本日の東京為替見通し(為替/FXニュース):年度末仲値、昨年は大幅上昇後に下落 日米インフレ指標にも注視(2024年3月29日)

マーケットレポート

March 29, 2024

【前日の為替概況】ユーロドル、1.07ドル後半まで下落 カナダドルが全面高

28日のニューヨーク外国為替市場でユーロドルは3日続落。
終値は1.0789ドルと前営業日NY終値(1.0828ドル)と比べて0.0039ドル程度のユーロ安水準だった。
アジア時間に伝わったウォラー米連邦準備理事会(FRB)理事の発言をきっかけに、米利下げ開始時期が後ずれするとの観測が高まった一方、欧州中央銀行(ECB)の利下げ開始時期が近づいているとの見方は強まっており、欧州市場では一時1.0775ドルと2月20日以来の安値を付けた。

NY市場では明日からのイースター休暇を控えて、ポジション調整目的のユーロ買い・ドル売りが先行し、23時過ぎに一時1.0819ドル付近まで下げ渋る場面もあったが、戻りは鈍かった。

ドル円は小反発。
終値は151.38円と前営業日NY終値(151.33円)と比べて5銭程度のドル高水準だった。
0時30分過ぎに一時151.15円と日通し安値を付けたものの、前日の安値151.03円が目先サポートとして働くと買い戻しが優勢に。
4時過ぎには151.42円付近まで持ち直した。

海外の主要市場が明日からイースター休暇入りするほか、本日は聖金曜日の祝日(グッドフライデー)の前日で米債券市場が短縮取引。
流動性が薄く、大きな方向感は出なかった。
明日29日にFRBが重視する2月米個人消費支出 (PCE) 価格指数など、注目度の高いインフレ指数の発表を控えて様子見ムードも広がった。

ユーロ円は続落。
終値は163.27円と前営業日NY終値(163.75円)と比べて48銭程度のユーロ安水準。
欧州時間に一時163.14円と19日以来の安値を付けたものの、NY市場に入ると163.58円付近まで下げ渋った。
ユーロドルにつれた動きとなった。

カナダドルは全面高。
1月カナダ国内総生産(GDP)が予想を上回ると全般カナダドル買いが先行。
対米ドルで一時1.3525カナダドル、対ユーロで1.4604カナダドル、対円で111.87円までカナダドル高に振れた。
WTI原油先物価格の上昇を背景に産油国通貨とされるカナダドルに買いが集まった面もあった。

【本日の東京為替見通し】年度末仲値、昨年は大幅上昇後に下落 日米インフレ指標にも注視

本日のドル円は、東京時間では流動性低下が見込まれるなか、東京仲値を中心に月末・期末・年度末のフローに左右されそうだ。
本日の経済指標では日米のインフレ指標を注視することになる。

本日はオセアニア市場(豪州・ニュージーランド)やアジア市場(香港・シンガポール)が休場、独・仏・英・スイスなどの欧州の主要市場も休場だ。
また、米国も為替は通常営業だが、株式や債券市場は休場であり、流動性は非常に薄くなることが懸念される。
そういった中でも、本邦から月末・期末・年度末に絡んだフローが入ることが予想される。
ニュースや要人発言がなくても、相場が大きく動くリスクには留意したい。

昨年を振り返ると、東京仲値にかけてはドル買い・円売りが優勢となり、強引な仲値決めでドル円は132円半ばから133円半ばまで大幅にドル高が進んだ。
しかしながら、仲値発表後は132円台まで戻すなどフロー次第の値動きとなった。
本日も昨年同様にドル買いになるかは現時点では予測することはできないが、仲値前には強引な動きでレンジを広げる可能性が高い。

東京仲値までは、市場が経済指標に反応するのは難しいだろう。
ただ8時半に発表される3月東京都区部CPIは要注目。
本邦の全国消費者物価指数(CPI)の先行指標とされているからだ。
変動の大きい生鮮食品を除いた指数は2月の+2.5%から+2.4%へ低下が予想されている。
2月の全国CPIの基調インフレ(「刈込平均値」「加重中央値」「最頻値」)が、それぞれ前月を下回る結果となったなかで、東京都区部CPIも低下傾向をたどった場合は、田村日銀審議委員や植田日銀総裁が今週述べたように「緩和的な金融環境が続く」ことに繋がるため、円安に動きやすいだろう。

日経による四半期に一度の「社長100人アンケート」では、景気の現状認識について「拡大している」との回答が、前回の72.5%から50%まで低下した。
足もとの景気状況から追加利上げが難しい状況であることも円には売り材料となる。

一方で介入警戒感の高まりや、市場がドルロングに傾いていることには注意が必要だろう。
151円を割り込んだ場合には、ストップロスの売りを誘発するリスクもあることは念頭に入れておきたい。

なお本日の米国では、2月個人消費支出(PCE)デフレーターが発表予定。
米連邦準備理事会(FRB)が最も注目しているインフレ指標であり、欧州休場の中で結果次第では大きく相場を動かすことになるか。

【本日の重要指標】 ※時刻表示は日本時間

<国内>
○08:30 ◎ 3月東京都区部消費者物価指数(CPI、生鮮食料品除く総合予想:前年比2.4%)
○08:30 ◎ 2月完全失業率(予想:2.4%)
○08:30 ◎ 2月有効求人倍率(予想:1.27倍)
○08:50 ◎ 2月鉱工業生産速報(予想:前月比1.3%/前年比▲2.7%)
○08:50 ◇ 2月商業販売統計速報(小売業販売額、予想:前年比3.0%)
○14:00 ◇ 2月新設住宅着工戸数(予想:前年比▲5.5%)
○19:00 ◇ 外国為替平衡操作の実施状況(介入実績)

<海外>
○16:00 ◇ 2月トルコ貿易収支(予想:70.0億ドルの赤字)
○16:45 ◇ 3月仏消費者物価指数(CPI)速報値(予想:前月比0.5%/前年比2.6%)
○16:45 ◇ 2月仏卸売物価指数(PPI)
○16:45 ◇ 2月仏消費支出(予想:前月比0.2%)
○21:30 ◎ 2月米個人消費支出(PCE、予想:前月比0.5%)
     ◎ 2月米個人所得(予想:前月比0.4%)
     ☆ 2月米PCEデフレーター(予想:前年比2.5%)
     ☆ 2月米PCEコアデフレーター(予想:前月比0.3%/前年比2.8%)
○21:30 ◇ 2月米卸売在庫(予想:前月比0.2%)
○30日00:15 ◎ デイリー米サンフランシスコ連銀総裁、あいさつ
○30日00:30 ◎ パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長、討論会に参加
○聖金曜日の祝日(グッドフライデー)で豪州、NZ、香港、シンガポール、インド、ドイツ、スイス、フランス、スウェーデン、ノルウェー、南アフリカ、英国、カナダ、メキシコ、ブラジルなど休場。米国は株式・債券・商品市場が休場。
○31日 欧州・英国が夏時間に移行

※重要度、高は☆、中は◎、低◇とする。
※指標などの発表予定・時刻は予告なく変更になる場合がありますので、ご了承ください。

>本日発表予定のその他の経済指標についてはこちら

【前日までの要人発言】

28日07:06 ウォラー米連邦準備理事会(FRB)理事
「現行金利を予想より長く維持する必要があるかもしれない」
「現在の米経済の状況では、利下げを急ぐ必要はない」
「利下げの支持にはインフレの更なる改善を確認する必要がある」
「データは今年の利下げの可能性が少ないことを示唆している」
「賃金(上昇)圧力は緩和しつつある」
「利上げの可能性は極めて低い」
「中立金利が変更されるかどうかは不明」

28日08:50 日銀金融政策決定会合における主な意見(3月18-19日分)
「今回の枠組みの見直しが、金融引き締めへのレジーム転換ではなく、あくまで物価安定の目標の実現に向けた取り組みの一環である点を明確に伝えていくことが重要」
「長期国債やCP・社債等の買入れについては、大幅・急激な市場変動を避ける観点から、時間をかけて対応することが適当」
「物価安定の目標のもとで、その持続的・安定的な実現という観点から、短期金利の操作を主たる政策手段として、金融政策を運営していくべき」
「将来の金融正常化を見据えて、ある程度は市場の価格形成に任せた政策運営に切り替えるタイミングだと考えられる」
「国債買入れは、現在と概ね同程度の金額で継続するが、実際の買入れは、市場の状況に応じて柔軟に決めていく必要がある」
「国債の買入れは長期金利の急変動を避けるという観点から行われ、できるだけ市場に金利形成を委ねていくことが大切」
「本年の賃上げが象徴的な変化として確認されたことから、市場が自律的に機能する局面への転換が必要」

28日11:22 林官房長官
「為替市場の動向、高い緊張感をもって注視」
「為替介入については具体的な見解は控える」
「(円安について)行き過ぎた動きにはあらゆる手段排除せず、適切に対応」

28日14:11 ハスケル英中銀金融政策委員会(MPC)委員
「利下げまでは遠い道のり」
「利下げを急いで決定すべきではない」

28日18:09 パネッタ伊中銀総裁
「緩和の条件は整いつつある」
「物価安定に対するリスクは低下している」

28日21:20 岸田首相
「為替は、ファンダメンタルズを反映して安定的推移が重要」
「為替相場は、過度な変動は望ましくない」

29日04:09 ビルロワドガロー仏中銀総裁
「インフレは急速に低下しているものの、依然として高水準」
「2%のインフレ目標が視野に入ってきた」
「利下げを開始しハードランディングに備えて保険をかける必要がある」
「最初の利下げは春に実施、FRBとは独立して行われる」

※時間は日本時間

>本日の要人発言をリアルタイムで確認するならこちら

〔日足一目均衡表分析〕

<ドル円=先週末以降に下げ止まる151円水準がポイント>

ドル円3.29

パラメータ3.29

小陽線引け。
151円前半から半ばで方向感なく上下。
27日につけた1990年以来の高値151.97円が上値では意識されたまま。
下値は先週末以降に下げ止まっている151円を割り込めるかがポイントになる。

151円を下抜けた場合は、150円半ばまで上昇してきた日足一目・転換線から21日安値150円前半の支持帯を試しに行く展開を想定。
そこも下回るようだと今月高値と昨年11月高値とのダブルトップが意識されそうだ。

レジスタンス2 152.30(1990/7/6高値)
レジスタンス1 151.97(3/27高値)
前日終値 151.38
サポート1 150.50(日足一目均衡表・転換線)

>ドル円のリアルタイムチャートはこちら

<ユーロドル=三役逆転が点灯、下値を警戒した動き続くか>

ユーロドル3.29

パラメータ3.29

陰線引け。
1.08ドルを割り込み、1.0770ドル台まで下値を広げた。
2月19・20日安値1.0762ドルの手前で下げ渋るも、戻りは限られて3手連続の陰線引け。

日足一目・転換線は基準線を下回っていたなか、遅行スパンが実線を下回り、雲の下で引けたことで強い売りシグナルとされる三役逆転が点灯した。
本日は雲の下限1.0803ドルを念頭に下値を警戒した動きが続きそうだ。

レジスタンス1 1.0864(3/26高値)
前日終値 1.0789
サポート1 1.0695(2/14安値)

>ユーロドルのリアルタイムチャートはこちら

<ユーロ円=転換線を下回って引け、基準線が視野に>

ユーロ円3.29

パラメータ3.29

陰線引け。
163円後半を頭に163円前半まで下押しした。
日足一目・転換線を下回って、162.79円で横ばいの同基準線が視野に入ってきている。

本日は163.69円に位置する転換線から163.80円台の昨日高値が目先の抵抗帯として働くかに注目。
下サイドは基準線を割り込むようだと、19日安値162円付近が次の目標値。

レジスタンス1 163.87(3/28高値)
前日終値 163.27
サポート1 162.79(日足一目均衡表・基準線)

>ユーロ円のリアルタイムチャートはこちら

<豪ドル円=98円台の主要線を意識しながら方向感探る>

豪ドル円3.29

パラメータ3.29

下影陰線引け。
99円手前で頭を抑えられて98円前半まで下落。
もっとも21日移動平均線を割り込んだところで下げ止まり、下ヒゲを作って終えた。

98円台には、日足一目・転換線が後半、基準線が半ばに位置し、昨日サポートとなった21日線は大台前半で上向き。
主要線を意識しながら、本日は方向感を探りながらの値動きとなりそうだ。

レジスタンス1 99.25(3/26高値)
前日終値 98.61
サポート1 98.17(3/28安値)

>豪ドル円のリアルタイムチャートはこちら

OANDA CFD

Provided by
DZH Finacial Research

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