本日の東京為替見通し(為替/FXニュース):緩やかに円安進行か、農中外債売却にも注目集まる(2024年6月19日)

マーケットレポート

June 19, 2024

【前日の為替概況】ユーロドル、小幅続伸 仏・ユーロ圏の政治・財政を巡る過度な懸念が和らぐ

18日のニューヨーク外国為替市場でユーロドルは小幅ながら続伸。
終値は1.0740ドルと前営業日NY終値(1.0734ドル)と比べて0.0006ドル程度のユーロ高水準だった。
21時前に一時1.0710ドルと日通し安値を付けたものの、前日の安値1.0686ドルがサポートとして働くと買い戻しが優勢に。
フランスなどユーロ圏の政治や財政を巡る過度な懸念が和らいだこともユーロ買い・ドル売りを誘った。

米商務省が発表した5月米小売売上高が予想を下回ったことが分かると米長期金利の低下とともに全般ドル売りが活発化。
アジア時間の高値1.0741ドルを上抜けて一時1.0761ドルまで上値を伸ばした。

ただ、ロンドン16時(日本時間24時)のフィキシングに絡んだユーロ売り・ドル買いのフローが観測されると、1.0732ドル付近まで上値を切り下げた。

ドル円は4日続伸。
終値は157.86円と前営業日NY終値(157.74円)と比べて12銭程度のドル高水準だった。
米小売売上高の下振れをきっかけに全般ドル売りが優勢になると157.63円付近まで下押ししたものの、ユーロ円などクロス円の上昇につれた買いが入ると158.01円付近まで持ち直した。
ただ、米長期金利が低下する中で戻りは限定的だった。

なお、ウィリアムズ米ニューヨーク連銀総裁は「金融緩和に関する決定は今後の経済データ次第」と述べたほか、クーグラー米連邦準備理事会(FRB)理事は「インフレ率は現時点でなお高すぎるものの、経済情勢が正しい方向に進み続ける限り、年内の利下げ開始が適切になる」などと発言。

また、コリンズ米ボストン連銀総裁は「インフレ率が目標とする2%に持続的に向かっているか判断するのは時期尚早」と話したほか、バーキン米リッチモンド連銀総裁は「利下げ支持を検討する前にさらに数カ月分の経済データを分析する必要がある」と語った。

ユーロ円は続伸。
終値は169.54円と前営業日NY終値(169.31円)と比べて23銭程度のユーロ高水準。
ユーロドルの上昇につれた買いが優勢になると一時169.91円と日通し高値を付けたものの、ユーロドルが伸び悩むとユーロ円にも売りが出て169.35円付近まで下押しした。

【本日の東京為替見通し】緩やかに円安進行か、農中外債売却にも注目集まる

本日のドル円相場は、緩やかなペースながらも引き続き底堅い動きとなるか。
先週末の日銀政策決定会合に続き、昨日参議院財政金融委員会に出席した植田日銀総裁は「次回会合で政策金利の引き上げは十分あり得る」と、改めて7月の政策決定会合で利上げの可能性も示唆した。

しかしながら、市場の反応は非常に限られ、仮に7月に利上げした場合でも円高に反応するのは限定的になる可能性もある。
そして、逆に日銀が利上げ期待のハードルを上げてしまったことで、国債購入の減額程度ならば、むしろ円安がさらに進むことも考えられる。
また、この数日は米長期金利が低下しているにもかかわらず、ドル円は続伸していることを見ると、改めて需給的にも円売り意欲の根強さがうかがえる。

本日は本邦からは、5月貿易収支と日銀の政策決定員会の議事要旨が公表される。
貿易収支ではここ最近は市場の反応は鈍く、日銀議事要旨も今月行われたものではなく4月25-26日分のものであることで、市場が反応するのは難しいだろう。
他の市場の注目としては、兼ねてから問題になっていた農林中央金庫の外債投資の失敗による含み損について、外債を10兆円売却することが明らかになったことだ。
この売却による為替相場の影響も今後注目しておきたい。

本日は早朝に発表されたニュージーランド(NZ)の1-3月期経常収支以外は、アジア・オセアニア市場からは市場を動意づけるような経済指標の発表予定はない。
しかし、欧州入りの際に英国から消費者物価指数(CPI)が発表されることで、欧州勢参入直後から欧州通貨は動意づくことが予想される。
なお、本日は米国市場がジューンティーンスで休場となる。

【本日の重要指標】 ※時刻表示は日本時間

<国内>
○08:50 ◎ 5月貿易統計(通関ベース、予想:季節調整前1兆3137億円の赤字、季節調整済6252億円の赤字)
○08:50 ☆ 4月25-26日分の日銀金融政策決定会合議事要旨

<海外>
○15:00 ◎ 5月英消費者物価指数(CPI、予想:前月比0.4%/前年比2.0%)
○15:00 ◎ 5月英CPIコア指数(予想:前年比3.5%)
○15:00 ◇ 5月英小売物価指数(RPI、予想:前月比0.5%/前年比3.1%)
○17:00 ◇ 4月ユーロ圏経常収支(季節調整済)
○17:00 ◎ 5月南アフリカ消費者物価指数(CPI、予想:前月比0.2%/前年比5.2%)
○17:30 ◎ センテノ・ポルトガル中銀総裁、講演
○18:00 ◇ 4月ユーロ圏建設支出
○20:00 ◇ 4月南アフリカ小売売上高(予想:前年同月比0.3%)
○20:00 ◇ MBA住宅ローン申請指数
○23:00 ◎ 6月全米ホームビルダー協会(NAHB)住宅市場指数(予想:45)
○20日06:30 ☆ ブラジル中銀、政策金利発表(予想:10.50%で据え置き)
○トルコ(犠牲祭)、米国(ジューンティーンス)、休場

※「予想」は特に記載のない限り市場予想平均を表す。▲はマイナス。
※重要度、高は☆、中は◎、低◇とする。
※指標などの発表予定・時刻は予告なく変更になる場合がありますので、ご了承ください。

>本日発表予定のその他の経済指標についてはこちら

【前日までの要人発言】

18日10:06 植田日銀総裁
「金融・為替市場の動向や経済・物価への影響を十分注視」
「日本経済・物価を巡る不確実性は引き続き高い」
「景気の先行き、潜在成長率を上回る成長を続ける」
「消費者物価、見通し期間後半に目標と概ね整合的な水準に」
「国債購入、減額幅と手法は次回7月会合で決定・公表」
「4月以降の各種情報やデータ、概ね見通しに沿った内容」
「確実に目標実現まで確信持ててない」
「(国債買い入れ減額で)金融政策としての強いメッセージを出すのは控えたい」
「場合によっては、次回会合で政策金利の引き上げは十分あり得る」
「国債買い入れ減額と政策金利の引き上げは別物」
「通貨の信認、適切な政策運営で物価安定を通じて確保される」
「足もとの円安や輸入物価動向には注視必要」
「実質賃金の低下ペース、足もとは弱まっている」

18日13:32 オーストラリア準備銀行(RBA)声明
「インフレが目標範囲内に入るまでにはまだ時間を要すると見ている」
「最近のデータはまちまちだが、インフレの上振れリスクに対する警戒感を改めて示している」
「最適な金利水準の行方は不確実であり、あらゆる選択肢を排除していない」
「経済見通しには不確実性が高い」
「個人消費の伸びには不確実性がある」
「中期的なインフレ期待は現時点でインフレ目標と整合的」
「インフレは緩和しているものの、従来の予想よりペースが遅い」

18日14:39 ブロック豪準備銀行(RBA)総裁
「今回の会合で利上げを議論した」
「より包括的なCPIの数字が必要」
「インフレの上振れリスクに警戒感を示した」
「利下げは議論しなかった」
「4-6月期のCPIが重要」

18日19:40 デギンドス欧州中央銀行(ECB)副総裁
「政策金利に関する決定を下すベストタイミングは、欧州中央銀行(ECB)のマクロ経済予測の公表時期(9月予定)と一致する」

18日23:25 バーキン米リッチモンド連銀総裁
「インフレ率が2%に戻ると確信するには、ディスインフレの持続と拡大が必要」
「今年の第1四半期はインフレに対する確信が得られなかった」
「ヘッドラインのインフレ率は完全に正しい方向に向かっている」
「労働市場も正しい方向に向かっているとはいえ、雇用率はかなり低下」
「解雇率が加速しないか注視」

19日00:56 コリンズ米ボストン連銀総裁
「最近のインフレデータに過剰反応しないよう警告」
「インフレが2%に向けて低下しているかどうかを判断するのは時期尚早」
「FRBが金融政策に忍耐強くなるのは適切」
「最近のインフレデータは心強い」
「物価安定の回復には思ったよりも時間がかかるかもしれない」
「インフレは依然として目標を明確に上回っている」

19日02:23 ムサレム米セントルイス連銀総裁
「利下げを支持するデータが出るまで数四半期かかる可能性」
「小売売上高のデータは第2四半期の需要の緩やかな伸びを示唆する可能性」
「長期的な中立金利は0.5%を超えると予想」
「政策の引き締め度合いについては不確実性がある」
「労働市場はもはや過熱していないが、依然として引き締まっている」
「インフレ進展が停滞、もしくは反転した場合、利上げを支持する」

19日02:41 ローガン米ダラス連銀総裁
「今後数カ月のデータを注意深く見守る」
「インフレ率はまだ高すぎるが、目覚ましい進歩を遂げている」
「CPIのデータを見るのは素晴らしいことだが、2%に向かうと確信するには『あと数カ月』見る必要がある」
「中立金利は、おそらくパンデミック前よりも高くなっている」
「私の推測では、パンデミック前の低金利には戻らないだろう」

19日02:55 クーグラー米連邦準備理事会(FRB)理事
「経済情勢が『正しい方向』に進み続ける限り、年内の利下げが適切となる可能性が高い」
「経済情勢は正しい方向に進んでいる」

※時間は日本時間

>本日の要人発言をリアルタイムで確認するならこちら

〔日足一目均衡表分析〕

<ドル円=下値に上昇傾向の転換線を控え底堅く推移>

ドル円0619

パラメータ0619

小陽線引け。
来週には157円台へ上昇する見込みの一目均衡表・転換線156.69円などを下値に控え、底堅く推移している。

足もとでは5日移動平均線を上回る水準を維持しており、上向きの流れを維持している。
5日線は本日157.58円前後で推移。
同線付近で底堅さを示し、じり高の流れをたどるとみる。

レジスタンス1 158.26(6/14高値)
前日終値 157.86
サポート1 157.16(6/17安値)
サポート2 156.69(日足一目均衡表・転換線)

>ドル円のリアルタイムチャートはこちら

<ユーロドル=雲の下限付近で気迷いの状態>

ユーロドル0619

パラメータ0619

極小陽線引け。
一目均衡表・雲の下限付近で気迷いの状態だった。
切り上がる雲の下限は必ずしも強い抵抗にならず、1.0761ドルまで上振れる場面もあった。

しかし明日にも一目・転換線が低下する水準1.0760ドルにほぼ相当する同水準では頭打ちとなり、転換線の抵抗を意識させた。
反発が抑制されそうな状況は続いている。

レジスタンス1 1.0785(日足一目均衡表・転換線)
前日終値 1.0740
サポート1 1.0668(6/14安値)

>ユーロドルのリアルタイムチャートはこちら

<ユーロ円=基準線や昨日安値付近で底堅さ示しじり高へ>

ユーロ円0619

パラメータ0619

小陽線引け。
168.90円前後で低下中の一目均衡表・転換線を抵抗としたさえない展開を想定していたが上抜け、170円回復をうかがう状況となってきた。

ここからは上昇傾向の一目均衡表・基準線169.11円前後を支えに、下押しがあっても昨日安値168.97円は維持できそう。
じり高の展開が期待できる。

レジスタンス1 170.14(6/13高値)
前日終値 169.54
サポート1 168.97(6/18安値)

>ユーロ円のリアルタイムチャートはこちら

<豪ドル円=転換線付近で底堅さ示し年初来高値を更新>

豪ドル円0619

パラメータ0619

陽線引け。
一目均衡表・転換線104.04円前後で底堅さを示し、105.10円まで上伸した。
4月29日につけた104.94円を一気に抜いて年初来高値を更新。

104.55円前後で上昇中の5日移動平均線の上昇をともない上値を伸ばす展開を想定する。

レジスタンス1 105.43(2013/4/11高値=2013年高値)
前日終値 105.08
サポート1 104.55(5日移動平均線)

>豪ドル円のリアルタイムチャートはこちら

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