October 4, 2023
【前日の為替概況】ドル円、3日ぶり反落 節目150円台に乗せたあとまとまった円買いフロー入る
3日のニューヨーク外国為替市場でドル円は3営業日ぶりに反落。
終値は149.02円と前営業日NY終値(149.86円)と比べて84銭程度のドル安水準だった。
8月米雇用動態調査(JOLTS)求人件数が961.0万件と予想の880.0万件を大幅に上回ったことが伝わると、米金利の上昇とともにドル買いが先行。
節目の150円を突破し、一時150.16円と昨年10月21日以来の高値を更新した。
そのあとは政府・日銀による為替介入への警戒が高まる中、まとまった規模の円買いのフローが入ったことで一時147.43円まで急落したが、すぐに149円台前半まで持ち直すなど、神経質な値動きとなった。
「政府・日銀が介入に踏み切った可能性がある」との見方も浮上し、売買が交錯したもよう。
ある市場関係者からは「節目の150円台に乗せたあとは、介入への警戒感が強まり乱高下につながった。
米長期金利の上昇が続く中、円安が今後どこまで進むのか見通せない状況だ」との声が聞かれた。
なお、財務省幹部は為替介入の有無について「ノーコメント」と回答した。
ユーロドルは小幅ながら続落。
終値は1.0467ドルと前営業日NY終値(1.0477ドル)と比べて0.0010ドル程度のユーロ安水準だった。
米雇用指標の上振れをきっかけに米長期金利が上昇すると全般ドル買いが進行。
1時前に一時1.0448ドルと昨年12月7日以来の安値を付けた。
なお、米長期金利の指標である米10年債利回りは一時4.8081%前後と2007年8月以来の高水準を記録した。
ただ、売り一巡後は下げ渋る展開に。
昨年12月7日の安値1.0443ドルがサポートとして意識されたほか、ドル円の急落をきっかけにユーロに対してもドル売りが出た。
ユーロ円は続落。
終値は155.97円と前営業日NY終値(157.02円)と比べて1円05銭程度のユーロ安水準。
しばらくは157.00円を挟んだもみ合いの展開が続いていたが、ドル円の急落をきっかけに円買い・ユーロ売りが強まると154.46円まで急速に値を下げた。
ただ、そのあとはすぐに買い戻しが入り、156円台前半まで持ち直した。
市場では「政府・日銀の為替介入を巡る思惑で円相場は乱高下しやすくなっていた」との声が聞かれた。
【本日の東京為替見通し】ドル円上値重いか、下院議長解任など米国リスク拡大
本日のドル円は乱高下が予想されるが、上値は限定的になるか。
昨日に介入と思われる動きが見受けられた中で、あえて上値をトライするとは考えにくい。
市場もいずれは水準に慣れてくるだろうが、まだ24時間も経たない状況でドル円を積極的に買い上げる地合いではないだろう。
ドル円の買い要因は、米10年債利回りが2007年8月以来となる4.80%台まで上昇し、対円だけでなくドルが全面高となっていることだ。
今週に入り、すでに4人の米連邦準備理事会(FRB)関係者が、「高金利の長期据え置き(Higher for longer)」について言及している。
ドルインデックスも年初来高値更新し続けている。
一方で、米金利の急上昇による副作用(ドル円の売り要因)も複数表面化してきている。
米長期金利の急ピッチの上昇を嫌気し、株式市場が軟調な動きを見せていることは、リスク回避の動きを促す可能性がある。
また、金利の急騰で金融機関に対する不安が再び注目され、今年3月のシリコンバレー銀行の破綻と同様なケースが今後も見受けられるとの声が高まっている。
金利上昇は住宅ローンからクレジットカード、個人ローンに至るまで広範に影響を及ぼす。
7-9月期にかけて銀行の36%以上が融資基準を厳格化したと報告しているが、これは過去においては景気後退を示す水準との調査結果も出ている。
今後の米景気の停滞観測の高まりには要警戒となる。
そして、最もサプライズとなったのが、日本時間早朝に、米下院共和党トップのマッカーシー下院議長が解任されたことだ。
9月末に米上下両院で「つなぎ予算」が可決したが、マッカーシー氏は共和党強硬派の要求を取り下げ、民主党の案に歩み寄ったことが可決要因だった。
しかし、ゲーツ下院議員を中心に共和党強硬派は「議長解任」動議を進めた。
これに対してマッカーシー議長も「やれるならやってみろ(Bring it on!)」と応酬。
一方で、アリゾナ州選出で強硬派の共和党クレーン議員も「やろうじゃないか!(Let’s roll!)とX(旧ツイッター)で言い返すなど過熱した状態だった。
しかし、これだけ早期に解任が決まるとは、市場だけでなく米メディアも驚きを示した。
下院議長交代で警戒しなくてはならないのは、格付け会社ムーディーズ・インベスターズ・サービスが、「米政府機関が閉鎖されれば米国の信用格付けにネガティブに反映される」と警告を出していることだ。
共和党強硬派が下院で力を得ることは、11月17日が期限となっている暫定予算が、次回は民主党に歩み寄る姿勢を見せる可能性が低くなったということでもある。
共和党強硬派=MAGA=トランプ支持、ということもあり、大統領予備選挙を控えて、民主党と共和党の争いが繰り返され、米国売りになる可能性が高まりそうだ。
アジア時間は、主だった経済指標の発表予定は無いが、日本時間10時よりNZ準備銀行(RBNZ)の金融政策委員会(MPC)が政策金利を発表する。
また、MPCは政策決定に至った内容を簡易的に説明する「金融政策レビュー(Monetary Policy Review)」と、詳細にわたって説明する「金融政策声明(Monetary Policy Statement)を交互に発表しているが、今回は前者が発表される。
ニュージーランドでは今月14日に総選挙が行われることで、選挙前に政策選挙を変更することは通常は考えにくく、据え置き予想となっている。
RBNZは5月に政策金利を5.5%に引き上げた時点で利上げのサイクルはほぼ終了したとの見解を示したが、4-6月期の消費者物価指数(CPI)や国内総生産(GDP)が予想比を上振れたことで、今後の再利上げの可能性も指摘されている。
レビューで利上げへのシグナルが出るかは確かめる必要がありそうだ。
【本日の重要指標】 ※時刻表示は日本時間
<国内>
特になし
<海外>
○10:00 ☆ ニュージーランド準備銀行(RBNZ)、政策金利発表(予想:5.50%で据え置き)
○16:50 ◎ 9月仏サービス部門PMI改定値(予想:43.9)
○16:55 ◎ 9月独サービス部門PMI改定値(予想:49.8)
○17:00 ◎ 9月ユーロ圏サービス部門PMI改定値(予想:48.4)
○17:00 ◎ ラガルド欧州中央銀行(ECB)総裁、講演
○17:30 ◎ 9月英サービス部門PMI改定値(予想:47.2)
○18:00 ◎ 8月ユーロ圏小売売上高(予想:前月比▲0.3%/前年比▲1.2%)
○18:00 ◎ 8月ユーロ圏卸売物価指数(PPI、予想:前月比0.6%/前年比▲11.6%)
○19:00 ◎ センテノ・ポルトガル中銀総裁、あいさつ
○20:00 ◇ MBA住宅ローン申請指数
○20:40 ◎ デギンドスECB副総裁、講演
○未定 ◎ ポーランド中銀、政策金利発表(予想:5.75%に引き下げ)
○21:15 ☆ 9月ADP全米雇用報告(予想:15.3万人)
○22:45 ◎ 9月米サービス部門PMI改定値(予想:50.2)
○22:45 ◎ 9月米総合PMI改定値(予想:50.1)
○23:00 ☆ 9月米サプライマネジメント協会(ISM)非製造業指数(予想:53.6)
○23:00 ◎ 8月米製造業新規受注(予想:前月比0.2%)
○23:00 ◎ パネッタECB専務理事、講演
○23:25 ◎ ボウマン米連邦準備理事会(FRB)理事、講演
○23:30 ◎ グールズビー米シカゴ連銀総裁、講演
○23:30 ◇ EIA週間在庫統計
○5日01:00 ☆ 4-6月期ロシア国内総生産(GDP)確報値(予想:前年比4.9%)
○中国(国慶節)、休場
※「予想」は特に記載のない限り市場予想平均を表す。▲はマイナス。
※重要度、高は☆、中は◎、低◇とする。
※指標などの発表予定・時刻は予告なく変更になる場合がありますので、ご了承ください。
【前日までの要人発言】
3日08:35 メスター米クリーブランド連銀総裁
「金融政策の経済の動向に依存する」
「FRBはおそらく今年あと1回利上げする必要になるだろう」
「需要と供給の再バランスが継続する中、経済は良好な軌道にある」
「雇用市場は好調だが減速し、バランスは改善されつつある」
「インフレは高すぎるが、物価圧力低下の進展の歓迎すべき兆候が見られる」
「FRBはインフレ率を2%に確実に戻すために金利を高く維持する必要がある」
「経済は予想以上に堅調に成長した」
「インフレリスクは上向きに傾いている」
「賃金圧力が緩和する兆しが見える」
4日00:47
「現在の経済状況が維持されれば、次回会合で利上げを支持する可能性が高い」
「金利目標のピークかそれに近い可能性が高い」
「長期金利の上昇は成長を鈍化させる」
「成長見通しの変化など、多くの要因により利回りが上昇」
「近い将来利下げが行われる可能性は低い」
「2025年末までにインフレ率は2%に達すると予想」
3日12:31 オーストラリア準備銀行(RBA)声明
「インフレが妥当な期間内で確実に目標に戻るようにするためには、金融政策の幾分かの引き締めが必要になるかもしれない」
「それ(追加引き締め)は引き続き経済データとリスクがどのように進展するかによって決まる」
「インフレ率を目標に戻すという断固とした決意に変わりはなく、そのために必要なことを行っていく」
「インフレ率はピークを過ぎたが、依然として高水準であり、まだしばらくはこの状態が続くだろう」
「多くのサービス価格は引き続き急上昇しており、燃料価格も最近顕著に上昇している」
「今年上半期のオーストラリア経済の成長率は予想をやや上回った」
「中国経済の先行きには依然として高い不透明感がある」
「金利据え置きはこれまでの利上げの影響と経済見通しを見極めるための時間をさらに確保するため」
3日11:16 鈴木財務相
「あくまで水準そのものは判断基準ではない、ボラティリティーが問題」
「為替相場はファンダメンタルズを反映して安定的に推移することが重要」
「引き続き高い緊張感もって万全の対応をしてゆく」
「長期金利は経済・財政の状況など様々な要因を背景に市場で決まる」
3日15:21 シムカス・リトアニア中銀総裁
「インフレは低下傾向にある」
「物価を抑制するために金利を制限的な水準に保つ必要がある」
3日15:40 レーン欧州中央銀行(ECB)専務理事兼チーフ・エコノミスト
「賃金からくる物価上昇圧力は残っている」
「インフレは依然目標に達していない、まだやることが残っている」
3日17:34 ブンゲ・スウェーデン中銀副総裁
「政策金利は、高い水準に長期間維持される必要がある」
3日18:25 バリマキ・フィンランド中銀総裁代理
「ECBは今のところ十分なインフレ対応を取っているが、今後さらに金利を引き上げる可能性は否定できない」
「インフレ見通しは、基調的なインフレ動向や金融政策の伝達力にも照らして評価する」
3日19:20 渡辺元財務官
「民間資金が動かないと介入は成功しない、円安が緩やかだと効果は限定的」
「ドル円は150円突破の可能性あるが、その後も円安が進む切迫感はない」
「特定の水準を念頭に置いた為替介入はない」
「米欧金利が高止まりの間に、日銀も政策修正が可能」
3日21:48 ボスティック米アトランタ連銀総裁
「インフレ率を2%の目標に戻すのはまだ道半ば」
「FRBは制限的な領域にあり、インフレ低下を助けている」
4日02:13
「長期金利の上昇は通常の引き締めサイクルで起こる以上にビジネスに影響を与えない」
「次の行動は来年後半に0.25%の利下げになると考えている」
「インフレ率は2025年末までに2%の目標に近づくと予想」
「まだやるべきことはあるが、基調的な価格トレンドは減速していると確信」
「労働市場にも均衡の兆しが訪れ、雇用の伸びは鈍化」
「企業は雇用が容易になり、賃金の伸びは鈍化する可能性が高い」
「エネルギー価格と地政学はインフレの上振れリスクとなる」
3日22:11 エルカン・トルコ中銀総裁
「金融引き締めや外貨準備高の増加が為替レートの支援材料」
4日00:17 財務省幹部
「介入を実施したかどうかについてはコメントせず」
4日01:31 国際通貨基金(IMF)
「2023年メキシコGDPの成長率予測を3.2%に上方修正、前回7月予測は2.6%」
「24年のメキシコGDP成長率は2.1%と予測、前回7月の1.5%から上方修正」
※時間は日本時間
〔日足一目均衡表分析〕
<ドル円=転換線を目前に下げ渋る>
下影陰線引け。
一時150.16円と、2022年高値151.95円をつけた昨年10月21日以来の150円台を回復後、先月21日以来の安値147.43円まで下振れる荒っぽい動きだった。
高値警戒感や達成感が生じるレンジで本邦当局の介入も指摘される神経質な状態だが、下振れは147.31円に切り上がった一目均衡表・基準線を上回る水準にとどまり148円台で上昇中の一目・転換線超えのレンジまで反発。
本日148.80円で推移する転換線付近を中心とした動きが想定され、上昇傾向を維持する見込みの基準線付近までに今後も下振れをとどめる底堅い地合いが続くとみる。
レジスタンス1 150.16(10/3高値=年初来高値)
前日終値 149.02
サポート1 148.47(10/3レンジ38.2%水準)
サポート2 147.43(10/3安値)
<ユーロドル=5日線や転換線を重しとした流れ継続>
小陰線引け。
一時1.0448ドルと、大きな動きではないが昨年12月7日以来の安値までじり安となった。
低下中の5日移動平均線や一目均衡表・転換線の動きが示唆する下向きの流れ継続が想定される。
5日線は本日1.0510ドル前後、低下傾向が続く見込みの転換線は1.0560ドルに位置している。
レジスタンス1 1.0510(5日移動平均線)
前日終値 1.0467
サポート1 1.0394(2022/12/1安値)
<ユーロ円=雲付近の推移想定、戻り鈍いか>
下影陰線引け。
7月28日以来の安値154.46円まで下振れが先行した。
一目均衡表・雲を下抜けたものの雲の中まで反発してNYを引けた。
下限が155.59円の雲付近のレンジでの底堅さを期待するが低下傾向の一目均衡表・転換線や基準線が抵抗になると考えられる。
戻りは鈍いか。
レジスタンス1 156.47(日足一目均衡表・転換線)
前日終値 155.97
サポート1 155.59(日足一目均衡表・雲の下限)
<豪ドル円=雲を上抜くことできても転換線や基準線が抵抗>
下影大陰線引け。
8月21日以来の93円割れに迫る93.07円まで下振れた。
その後は雲の中へ戻す反発を見せている。
切り上がる雲の下限93.89円前後のサポートを期待するものの、一目均衡表・転換線と基準線が95.00円で重なって推移しており重しとなる。
低下する雲の上限94.61円をやがて上回ることができても転換線や基準線を抵抗に上伸が抑えられそうだ。
レジスタンス1 94.61(日足一目均衡表・雲の上限)
前日終値 93.91
サポート1 93.07(10/3安値)
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