本日の東京為替見通し(為替/FXニュース):中長期の円安傾向変わらずか、債券市場参加者会合に要注目(2024年7月9日)

マーケットレポート

July 9, 2024

【前日の為替概況】ユーロドル、8日ぶり反落 仏政局不安が残る

8日のニューヨーク外国為替市場でユーロドルは8営業日ぶりに反落。
終値は1.0824ドルと前営業日NY終値(1.0840ドル)と比べて0.0016ドル程度のユーロ安水準だった。
7日に実施された仏下院選挙の決選投票では、左派連合の新人民戦線(NFP)が最多議席となった。

1回目投票で第1勢力となった極右政党の国民連合(RN)は3位に後退し、極端な政策が進むといった最悪のシナリオを避けられたこともあり、欧州勢の参入後はユーロ買いが先行。
前週末高値の1.0843ドルをわずかに上抜けて、一時1.0845ドルまで値を上げた。
もっとも、仏政局不安が残る中で積極的に上値を試す動きとはならず、6月12日高値の1.0852ドルが目先のレジスタンスとして意識されると1.0820ドル台まで押し戻された。

ドル円は3営業日ぶりに小反発。
終値は160.83円と前営業日NY終値(160.75円)と比べて8銭程度のドル高水準だった。
アジア時間に下値の堅さを確認すると、欧州勢の参入後には161.12円まで本日高値を更新した。

ただ、前週末の米雇用統計後につけた高値161.33円には届かず、23時過ぎには160.48円付近まで失速。
売りが一巡すると再び160.80円台まで買い戻しが入ったが、明日からパウエル米連邦準備理事会(FRB)議長の半期に一度の議会証言を控える中で持ち高を傾けにくく、NY時間は160円台後半を中心とするレンジ内で方向感を欠いた。

ユーロ円は3日続落。
終値は174.08円と前営業日NY終値(174.21円)と比べて13銭程度のユーロ安水準だった。
18時前に174.63円までユーロ導入来の高値を更新したが、その後はユーロの買いが一服したことに伴って174円割れ水準まで上値を切り下げた。

【本日の東京為替見通し】中長期の円安傾向変わらずか、債券市場参加者会合に要注目

本日の東京市場では引き続き調整の円の買い戻し観測があるものの、中長期的な円安地合いは変わらないだろう。
先週、3日に1986年以来となる161.95円までドルが強含んだ後は、東京時間を中心に円の買い戻しの動きが根強い。
昨日も東京仲値の値決めにかけては円が売られたものの、値決め後は徐々に円の買い戻しが優勢となった。
本日も同様の動きとなる可能性もあるだろう。

もっとも、中長期的な円安傾向が反転するとは思えない。
昨日発表された5月の毎月勤労統計調査では、現金給与総額のうち所定内給与は1993年1月以来の大きさだった。
しかし、物価高の影響で実質賃金は、前月の-1.2%より弱い-1.4%で、今回でマイナスが26カ月連続となる過去最長を更新している。

先週の1-3月期の実質国内総生産(GDP)確報値の大幅修正(前期比年率で-1.8%から-2.9%)、5月消費支出の予想比下振れなど、本邦の弱い経済指標結果が続いているが、どの結果も6月の日銀政策決定会合後に発表されている。
よって、今月の日銀政策決定会合では積極的な政策変更が難しく、円金利上昇による円の買い戻しが断続的に続くことは考えにくく、円安トレンドは変わらないか。

一方で、米国もここ最近の経済指標では、インフレが落ち着きを取り戻す結果になっていることで、CMEグループの「フェドウォッチ」では年末までには2回の利下げを9割弱織り込んでいる。
しかしながら、米大統領選挙ではバイデン現大統領の高齢不安が払しょくできず、トランプ前大統領が再び勝利を収める可能性が濃厚になり、トランプ氏が中国への大幅な関税引き上げを掲げていることで、トランプ政権樹立後の米長期金利の上昇を予想する声が多い。
市場の第2次トランプ政権への注目度が増していることもあり、ドル売りを仕掛けることが難しい状況だ。

また、円安の流れが変わらないのは、岸田政権が何も円安対策を講じようとしないことで、市場が徐々に政権が円安を容認しているとの見解を持ち始めていることも一因。
先週3日に発表された2023年度の税収は72兆円を超え、4年連続で過去最高を更新した。
税収増は、歴史的な円安を背景に好調な企業業績で法人税収が約9000億円増加したことも一因。

また、公的年金の積立金を運用する年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)も、過去最大の45兆4000億円余りの黒字になったが、この要因の一つも円安があげられている。
政権は言葉だけでは円安についての懸念を示しているが、円安を止める政策などを講じないのは財務省を含め政権も税収などのメリットを享受する方を優先しているからとの指摘も出てきている。

本日の本邦からのイベントでは、日銀が「債券市場サーベイ」などに参加する金融機関の実務担当者を集めて行う、「債券市場参加者会合」の開催に要注目。
これまでも同会合は幾度も行われてきているが、植田日銀総裁が「国債買い入れ減額、市場参加者の意見も聞いて丁寧に進めたい」と発言していたことで、注目度が増している。
なお、同会合は銀行等グループが15時45分から、証券等グループが17時30分からの開始が予定されている。

円以外の通貨からも引き続き目が離せない。
週末のフランス決選投票の結果がサプライズだったものの、昨日のユーロ相場は値幅が限られた。
フランスの政局がまだ不透明なことで動意薄なだけで、この狭いレンジ取引が続くと考えるのは早計だろう。
もっとも、本日は半期に一度のパウエル米連邦準備理事会(FRB)議長の議会証言が予定されていることで、議会証言までは手を出しにくくなるかもしれない。

【本日の重要指標】 ※時刻表示は日本時間

<国内>
○08:50 ◇ 6月マネーストックM2
○債券市場参加者会合(日銀、10日まで)

<海外>
○09:30 ◇ 7月豪ウエストパック消費者信頼感指数
○10:30 ◇ 6月豪NAB企業景況感指数
○17:00 ◎ パネッタ欧州中央銀行(ECB)専務理事、講演
○18:00 ◎ チポローネECB専務理事、講演
○21:00 ◎ 6月メキシコ消費者物価指数(CPI、予想:前年比4.84%)
○22:15 ◎ バー米連邦準備理事会(FRB)副議長(銀行監督担当)、講演
○23:00 ☆ パウエルFRB議長、米上院銀行委員会で金融政策や経済情勢に関する半期に一度の証言
○10日02:00 ◎ 米財務省、3年債入札
○10日02:30 ◎ ボウマンFRB理事、講演
○北大西洋条約機構(NATO)首脳会議(ワシントン、11日まで)

※「予想」は特に記載のない限り市場予想平均を表す。▲はマイナス。
※重要度、高は☆、中は◎、低◇とする。
※指標などの発表予定・時刻は予告なく変更になる場合がありますので、ご了承ください。

>本日発表予定のその他の経済指標についてはこちら

【前日までの要人発言】

8日19:34 クノット・オランダ中銀総裁
「次回利下げは7月ではなく9月の見込み」
「ディスインフレの進展や市場の利下げ観測に満足」
「インフレ目標2%への到達は、2025年まで伸びることは想定していない」

8日20:07 ハスケル英中銀金融政策委員会(MPC)委員
「基調的なインフレ圧力が持続的に低下したという確実性が高まるまで、金利を据え置くことが望ましい」
「労働市場の状況とサービスインフレなどの基礎的なインフレ指標を注視」
「労働市場は引き続き逼迫しており、依然として悪化しているのではないかと懸念」

※時間は日本時間

>本日の要人発言をリアルタイムで確認するならこちら

〔日足一目均衡表分析〕

<ドル円=転換線付近の攻防継続>

ドル円0709

パラメータ0709

下影小陽線引け。
一時160.26円と、6月28日安値に並ぶ水準まで下振れた。
しかしNY終値では160.83円と、一目均衡表・転換線160.79円を上回る水準へ戻している。

本日、転換線は161.11円へ上昇。
同線の切り上がりに追随するように相場がさらに持ち直すか見定めたい。
しばらく同水準で横ばいとなる見込みの転換線付近で安定するか、下押しが進んで159.56円前後で上昇中の21日移動平均線も位置する下方向を試すか注視。
転換線前後の攻防が続く。

レジスタンス1 161.40(7/5高値)
前日終値 160.83
サポート1 160.26(6/28・7/8安値)
サポート2 159.56(21日移動平均線)

>ドル円のリアルタイムチャートはこちら

<ユーロドル=雲付近の底堅さ維持できるか注視>

ユーロドル0709

パラメータ0709

上影小陽線引け。
1.0802ドルと、先週末のレンジや一目均衡表・雲の上限を下回る水準で推移する場面もあった。
その後は一時1.0845ドルと、6月12日以来の高値をつける上振れも見せている。

本日1.0818ドルに位置する雲の上限付近の底堅さを維持できるか注視する展開。
雲の上限の目先の上昇に沿ったじり高が想定できる。
ただ、1.0791ドルでしばらく横ばいが続いた一目・基準線が明日にも低下する公算。
下押し局面の支えが弱まる可能性には注意したい。

レジスタンス1 1.0902(6/6・7高値)
前日終値 1.0824
サポート1 1.0761(日足一目均衡表・転換線)

>ユーロドルのリアルタイムチャートはこちら

<ポンド円=最高値圏で動きやや停滞>

ポンド円0709

パラメータ0709

上影小陽線引け。
5日移動平均線の上昇をともない年初来高値を更新する展開が続いている。

本日205.95円前後へ切り上がって推移している5日線近辺の攻防を見守ることになる。
同線を割り込んでも、一目均衡表・転換線204.59円が支えとなり大きく崩れる展開は回避できるとみる。
転換線は今週末には205円台まで上昇することが予想される。

レジスタンス1 206.67(7/8高値=年初来高値)
前日終値 205.98
サポート1 205.30(7/8安値)

>ポンド円のリアルタイムチャートはこちら

<NZドル円=高値圏で調整も、転換線前後で底堅さ示すか>

NZドル円0709

パラメータ0709

上影小陰線引け。
一時99.04円と、1986年以来の99円台回復となった。
しかし、その後は下押して98.50円と、5日移動平均線98.54円を割り込んでNYを引けている。

高値圏の調整進展も想定しておきたい。
ただ、上昇が続く見込みの一目均衡表・転換線98.25円付近から大きく下振れる展開は回避できるとみる。

レジスタンス1 99.04(7/8高値=年初来高値)
前日終値 98.50
サポート1 98.09(7/3安値)

>NZドル円のリアルタイムチャートはこちら

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