July 5, 2024
【前日の為替概況】ドル円、一時161円割れまで反落 ユーロドルは1.08ドル前半まで上昇
4日のニューヨーク外国為替市場でドル円は反落。
終値は161.28円と前営業日NY終値(161.69円)と比べて41銭程度のドル安水準だった。
前日のさえない米経済指標を受けて米利下げ観測が高まると、日米金利差縮小を意識した円買い・ドル売りが入った。
20時過ぎに一時160.95円と日通し安値を付けた。
ただ、前日の安値160.78円が目先サポートとして働くと下げ渋った。
取引終了間際には161.30円付近まで下値を切り上げた。
もっとも、本日は米国市場が独立記念日の祝日で休場となったため、NY時間に限れば比較的狭いレンジでの値動きに終始した。
明日5日発表の6月米雇用統計の結果を見極めたいとの雰囲気もあった。
ユーロドルは6日続伸。
終値は1.0812ドルと前営業日NY終値(1.0786ドル)と比べて0.0026ドル程度のユーロ高水準だった。
仏政治や財政を巡る懸念が和らぐ中、欧州株相場の上昇に伴うリスク・オンのユーロ買い・ドル売りが入ると一時1.0814ドルと日通し高値を付けた。
ただ、前日の高値1.0817ドルを上抜けることは出来なかった。
欧州勢が引けたあとは1.08ドル台前半で値動きが細った。
なお、6月6日分の欧州中央銀行(ECB)理事会議事要旨では「一部メンバーがインフレの根強さに警戒感を示した」との見解が示されたものの、相場の反応は限られた。
ユーロ円は7営業日ぶりに小反落。
終値は174.37円と前営業日NY終値(174.42円)と比べて5銭程度のユーロ安水準。
20時過ぎに一時173.80円と日通し安値を付けたものの、前日の安値173.42円がサポートとして働くと買い戻しが優勢に。
ユーロドルの上昇につれた買いが入ると174.40円付近まで下値を切り上げた。
【本日の東京為替見通し】地合いは変わらず円安か、本邦個人消費支出にも注目
本日の東京市場でも円安の流れを変えるのは難しいだろう。
3日発表された米経済指標(6月ADP全米雇用報告、米ISM非製造業指数など)の結果を受け、米金利の急低下に伴ってドル円は160.78円まで弱含んだ。
その後も米金利は発表前の水準を回復できなかったのにもかかわらず、ドル円は同日に発表前水準を回復した。
昨日も調整のドル売り・円買いが入り、160.95円まで弱含んだが、再び161円前半までドル円は戻している。
多少の調整が継続される余地はあるが、円安地合いは変わらないか。
連日円安が続いているものの、今後の日米経済動向の先行きや、円安に歯止めをかける手段がないことを見ても円は売られやすそうだ。
上述のようにさえない米経済指標の結果で米金利は低下し、CMEグループの「フェドウォッチ」でも年末までに2回の利下げ予想が優勢となっている。
しかしながら、バイデン米大統領の支持率が急落していることで、トランプ氏が大統領に返り咲いた場合の金利上昇リスクを市場は警戒し始めている。
これはトランプ氏が中国からの輸入品に60%の関税を課すことを企てていることにより、米国のインフレが高進することが予想されることが要因。
米ゴールドマンサックスに至ってはトランプ氏の返り咲き後には5回の利上げの可能性も指摘している。
一方で、本邦の1-3月期実質国内総生産(GDP)が前年比で改定値の-1.8%から-2.9%まで大幅に下方修正さるなど、日本はスタグフレーションに陥る危険性が高い。
仮に年末までに米連邦準備理事会(FRB)が利下げを行った場合でも、その後は再び日米間の金利差が拡大する可能性が高いこともドル買い・円売り要因となる。
円安を止める手段についてだが、特効薬としての為替介入はあるものの、介入は中長期的には効果が薄いのはここ最近の動きでも一目瞭然だ。
しかも、イエレン米財務長官が前回の介入後、米国のインフレを高めるドル売り介入を行ったことに不快感を示して以来、為替介入が行われていない。
前回の介入は事前に本邦当局者が米当局者との連絡を怠っていたとの憶測も流れているが、いずれにしろ介入を警戒して相場観を見てしまうと、現在の本邦投機筋同様に円を売るチャンスを逃してしまいかねない。
また、岸田政権が円安対策を全く講じていないことで、円安をそれほど懸念していないのではないかとの声も聞こえてくる。
本日は本邦から5月の全世帯家計調査・消費支出が発表される。
米国の米個人消費支出(PCE)は市場が大きく反応する指標だが、本邦の消費支出はこれまでの反応は限定的だった。
しかし、今月の日銀政策決定会合では政策の変更もうわさされていることもあり、しっかりと結果を見ておく必要がある。
今年の3月までは2人以上世帯の消費支出は13カ月連続前年比でマイナスを記録していたが、4月にようやく+0.5%まで回復した。
ただし、内訳を見ると3月の318,713円から313,300円へと前月比ではマイナスになるなど、消費が回復しているとは言えない。
本邦経済の弱さを消費支出でも確認された場合は、7月の政策決定会合で短期金利引き上げなどの積極的な政策変更が難しくなる可能性もありそうだ。
なお、本日は米国から通常は注目度が高い雇用統計(6月分)が発表される。
しかし、上述のように3日の弱い米経済指標の後に、米金利の低下とともにドル円を売り込んだにもかかわらず、ドル円の下げ幅が限られていることを考えると、雇用統計の結果が予想よりも悪化した場合でも積極的にドル円を下攻めすることは難しそうだ。
逆に米金利が上昇し、ドル買いを促す結果となった場合には、3日高値161.95円を超えて162円台を通過し、再び円安傾向に拍車がかかる可能性もあるだろう。
ドル円以外では、英国下院総選挙の開票が日本時間本日の6時から開始した。
労働党が14年ぶりに政権を取ることが確実視されているが、選挙結果を受けて欧州勢がどのような動きをするかが注目される。
【本日の重要指標】 ※時刻表示は日本時間
<国内>
○08:30 ◇ 5月家計調査(消費支出、予想:前年比0.1%)
○08:50 ◇ 6月外貨準備高
○14:00 ◇ 5月景気動向指数速報値(予想:先行111.2/一致114.8)
<海外>
○15:00 ◎ 5月独鉱工業生産(予想:前月比0.1%/前年同月比▲4.3%)
○15:45 ◇ 5月仏鉱工業生産(予想:前月比▲0.5%)
○15:45 ◇ 5月仏貿易収支
○15:45 ◇ 5月仏経常収支
○16:00 ◇ 6月スイスSECO消費者信頼感指数
○16:00 ◎ ナーゲル独連銀総裁、講演
○18:00 ◎ 5月ユーロ圏小売売上高(予想:前月比0.2%/前年比0.1%)
○18:40 ◎ ウィリアムズ米ニューヨーク連銀総裁、あいさつ
○21:30 ☆ 6月カナダ雇用統計(予想:新規雇用者数変化2.25万人/失業率6.3%)
○21:30 ☆ 6月米雇用統計(予想:非農業部門雇用者数変化19.0万人/失業率4.0%/平均時給、前月比0.3%/前年比3.9%)
○23:00 ◇ 6月カナダIvey購買部協会景気指数
○6日01:00 ☆ 1-3月期ロシア国内総生産(GDP)確報値(予想:前年比5.4%)
○6日02:15 ◎ ラガルド欧州中央銀行(ECB)総裁、講演
○イラン大統領選の決選投票
○7日 フランス下院選第2回投票
※「予想」は特に記載のない限り市場予想平均を表す。▲はマイナス。
※重要度、高は☆、中は◎、低◇とする。
※指標などの発表予定・時刻は予告なく変更になる場合がありますので、ご了承ください。
【前日までの要人発言】
4日07:58 グールズビー米シカゴ連銀総裁
「インフレ率を2%に戻すには時間がかかる」
「金利を長く維持しすぎることは危険」
4日16:28 センテノ・ポルトガル中銀総裁
「経済政策の決定は、漸進的であるべき」
4日18:27 欧州委員会のドムブロフスキス上級副委員長
「中国による報復関税措置は懸念していない」
4日18:30 レーンECB専務理事兼主任エコノミスト
「インフレに対する警戒感は依然として残っている」
「賃金上昇圧力は、緩和傾向が続く見通し」
「われわれが来年インフレ率が下がると考える根拠は、高い賃金上昇率の最後の年であり、賃金上昇がより正常なものになるとみられるため」
4日20:42 欧州中央銀行(ECB)理事会議事要旨(6月6日分)
「メンバーはリスクバランスの方向性の変化について異なる見解を表明」
「賃金は依然として力強く成長している」
「労働市場について、メンバーは全体として持続的に堅調であると判断」
「金融引き締め政策の影響は徐々に薄れつつある」
「予想通りに景気回復が起こるかどうかについて、いくつかの疑問が提起」
「2026年のインフレ見通し、極めて不透明」
「政策が過度に成長を抑制しているとの懸念は低下している」
4日23:23 プーチン露大統領
「世界の安定を協議する上で、新たな米政権が必要」
※時間は日本時間
〔日足一目均衡表分析〕
<ドル円=160円台では支持となる水準多い>
陰線引け。
前日に記録した約37年半ぶりの高値を前に伸び悩むも、161円割れでは下げ渋った。
しかしながら、戻りも限られている。
上向きの一目・転換線は本日160.57円に位置。
その辺りは1日に支えらた水準でもあり、160円半ばが下値のめどとして意識される。
そこを下抜けても、6月下旬の安値圏160.20円台や4月29日高値160.17円と支持となるものは多い。
レジスタンス2 163.95(1986/12/16高値)
レジスタンス1 161.95(7/3高値)
前日終値 161.28
サポート1 160.57(日足一目均衡表・転換線)
サポート2 160.17(4/29高値)
<ユーロドル=雲の上限を念頭に置いた取引>
陽線引け。
1.07ドル後半から1.08ドル前半まで強含み、6手連続の陽線引け。
僅かながら一目・雲を上回って引けた。
雲の上限は1.0806ドルに位置し、本日も同水準を念頭に置きながらの取引きか。
雲の中で伸び悩んでも、1.0790ドル台には90・200日移動平均線や基準線など意識される線が控える。
徐々に下値を固めながら、上値余地を探る展開か。
レジスタンス1 1.0902(6/6・7高値)
前日終値 1.0812
サポート1 1.0710(7/2安値)
<ユーロ円=7手ぶり陰線も下値は着実に切り上げ>
下影小陰線引け。
174円半ばのユーロ導入以来の高値を前に上昇が一服し、一時173円後半まで下押しした。
7手ぶりの陰線引けではあるが、下値は着実に切り上げてきている。
日足一目・転換線や短・中・長期の移動平均線は全て上向きであり、上昇トレンドは依然として継続。
調整を挟みながらも結局は上値を探る動きを想定したい。
レジスタンス1 174.91(ピボット・レジスタンス2)
前日終値 174.37
サポート1 173.42(7/3安値)
<豪ドル円=108円半ばの3・4日高値を巡る攻防>
小陽線引け。
上昇の勢いはやや緩んだものの、108円前半では支えられた。
小幅ながら5手連続陽線引け。
下値の固さを確認した後なだけに、本日は3・4日高値108.51円を巡る攻防が注目される。
ただし、伸び悩んで昨日安値を割り込むようだと下押し幅を広げそうだ。
その場合、3日安値107.60円までは想定しておきたい。
レジスタンス1 109.00(心理的節目)
前日終値 108.47
サポート1 107.60(7/3安値)
Provided by
DZH Finacial Research
「投資を面白く、投資家を笑顔に」をスローガンに、株式や為替など様々な金融マーケットの情報を提供。
豊富な経験を持つエキスパートが多数在籍し、スピーディー且つオリジナルな視点からの情報をOANDA Labに配信しています。
会社名:株式会社DZHフィナンシャルリサーチ
所在地:東京都中央区明石町8番1号 聖路加タワー32階
商号等:【金融商品取引業者】投資助言業/【登録番号】関東財務局長(金商)907号
本ホームページに掲載されている事項は、投資判断の参考となる情報の提供を目的としたものであり、投資の勧誘を目的としたものではありません。投資方針、投資タイミング等は、ご自身の責任において判断してください。本サービスの情報に基づいて行った取引のいかなる損失についても、当社は一切の責を負いかねますのでご了承ください。また、当社は、当該情報の正確性および完全性を保証または約束するものでなく、今後、予告なしに内容を変更または廃止する場合があります。なお、当該情報の欠落・誤謬等につきましてもその責を負いかねますのでご了承ください。