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本日の東京為替見通し(為替/FXニュース):円安継続、度重なる米国からの介入けん制発言で円安止められないか(2024年5月14日)

マーケットレポート

May 14, 2024

【前日の為替概況】ドル円、156.20円台まで上昇 1年先の期待インフレ率が上振れ

13日のニューヨーク外国為替市場でドル円は続伸。
終値は156.22円と前営業日NY終値(155.78円)と比べて44銭程度のドル高水準だった。
米長期金利の指標となる米10年債利回りが4.45%台まで低下すると円買い・ドル売りが先行し、一時155.69円付近まで下押しした。
ただ、NY連銀が公表した4月消費者調査で、1年先の期待インフレ率が3.3%と前月の3.0%から上昇し、約5カ月ぶりの高水準を付けたことが分かると、米10年債利回りが低下幅を縮小。
全般ドル買い戻しが優勢となった。

イエレン米財務長官が「G7国の通貨は市場で決定されるべき」「為替介入はまれな行為であるべき、他国への伝達必要」との考えを改めて強調すると、「政府・日銀が断続的に為替介入を行うのは困難になったのではないか」との見方から円売り・ドル買いが出やすい面もあった。
アジア時間の高値155.96円を上抜けると一時156.25円まで上値を伸ばした。

ユーロドルは小反発。
終値は1.0790ドルと前営業日NY終値(1.0771ドル)と比べて0.0019ドル程度のユーロ高水準だった。
米長期金利の低下に伴うユーロ買い・ドル売りが先行すると、前週末の高値1.0790ドルを上抜けて22時30分過ぎに一時1.0807ドルと日通し高値を付けた。
ただ、米消費者のインフレ期待が1年先と5年先で上昇したことが分かると、米長期金利が低下幅を縮小し、全般ドル買い戻しが優勢に。
NY午後に1.0787ドル付近まで下押しした。

なお、市場関係者からは「このところ市場の期待に反する形で米物価が上昇していることを示す調査結果が相次いで発表されており、投資家の警戒感が高まっている」との声が聞かれた。

ユーロ円は6日続伸。
終値は168.56円と前営業日NY終値(167.76円)と比べて80銭程度のユーロ高水準。
ユーロドルの上昇につれた買いが先行したあとは、ドル円の上昇につれた買いが入った。
イエレン米財務長官がG7国による為替介入に改めて否定的な姿勢を示したことも円売りを促し、一時168.66円と日通し高値を付けた。

【本日の東京為替見通し】円安継続、度重なる米国からの介入けん制発言で円安止められないか

本日のドル円相場は、値幅は限られるかもしれないが、本邦のファンダメンタルズの弱さや米国からの度重なる介入けん制で、堅調地合いを維持しそうだ。
本日は米国から4月の卸売物価指数(PPI)が発表され、その後パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長の講演も予定されていることが値動きを限定的にさせる可能性がある。
ただし、引き続きドル円の買い遅れ感は拭えず、ドル堅調地合いを維持しそうだ。

5月3日の4月米雇用統計発表後に151.86円まで弱含んだドル円だが、以後はじり高となっている。
その間、商品先物取引委員会(CFTC)が発表した円の先物ポジション状況では円ショートが大きく減少しているように、米系をはじめ一部ではドル売り・円買いの利食いが出ていた。
それにもかかわらず、先週からドル円の買い意欲は衰えていない。

ドル円が堅調なのは140円台から執拗に本邦当局が口先介入をしてきたことで、本邦勢を中心に買い遅れていること。
また、今年から始まった新NISA(少額投資非課税制度)で円資金が外貨に変換されていることなどもある。
すなわち、これまで政府や財務省主導で行われてきたこと(口先介入や新NISA導入)が逆にドル買い・円売りを呼び込んでしまい、自分で蒔いた円安を自分で火消し(円買い介入)をする悪循環に陥っている。

需給的だけではなく、様々な面で円安になりやすい。
先週発表された3月の毎月勤労統計の現金給与総額は予想を下回る僅か0.6%となり、物価変動を加味した実質賃金も過去最長の24カ月連続のマイナスだった。
昨日は日銀が国債の買い入れオペを前回から減額したことで、本邦債券は売られ(金利は上昇し)たが、円が買われたのは一瞬だった。
日銀が今後も長期国債の買い入れ削減を継続したとしても、ファンダメンタルズ面から日本経済は断続的に金利を引き上げられる状況ではないのは明白だ。
短期プライムレートが引き上げられた場合は、住宅ローンの引き上げにもつながり、国民負担が増す。
よって、利上げを行えば政権支持率が下がることを考えると、4月の補欠選で惨敗を喫した政府が積極的に日銀に利上げを促すのも難しいだろう。

また、昨日もイエレン米財務長官がブルームバーグのインタビューで為替介入について、再び「まれな行為であるべき」と念を押し、「極端なボラティリティーを抑える以外の目的で為替レートに手を加えないことでG7は合意している」と指摘した。
他にも、本邦当局から米当局への伝達がなかったのか「貿易相手国への伝達が必要」との批判めいた発言をしている。
4月29日以後に複数回にわたる介入けん制発言を行っていることで、この状況下で再び本邦当局者が積極的に、ドル売り・円買い介入を行うのは難しいと思われ、円安の進行は止められないかもしれない。

なお、本日は日銀から4月企業物価指数が発表される。
市場が大きく反応するのは難しいだろうが、その中で発表される輸入物価指数に注目したい。
コロナ禍で2022年は急上昇した同指数だが、その反動もあり昨年4月から前年比でマイナスとなった。
しかしながら、今年の2月から再びプラスに転じている。
ドル円は4月は150.81円を底に、一時160円台まで上昇した。
円安が輸入物価指数に反映されるのは若干タイムラグがあるだろうが、同指数が大幅に上昇過程をたどっていた場合は、今後の物価上昇が懸念され実質所得が更に下がる影響も出てくるだろう。

【本日の重要指標】 ※時刻表示は日本時間

<国内>
○08:50 ◇ 4月企業物価指数(予想:前月比0.3%/前年比0.8%)

<海外>
○15:00 ◎ 4月独消費者物価指数(CPI)改定値(予想:前月比0.5%/前年比2.2%)
○15:00 ◎ 4月英雇用統計(失業率/失業保険申請件数推移)
○15:00 ◎ 1-3月英失業率(ILO方式、予想:4.3%)
○15:30 ◇ 4月スイス生産者輸入価格
○16:30 ◎ ピル英中銀金融政策委員会(MPC)委員兼チーフエコノミスト、講演
○18:00 ◎ 5月独ZEW景況感指数(予想:46.0)
○18:00 ◎ 5月ユーロ圏ZEW景況感指数
○18:30 ◎ 1-3月期南アフリカ失業率(予想:32.3%)
○21:30 ◇ 3月カナダ卸売売上高(予想:前月比▲1.3%)
○21:30 ◎ 4月米卸売物価指数(PPI、予想:前月比0.3%/前年比2.2%)
    ◎  食品とエネルギーを除くコア指数(予想:前月比0.2%/前年比2.4%)
○22:10 ◎ クック米連邦準備理事会(FRB)理事、講演
○23:00 ☆ パウエルFRB議長、クノット・オランダ中銀総裁、討議に参加

※重要度、高は☆、中は◎、低◇とする。
※指標などの発表予定・時刻は予告なく変更になる場合がありますので、ご了承ください。

>本日発表予定のその他の経済指標についてはこちら

【前日までの要人発言】

13日22:34 ジェファーソン米連邦準備理事会(FRB)副議長
「経済は大きく前進し、インフレは後退した」
「労働市場は非常に回復力がある」
「インフレの低下は鈍化した」
「政策金利を制限的な領域に維持するのは適切」
「インフレが抑制されている証拠をさらに探すことが重要」

13日23:31 イエレン米財務長官
「G7の国の通貨は市場で決定されるべきだ」
「より高い金利軌道は財務面の課題を悪化させる」
「為替介入は過剰な動きへの対処であるべき」
「異なる金融スタンスは為替レートに影響する」
「為替介入はまれな行為であるべき、他国への伝達必要」
「ユーロ、円、人民元相場を注視している」

※時間は日本時間

>本日の要人発言をリアルタイムで確認するならこちら

〔日足一目均衡表分析〕

<ドル円=4/29-5/3レンジの61.8%戻しを目指す展開か>

ドル円0514

パラメータ0514

陽線引け。
155円半ばで支えられて上値を試し、4月29日から5月3日までの下落幅の半値戻しを超えた。
2日高値156.28円の手前で上昇一服もこの日の高値圏で引けている。
下値の固さを確認しており、目先は前述レンジの61.8%戻しとなる157円を目指す展開か。
下サイドは155.80円台の日足一目・基準線がまずは意識される。

レジスタンス2 157.99(5/1高値)
レジスタンス1 157.00(4/29-5/3レンジの下値から61.8%戻し)
前日終値 156.22
サポート1 155.17(5/9安値)
サポート2 154.07(日足一目均衡表・転換線)

>ドル円のリアルタイムチャートはこちら

<ユーロドル=下向きの200日線を巡る攻防が続く>

ユーロドル0514

パラメータ0514

陽線引け。
200日移動平均線を超えて1.08ドル台乗せも、3日高値1.0811ドルの手前で伸び悩んだ。
引け水準も僅かながら200日線を下回っている。
200日線を巡る攻防が続いているが、下向きの同線は本日1.0791ドルに位置。
その水準や昨日届かなかった3日高値を意識しながらの値動きとなりそうだ。
なお、本日は日足一目・転換線が1.0743ドルまで上昇し、基準線に並ぶ見込み。

レジスタンス1 1.0838(日足一目均衡表・雲の上限)
前日終値 1.0790
サポート1 1.0724(5/9安値)

>ユーロドルのリアルタイムチャートはこちら

<ポンド円=197円半ばの1日高値が視野に入りつつある>

ポンド円0514

パラメータ0514

陽線引け。
195円前半の日足一目・基準線を上抜けると上昇に勢いが増し、196円前半まで上値を伸ばした。
6日続伸し、急落した1日の高値197.43円も視野に入りつつある。
まずは4月29日から5月3日までの下落幅の下値から61.8%戻し197.04円がこなせるかを見極めたい。
下サイドは、195.20円台で横ばいの基準線が支持となりそうだ。

レジスタンス1 197.04(4/29-5/3レンジの下値から61.8%戻し)
前日終値 196.20
サポート1 195.27(日足一目均衡表・基準線)

>ポンド円のリアルタイムチャートはこちら

<NZドル円=昨日安値93円半ばが目先の支持に>

NZドル円0514

パラメータ0514

小陽線引け。
93円半ばで支えられ、上下に大きなヒゲを作った4月29日以来の94円台まで上昇した。
着実に水準を切り上げてきており、買い場探しという展開か。
昨日安値や93.10円台の9日安値が目先の支持水準として意識される。
上サイド、94円台は4月29日のヒゲ部分。
ピボットの水準を注視しながらの取引となりそうだ。

レジスタンス1 94.73(ピボット・ターニングポイント)
前日終値 93.98
サポート1 93.48(5/13安値)

>NZドル円のリアルタイムチャートはこちら

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