本日の東京為替見通し(為替/FXニュース):ドル円、米10年債利回り低下や円買い介入警戒で上値が重い展開か(2024年5月10日)

マーケットレポート

May 10, 2024

【前日の為替概況】ドル円、欧州高値155.95円から155.40円付近まで反落 米債利回り低下

9日のニューヨーク外国為替市場でユーロドルは3営業日ぶりに反発。
終値は1.0782ドルと前営業日NY終値(1.0748ドル)と比べて0.0034ドル程度のユーロ高水準だった。
米長期金利の指標となる米10年債利回りが4.51%台まで上昇するとユーロ売り・ドル買いが先行し、21時前に一時1.0724ドルと日通し安値を付けたものの、売り一巡後は買い戻しが優勢となった。
前週分の米新規失業保険申請件数が23.1万件と予想の21.5万件より弱い内容となったことや、好調な米30年債入札後を受けて米10年債利回りが4.44%台まで低下すると全般ドル売りが活発化し、一時1.0784ドルと日通し高値を更新した。

ドル円は4日ぶりに小反落。
終値は155.48円と前営業日NY終値(155.53円)と比べて5銭程度のドル安水準だった。
低調な米労働指標を手掛かりに円買い・ドル売りが先行。
好調な米30年債入札後に米長期金利が低下幅を拡大すると全般ドル売りが優勢となり、一時155.40円付近まで下押しした。

ユーロ円は4日続伸。
終値は167.63円と前営業日NY終値(167.19円)と比べて44銭程度のユーロ高水準。
英国やドイツの株価指数が史上最高値を更新するなど、欧州株相場が底堅く推移すると円売り・ユーロ買いが先行。
米国株相場の上昇も相場の支援材料となり、一時167.75円と日通し高値を付けた。

メキシコペソは上昇。
メキシコ中銀はこの日、市場予想通り政策金利を11.00%で据え置くことを決めたものの、声明では「金融政策は引き続き引き締め的となる」と指摘し、2024年第2四半期から2025年第3四半期までのインフレ見通しを上方修正した。
この結果を受けて全般ペソ買いが優勢になると、対ドルでは一時16.7757ペソと4月16日以来の高値を更新した。
対円でも9.27円までペソ高に振れた。

【本日の東京為替見通し】ドル円、米10年債利回り低下や円買い介入警戒で上値が重い展開か

本日の東京外国為替市場のドル円は、米10年債利回りが4.4%台へ低下していることや本邦通貨当局によるドル売り・円買い介入への警戒感などから上値が重い展開が予想される。

昨日発表された4月末の外貨準備高では、外貨預金が1577億ドル(3月末:1550億ドル)、外貨証券が9780億ドル(3月末:9948億ドル)となっていた。
しかし、財務省の説明では、外貨証券の168億ドルの減少は、金利上昇に伴う時価評価額の減少などが影響したとのことで、介入の有無や原資に関しては5月分の発表を待つことになる。
神田財務官は、昨日「為替介入に関して、世の中で言われている限界は全く間違っている」と述べていたが、介入原資として外貨預金1577億ドル(=24.4兆円@155円)、外貨証券9780億ドル(=151.6兆円@155円)を念頭に置きながら、ドル円相場に参入していくことになる。

イエレン米財務長官は4日の講演の後、「介入は噂だと思う。
介入は稀であるべき」と述べて円買い介入への否定的な見解を繰り返しており、今週に入ってからの円買い介入の見送りに影響しているのかもしれない。

円買い介入に関しては、神田財務官が「激しい為替変動が国民経済に与える影響を看過し難い」と述べ、鈴木財務相が「国民生活に与える影響分析しながら適切な対応とる」と述べている。
また、植田日銀総裁は、「円安は輸入価格上昇通じて実質所得下げる影響」と述べており、円安による国民生活へのマイナス面を強調していた。

試算によると、1ドル=154円程度を前提にした場合、2人以上世帯における家計負担増額は今年度、平均10万円超に上るとのことであり、6月に予定されている4万円の定額減税の恩恵を無にすることになる。
岸田政権が解散・総選挙を目論んでいるのであれば、150円台の円安を抑える必要があると思われ、イエレン米財務長官の牽制発言にも関わらず円買い介入は今後も続いていくと思われる。

ドル円の注目水準として、4月29日に付けた1990年4月以来34年ぶりの高値160.17円から3日の安値151.86円までの下落局面の半値戻しである156.02円が重要なレジスタンスとして意識されている。
また、過去26日間の中心値である一目均衡表・基準線155.49円も注視しておきたい。

さらに、4月29日の1回目の介入水準である159円台、2回目の介入水準であり、5月2日早朝の3回目の介入水準でもある157円台が、それぞれ160円という絶対防衛ラインの前の防衛ラインかもしれないことで、接近した場合は警戒しておきたい。

これまでの介入時間帯は、東京勢が不在の休日、東京勢が参入前の午前5時や午前8時30分頃、東京勢が退出後の午後5時30分頃、そして、午後23時30分頃になっており、「24時間、365日」介入態勢にある神田財務官に対峙していくことになる。

【本日の重要指標】 ※時刻表示は日本時間

<国内>
○08:30 ◇ 3月家計調査(消費支出、予想:前年比▲2.3%)
○08:50 ◎ 3月国際収支速報
     ◇  経常収支(予想:季節調整前3兆4896億円の黒字/季節調整2兆442億円の黒字)
     ◎  貿易収支(予想:5496億円の黒字)
○08:50 ◇ 対外対内証券売買契約等の状況(週次・報告機関ベース、2週分)
○14:00 ◇ 4月景気ウオッチャー調査(予想:現状判断指数50.3/先行き判断指数51.6)

<海外>
○15:00 ☆ 3月英国内総生産(GDP、予想:前月比0.1%)
○15:00 ☆ 1-3月期英GDP速報値(予想:前期比0.4%/前年比横ばい)
○15:00 ◎ 3月英鉱工業生産(予想:前月比▲0.4%/前年比0.3%)
○15:00 ◎ 3月英製造業生産高(予想:前月比▲0.4%)
○15:00 ◇ 3月英商品貿易収支/英貿易収支(予想:144.00億ポンドの赤字/21.00億ポンドの赤字)
○15:00 ◎ 4月ノルウェー消費者物価指数(CPI、予想:前月比0.7%/前年比3.5%)
○16:00 ◇ 3月トルコ鉱工業生産
○16:00 ◇ 3月トルコ失業率
○16:00 ◎ チポローネ欧州中央銀行(ECB)専務理事、講演
○17:45 ◎ エルダーソンECB専務理事、講演
○20:15 ◎ ピル英中銀金融政策委員会(MPC)委員兼チーフエコノミスト、講演
○20:30 ☆ 欧州中央銀行(ECB)理事会議事要旨(4月11日分)
○20:45 ◎ ディングラ英MPC委員、講演
○21:00 ◎ 3月インド鉱工業生産(予想:前年同月比5.2%)
○21:00 ◎ 4月ブラジルIBGE消費者物価指数(IPCA、予想:前年同月比3.66%)
○21:00 ◇ 3月メキシコ鉱工業生産(季調済、予想:前月比0.6%)
○21:30 ☆ 4月カナダ雇用統計(予想:新規雇用者数変化2.00万人/失業率6.2%)
○22:00 ◎ ボウマン米連邦準備理事会(FRB)理事、講演
○23:00 ◎ 5月米消費者態度指数(ミシガン大調べ、速報値、予想:76.0)
○23:00 ◎ ローガン米ダラス連銀総裁、質疑応答
○23:00 ◎ カシュカリ米ミネアポリス連銀総裁、質疑応答
○11日01:45 ◎ グールズビー米シカゴ連銀総裁、質疑応答
○11日02:30 ◎ バーFRB副議長、講演
○11日03:00 ◎ 4月米月次財政収支(予想:2500億ドルの黒字)

※重要度、高は☆、中は◎、低◇とする。
※指標などの発表予定・時刻は予告なく変更になる場合がありますので、ご了承ください。

>本日発表予定のその他の経済指標についてはこちら

【前日までの要人発言】

9日08:28 神田財務官
「為替介入実施報道に関して、 政府関係者が話した事実はない」
「必要があれば適切な対応とる」
「為替介入に関して、世の中で言われている限界は全く間違っている」
「為替介入の有無について我々はコメントするつもりはない」

9日08:55 日銀金融政策決定会合における主な意見(4月25-26日分)
「長期国債の買い入れ、どこかで削減の方向性示すのが良い」
「円安を背景に基調的な物価上昇率上振れが続く場合、正常化ペース速まる可能性十分ある」
「金利のパス、市場に織り込まれているよりも高いものになる可能性」
「見通し確度の高まりに合わせ、適時適切な利上げ必要」
「政策金利の引き上げのタイミングや幅に関する議論を深める必要」
「家計の購買力はまだ弱い、当面は緩和的な金融環境の継続必要」
「国債買い入れの減額、市場動向や需給を見ながら機を捉えて進めていくことが大切」

9日10:40 鈴木財務相
「円安にはプラスマイナスあるが、マイナス面に懸念を持っている」
「国民生活に与える影響分析しながら適切な対応とる」

9日10:46 植田日銀総裁
「実質金利が現在は非常に低い水準にあり、緩和的な金融環境にある」
「原油価格や為替相場の今後の動き、注意して見ていく必要がある」
「自然利子率、ここ数年どんどん低下している証拠は見出されない」
「足元の実質利子率は中立的と思われる水準をかなり下回っている」
「予想物価上昇率が上がっていけば、緩和度合い調節することなく名目金利上げていける」
「円安、輸入価格上昇通じて実質所得下げる影響でたりする」
「政策運営にあたって最近の円安の動き注視したい」
「為替変動が基調的物価に影響するリスク高まる場合、政策対応必要になる」

9日16:40 カラハン・トルコ中銀総裁
「インフレ見通しの永続的な悪化を許容することはできない」
「引き締めに対する国内需要への影響を監視している」
「中銀には追加の引き締めを行う用意がある」

9日20:02 英中銀金融政策委員会(MPC)議事要旨
「MPCは7対2で5.25%の据え置きを決定」
「2人が0.25%の利下げを主張」
「CPIインフレ率は短期的に目標の2%近くに戻ると予想されているが、エネルギー関連のベース効果の巻き戻しによって今年下半期に若干上昇し、約2.5%になると予想されている」
「地政学的要因によって短期的なインフレ見通しには引き続き上振れリスクがある」
「インフレ率を持続的に2%の目標に戻すためには、金融政策が十分な期間に渡って制限的であり続ける必要がある」
「MPCはインフレ率を持続的に2%の目標に戻すため、金融政策を調整する用意がある」
「持続的なインフレ圧力と経済全体の回復力の兆候を引き続き注意深く監視していく」

9日20:37 ベイリー英中銀(BOE)総裁
「今後数カ月のインフレ率が目標に近づくことは心強い」
「データにサプライズがないのは、より正常な経済状況に戻りつつある証し」
「2月以降の賃金・サービスインフレが予想を上回ったことは、私たちに考えるきっかけを与えてくれるはずだが、過大解釈は禁物」
「今後数四半期に金利の引き下げが必要になる可能性が高い」
「現在市場金利に織り込まれている以上の利下げが必要になる可能性がある」
「利下げはデータの動向次第」
「利下げ幅や速度について先入観はない」

9日21:06 ブロードベント・イングランド銀行(英中銀、BOE)副総裁
「BOEの金利水準が最終的にどこに落ち着くのか、あまり正確な見通しはない」
「私なら、短期間の賃金よりもサービスインフレに注目するだろう」
「市場金利曲線は少し高いかもしれないが、不合理という意味ではない」

9日22:50 デギンドス欧州中央銀行(ECB)副総裁
「グローバル化から地域化へのシフトにより、将来的にインフレが高止まりする可能性」
「インフレはやや高めに、成長はやや低めになる見通し」

10日01:35 ピル英中銀金融政策委員会(MPC)委員兼チーフエコノミスト
「インフレと経済成長で励みになる兆しがある」
「インフレが抑制されたとの確信はまだない」

10日03:13 デイリー米サンフランシスコ連銀総裁
「今後数カ月のインフレ率について相当な不確実性が残される」
「インフレは非常にコントロールが難しい」

10日04:07 メキシコ中銀声明
「金融政策の慎重な運営が必要」
「金融政策は引き続き引き締め的となる」
「今後、インフレ環境を評価し、政策金利の調整について検討」
「メキシコペソはボラティリティの局面があった」
「2024年末の総合およびコアインフレ期待が上方修正」

※時間は日本時間

>本日の要人発言をリアルタイムで確認するならこちら

〔日足一目均衡表分析〕

<ドル円=三役好転消滅、転換線を支持に押し目買い>

ドル円0510

パラメータ0510

小陰線引け。
転換線(過去9日間の中心値)は、4/29高値160.17円が外れて154.93円へ下落して基準線を下回ったため三役好転が消滅した。
しかし、遅行スパンは実線を上回り、雲の上で引けていることで、買いシグナルが優勢な展開となっている。
孕み線で反落したものの転換線を上回って推移しており反発の可能性が示唆されている。

本日は基準線155.49円を念頭に置き、転換線を支持に押し目買いスタンスで臨み、同線を下抜けた場合は手仕舞い。

レジスタンス2 157.99(5/1高値)
レジスタンス1 156.02(4/29-5/3の下落幅の半値戻し)
前日終値 155.48
サポート1 154.93(日足一目均衡表・転換線)
サポート2 153.86(5/7安値)

>ドル円のリアルタイムチャートはこちら

<ユーロドル=横ばいの転換線を支持に押し目買いスタンス>

ユーロドル0510

パラメータ0510

陽線引け。
転換線は基準線を下回り、遅行スパンは実線を下回り、雲の下で引けていることで、三役逆転の強い売りシグナルが点灯している。
しかし、抱き線で反発して転換線を上回って引けており続伸の可能性が示唆されている。

本日は横ばいの転換線を支持に押し目買いスタンスで臨み、同線を下抜けた場合は手仕舞い。

レジスタンス1 1.0838(日足一目均衡表・雲の上限)
前日終値 1.0782
サポート1 1.0731(日足一目均衡表・転換線)

>ユーロドルのリアルタイムチャートはこちら

<ユーロ円=三役好転消滅、転換線を支持に押し目買い>

ユーロ円0510

パラメータ0510

陽線引け。
転換線が基準線を下回ったことで、三役好転が消滅したものの、遅行スパンは実線を上回り、雲の上で引けていることで、買いシグナルが優勢な展開となっている。
4手連続陽線で転換線を上回って推移しており続伸の可能性が示唆されている。

本日は転換線を支持に押し目買いスタンスで臨み、同線を下抜けた場合は手仕舞い。

レジスタンス1 168.66(5/1高値)
前日終値 167.63
サポート1 166.34(日足一目均衡表・転換線)

>ユーロ円のリアルタイムチャートはこちら

<豪ドル円=転換線を支持に押し目買いスタンス>

豪ドル円0510

パラメータ0510

陽線引け。
転換線は基準線を上回り、遅行スパンは実線を上回り、雲の上で引けていることで、三役好転の強い買いシグナルが点灯している。
6手連続陽線で転換線を上回って引けており続伸の可能性が示唆されている。

本日は転換線を支持に押し目買いスタンスで臨み、同線を下抜けた場合は手仕舞い。

レジスタンス1 104.94(4/29高値)
前日終値 102.92
サポート1 101.46(日足一目均衡表・転換線)

>豪ドル円のリアルタイムチャートはこちら

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