August 29, 2023
【前日の為替概況】ドル円、3日続伸 中国の市場活性化策発表でリスク選好ムード強まる
28日のニューヨーク外国為替市場でドル円は小幅ながら3日続伸。
終値は146.54円と前営業日NY終値(146.44円)と比べて10銭程度のドル高水準だった。
25日に行われたジャクソンホール会議でのパウエル米連邦準備理事会(FRB)議長の講演を無難に通過し、中国で市場活性化策が発表されたことなどがリスク選好ムードを強める中、ダウ平均が一時300ドル超上昇すると円売り・ドル買いが進行。
前週末の高値146.63円を上抜けて一時146.74円と昨年11月以来約9カ月ぶりの高値を更新した。
ただ、ロンドン市場が休場なことに加えて、本日は米経済指標の発表などがなく、積極的に上値を試す展開にはならなかった。
政府・日銀による為替介入の警戒感がくすぶる中、米長期金利の低下に伴う円買い・ドル売りが入ると一時146.37円付近まで押し戻された。
ユーロドルは3営業日ぶりに反発。
終値は1.0819ドルと前営業日NY終値(1.0796ドル)と比べて0.0023ドル程度のユーロ高水準だった。
ユーロ円などの上昇につれた買いが入ったほか、米長期金利の低下に伴うユーロ買い・ドル売りが入ると一時1.0820ドル付近まで値を上げた。
もっとも、ロンドン市場が休場だったうえ、欧米の経済指標の発表などがなく、相場は狭いレンジ内での値動きにとどまった。
NY時間の安値は1.0799ドルで値幅は0.0021ドル程度だった。
なお、ナーゲル独連銀総裁は「欧州中央銀行(ECB)が次回9月の理事会で再び利上げを決定すべきかどうかまだ明言できない」などと発言したものの、相場の反応は限定的だった。
ユーロ円は3日続伸。
終値は158.53円と前営業日NY終値(158.03円)と比べて50銭程度のユーロ高水準。
米国株相場の上昇を背景にリスク・オンの円売り・ユーロ買いが出ると一時158.55円付近まで上げたものの、欧州時間に付けた日通し高値158.57円を上抜けることは出来なかった。
【本日の東京為替見通し】米経済への楽観的な見方もドルの支え
日本政府・日銀の円買い介入の警戒感で、ドル円の上値追いには慎重になっているが、米長期金利の上昇基調が維持されているなか、日米金利差拡大を意識したドル高・円安の流れは変わっていない。
先週末のジャクソンホール会議でも、パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長が高インフレへ強い警戒感を示し、一段の利上げに踏み切る可能性を示唆した一方で、植田日銀総裁は、基調的インフレは依然として2%目標を下回っており、この目標を下回っているインフレが緩和継続の理由だと強調した。
ドル円は東京タイムで日中の株価動向や、日米金利動向を眺めながらの動きも、底堅さを維持する一方で、介入懸念で上値も重く、146円半ばを中心に値動きは限定的か。
また、米経済がリセッション(景気後退)を回避するとの楽観的な見方が強いこともドルの支えとなる。
米国はインフレを抑制しつつ、経済のソフトランディングを実現するとの見方が高まっている。
一方で、ユーロ圏と英国の景気鈍化懸念の高まりがユーロとポンドの重しとなる。
先週、企業活動の軟化を示す経済指標を受けてユーロ圏と英国の追加利上げ見通しが後退している。
また、世界覇権争いで対立する中国との先行きの経済に対する見方の明暗も鮮明になりつつあり、ドルの対欧州通貨や対人民元での堅調な動きも、ドル円の上昇圧力を強めそうだ。
【本日の重要指標】 ※時刻表示は日本時間
<国内>
○08:30 ◎ 7月完全失業率(予想:2.5%)
○08:30 ◎ 7月有効求人倍率(予想:1.30倍)
<海外>
○15:00 ◇ 9月独消費者信頼感指数(Gfk調査、予想:▲24.3)
○15:00 ◎ 4-6月期スウェーデン国内総生産(GDP、予想:前期比▲1.3%)
○15:45 ◇ 8月仏消費者信頼感指数(予想:85)
○16:00 ◇ 7月トルコ貿易収支(予想:124.0億ドルの赤字)
○21:00 ◎ 4-6月期メキシコGDP確定値(予想:前期比1.0%/前年比3.8%)
○22:00 ◇ 6月米住宅価格指数(予想:前月比0.6%)
◇ 4-6月期米住宅価格指数
○22:00 ◎ 6月米ケース・シラー住宅価格指数(予想:前年比▲1.3%)
○23:00 ◎ 7月米雇用動態調査(JOLTS)求人件数(予想:946.5万件)
○23:00 ◎ 8月米消費者信頼感指数(予想:116.0)
○30日02:00 ◎ 米財務省、7年債入札
○30日04:00 ◎ バー米連邦準備理事会(FRB)副議長(銀行監督担当)、講演
※「予想」は特に記載のない限り市場予想平均を表す。▲はマイナス。
※重要度、高は☆、中は◎、低◇とする。
※指標などの発表予定・時刻は予告なく変更になる場合がありますので、ご了承ください。
【前日までの要人発言】
28日10:46 レモンド米商務長官
「中国との安定的な経済関係は非常に重要」
「米国の政策、中国の発展の妨げが目的ではない」
「国家安全保障で、妥協・交渉の余地はない」
28日19:00 ホルツマン・オーストリア中銀総裁
「PEPP再投資の終了について議論を始めるべき」
「サプライズがなければ利上げもあり得る」
「インフレは明確ではなく、労働市場はタイト」
28日20:19 フローデン・リクスバンク(スウェーデン中銀)副総裁
「成長見通しを下方修正する可能性」
「クローナはしばらく上昇すると確信」
28日21:45 ナーゲル独連銀総裁
「9月にすべきことは待つ必要があるだろう。今日時点でシグナルは出さない」
※時間は日本時間
〔日足一目均衡表分析〕
<ドル円=転換線を上回る水準での底堅さ継続>
小陽線引け。
一目均衡表・転換線を上回る水準で底堅い動きが継続した。
146.74円まで昨年11月以来、約9カ月ぶりの高値を更新した。
動意材料となるような欧米のイベントが乏しいなか上昇の勢いは緩んだものの、一目均衡表の主要指標が軒並み買いサインを継続するなど堅調な流れを示唆したまま。
145.64円へ切り上がった転換線を上回る水準で底堅い動きが続くとみる。
レジスタンス2 147.57(2022/11/7高値)
レジスタンス1 146.98(ピボット・レジスタンス2)
前日終値 146.54
サポート1 145.96(8/24高値)
<ユーロドル=転換線付近でのさえない推移想定>
小陽線引け。
上昇中の200日移動平均線を追うように戻し、1.08ドル台を回復してきた。
1.0848ドルへ低下した一目均衡表・転換線を試す展開となるか。
しかし、その後も低下が続く同線を一時的に上回ることができても動きは重そう。
転換線付近でさえない推移が続くことが想定できる。
レジスタンス1 1.0877(8/24高値)
前日終値 1.0819
サポート1 1.0766(8/25安値)
<ポンド円=転換線が抵抗、基準線のサポートがポイントか>
小陽線引け。
184.71円までじわりと上昇。
一目均衡表・転換線185.06円に近づいた。
ただ、同線は現水準をピークに低下へ転じる公算が大きい。
同線を抵抗に下押す展開となった場合、現水準181.55円からの上昇が予想される一目・基準線のサポートがどのように効いてくるかがポイントになりそう。
レジスタンス1 185.06(日足一目均衡表・転換線)
前日終値 184.67
サポート1 183.99(ピボット・サポート2)
<NZドル円=雲の抵抗こなす強さまだないか>
上影陽線引け。
一目均衡表・雲の下限86.61円前後の攻防となっている。
雲の中へどうにか潜り込むことができても、一目均衡表の他の主要指標はいずれも売り示唆のまま。
重く推移しやすく、雲を抜けていくような強さはまだ示しにくいと思う。
レジスタンス1 87.16(8/16高値)
前日終値 86.60
サポート1 86.01(ピボット・サポート2)
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