」では、新聞報道のように、物価見通しが現在の+1.8%から2%台へ引き上げられる可能性が高まることになる。

すなわち、「展望リポート」で物価見通しが引き上げられた場合、現状の金融緩和政策が維持されたままでは、整合性が取れなくなるため、7日の内田日銀副総裁や13日の早川元日本銀行理事によるイールドカーブコントロール(YCC)の許容変動幅の拡大を示唆する発言が現実味を帯びることになる。

内田日銀副総裁は、金融政策ではない長期金利操作の「YCC修正」と、金融政策である短期金利操作の「マイナス金利解消」を分離することで、YCCの許容変動幅の拡大を示唆していた。

しかしながら、植田日銀総裁は、「持続的・安定的な2%の物価目標までに距離があるとの認識に変化がなければ、粘り強く金融緩和を続ける姿勢も変わらない」と述べて、YCCの許容変動幅の拡大観測を打ち消している。

日銀政策委員会(9名=正1副2総裁+6人の審議委員)では、植田日銀総裁とリフレ4人組との5対4で、現状の緩和策の維持が予想されている。

岸田政権は、今秋の衆院解散・総選挙を視野に入れており、10月上旬召集とされる秋の臨時国会前後には「防衛費増額」「子育て支援の財源問題」「24年度税制改正大綱」などが待ち受けている。
YCCの許容変動幅を±0.5%から±0.75%、あるいは±1.0%に拡大した場合、岸田政権の財政政策に悪い影響を与え、株価も下がることから、植田日銀総裁は政権へ忖度したのかもしれない。

【本日の重要指標】 ※時刻表示は日本時間

<国内>
○08:30 ☆ 6月全国消費者物価指数(CPI、生鮮食品を除く総合、予想:前年比3.3%)
○08:30 ☆ 6月全国CPI(生鮮食料品・エネルギー除く、予想:前年比4.2%)
○08:50 ◇ 対外対内証券売買契約等の状況(週次・報告機関ベース)

<海外>
○08:01 ◇ 7月英消費者信頼感指数(Gfk調査、予想:▲26)
○15:00 ◎ 6月英小売売上高(自動車燃料含む、予想:前月比0.2%/前年比▲1.5%)
○15:00 ◎ 6月英小売売上高(自動車燃料除く、予想:前月比0.2%/前年比▲1.6%)
○19:30 ◎ ロシア中銀、政策金利発表(予想:8.00%に引き上げ)
○21:30 ◎ 5月カナダ小売売上高(予想:前月比0.5%/自動車を除く前月比0.3%)
○23日 スペイン総選挙

※「予想」は特に記載のない限り市場予想平均を表す。
▲はマイナス。
※重要度、高は☆、中は◎、低◇とする。
※指標などの発表予定・時刻は予告なく変更になる場合がありますので、ご了承ください。

【前日までの要人発言】

20日15:04 岸田首相
「賃上げが当たり前となる経済とデフレ脱却への道筋を着実なものにすることが重要」
「物価の上振れが家計の実質所得に与える影響には十分注意が必要」
「経済・物価の動向やその国民生活への影響を見極める」

20日15:07 日本政府
「今年度のインフレ率は2.6%に達し、1月の1.7%から上昇し、日銀の目標である2%を上回ると予想」
「2024年度の経済成長率は1.2%になると予想」
「今年度の経済成長率見通しを1.3%に下方修正」

20日20:05 トルコ中銀声明
「インフレ指標と基本的なインフレ動向を注意深く監視する」
「インフレ見通しの大幅な改善が達成されるまで、必要な金融引き締めを適時かつ段階的にさらに強化する」
「最近の指標はインフレ基調な上昇傾向が継続していることを示唆」
「金融政策の立場を支持するために、量的引き締めと選択的なクレジット引き締めについても決定」
「海外直接投資、外部融資条件の顕著な改善、外貨準備の継続的な拡大、観光収入の増加による経常収支の改善は物価安定に大きく寄与」

20日22:25 クガニャゴ南アフリカ準備銀行(SARB)総裁
「電力制限が減少したことでGDP予想は改善している」
「利上げのサイクルが終わったわけではない、今後はデータ次第」
「金利がピークに達したと言うことはできない」

20日22:50 南アフリカ準備銀行(SARB、中央銀行)声明
「2023年GDP成長率は0.4% を予測(前回0.3%)、24年CPI見通しは1.0%(前回1.0%)」
「23年CPIは前年比6.0%と予測(前回は6.2%予測)、24年CPI見通しは5.0%(前回5.1%)」
「23年のコアCPIは前年比5.2%と予測(前回は5.3%予測)、24年CPI見通しは4.9%(前回5.0%)」

※時間は日本時間

〔日足一目均衡表分析〕

<ドル円=転換線を支持に押し目買いスタンス>

ドル円=転換線を支持に押し目買いスタンス

各ラインの期間

 

陽線引け。
転換線は基準線を下回り、遅行スパンは実線を下回り、雲の上で引けているものの、売りシグナルが優勢な展開となっている。
しかし、3手連続陽線で転換線を上回って引けたことで続伸の可能性が示唆されている。

本日は、転換線を支持に押し目買いスタンスで臨み、同線を下抜けた場合は手仕舞い。

レジスタンス2  142.07(7/7安値)
レジスタンス1  141.16(日足一目均衡表・基準線)
前日終値  140.07
サポート1  139.36(日足一目均衡表・転換線)
サポート2  138.77(7/19安値)

<ユーロドル=基準線を支持に押し目買いスタンス>

ユーロドル=基準線を支持に押し目買いスタンス

各ラインの期間

 

陰線引け。
転換線は基準線を上回り、遅行スパンは実線を上回り、雲の上で引けているため、三役好転の強い買いシグナルが点灯中。
8手連続陽線の後、3手連続陰線で反落したものの、転換線を上回って引けており、反発の可能性が示唆されている。

本日は、転換線1.1127ドルを念頭に置き、基準線を支持に押し目買いスタンスで臨み、同線を下抜けた場合は手仕舞い。

レジスタンス1  1.1276(7/18高値)
前日終値  1.1130
サポート1  1.1055(日足一目均衡表・基準線)

<ポンド円=転換線を抵抗に戻り売りスタンス>

ポンド円=転換線を抵抗に戻り売りスタンス

各ラインの期間

 

陰線引け。
転換線は基準線を下回っているものの、遅行スパンは実線を上回り、雲の上で引けていることで、買いシグナルが優勢な展開となっている。
4手連続陰線で転換線を下回って引けており、続落の可能性が示唆されている。

本日は、転換線を抵抗に戻り売りスタンスで臨み、同線を上抜けた場合は手仕舞い。

レジスタンス1  180.89(日足一目均衡表・転換線)
前日終値  180.24
サポート1  179.74(7/20安値)

<NZドル円=基準線を抵抗に戻り売りスタンス>

NZドル円=基準線を抵抗に戻り売りスタンス

各ラインの期間

 

陰線引け。
転換線は基準線を下回り、遅行スパンは実線を下回り、雲の上で引けているものの、売りシグナルが優勢な展開となっている。
孕み線で反落して転換線を下回って引けており、続落の可能性が示唆されている。

本日は、転換線87.47円を念頭に置き、基準線を抵抗に戻り売りスタンスで臨み、同線を上抜けた場合は手仕舞い。

レジスタンス1  87.97(日足一目均衡表・基準線)
前日終値  87.32
サポート1  86.27(日足一目均衡表・雲の上限)

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