本日の東京為替見通し(為替/FXニュース):本邦通貨当局に対する警戒続く、貿易統計や豪雇用統計にも注視(2023年8月17日)

マーケットレポート

August 30, 2023

【前日の為替概況】ドル全面高、対円では146.41円 タカ派的FOMC議事要旨を受け

 

16日のニューヨーク外国為替市場でドル円は上昇。
終値は146.35円と前営業日NY終値(145.57円)と比べて78銭程度のドル高水準だった。
米長期金利が上昇傾向を強める中、5時前に一時146.41円と昨年11月以来9カ月ぶりの高値を更新した。

米連邦準備理事会(FRB)が発表した7月米鉱工業生産が予想を上回ったことなどを手掛かりに円売り・ドル買いが先行。
7月25-26日分の米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨で「大半の当局者はインフレに著しい上振れリスクがあるとみている」「インフレリスクによりさらなる金融引き締めが必要となる可能性がある」との見解が示されると、FRBによる金融引き締めが長期化するとの観測が高まりドル買いが加速した。
なお、市場では「夏季休暇で取引参加者が減少しており、市場流動性が低下。
薄商いとなる中、値が振れやすい面がある」との声が聞かれたほか、「円安に歯止めをかけるため、政府・日銀が為替介入に踏み切るかどうかが焦点となっている」との指摘があった。

ユーロドルは下落。
終値は1.0879ドルと前営業日NY終値(1.0905ドル)と比べて0.0026ドル程度のユーロ安水準だった。
独10年債利回りが2.65%台まで低下した一方、米10年債利回りが4.27%台と昨年10月24日以来の高水準を記録すると、欧米金利差拡大への思惑からユーロ売り・ドル買いが優勢となった。
4時30分前に一時1.0872ドルと7月7日以来の安値を更新した。

主要通貨に対するドルの値動きを示すドルインデックスは103.53と7月6日以来の高値まで上昇した。

ユーロ円は続伸。
終値は159.22円と前営業日NY終値(158.78円)と比べて44銭程度のユーロ高水準。
ユーロドルの下落につれた売りが出たものの、ドル円の上昇につれた買いが入ると一時159.26円と日通し高値を更新した。

ポンド円は一時186.34円と2015年12月以来7年8カ月ぶりの高値を更新した。
前日の4-6月の賃金上昇率(ボーナスを除く)や本日の7月英消費者物価指数(CPI)を受けて、英中銀(BOE)による追加利上げ観測が高まると円売り・ポンド買いが広がった。

【本日の東京為替見通し】本邦通貨当局に対する警戒続く、貿易統計や豪雇用統計にも注視

 

本日の東京外国為替市場のドル円は、引き続き本邦通貨当局によるドル売り・円買い介入に警戒する展開か。
イベントとしては、本邦7月貿易統計や7月豪雇用統計が注目される。

本邦通貨当局は昨年、ボラティリティー抑制を名目にしたドル売り・円買い介入を3回断行した。
これまでも指摘しているが、円買い介入はボリンジャー・バンド+2σ付近で行われ、介入後の安値は日足一目均衡表・基準線付近だった。
本日の高値の目安となる+2σ水準は146.99円付近、安値の目安となる基準線は141.83円処となっている。

財務省の鈴木財務相や神田財務官、日銀の植田日銀総裁や内田日銀副総裁が言及しているボラティリティーに関しては、昨年9月22日の第1弾円買い介入前は日銀の金融政策が材料、10月21日の第2弾円買い介入前は米連邦準備理事会(FRB)の金融政策が材料だった。
昨日の146円台までの続伸の材料もタカ派的なFOMC議事要旨だったことで、「適切な措置」から「断固たる措置」への牽制発言の強化とともに、介入実施には警戒しておきたい。

8時50分発表の7月貿易統計(通関ベース)の予想は、季節調整前で246億円の黒字と2カ月連続での貿易黒字見込み。
6月貿易収支は、輸出が自動車、建設用・鉱山用機械等が増加したため前年同月比1.5%増加、輸入は原粗油、石炭等が減少したことで12.9%減少となり、約430億円の貿易黒字だった。

予想通りの貿易黒字ならば、4-6月期実質国内総生産(GDP)での輸出の増大傾向が続いていることが示唆される。
そうなると輸入物価上昇に繋がる悪い円安ではなく、輸出とインバウンドを増加させる良い円安となり、本邦通貨当局によるドル売り・円買い介入への警戒感が後退することになるのかもしれない。

10時30分に発表される7月豪雇用統計の予想は、失業率が3.6%で5、6月の3.5%からやや上昇、新規雇用者数1.50万人の増加で、5月の+7.66万人、6月の+3.26万人からはやや増加幅が減少することが見込まれている。
8月RBA理事会議事要旨では、労働市場が転換点にある可能性示す初期の兆候が見られる、と言及された。
7月豪雇用統計が予想通りだった場合は、RBA理事会の見立てが裏付けられることになる。
一方で、豪準備銀行(RBA)四半期金融政策報告での年末の失業率は3.9%と示されていたことで、依然として、見通しを下回る堅調な労働市場の状況となる。

【本日の重要指標】 ※時刻表示は日本時間

<国内>
○08:50 ◎ 6月機械受注(予想:船舶・電力除く民需 前月比3.6%/前年比▲5.5%)
○08:50 ◎ 7月貿易統計(通関ベース、予想:季節調整前246億円の黒字、季節調整済4609億円の赤字)
○08:50 ◇ 対外対内証券売買契約等の状況(週次・報告機関ベース)
○13:30 ◇ 6月第三次産業活動指数(予想:前月比▲0.2%)

<海外>
○07:45 ◎ 4-6月期ニュージーランド(NZ)卸売物価指数(PPI)
○10:30 ◎ 7月豪雇用統計(予想:失業率3.6%/新規雇用者数1.50万人)
○17:00 ◎ ノルウェー中銀、政策金利発表(予想:4.00%に引き上げ)
○18:00 ◇ 6月ユーロ圏貿易収支(予想:季調前なし/季調済40億ユーロの黒字)
○18:30 ◎ 7月南アフリカSACCI企業信頼感指数
○21:30 ◇ 6月対カナダ証券投資
○21:30 ◎ 8月米フィラデルフィア連銀製造業景気指数(予想:▲10.0)
○21:30 ◎ 前週分の米新規失業保険申請件数/失業保険継続受給者数(予想:24.0万件/170.0万人)
○23:00 ◎ 7月米景気先行指標総合指数(予想:前月比▲0.4%)

※重要度、高は☆、中は◎、低◇とする。
※指標などの発表予定・時刻は予告なく変更になる場合がありますので、ご了承ください。

【前日までの要人発言】

16日11:07 ニュージーランド準備銀行(RBNZ)声明
「金利を当面は制限的なレベルに留める必要があることに同意」
「総合インフレ率とインフレ期待は低下したが、コアインフレ率の指標は依然として高すぎる」
「金利がしばらく制限的な水準に留まることで、インフレは年率1-3%の目標範囲内に戻ると確信」
「短期的には経済活動とインフレ率が予想ほど減速しないリスクがある」
「ニュージーランド経済は概ね予想通りに推移」

16日12:22 オアNZ準備銀行(RBNZ)総裁
「コアインフレ率は依然として高過ぎる」
「オフィシャルキャッシュレート(OCR)の上昇軌道(予測)はフォワードガイダンスではない」
「利下げについてはあまり議論されていない」

17日00:35 ショルツ独首相
「エネルギー価格はさらに下がる必要がある」
「経済は大方の予想よりもうまく危機を乗り越えた」

17日03:03 米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨(7月25-26日分)
「当局者はインフレリスクによりさらなる引き締めが必要となる可能性と指摘」
「複数の当局者は金融情勢が過度に逼迫するリスクを考慮する必要があると指摘」 「当局者はインフレに著しい上振れリスクがあると指摘」
「7月会合では2人が金利据え置きを支持」
「当局者は次回の金利決定を経済とインフレに関するデータの総合性で判断」
「一部当局者は銀行の信用状況が予想よりも厳しいと見ている」
「インフレは昨年半ば以降鈍化しているが、依然として目標の2%を大きく上回っている」
「当局者らはインフレ率の目標達成には失業率の上昇と成長鈍化が必要と見ている」
「スタッフは2023年に景気後退はないと見ているが、24-25年は経済成長が鈍化するとみている」

17日03:51 米ホワイトハウス
「中国のGDPデータには透明性の問題がある」

※時間は日本時間

〔日足一目均衡表分析〕

<ドル円=9か月ぶりの高値更新、8/16安値が支持に>

ドル円=9か月ぶりの高値更新、8/16安値が支持に

各ラインの期間

 

陽線引け。
転換線は基準線を上回り、遅行スパンは実線を上回り、雲の上で引けていることで、三役好転の強い買いシグナルが点灯中。
146円台に乗せて、約9か月ぶりの高値を更新した。
8手連続陽線で転換線を大幅に上回って引けており、続伸の可能性が示唆されている。

本日は、16日の安値を支持に押し目買いスタンスで臨み、同水準を下抜けた場合は手仕舞い。

レジスタンス2  148.40(2022/11/4高値)
レジスタンス1  147.57(2022/11/7高値)
前日終値  146.35
サポート1  145.31(8/16安値)
サポート2  143.97(日足一目均衡表・転換線)

<ユーロドル=三役逆転、転換線を抵抗に戻り売り継続>

ユーロドル=三役逆転、転換線を抵抗に戻り売り継続

各ラインの期間

 

陰線引け。
転換線は基準線を下回り、遅行スパンは実線を下回り、雲の下で引けていることで、三役逆転の強い売りシグナルが点灯した。
上昇中の一目・雲の下限は本日、1.0990ドル台に位置している。

4手連続陰線で転換線を下回って引けており続落の可能性が示唆されている。
本日は同線から雲の下限までを抵抗帯に戻り売りスタンスで臨みたい。

レジスタンス1  1.0969(日足一目均衡表・転換線)
前日終値  1.0879
サポート1  1.0774(6/14安値)

<ユーロ円=上昇トレンド継続、8/15安値を支持に買い>

ユーロ円=上昇トレンド継続、8/15安値を支持に買い

各ラインの期間

 

陽線引け。
転換線は基準線を上回り、遅行スパンは実線を上回り、雲の上で引けていることで、三役好転の強い買いシグナルが点灯している。
2手連続陽線で転換線を上回って引けており上昇トレンドの継続を示唆している。

本日は、15日の安値を支持に押し目買いスタンスで臨み、同水準を下抜けた場合は手仕舞い。

レジスタンス1  160.06(ピボット・ターニングポイント)
前日終値  159.22
サポート1  158.54(8/15安値)

<豪ドル円=雲の中で推移続く、下限を支持に押し目買い>

豪ドル円=雲の中で推移続く、下限を支持に押し目買い

各ラインの期間

 

陽線引け。
雲の中で上下が続いているものの、遅行スパンは実線と同値。
ただし転換線は基準線を上回り、孕み線で反発して転換線を上回って引けており、続伸の可能性が示唆されている。

本日は転換線93.92円や基準線93.85円を念頭に置き、雲の下限を支持に押し目買いスタンスで臨み、同線を下抜けた場合は手仕舞い。

レジスタンス1  95.19(日足一目均衡表・雲の上限)
前日終値  94.02
サポート1  93.42(日足一目均衡表・雲の下限)

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