September 8, 2023
【前日の為替概況】ドル円147.05円まで弱含み、米10年債利回り4.30%台から4.24%台へ低下
7日のニューヨーク外国為替市場でドル円は続落。
終値は147.30円と前営業日NY終値(147.66円)と比べて36銭程度のドル安水準だった。
前週分の米新規失業保険申請件数や4-6月期米単位労働コスト改定値などが予想より強い内容だったと分かると、円売り・ドル買いが先行。
21時30分過ぎに147.61円付近まで値を上げた。
ただ、欧米株価がさえない展開となったことでリスク・オフの円買い・ドル売りが入ると、147.05円の日通し安値まで押し戻された。
一時は4.30%台まで上昇した米10年債利回りが低下に転じたことも相場の重し。
もっとも、前日の安値147.02円が目先サポートとして働いたため、引けにかけては下げ渋った。
ユーロドルは反落。
終値は1.0696ドルと前営業日NY終値(1.0727ドル)と比べて0.0031ドル程度のユーロ安水準だった。
米経済指標の上振れを受けて米金利が上昇するとユーロ売り・ドル買いが先行し、一時1.0686ドルと6月7日以来3カ月ぶりの安値を更新した。
ただ、米長期金利が低下に転じると買い戻しが優勢となり、1.0710ドル付近まで下げ渋った。
もっとも、ユーロ圏景気の減速懸念からユーロ買いは広がらず、戻りも限定的だった。
ユーロ円は下落。
終値は157.56円と前営業日NY終値(158.40円)と比べて84銭程度のユーロ安水準。
ドル円の下落や欧米株安に伴うリスク回避の円買い・ユーロ売りが入り、22時30分前に一時157.36円と本日安値を更新した。
ただ、そのあとは157円台半ばで値動きが鈍った。
ポンドドルは下げ渋り。
ベイリー英中銀(BOE)総裁が前日に「政策金利をさらに引き上げる必要はなくなった可能性がある」との認識を示したことで、英利上げ継続観測が後退。
この日もポンド売りが出やすかった。
21時30分過ぎには一時1.2446ドルと6月8日以来約3カ月ぶりの安値を更新した。
ただ、米長期金利が低下に転じると買い戻しがじわりと強まり、1.2489ドル付近まで下げ渋っている。
【本日の東京為替見通し】ドル円は底堅い展開だが、引き続き円買い介入の可能性には要警戒か
本日の東京外国為替市場のドル円は、底堅い展開が予想されるものの、本邦通貨当局によるドル売り・円買い介入の可能性には引き続き警戒する展開が予想される。
ドル円のレンジは、6日が高値147.82円、安値147.02円、7日が高値147.87円、安値147.05円と147円台での推移が続いている。
欧州や中国の景気減速懸念と米国の良好な景況感を背景に、ドルは全面高の展開となりつつある。
ドル円に関しては、147円前後では押し目買いが下値を支えているものの、148円付近では、本邦通貨当局によるドル売り・円買い介入への警戒感が上値を抑える構図となっている。
今年のドル円は、1月の安値127.23円から9月の高値147.87円まで上昇している。
本邦実需筋の円売りである貿易赤字は、1月から7月までで(で)7兆393億円となっており、昨日発表された8月上中旬分の217億円の赤字とともに、ドル高・円安トレンドを下支えしてきた。
しかし、昨年秋に実施された本邦通貨当局による3回のドル売り・円買い介入の金額は9兆1880億円であり、今年の1-8月の貿易赤字をおおむね埋めるような金額だった。
本邦通貨当局によるドル売り・円買い介入の原資となる外貨準備(※外為特会)は、8月末時点で1兆2512億ドル、外貨は1兆1223億ドル(証券:9867億ドル+預金:1357億ドル)となっており、外貨分を147円で換算すると、約165兆円となる。
9月6日、神田財務官は、急激な為替変動が続いた場合は「あらゆる選択肢」を排除せず、適切に対応する考えを示した。
昨年9月22日の本邦通貨当局による145円台での第1弾ドル売り・円買い介入の前には、神田財務官は「どんな場合でも、あらゆるオプションがアベイラブル(利用可能)であって、何かを排除しているわけではない」と述べていた。
すなわち、「あらゆる選択肢、オプション」という介入実施の警告が発せられたのかもしれない。
神田財務官が言及した投機筋に関しては、IMM通貨先物の非商業(投機)部門取組は、8月29日時点で98,473枚(x1250万円=1兆2309億円)の円の売り持ちとなっていた。
昨年のドル売り・円買い介入前の円売り持ち高は、10万枚程度(=1兆2500億円)だったことで、神田財務官はもうしばらく待つつもりなのかもしれない。
【本日の重要指標】 ※時刻表示は日本時間
<国内>
○08:30 ◇ 7月毎月勤労統計(現金給与総額、予想:前年比2.4%)
○08:50 ☆ 4-6月期実質国内総生産(GDP)改定値(予想:前期比1.3%/前期比年率5.5%)
○08:50 ◎ 7月国際収支速報
◇ 経常収支(予想:季節調整前2兆2957億円の黒字/季節調整済2兆1765億円の黒字)
◎ 貿易収支(予想:1654億円の黒字)
○14:00 ◇ 8月景気ウオッチャー調査(予想:現状判断指数54.4/先行き判断指数53.4)
<海外>
○08:00 ◎ ボスティック米アトランタ連銀総裁、講演
○08:05 ◎ ローガン米ダラス連銀総裁、講演
○15:00 ◎ 8月独消費者物価指数(CPI)改定値(予想:前月比0.3%/前年比6.1%)
○15:45 ◇ 7月仏鉱工業生産(予想:前月比0.1%)
○21:30 ☆ 8月カナダ雇用統計(予想:新規雇用者数変化1.50万人/失業率5.6%)
○21:30 ◇ 4-6月期カナダ設備稼働率(予想:82.5%)
○22:00 ◎ バー米連邦準備理事会(FRB)副議長、講演
○23:00 ◇ 7月米卸売売上高(予想:前月比▲0.2%)
○9日01:00 ☆ 4-6月期ロシア国内総生産(GDP)改定値
○9日01:00 ◎ 8月ロシアCPI(予想:前月比0.3%)
○9日04:00 ◇ 7月米消費者信用残高(予想:160.0億ドル)
○9日 20カ国・地域(G20)首脳会議(G20サミット、ニューデリー、10日まで)
※重要度、高は☆、中は◎、低◇とする。
※指標などの発表予定・時刻は予告なく変更になる場合がありますので、ご了承ください。
【前日までの要人発言】
7日10:38 中川日銀審議委員
「当面の金融政策、緩和の維持が適当」
「7月のYCC運用柔軟化、市場機能面での副作用軽減に資する」
「YCC運用柔軟化、上下両方向のリスクに機動対応できるようにすることで緩和の持続性は高まった」
「市場機能への配慮と緩和的な金融政策を粘り強く行うことは両立する」
「現実の物価上昇と予想物価上昇率の相乗効果強まれば、想定以上の物価上昇につながる可能性」
「マイナス金利解除、成長率に下方圧力ある中でも持続的な賃上げへ期待が持てるような状況になれば可能になる可能性」
「物価の先行き、リスクは上下どちらも同じ大きさ」
7日15:39 ルメール仏財務相
「インフレは低下しているが、低下速度が物足りない」
「仏経済は堅調」
7日23:46 ヒース・メキシコ中銀副総裁
「コアインフレは依然として長い道のり」
8日02:59 マックレム・カナダ銀行(中央銀行、BOC)総裁
「コアインフレの持続を懸念」
「労働市場は緩和しているが、賃金はまだ緩和していないとみている」
「2%のインフレ目標は目前に迫っている」
「再度利上げする用意はあるが、必要以上の利上げはしたくない」
8日04:52 ウィリアムズ米ニューヨーク連銀総裁
「インフレは高すぎるが低下傾向にある」
「次回FOMCまでにさらに多くのデータが発表される」
「政策は制限的な水準にあり、非常に良い状況」
「経済にとって正しい方向への動きが見られる」
「政策は適切な位置にあり、データに依存する必要」
8日 05:12ボスティック米アトランタ連銀総裁
「インフレ率を2%の目標に下げるためにまだやるべき仕事がある」
「経済にはなお勢いがあり、需要は依然として増加」
※時間は日本時間
〔日足一目均衡表分析〕
<ドル円=9/5安値を支持に押し目買いスタンス>
陰線引け。
転換線は基準線を上回り、遅行スパンは実線を上回り、雲の上で引けていることで、三役好転の強い買いシグナルが点灯中。
3手連続陽線の後、2手連続陰線で反落したものの、依然として転換線を上回って引けており反発の可能性が示唆されている。
本日は、5日の安値を支持に押し目買いスタンスで臨み、同水準を下抜けた場合は手仕舞い。
レジスタンス2 149.71(2022/10/24高値)
レジスタンス1 148.40(2022/11/4高値)
前日終値 147.30
サポート1 146.39(9/5安値)
サポート2 146.16(日足一目均衡表・転換線)
<ユーロドル=転換線を抵抗に戻り売りスタンス>
陰線引け。
転換線は基準線を下回り、遅行スパンは実線を下回り、雲の下で引けていることで、三役逆転の強い売りシグナルが点灯している。
抱き線で反落して転換線を下回って引けており続落の可能性が示唆されている。
本日は、転換線を抵抗に戻り売りスタンスで臨み、同線を上抜けた場合は手仕舞い。
レジスタンス1 1.0816(日足一目均衡表・転換線)
前日終値 1.0696
サポート1 1.0635(5/31安値)
<ポンド円=転換線を抵抗に戻り売りスタンス>
陰線引け。
転換線は基準線を上回り、遅行スパンは実線を上回り、雲の上で引けていることで、三役好転の強い買いシグナルが点灯中。
2手連続陰線で転換線を下回って引けており続落の可能性が示唆されている。
本日は、転換線を抵抗に戻り売りスタンスで臨み、同線を上抜けた場合は手仕舞い。
レジスタンス1 184.72(日足一目均衡表・転換線)
前日終値 183.71
サポート1 182.38(8/9安値)
<NZドル円=雲の上限を抵抗に戻り売りスタンス>
陰線引け。
転換線は基準線を上回っているものの、遅行スパンは実線を下回り、雲の下で引けていることで、売りシグナルが優勢な展開となっている。
3手連続陰線で転換線を下回って引けており続落の可能性が示唆されている。
本日は、転換線86.91円を念頭に置き、雲の上限を抵抗に戻り売りスタンスで臨み、同線を上抜けた場合は手仕舞い。
レジスタンス1 87.05(日足一目均衡表・雲の上限)
前日終値 86.54
サポート1 85.80(8/21安値)
Provided by
DZH Finacial Research
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