October 5, 2023
【前日の為替概況】ユーロドル、反発 米10年債利回り一時4.71%台まで低下
4日のニューヨーク外国為替市場でユーロドルは3営業日ぶりに反発。
終値は1.0504ドルと前営業日NY終値(1.0467ドル)と比べて0.0037ドル程度のユーロ高水準だった。
欧州市場では、米10年債利回りが一時4.8799%前後と2007年8月以来の高水準を記録した影響を受けて1.0451ドルと日通し安値を付ける場面があった。
ただ、NY市場では底堅く推移した。
前日に付けた年初来安値1.0448ドルや昨年12月7日の安値1.0443ドルがサポートとして働くと買い戻しが先行。
米10年債利回りが4.71%台まで低下したことも相場の支援材料となり、22時前に一時1.0532ドルと日通し高値を付けた。
9月ADP全米雇用報告が予想より弱い内容となったこともユーロ買い・ドル売りを誘った。
ドル円は小反発。
終値は149.12円と前営業日NY終値(149.02円)と比べて10銭程度のドル高水準だった。
ただ、NY市場に限れば149.00円を挟んだ狭いレンジ取引に終始した。
重要指標である9月米ISM非製造業景況指数は53.6と市場予想通りの結果となったため、相場の反応は限られた。
なお、3日のNY時間にドル円が乱高下した際、市場では「政府・日銀が円買い介入に踏み切ったのではないか」との見方が浮上していたが、本日の日銀当座預金残高の予想と短資会社の推計に基づく試算によると「当局が介入した可能性は低い」もよう。
「荒い値動きとなった背景には、マーケットが神経質になっていたうえ、節目の150円を突破したことに反応したアルゴリズムが組み合わさった可能性がある」という。
ユーロ円は3日ぶりに反発。
終値は156.65円と前営業日NY終値(155.97円)と比べて68銭程度のユーロ高水準。
23時30分前に156.26円付近まで下押ししたものの、引けにかけては156円台後半まで強含んだ。
WTI原油先物価格が5ドル(5.6%)超の急落となったことを受けて、産油国通貨とされるカナダドルは下落した。
対米ドルでは1.3780カナダドル、対円では108.14円、対ユーロでは1.4468カナダドルまで売られる場面があった。
【本日の東京為替見通し】ドル円149円を挟んで神経質か、米30年債は5%到達の達成感で低下
本日のドル円は、149円を挟んだ神経質な動きになるか。
昨日の下サイドは2日の海外時間での急落(147.48円まで)局面で買えなかった市場参加者が、148円台に買いオーダーを引き上げたことが支えとなった。
一方で、147.48円まで急落後の戻り高値149.33円付近を超えることができず、上サイドも抑えられる状況になっている。
当面は149円を挟んでトレンドを作りにくく、神経質な動きになるかと思われる。
ドル買いを促すのは、昨日の米債利回りは低下したが、日米の金融政策の方向性の相違があることでドル買い意欲が引かないことだ。
また、今週は豪準備銀行(RBA)、NZ準備銀行(RBNZ)が政策金利を据え置いて、両行とも「タカ派的据え置き」ではあったものの、米金利の上昇圧力が高いことで、豪ドルやNZドルに対するドル買い意欲が根強いことは対円でもドルを支えるだろう。
一方で、ドル売り要因としては、昨日米30年債利回りが5%に達した達成感があることで、いったん長期金利の上昇圧力が弱まる可能性もあること。
昨日米下院のマッカーシー議長が解任されたが、米議会が混迷を深めていることも挙げられる。
次期下院議長選には下院共和党ナンバー2のスカリス院内総務、トランプ前大統領支持者であるジョーダン下院司法委員長も出馬を表明した。
次期議長候補は共和党・強硬派の支持を得ない限り議長就任が厳しく、その場合はつなぎ予算が切れる11月17日以降は、新たな予算案が通過せず政府機関の一部の閉鎖が現実味を帯びてくる。
すなわちムーディーズの米債格下げの確率が高まったこともドル売り要因だ。
また、自民党内では解散選挙の声が徐々に増えていることで、政権は支持率を高める意味でもこれ以上の円安を阻止しようとする介入への警戒感も引き続き高い。
本日は本邦からは対外対内証券売買契約等の状況、豪州からは8月の貿易収支が発表される。
どの指標も市場を動意づけるのが難しいことで、引き続き時間外の米債や株式市場の値動きが為替相場を左右することになるか。
【本日の重要指標】 ※時刻表示は日本時間
<国内>
○08:50 ◇ 対外対内証券売買契約等の状況(週次・報告機関ベース)
<海外>
○09:30 ◇ 8月豪貿易収支(予想:87.25億豪ドルの黒字)
○15:00 ◇ 8月独貿易収支(予想:150億ユーロの黒字)
○15:45 ◇ 8月仏鉱工業生産(予想:前月比▲0.4%)
○17:30 ◎ 9月英建設業購買担当者景気指数(PMI、予想:49.9)
○18:45 ◎ ブロードベント英中銀(BOE)副総裁、レーン欧州中央銀行(ECB)専務理事兼チーフ・エコノミスト、パネルディスカッションに参加
○20:30 ◇ 9月米企業の人員削減数(チャレンジャー・グレイ・アンド・クリスマス社調べ)
○21:30 ◇ 8月カナダ貿易収支(予想:15.0億カナダドルの赤字)
○21:30 ◎ 8月米貿易収支(予想:623億ドルの赤字)
○21:30 ◎ 前週分の米新規失業保険申請件数/失業保険継続受給者数(予想:21.0万件/167.5万人)
○22:00 ◎ メスター米クリーブランド連銀総裁、講演
○22:00 ◎ ナーゲル独連銀総裁、講演
○22:45 ◎ デギンドスECB副総裁、講演
○23:00 ◇ 9月カナダIvey購買部協会景気指数
○23:30 ◎ ビルロワドガロー仏中銀総裁、講演
○23:40 ◎ カシュカリ米ミネアポリス連銀総裁、講演
○6日00:30 ◎ バーキン米リッチモンド連銀総裁、講演
○6日01:00 ◎ デイリー米サンフランシスコ連銀総裁、講演
○6日01:15 ◎ バー米連邦準備理事会(FRB)副議長、講演
○中国(国慶節)、休場
※「予想」は特に記載のない限り市場予想平均を表す。▲はマイナス。
※重要度、高は☆、中は◎、低◇とする。
※指標などの発表予定・時刻は予告なく変更になる場合がありますので、ご了承ください。
【前日までの要人発言】
4日08:15 神田財務官
「介入の有無はコメント控える」
「過度な変動に対してはこれまで通りの方針で臨んでいる」
「一定期間で非常に大きな動きは過度な動き」
「経済一般について、岸田首相と20分くらい話した」
「岸田首相と為替について特に話したわけではない」
4日10:03 ニュージーランド準備銀行(RBNZ)声明
「年間消費者物価上昇率が1-3%の目標範囲に戻ることを確実にし、最大限の持続可能な雇用を支えるために、政策金利は制限的なレベルにとどまる必要があることに合意」
「成長見通しは依然低迷している」
「インフレ圧力を低下させるためには、経済活動の低迷が長期化することが必要」
「短期的には、経済活動とインフレが必要なほど減速しないリスク」
「見通しに対するリスクは8月会合で議論されたものと同様であることに同意」
「雇用は持続可能な最大水準を上回っている」
「インフレ率は2024年後半までに目標バンド内まで低下する見込み」
4日10:13 鈴木財務相
「為替はファンダメンタルズを反映して安定的な動きが望ましい」
「介入の有無はコメント控える」
「市場動向を極めて注意深く緊張感を持ってみている」
「過度な変動はあらゆる可能性を排除しない」
「急激な変動は望ましくない」
4日11:02 松野官房長官
「介入の有無についてはコメントを差し控える」
「為替の急激な変動は望ましくない」
「引き続きしっかりと対応していく」
4日17:23 ラガルド欧州中央銀行(ECB)総裁
「ECBは十分に景気抑制的な金利姿勢にある」
4日18:25 ベイリー英中銀(BOE)総裁
「英インフレ率は年内に5%以下に低下する可能性がある」
4日20:09 センテノ・ポルトガル中銀総裁
「金利のサイクルは完了した可能性がある」
5日04:27 格付け会社フィッチのアナリスト
「米政府機関の閉鎖は米国の格付け『AA+』に影響しない」
※時間は日本時間
〔日足一目均衡表分析〕
<ドル円=転換線前後でトレンド示しにくいが底堅さ期待>
小陽線引け。
一目均衡表・転換線148.80円前後で振幅した。
しばらく横ばいの転換線付近で明確なトレンドを示しにくい状態か。
ただ、同線はやがて上昇を再開する可能性を残す状態。
148.32円前後で上昇中の21日移動平均線も引き続きサポートになりそうであるほか、一目・基準線147.31円は来週早々にも148円台へ切り上がり、現相場水準からあまり遠くないサポートに加わる見込み。
底堅さ維持を予想する。
レジスタンス2 150.16(10/3高値=年初来高値)
レジスタンス1 149.64(ピボット・レジスタンス2)
前日終値 149.12
サポート1 148.32(21日移動平均線)
<ユーロドル=転換線など抵抗、重さ脱却にまだ時間必要か>
陽陰引け。
一時1.0532ドルへ上振れた。
しかし、終値は1.0517ドルで引けた5日移動平均線を下回っている。
戻りがあっても、本日1.0506ドル前後へ低下した5日線付近へ押し返されやすい状態が続くとみる。
1.05ドル台で低下中の一目均衡表・転換線が重しになる流れも継続。
さえない地合いを脱却するにしても、もうしばらく時間が必要となりそうだ。
レジスタンス1 1.0553(日足一目均衡表・転換線)
前日終値 1.0504
サポート1 1.0448(10/3安値=年初来安値)
<ポンド円=低下傾向の転換線に引っ張られやすそう>
陽線引け。
3日に178.18円と、7月28日以来の安値まで下振れた反動の戻りが入った。
一目均衡表・転換線180.60円前後の攻防となっている。
転換線を上回っているものの、低下傾向が続く同線の動きに引っ張られやすいように見える。
一目均衡表・雲の下限前後も重そうで、雲の中にはやがて雲を下抜けてくる可能性がある一目・基準線182.12円も抵抗として控えている。
レジスタンス1 181.55(日足一目均衡表・雲の下限)
前日終値 180.97
サポート1 179.57(10/4安値)
<NZドル円=上昇余地を残す基準線は強い抵抗にならず>
下影小陽線引け。
3日に87.11円まで下振れたものの一目均衡表・雲の上限87.32円や同水準前後で上昇中の90日移動平均線を割り込んだ同水準からは戻りを試した。
一目均衡表・基準線88.25円前後で反発は停滞気味で再び87.59円まで下振れる場面もあったが上昇中の21日線割れ水準から切り返している。
今後の上昇余地を残す基準線は強い抵抗にならず、同線付近で底堅さを維持して推移することが想定できる。
レジスタンス1 88.78(ピボット・レジスタンス2)
前日終値 88.14
サポート1 87.59(10/4安値)
Provided by
DZH Finacial Research
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