本日の東京為替見通し(為替/FXニュース):NYでの円買いもほぼ全戻し、新紙幣発行も円の価値はさらに低下(2024年7月4日)

マーケットレポート

July 4, 2024

【前日の為替概況】ドル円、高値更新後に緩むも160円後半から切り返す ユーロドルは5日続伸

3日のニューヨーク外国為替市場でドル円は上昇。
終値は161.69円と前営業日NY終値(161.44円)と比べて25銭程度のドル高水準だった。
仏政治や財政を巡る懸念が和らぐ中、欧州株相場の上昇を背景にリスク・オンの円売りが先行すると、20時過ぎに一時161.95円と1986年12月以来約37年半ぶりの高値を付けた。

ただ、その後発表の6月ADP全米雇用報告や前週分の米新規失業保険申請件数が予想より弱い内容となり、労働需給の緩和が示唆されると、米長期金利の低下とともに一転ドル売りが優勢に。
6月米ISM非製造業指数が予想を大幅に下回り、5月米製造業新規受注が予想に反して減少したこともドル売りを促し、23時過ぎには160.78円と日通し安値を更新した。

もっとも、1日の安値160.63円が目先サポートとして働くと買い戻しが優勢に。
円の先安観を背景に円売りが出やすい面もあり、5時過ぎには161.75円付近まで持ち直した。

なお、米連邦準備理事会(FRB)がこの日公表した6月11日-12日分の米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨では「利下げへの確信得るための追加情報を待っている」「多くの当局者は経済成長の漸進的冷え込みを認識」「当局者はインフレ目標へのさらなる緩やかな進展を認識」との見解が示された。

ユーロドルは5日続伸。
終値は1.0786ドルと前営業日NY終値(1.0745ドル)と比べて0.0041ドル程度のユーロ高水準だった。
低調な米経済指標が相次ぐと、米長期金利の低下とともに全般ドル売りが先行。
23時30分前に一時1.0817ドルと6月12日以来の高値を付けた。
ただ、同日の高値1.0852ドルが目先レジスタンスとして意識されると1.0778ドル付近まで下押しした。

ユーロ円は6日続伸。
終値は174.42円と前営業日NY終値(173.48円)と比べて94銭程度のユーロ高水準。
欧州の政局不安が和らぐ中、投資家のリスク志向が改善すると円売り・ユーロ買いが進行。
23時前に一時174.52円と1999年のユーロ導入以来の高値を付けた。
ドル円の下落につれた売りが出ると173.87円付近まで下げる場面もあったが、下押しは限定的だった。

【本日の東京為替見通し】NYでの円買いもほぼ全戻し、新紙幣発行も円の価値はさらに低下

本日の東京市場でも円安の流れは変わらないだろう。
昨日は米長期債利回りが大幅に低下したのにもかかわらず、ドル円は下げ幅をほぼ全て取り戻し、改めて円安トレンドの強さが感じられる。
更に対円以外のドル相場は、多少のドルの買い戻しが入ったとはいえ、対円ほど戻し幅もなく円安が顕著になっている。
昨日も円相場は、対ドルで1986年以来の円安になっただけではなく、対ユーロではユーロ導入以来の円の最安値を更新、ポンド円は2008年以来、豪ドル円は1991年以来の水準まで円安が進んだ。

円安が継続している要因は、岸田政権が円安対策を真剣に講じるような動きがみえないことも一因。
昨日は新紙幣発行に際して、日銀で記者会見を行った岸田首相は「新紙幣が親しまれ、経済に元気を与えることを期待」と述べたが、皮肉なことに円は数十年ぶりに価値を失っている。

昨日の米経済指標の結果を受け、米国は年末までに複数回の利下げ予想が高まった。
日銀の長期国債の買い入れの減額などは織り込みつつあり、日米金利差が縮小することを組み入れても円安傾向を変えられないでいる。
このような状況下でも、政権が円安対策を講じないのは、むしろ円安を容認しているのではないかと市場は徐々に受け止め始めている。

為替介入についても、前回の介入(4月29日と5月1日)後にイエレン米財務長官が介入に対して苦言を呈してから全くできないでいる。
米国がインフレへの対応で苦心している中で、ドル売り介入を行えば、米国から非難を浴びるのは至極当然であり、今後も余程過剰な動きではない限り介入も難しそうだ。

また、本日は米国市場が独立記念日で休場。
そういった中でのドル売り介入などは、再びイエレン氏をはじめ米当局者が懸念を表明するのは疑いようがなく、介入を行うのは更に困難だろう。
また、仮に介入などで円高が進んだ場合は、為替当局者と市場と間での対話がうまく取れていないことで、昨日NY時間のように円高局面があれば、すかさず円売りを待ち構えている投資家も多くいると予想される。

本日のアジア時間では、本邦からは対外対内証券投資以外は主だった経済指標等の発表予定はない。
また、オセアニアからは豪州の5月貿易収支が発表されるが、両指標とも大きく市場を動意づけるのは難しいだろう。
ただし英国では本日、下院総選挙の投票が行われるため、欧州勢参入後はポンドを中心に神経質な動きになりそうだ。
14年ぶりの労働党政権の誕生となることは確実視されているが、労働党がどの程度の議席を獲得するかによりポンドが動意づくことになるだろう。

【本日の重要指標】 ※時刻表示は日本時間

<国内>
○08:50 ◇ 対外対内証券売買契約等の状況(週次・報告機関ベース)

<海外>
○10:30 ◇ 5月豪貿易収支(予想:63.00億豪ドルの黒字)
○14:45 ◇ 6月スイス失業率(季節調整前、予想:2.2%)
○15:00 ◎ 5月独製造業新規受注(予想:前月比0.5%/前年同月比▲6.1%)
○15:30 ◎ 6月スイス消費者物価指数(CPI、予想:前月比0.1%)
○17:30 ◎ 6月英建設業購買担当者景気指数(PMI、予想:53.6)
○20:30 ☆ 欧州中央銀行(ECB)理事会議事要旨(6月6日分)
○23:15 ◎ チポローネECB専務理事、講演
○5日03:00 ◎ 6月ブラジル貿易収支(予想:58.00億ドルの黒字)
○英総選挙
○米国(独立記念日)、休場

※「予想」は特に記載のない限り市場予想平均を表す。▲はマイナス。
※重要度、高は☆、中は◎、低◇とする。
※指標などの発表予定・時刻は予告なく変更になる場合がありますので、ご了承ください。

>本日発表予定のその他の経済指標についてはこちら

【前日までの要人発言】

3日18:12 カマー国際通貨基金(IMF)欧州局長
「最新のユーロ圏インフレ指標はさらなる利下げ余地があることを示している」

3日20:16 ウィリアムズ米ニューヨーク連銀総裁
「実質中立金利の上昇の根拠はまだ明確ではない」

4日01:31 ストゥルナラス・ギリシャ中銀総裁
「最近のデータは、もう少し利下げを行うべき根拠を強めた」
「今年さらに2回の利下げは妥当」

4日03:00 米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨(6月11日-12日分)
「利下げへの確信得るための追加情報を待っている」
「多くの当局者は経済成長の漸進的冷え込みを認識」
「当局者はインフレ目標へのさらなる緩やかな進展を認識」
「5月CPIはインフレ進展のさらなる証拠を示した」
「多くの当局者は低所得世帯の負担を懸念」
「スタッフは失業率が2024年と2025年に緩やかに低下すると予測」
「一部の当局者は労働市場を注意深く監視する必要があると指摘」
「数人の当局者はインフレが続くか上昇する場合、利上げが必要となる可能性があると指摘」
「一部の当局者は長期金利が以前考えられていたよりも高いと指摘」
「目標を達成するには労働市場のさらなる緩やかな緩和が必要になる可能性」
「一部の当局者は貿易摩擦や地政学がインフレ目標に対するリスクと認識」

※時間は日本時間

>本日の要人発言をリアルタイムで確認するならこちら

〔日足一目均衡表分析〕

<ドル円=160円台の固さを確認、上値余地探る展開か>

ドル円0704

パラメータ0704

下影陽線引け。
161.95円まで約37年半ぶりの高値を更新後、160円後半まで失速。
しかし1日安値が支えとなり、161円台を回復して再び上昇した。

160円台の固さを確認しており、上値余地を探る展開は変わらずとみる。
昨日のように下向きの調整が入った場合でも、振り落とされないようにはしておきたい。
1日安値だけでなく、転換線・160.39円や6月28日安値なども支えとなる水準となりそうだ。

レジスタンス2 163.95(1986/12/16高値)
レジスタンス1 162.64(ピボット・レジスタンス2)
前日終値 161.69
サポート1 160.63(7/1安値)
サポート2 160.26(6/28安値)

>ドル円のリアルタイムチャートはこちら

<ユーロドル=1.0790ドル台の主要線を睨みながらの取引>

ユーロドル0704

パラメータ0704

陽線引け。
1.07ドル前半で支えられ、1.0810ドル台まで上昇した。
もっとも一目・雲を超えたところで買いが一服し、引けにかけては1.07ドル後半まで上げ幅を縮小している。

1.0790ドル台には基準線だけでなく、90・200日移動平均線も位置。
本日はそれら主要線を念頭に置きながらの値動きか。
一目・雲の上、昨日高値を超えるようだと、上昇に勢いがつくかもしれない。

レジスタンス1 1.0852(6/12高値)
前日終値 1.0786
サポート1 1.0710(7/2安値)

>ユーロドルのリアルタイムチャートはこちら

<ポンド円=押し目買いスタンス、3日安値が下値めど>

ポンド円0704

パラメータ0704

陽線引け。
2008年以来の205円台に乗せて上昇に勢いがつき、206.17円まで上げ幅を拡大した。
206円台を維持したまま、13手連続の陽線引けとなった。

上昇トレンドを強めながら、現状は止まったところが目先のレジスタンスという状況。
押し目を丁寧に拾いながらの取引は変わらずであり、本日は3日安値を下値めどと想定する。

レジスタンス1 207.14(ピボット・レジスタンス2)
前日終値 206.03
サポート1 204.63(7/3安値)

>ポンド円のリアルタイムチャートはこちら

<NZドル円=98円台乗せの転換線が支持となるか>

NZドル円0704

パラメータ0704

陽線引け。
98円前半で支えられ、98.70円台まで上値を伸ばした。
実体が狭いロウソク足を含めながらも、6手連続の陽線引けを記録。
着実にレンジを上に切り上げてきている。

一目・転換線は98.02円まで上昇し、相場の方向性を示している。
まずは同線が支持として働くか確かめたい。
下値の固さが確認できるようだと、100円も徐々に意識されそうだ。

レジスタンス1 99.15(ピボット・レジスタンス2)
前日終値 98.65
サポート1 98.02(日足一目均衡表・転換線)

>NZドル円のリアルタイムチャートはこちら

OANDA CFD

Provided by
DZH Finacial Research

「投資を面白く、投資家を笑顔に」をスローガンに、株式や為替など様々な金融マーケットの情報を提供。 豊富な経験を持つエキスパートが多数在籍し、スピーディー且つオリジナルな視点からの情報をOANDA Labに配信しています。
会社名:株式会社DZHフィナンシャルリサーチ
所在地:東京都中央区明石町8番1号 聖路加タワー32階
商号等:【金融商品取引業者】投資助言業/【登録番号】関東財務局長(金商)907号


本ホームページに掲載されている事項は、投資判断の参考となる情報の提供を目的としたものであり、投資の勧誘を目的としたものではありません。投資方針、投資タイミング等は、ご自身の責任において判断してください。本サービスの情報に基づいて行った取引のいかなる損失についても、当社は一切の責を負いかねますのでご了承ください。また、当社は、当該情報の正確性および完全性を保証または約束するものでなく、今後、予告なしに内容を変更または廃止する場合があります。なお、当該情報の欠落・誤謬等につきましてもその責を負いかねますのでご了承ください。

この記事をシェアする
一覧へ戻る

ホーム » マーケットニュース » 本日の東京為替見通し(為替/FXニュース):NYでの円買いもほぼ全戻し、新紙幣発行も円の価値はさらに低下(2024年7月4日)