本日の東京為替見通し(為替/FXニュース):ドル円は円買い介入の可能性に要警戒、豪ドルはRBA声明に要警戒(2024年5月7日)

マーケットレポート

May 7, 2024

【前日の為替概況】ドル伸び悩み、リッチモンド連銀総裁とNY連銀総裁のハト派発言で

6日のニューヨーク外国為替市場でドル円は4営業日ぶりに反発。
終値は153.92円と前営業日NY終値(153.05円)と比べて87銭程度のドル高水準だった。
イエレン米財務長官は4日、日本の通貨当局が円買い介入を行ったかどうかについては言及を避けたうえで、前週の円相場の動きは急激だったと指摘し、「こうした介入はまれであるべきで、協議が行われることが期待される」と発言。
市場では「政府・日銀が断続的に為替介入を行うのは困難になったのではないか」との観測が出ており、改めて日米金利差を意識した円売り・ドル買いが出た。

NY市場では米長期金利の低下に伴う売りが出て153.42円付近まで伸び悩む場面もあったが、下押しは限定的だった。
ユーロ円などクロス円の上昇につれた買いも入り、0時30分前には154.00円付近まで持ち直した。
そのあとは153円台後半でのもみ合いに終始した。

なお、米連邦公開市場委員会(FOMC)で投票権を有するバーキン米リッチモンド連銀総裁は「米連邦準備理事会(FRB)の政策金利は現在、経済を冷やしインフレ率を目標の2%に回帰させるのに十分な水準にある」と述べたほか、ウィリアムズ米ニューヨーク連銀総裁は「FRBはいずれ利下げを実施する」「次の動きが利下げとなる可能性は高い」との認識を示した。

ユーロドルは小幅ながら4日続伸。
終値は1.0769ドルと前営業日NY終値(1.0761ドル)と比べて0.0008ドル程度のユーロ高水準だった。
米長期金利が低下するとユーロ買い・ドル売りが先行し、22時前に一時1.0791ドルと日通し高値を付けたものの、前週末の高値1.0811ドルが目先レジスタンスとして意識されると上値が重くなった。
5時過ぎには1.0766ドル付近まで下押しした。

もっとも、今日一日の値幅は0.0040ドル程度と小さかった。
米経済指標の発表などもなく手掛かり材料に欠けたことから、相場は大きな方向感が出なかった。
また、本日は英国がアーリーメイバンクホリデーで休場のため、市場参加者が少なく積極的な売買は手控えられた。

ユーロ円は4日ぶりに反発。
終値は165.74円と前営業日NY終値(164.72円)と比べて1円02銭程度のユーロ高水準。
米国株相場の上昇を背景に投資家のリスク志向が改善すると円売り・ユーロ買いが優勢となった。
24時前には一時165.99円と日通し高値を更新した。

【本日の東京為替見通し】ドル円は円買い介入の可能性に要警戒、豪ドルはRBA声明に要警戒

本日の東京外国為替市場のドル円は、米10年債利回りの低下や本邦通貨当局によるドル売り・円買い介入への警戒感から上値が重い展開が予想される。

昨日のドル円は、東京市場が休場で閑散取引の中、4日のイエレン米財務長官の為替介入への牽制発言や本邦企業の米企業に対する買収案件による円売りへの思惑などから、早朝の安値152.78円から154.01円まで反発した後は、伸び悩む展開となっている。

また、バーキン米リッチモンド連銀総裁やウィリアムズ米ニューヨーク連銀総裁のハト派発言を受けて、米10年債利回りが一時4.4%台に低下していたことも、ドルの上値を抑える要因となる。
シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)グループがFF金利先物の動向に基づき算出する「フェドウオッチ」では、9月FOMCでの利下げ開始と12月FOMCでも追加利下げが見込まれている。

本邦通貨当局は、4月29日の東京市場休場の日に159円付近、5月2日の早朝5時過ぎに157円付近でドル売り・円買い覆面介入を行った模様だが、介入スタイルは円を押し上げる方式だと思われることで、今週は155円付近に反発した局面での円買い介入に警戒しておきたい。

一方で、円買い介入に前後して、4月25日と5月4日にイエレン米財務長官は、為替介入への牽制発言を行っており、介入への歯止めになるのか否かにも要注目となる。

2022年秋の円買い介入に関しては、イエレン米財務長官は「米国政府は日本からそのような通知を受け取っていなかった」と述べながらも、「ボラティリティを滑らかにするスムージングが目的であれば、理解できる」との認識を示していた。

米国財務省の「為替政策報告書」では「2カ月間で623億ドルのドル売り・円買い介入を実施し、円の価値を高め、円安を押し戻した」「日本の当局は、最近高まっている円のボラティリティを低下させることを目的したものと述べている」として、事実関係の言及にとどめていた。

4月25日、イエレン米財務長官は、円の対ドルでの下落に対応するために日本当局がとり得る動きについて自身の姿勢を問われ、「介入がまれであることを願う。
そのような介入がめったに起きず、過度な変動がある場合に限定され、事前に協議があることが期待される」と述べた。
その後、4月29日に本邦通貨当局は、ドル売り・円買い覆面介入を断行した。

東京市場が昭和の日で休場だった4月29日、ドル円は160.17円まで上昇した後、本邦通貨当局による覆面介入(※推定5.5兆円)で154.54円まで反落した。
5月2日の早朝5時過ぎにも、当局はドル売り・円買い覆面介入(※推定3.5兆円)を断行し、ドル円は157円台から153.04円まで下落した。

5月4日、イエレン米財務長官は、3日終了週の円相場の動きは急激だったと認めた後、「こうした介入はまれであるべきで、協議が行われることが期待される」と述べた。
今週は、イエレン米財務長官が「まれ(rare)」であるべきだと釘をさした介入が行われるのか、そして、9日に発表される4月末の本邦外貨準備高で、介入の原資が外貨預金だったのか、それとも米国債の売却だったのかを見極めることになる。

13時30分に発表される豪準備銀行(RBA)の政策金利は、4.35%での据え置きが見込まれている。
注目ポイントは、オーストラリアのインフレ率が下げ止まっていることで、声明文では利上げの可能性に言及する可能性が警戒されている。
タカ派的な声明文ならば、豪ドル買いに拍車がかかることで警戒しておきたい。

【本日の重要指標】 ※時刻表示は日本時間

<国内>
特になし

<海外>
○08:01 ◇ 4月英小売連合(BRC)小売売上高調査(予想:前年同月比2.0%)
○13:30 ☆ 豪準備銀行(RBA)政策金利発表(予想:4.35%で据え置き)
○14:45 ◇ 4月スイス失業率(季節調整前、予想:2.3%)
○15:00 ◎ 3月独製造業新規受注(予想:前月比0.4%/前年同月比▲0.7%)
○15:00 ◇ 3月独貿易収支(予想:222億ユーロの黒字)
○15:45 ◇ 3月仏貿易収支
○15:45 ◇ 3月仏経常収支
○17:30 ◎ 4月英建設業購買担当者景気指数(PMI、予想:50.4)
○18:00 ◎ 3月ユーロ圏小売売上高(予想:前月比0.7%/前年比▲0.2%)
○18:00 ◎ デコス・スペイン中銀総裁、講演
○23:00 ◎ ナーゲル独連銀総裁、パネルディスカッションに参加
○23:00 ◇ 4月カナダIvey購買部協会景気指数
○8日00:30 ◎ カシュカリ米ミネアポリス連銀総裁、イベントに参加
○8日02:00 ◎ 米財務省、3年債入札
○8日04:00 ◇ 3月米消費者信用残高(予想:150.0億ドル)

※重要度、高は☆、中は◎、低◇とする。
※指標などの発表予定・時刻は予告なく変更になる場合がありますので、ご了承ください。

>本日発表予定のその他の経済指標についてはこちら

【前日までの要人発言】

6日12:16 レーン欧州中央銀行(ECB)専務理事兼主任エコノミスト
「インフレ率が目標に向かって鈍化していくことを確信している」

6日19:36 ブイチッチ・クロアチア中銀総裁
「金利は時間の経過とともに徐々に引き下げられるだろう」

6日21:12 シムカス・リトアニア中銀総裁
「年内に3回の利下げを見込む」
「6月以降も追加利下げが予想される」

7日00:43 イスラエル国防相
「ハマスが人質の帰還を認める合意を拒否したため、ラファで軍事作戦を開始せざるを得なくなった」

7日01:52 バーキン米リッチモンド連銀総裁
「強い労働市場を考えると、インフレが確実に下がると確信が持てるまで、時間をかける余裕」
「現在の金利でインフレを2%に戻せると楽観視」
「今年のインフレデータは失望的」
「景気過熱はみえないが、もしそうなれば対応方法を知っている」
「労働市場は正常化しつつあるが、まだ雇用の追い上げはある」
「6月、9月のFOMCで政策修正があるかどうかは分からない」
「政策は制限的だが、十分にそうなるかどうかは時間が経てば分かるだろう」

7日02:09 ウィリアムズ米ニューヨーク連銀総裁
「最終的には利下げが行われるだろう」
「全体のデータに基づいて利下げを決定する」

※時間は日本時間

>本日の要人発言をリアルタイムで確認するならこちら

〔日足一目均衡表分析〕

<ドル円=基準線を抵抗に戻り売りスタンス>

ドル円0507

パラメータ0507

陽線引け。
転換線は基準線を上回り、遅行スパンは実線を上回り、雲の上で引けていることで、三役好転の強い買いシグナルが点灯中。
しかし、抱き線で切り返したものの転換線を下回って引けており反落の可能性が示唆されている。

本日は基準線を抵抗に戻り売りスタンスで臨み、同線を上抜けた場合は手仕舞い。

レジスタンス2 156.02(日足一目均衡表・転換線)
レジスタンス1 155.49(日足一目均衡表・基準線)
前日終値 153.92
サポート1 152.78(5/6安値)
サポート2 151.86(5/3安値)

>ドル円のリアルタイムチャートはこちら

<ユーロドル=5/1安値を支持に押し目買いスタンス>

ユーロドル0507

パラメータ0507

小陽線引け。
転換線は基準線を下回り、遅行スパンは実線を下回り、雲の下で引けていることで、三役逆転の強い売りシグナルが点灯している。
しかし、4手連続陽線で転換線を上回って引けており続伸の可能性が示唆されている。

本日は1日の安値を支持に押し目買いスタンスで臨み、同水準を下抜けた場合は手仕舞い。

レジスタンス1 1.0844(日足一目均衡表・雲の上限)
前日終値 1.0769
サポート1 1.0650(5/1安値)

>ユーロドルのリアルタイムチャートはこちら

<ポンド円=基準線を抵抗に戻り売りスタンス>

ポンド円0507

パラメータ0507

陽線引け。
転換線は基準線を上回り、遅行スパンは実線を上回り、雲の上で引けていることで、三役好転の強い買いシグナルが点灯している。
しかし、3手連続陰線の後に抱き線で反発したものの、転換線を下回って引けており反落の可能性が示唆されている。

本日は基準線を抵抗に戻り売りスタンスで臨み、同線を上抜けた場合は手仕舞い。

レジスタンス1 195.27(日足一目均衡表・基準線)
前日終値 193.36
サポート1 191.70(5/6安値)

>ポンド円のリアルタイムチャートはこちら

<NZドル円=横ばいの転換線を抵抗に戻り売りスタンス>

NZドル円0507

パラメータ0507

陽線引け。
転換線は基準線を上回り、遅行スパンは実線を上回り、雲の上で引けていることで、三役好転の強い買いシグナルが点灯している。
しかし、2手連続陽線でも転換線を下回って引けており反落の可能性が示唆されている。

本日は横ばいの転換線を抵抗に売りスタンスで臨み、同線を上抜けた場合は手仕舞い。

レジスタンス1 93.11(日足一目均衡表・転換線)
前日終値 92.48
サポート1 91.37(日足一目均衡表・雲の上限)

>NZドル円のリアルタイムチャートはこちら

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