本日の東京為替見通し(為替/FXニュース):ドル円は堅調推移だが、引き続き円買い介入の可能性には要警戒か(2023年9月7日)

マーケットレポート

September 7, 2023

【前日の為替概況】ドル円、米10年債利回り上昇で147.13円付近から147.74円付近まで強含み

 

6日のニューヨーク外国為替市場でユーロドルは小反発。
終値は1.0727ドルと前営業日NY終値(1.0722ドル)と比べて0.0005ドル程度のユーロ高水準だった。
クノット・オランダ中銀総裁が「市場は9月利上げの確率を過小評価している可能性がある」と発言するとユーロ買いが先行し、20時30分前には一時1.0749ドルと日通し高値を付けた。

ただ、ユーロ圏景気の減速懸念からユーロ買いは広がらず、上値は限定的だった。
8月米ISM非製造業景況指数が54.5と予想の52.5を上回ったことが分かると、米長期金利の上昇とともに全般ドル買いが活発化。
前日の安値1.0707ドルを下抜けて一時1.0703ドルと6月8日以来約3カ月ぶりの安値を更新した。
もっとも、節目の1.0700ドル手前では買い戻しが入り、1.0730ドル付近まで持ち直している。

ドル円は4営業日ぶりに小反落。
終値は147.66円と前営業日NY終値(147.72円)と比べて6銭程度のドル安水準だった。
8月米サービス部門・総合購買担当者景気指数(PMI)改定値が予想を下回ると一時147.13円付近まで売られたものの、アジア時間に付けた日通し安値147.02円がサポートとして働くと買い戻しが優勢に。
予想を上回る米ISM非製造業景況指数も相場の支援材料となり、147.74円付近まで持ち直した。
もっとも、アジア時間に付けた年初来高値147.82円を上抜けることは出来なかった。

ユーロ円は横ばい。
終値は158.40円と前営業日NY終値(158.40円)とほぼ同水準だった。
22時30分過ぎに157.96円付近まで売られたものの、ドル円が底堅く推移するとユーロ円にも買い戻しが入り、4時30分過ぎに一時158.47円と日通し高値を付けた。

カナダドル円は下値が堅かった。
21時30分過ぎに一時107.80円と日通し安値を付けたものの、売り一巡後は買い戻しが優勢に。
ドル円の持ち直しにつれた円売り・カナダドル買いが出て、取引終了間際には108.33円付近まで強含んだ。

カナダ銀行(BOC)は、市場予想通り政策金利を現行の5.00%に据え置くことを決めたと発表。
声明では「カナダ経済は物価上昇圧力を緩和するために必要な低成長期に入った」との認識を示したほか、コアインフレの高止まりを指摘し、「必要に応じて政策金利をさらに引き上げる用意がある」と表明した。

【本日の東京為替見通し】ドル円は堅調推移だが、引き続き円買い介入の可能性には要警戒か

 

本日の東京外国為替市場のドル円は、米10年債利回りや原油価格の高止まりを背景に堅調推移が予想されるものの、本邦通貨当局によるドル売り・円買い介入の可能性には引き続き警戒する展開が予想される。

米地区連銀経済報告(ベージュブック)によると、米国の経済と雇用市場の伸びが7月と8月に鈍化したことが示され、大半の地区は物価上昇が総じて減速したと報告したことが示された。
9月19-20日の米連邦公開市場委員会(FOMC)では、地区連銀経済報告や8月の消費者物価指数(CPI)(※前年比+3.2%)や9月のCPI、そして8月失業率(3.8%)などを判断材料に、高金利の長期化(higher for longer)が継続するのか否かが決定されることになる。

米国8月のISM製造業景気指数は47.6だったが、国内総生産(GDP)に換算すると-0.4%に相当するとのことである。
米国8月のISM非製造業景気指数は54.5だったが、GDPに換算すると+1.6%に相当するという。
アトランタ連銀の経済予測モデル「GDPナウ」が示唆する7-9月(第3四半期)のGDP伸び率は年率+5.6%となっている。

昨日のドル円147円台では、神田財務官が急激な為替変動が続いた場合は「あらゆる選択肢」を排除せず、適切に対応する考えを示した。

昨年9月22日の本邦通貨当局による145円台での第1弾ドル売り・円買い介入の前には、神田財務官は「どんな場合でも、あらゆるオプションがアベイラブル(利用可能)であって、何かを排除しているわけではない」と述べていた。
すなわち、「あらゆる選択肢、オプション」という介入実施を予告する警告が発せられたのかもしれない。

昨年の本邦通貨当局によるドル売り・円買い介入は、輸入インフレという「悪い円安」論が横行する中、「ボラティリティーを抑制する」という大義名分の下で断行された。

昨年の円買い介入が実施された時間帯とボラティリティーを測るボリンジャー・バンド+2σの水準は以下の通りとなっており、本日も、同様の時間帯に警戒しておきたい。

9月22日の第1弾の円買い介入(2兆8382億円)は、東京時間17時30分過ぎ、ドル円が高値145.90円まで上昇した局面で実施され、+2σは146.12円だった。

10月21日の第2弾の円買い介入(5兆6202億円)は、東京時間23時30分過ぎ、ドル円は高値151.95円まで上昇した局面で実施され、+2σは150.39円だった。

10月24日の第3弾の円買い介入(7296億円)は、東京時間8時30分過ぎ、ドル円は高値149.71円まで上昇した局面で実施、+2σは150.69円だった。

本日の+2σは147.70円付近に位置している。

【本日の重要指標】 ※時刻表示は日本時間

<国内>
○08:50 ◇ 8月外貨準備高
○08:50 ◇ 対外対内証券売買契約等の状況(週次・報告機関ベース)
○10:30 ◎ 中川順子日銀審議委員、あいさつ
○14:00 ◇ 7月景気動向指数速報値(予想:先行107.8/一致114.2)

<海外>
○07:45 ◇ 4-6月期ニュージーランド(NZ)製造業売上高
○10:30 ◇ 7月豪貿易収支(予想:100.00億豪ドルの黒字)
○未定 ◎ 8月中国貿易収支(予想:739億ドルの黒字)
○12:10 ◎ ロウ豪準備銀行(RBA)総裁、講演
○14:45 ◇ 8月スイス失業率(季節調整前、予想:1.9%)
○15:00 ◎ 7月独鉱工業生産(予想:前月比▲0.5%/前年同月比▲2.1%)
○15:45 ◇ 7月仏貿易収支
○15:45 ◇ 7月仏経常収支
○16:00 ◎ ウンシュ・ベルギー中銀総裁、ホルツマン・オーストリア中銀総裁、講演
○16:00 ◎ ビルロワドガロー仏中銀総裁、クノット・オランダ中銀総裁、講演
○17:00 ◇ 7-9月期南アフリカ経済研究所(BER)消費者信頼感指数
○17:30 ◎ エルダーソン欧州中央銀行(ECB)専務理事、講演
○18:00 ☆ 4-6月期ユーロ圏GDP確定値(予想:前期比0.3%/前年比0.6%)
○18:00 ◎ 4-6月期南アフリカ経常収支(予想:1784億ランドの赤字)
○21:00 ◎ 8月メキシコ消費者物価指数(CPI、予想:前年比4.61%)
○21:30 ◇ 7月カナダ住宅建設許可件数(予想:前月比▲5.0%)
○21:30 ◇ 4-6月期米非農業部門労働生産性・改定値(予想:前期比3.4%)
○21:30 ◎ 前週分の米新規失業保険申請件数/失業保険継続受給者数(予想:23.4万件/171.5万人)
○23:00 ◇ 8月カナダIvey購買部協会景気指数
○23:00 ◎ ハーカー米フィラデルフィア連銀総裁、講演
○24:00 ◇ EIA週間在庫統計
○8日00:45 ◎ グールズビー米シカゴ連銀総裁、講演
○8日03:10 ◎ マックレム・カナダ銀行(中央銀行、BOC)総裁、講演
○8日04:30 ◎ ウィリアムズ米ニューヨーク連銀総裁、講演
○8日04:45 ◎ ボスティック米アトランタ連銀総裁、講演
○8日05:55 ◎ ボウマン米連邦準備理事会(FRB)理事、講演
○インド(クリシュナ神生誕日)、ブラジル(独立記念日)、休場

※重要度、高は☆、中は◎、低◇とする。
※指標などの発表予定・時刻は予告なく変更になる場合がありますので、ご了承ください。

【前日までの要人発言】

6日08:05 神田財務官
「こういった動き続くなら、あらゆる選択肢を排除せず対応」
「為替、ファンダメンタルズ反映して安定推移が望ましい」
「為替、高い緊張感もって注視」
「足元をみると投機的な行動、ファンダメンタルズでは説明できない動きがみられる」
「急激な動きは企業や家計に不確実性もたらし経済に悪影響及ぼす」

6日10:41 高田日銀審議委員
「現行の大規模な金融緩和を粘り強く続ける必要ある」
「先行きの経済・物価情勢を踏まえたうえで不確実性に備えて機動的な対応とること必要」
「足もとの物価上昇率2%上回っているものの2%物価安定目標の持続的・安定的な実現にまだ距離」
「先行きの海外経済に減速リスク」
「為替、米景気の想定以上の強さが影響及ぼしている印象」
「為替、水準については申し上げるものではない」

6日16:17 松野官房長官
「為替相場、過度な変動は経済に悪影響を及ぼしうる」

6日20:54 エルドアン・トルコ大統領
「トルコは金融引き締め政策でインフレ抑制へ」

6日22:18 コリンズ米ボストン連銀総裁
「今後数カ月の間に多少の景気減速を予想」

6日22:28 ディングラ英中銀金融政策委員会(MPC)委員
「政策はすでに十分に制限的」
「さらなる引き締めは成長に深刻なリスクをもたらす」

6日22:29 ベイリー英中銀(BOE)総裁
「インフレの低下がかなり顕著になる可能性」
「最新の英経済指標はBOEの予想通りに推移」
「インフレの低下は続く見通し」
「インフレが上昇しても見通しは変わらない」
「エネルギー価格はCPI上昇につながる可能性」
「次回公表のCPIデータはインフレ上昇の可能性」
「BOEのバランスシートを時間をかけて削減する計画」

6日23:05 カナダ銀行(BOC、カナダ中央銀行)声明
「主要国のインフレ率は低下し続けているものの、コアインフレ率は依然として上昇している」
「主要中銀は引き続き物価安定の回復に注力している」
「2023年の第2四半期には成長が鈍化。これは主に中国の大幅な減速を反映」
「米国では、堅調な個人消費に牽引され、予想を上回る成長を遂げた」
「欧州では、サービス部門の好調が成長を支え、製造業の継続的な縮小を相殺」
「実質金利の上昇を反映して世界の債券利回りは上昇し、原油価格は7月時点の想定よりも高い」
「カナダ経済は物価圧力を緩和するために必要な低成長期に入った」
「2023年の第2四半期には経済成長が急激に鈍化し、生産量は年率で0.2%減少」
「金利上昇の影響で幅広い借り手の支出が抑制され、家計信用の伸びが鈍化した」
「労働市場の逼迫は徐々に緩和している。ただ、賃金上昇率は4-5%程度にとどまっている」
「最新のCPIデータは、依然として広範囲にインフレ圧力が存在していることを示唆」
「ガソリン価格の上昇により、CPIインフレは再び緩和するまで、短期的にはさらに上昇すると予想」
「コアインフレの前年比および3カ月間の指標は現在、いずれも約3.5%で推移」
「基調インフレに最近下向きの勢いがほとんどないことを示唆」
「高インフレが長く続くほど、インフレ高進が定着するリスクが高まり、物価の安定を回復することがより困難になる」
「経済の超過需要が緩和していることを示す最近の証拠と、金融政策の効果の遅れを考慮して、理事会は政策金利を5%に維持し、バランスシートの正常化を継続することを決定」
「理事会は依然として基調的なインフレ圧力の継続を懸念しており、必要に応じて政策金利をさらに引き上げる用意がある」
「理事会は引き続きコアインフレの動向とCPIインフレの見通しを評価する」
「特に超過需要の推移、インフレ期待、賃金上昇率、企業の価格設定行動が2%のインフレ目標の達成と一致しているかどうかを評価する」
「BOCは物価安定を回復するという決意を貫く」

6日23:06 カンリフ・イングランド銀行(英中銀、BOE)副総裁
「労働市場の冷え込みはかなり遅れている」
「インフレと労働市場の冷え込みは給与にはまだ反映されていない」
「金利決定は絶妙なバランスにあるとのベイリー総裁の意見に賛成」

6日23:55 ビスコ・イタリア中銀総裁
「金利は必要なところまで上昇した」
「物価が下がれば、ECBは金利を引き下げるだろう」
「金融情勢は十分に制限的であり続けなければならない」
「利上げを停止できる水準に近づいている」

7日01:25 ブリンケン米国務長官
「ウクライナの反攻に非常に心強い進展が見られる」

7日03:04 米地区連銀経済報告(ベージュブック)
「ほとんどの地区では7-8月の経済活動が緩やかだった」
「観光に対する消費者支出は予想よりも好調。ただ、その他の小売支出、特に非必需品の支出は引き続き鈍化した」
「ほとんどの地区で新規受注は安定もしくは減少し、工業製品の需要が減退するにつれて受注残は縮小した」
「複数の地区は、資金調達コストと保険料の上昇により、住宅ユニットの建設がますます困難になっていると指摘」
「大半は消費者ローン残高が増加したと回答。一部の地区では消費者ローンの延滞が増加したと報告」
「雇用の伸びは全体的に抑制された」
「雇用は鈍化したものの、熟練労働者の確保と応募者数が引き続き抑制されているため、ほとんどの地区が労働市場の不均衡が続いていると指摘」
「人件費の伸びはほとんどの地区で高まり、上半期は予想を上回ることが多かった」
「しかし、ほぼすべての地区で企業は賃金の伸びが短期的には幅広く鈍化するとの予想を改めて示唆」
「大半の地区では、物価上昇率が全体的に鈍化し、製造業と消費財部門での減速が加速したと報告」

※時間は日本時間

〔日足一目均衡表分析〕

<ドル円=9/5安値を支持に押し目買いスタンス>

ドル円=9/5安値を支持に押し目買いスタンス

各ラインの期間

 

小陰線引け。
転換線は基準線を上回り、遅行スパンは実線を上回り、雲の上で引けていることで、三役好転の強い買いシグナルが点灯中。
3手連続陽線の後、孕み線で反落したものの転換線を上回って引けており反発の可能性が示唆されている。

本日は、5日の安値を支持に押し目買いスタンスで臨み、同水準を下抜けた場合は手仕舞い。

レジスタンス2  149.71(2022/10/24高値)
レジスタンス1  148.40(2022/11/4高値)
前日終値  147.66
サポート1  146.39(9/5安値)
サポート2  146.14(日足一目均衡表・転換線)

<ユーロドル=転換線を抵抗に戻り売りスタンス>

ユーロドル=転換線を抵抗に戻り売りスタンス

各ラインの期間

 

小陽線引け。
転換線は基準線を下回り、遅行スパンは実線を下回り、雲の下で引けていることで、三役逆転の強い売りシグナルが点灯中。
孕み線で反発したものの転換線を下回って引けており反落の可能性が示唆されている。

本日は、転換線を抵抗に戻り売りスタンスで臨み、同線を上抜けた場合は手仕舞い。

レジスタンス1  1.0824(日足一目均衡表・転換線)
前日終値  1.0727
サポート1  1.0667(6/6安値)

<ユーロ円=8/30高値を抵抗に戻り売りスタンス>

ユーロ円=8/30高値を抵抗に戻り売りスタンス

各ラインの期間

 

寄引同事線引け。
転換線は基準線を上回り、遅行スパンは実線を上回り、雲の上で引けていることで、三役好転の強い買いシグナルが点灯中。
2手連続陽線の後、寄引同事線で転換線158.41円を下回って引けており反落の可能性が示唆されている。

本日は、8月30日の高値を抵抗に戻り売りスタンスで臨み、同水準を上抜けた場合は手仕舞い。

レジスタンス1  159.76(8/30高値)
前日終値  158.40
サポート1  157.65(日足一目均衡表・基準線)

<豪ドル円=8/30高値を抵抗に戻り売りスタンス>

豪ドル円=8/30高値を抵抗に戻り売りスタンス

各ラインの期間

 

小陽線引け。
転換線は基準線を上回り、遅行スパンは実線を上回り、雲の上で引けていることで、三役好転の強い買いシグナルが点灯した。
しかし、孕み線で反発したものの転換線を下回って引けており反落の可能性が示唆されている。

本日は、転換線94.33円を念頭に置き、8月30日の高値を抵抗に戻り売りスタンスで臨み、同水準を上抜けた場合は手仕舞い。

レジスタンス1  95.06(8/30高値)
前日終値  94.24
サポート1  93.59(9/5安値)

OANDA CFD

Provided by
DZH Finacial Research

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