本日の東京為替見通し(為替/FXニュース):アジア通貨高で円独歩安は困難か、日銀総裁発言・RBA理事会に注目(2024年9月24日)

マーケットレポート

September 24, 2024

【前日の為替概況】ドル円、3日ぶり反落 米地区連銀総裁の「多くの利下げ予想」発言などが重し

23日のニューヨーク外国為替市場でドル円は3営業日ぶりに反落。
終値は143.61円と前営業日NY終値(143.85円)と比べて24銭程度のドル安水準だった。
20時過ぎに一時143.17円と日通し安値を付けたものの、売り一巡後は買い戻しが優勢に。
カシュカリ米ミネアポリス連銀総裁が「今後の利下げは小幅なステップを見込む」と述べたことや、ボスティック米アトランタ連銀総裁が「今回の会合での0.50%利下げは将来の利下げのペースを確定させるものではない」と発言したことを受けた。
米長期金利の上昇に伴う円売り・ドル買いが出ると一時144.34円付近まで値を上げた。

ただ、アジア時間に付けた日通し高値144.46円が目先レジスタンスとして意識されると失速した。
米長期金利が低下に転じたタイミングで一時143.26円付近まで下押しした。
グールズビー米シカゴ連銀総裁が「今後1年でさらに多くの利下げを予想」「先週の米連邦準備理事会(FRB)の0.50%利下げを支持」「金利は大幅に低下する必要がある」と話したことも相場の重し。

ユーロドルは下落。
終値は1.1111ドルと前営業日NY終値(1.1162ドル)と比べて0.0051ドル程度のユーロ安水準だった。
欧州時間発表の仏・独・ユーロ圏の9月製造業・サービス部門購買担当者景気指数(PMI)速報値が軒並み予想より弱い内容だったことが分かると、欧州景気の不透明感が意識されてユーロ売りが進行。
日本時間夕刻に一時1.1083ドルと日通し安値を付けた影響が残った。
なお、市場では「欧州中央銀行(ECB)が追加利下げを前向きに検討する可能性が意識された」との声が聞かれた。

もっとも、NY市場に入ると買い戻しが優勢となり下げ幅を縮めた。
欧州入り後に急ピッチで下落した反動が出て、23時30分過ぎには1.1143ドル付近まで下値を切り上げた。
一目均衡表基準線1.1102ドルや転換線1.1095ドルがサポートとして意識された面もあった。

ユーロ円は3日ぶり反落。
終値は159.57円と前営業日NY終値(160.59円)と比べて1円02銭程度のユーロ安水準。
ユーロ圏経済指標の悪化を受けて、20時過ぎに一時159.05円と本日安値を付けたものの、23時過ぎには160.53円付近まで持ち直した。
ただ、買い戻しが一巡すると再び弱含み、159.31円付近まで押し戻された。

【本日の東京為替見通し】アジア通貨高で円独歩安は困難か、日銀総裁発言・RBA理事会に注目

本日のドル円は昨日レンジを往復する値動きになりそうだ。
先週末の植田日銀総裁による早期利上げに対する慎重発言以後、ドル円は堅調地合いを保っている。
先週は一時140円を割り込む場面もあったが、市場が過大に日米金利差縮小を期待したことへの巻き戻しが短期的には出やすく、暫くドル円は支えられることになるだろう。

もっとも、市場では日銀の再利上げに対する予想はいまだに高い。
先週末の日銀声明文の内容も「消費者物価の基調的な上昇率は、マクロ的な需給ギャップの改善に加え、賃金と物価の好循環が引き続き強まり中長期的な予想物価上昇率が上昇していくことから、徐々に高まっていくと予想」とし、インフレ圧力について7月から変化が大きかったわけではない。

これまで市場があまりにも前のめりに早期の利上げを決め込んでいただけで、今後は日銀の利上げペースが多少鈍化する可能性はあるが、日米・中銀の政策金利の方向性の相違が引き続きドル円の上値を圧迫することになる。

また植田総裁は、7月・日銀会合後の会見での不用意発言で大幅に円高・株安が進んだことに対する反省から、今回は慎重な見解を示したとされている。
他にも27日に行われる自民党総裁選を前に、総裁選の有力候補の一人でもある高市早苗経済安全保障担当相は「金融緩和を我慢強くやらなければ、また元のデフレ状態に後戻り」と日銀の引き締め政策に反対しているなど、政治的な配慮も慎重な発言になった一因とされている。

そういったなか本日、植田総裁が午後に大阪経済4団体共催懇談会で挨拶を行う予定になっていることで、同総裁の真意を確かめる必要がある。
通常は挨拶文が直前か同時に日銀のホームページ等でも明らかされ、内容が前回の会見と相違がある場合には市場を動意づけることもありそうだ。

なお、本邦投資家は円相場にばかり目が移っているが、昨日はタイバーツ、先週末はマレーシア・リンギ、インドネシア・ルピア、シンガポール・ドルなどのアジア通貨が軒並み年初来高値(ドルの年初来安値)を更新した。
先週の米連邦公開市場委員会(FOMC)後も、この傾向は変わっていないことで、同じアジア通貨でドル円だけ買い戻しが進むのも難しいだろう。

ドル円以外では、本日は豪準備銀行(RBA)の理事会が開かれることで豪ドルの動きに注目。
市場では豪州のインフレトリム平均値が低下しているとはいえ3.8%台と高い水準で推移していることや、先週発表された豪州の8月雇用統計で失業率が高止まりし、常勤雇用者数が前月比で減少したことなどで、政策金利の据え置きが予想されている。

なお、今回の理事会は政治的な駆け引き材料に使われていることもあり、豪州では非常に注目されている。
チャーマーズ豪財務相はRBAの理事会改革を目指した法案を掲げているが、今回利下げが行われない場合は緑の党が財務相案には反対票を投じると宣言したことで、財務相の改革案が事実上廃案になる可能性が高い。
RBAがその点も考慮し、どのような声明文を公表するかにも注目したい。

【本日の重要指標】 ※時刻表示は日本時間

<国内>
○14:05 ◎ 植田日銀総裁、あいさつ

<海外>
○13:30 ☆ 豪準備銀行(RBA)政策金利発表(予想:4.35%で据え置き)
○17:00 ◎ 9月独Ifo企業景況感指数(予想:86.0)
○17:00 ◎ ミュラー・エストニア中銀総裁、講演
○20:00 ◎ エスクリバ・スペイン中銀総裁、講演
○22:00 ◇ 7月米住宅価格指数(予想:前月比0.2%)
○22:00 ◎ 7月米ケース・シラー住宅価格指数(予想:前年比5.9%)
○22:00 ◎ ボウマン米連邦準備理事会(FRB)理事、講演
○23:00 ◎ 9月米消費者信頼感指数(予想:104.0)
○23:00 ◎ 9月米リッチモンド連銀製造業景気指数(予想:▲12)
○25日01:00 ◎ ナーゲル独連銀総裁、講演
○25日02:00 ◎ 米財務省、2年債入札
○国連総会一般討論演説開始(ニューヨーク、30日まで)
○南アフリカ(伝統文化継承の日)、休場

※「予想」は特に記載のない限り市場予想平均を表す。▲はマイナス。
※重要度、高は☆、中は◎、低◇とする。
※指標などの発表予定・時刻は予告なく変更になる場合がありますので、ご了承ください。

>本日発表予定のその他の経済指標についてはこちら

【前日までの要人発言】

23日20:46 カシュカリ米ミネアポリス連銀総裁
「FRBの0.5%利下げは、インフレの大幅な進展と失業率上昇のリスクを考慮して正しい決断だった」
「リスクのバランスは、インフレ率の上昇から労働市場の一段の鈍化リスクへシフトしており、FF金利の誘導目標の引き下げが正当化される」
「労働市場は減速の兆候を示し、失業率は4.2%となお低水準ながら昨年よりは上昇している」
「利下げについては今後は小幅なステップを見込む」
「年内はあと2回の0.25%の利下げを見込む」

23日21:07 ボスティック米アトランタ連銀総裁
「インフレをめぐる不確実性と労働市場へのリスクの間の妥協案として50bpの利下げを支持した」
「今回の会合での50bpの利下げは将来の利下げのペースを確定させるものではない」
「名目中立金利は、3-3.25%前後と見込む」

23日23:18 グールズビー米シカゴ連銀総裁
「今後1年でさらに多くの利下げを予想」
「先週のFRBの0.50%利下げを支持」
「金利は大幅に低下する必要がある」
「FRBは労働市場の弱さに先手を打たなければならない」
「労働市場の悪化は通常急速に起こる」
「失業率は多くの人が完全雇用と考える水準」

※時間は日本時間

>本日の要人発言をリアルタイムで確認するならこちら

〔日足一目均衡表分析〕

<ドル円=基準線付近の攻防>

ドル円0924

パラメーター

小陰線引け。
143.82円に位置していた一目均衡表・基準線前後で動きが停滞した。
同線をやや下回ってNYを引けている。

本日早朝は143.47円へ低下した基準線を上回って推移している。
基準線の低下に引っ張られるリスクはあるものの、現水準を維持できれば基準線の重しを克服できたと考えていいだろう。
下押しが進んでも切り上がりが予想される一目・転換線142.04円がやがて支えになってくるとみる。

レジスタンス1 144.23(9/5高値)
前日終値 143.61
サポート1 142.79(9/20上昇幅の61.8%押し)
サポート2 142.04(日足一目均衡表・転換線)

>ドル円のリアルタイムチャートはこちら

<ユーロドル=転換線付近で神経質な推移>

ユーロドル0924

パラメーター

下影陰線引け。
1.1083ドルまで下振れたものの、一目均衡表・基準線1.1102ドルと転換線1.1096ドルも前後に推移する1.11ドルの節目を割り込んだ水準では底堅さを示した。
同大台を回復してNYの取引を終えている。
ただ、反発力は十分ではなく陰線で引けた。
小幅に切り上がった転換線1.1098ドルを支えとしたじり高を期待したいが、同線はほどなく頭打ちとなる公算。
転換線の低下前にレンジを切り上げられるか注視する神経質な局面といえる。

レジスタンス1 1.1182(9/20高値)
前日終値 1.1111
サポート1 1.1034(ピボット・サポート2)

>ユーロドルのリアルタイムチャートはこちら

<ポンド円=雲の下限付近を支えに200日線回復目指す>

ポンド円0924

パラメーター

下影小陽線引け。
一時192.44円と、相場の強弱の節目である200日移動平均線の回復をうかがう状況となった。
同線は本日192.51円前後で推移。
トライにいったん失敗しても、上昇傾向の一目均衡表・雲の下限190.61円前後で下支えされ、再び200日線を試す展開が想定できる。

レジスタンス1 192.44(9/23高値)
前日終値 191.69
サポート1 190.61(日足一目均衡表・雲の下限)

>ポンド円のリアルタイムチャートはこちら

<NZドル円=雲の中、5日線前後を維持したじり高予想>

NZドル円0924

パラメーター

小陽線引け。
下押し場面を挟みつつも、一目均衡表・雲の中で底堅さを維持して推移した。
雲の中で上昇中の5日移動平均線を上回る水準で推移。
動意が停滞しやすい雲の中とあってペースは緩慢かもしれないが、5日線(本日89.39円前後)付近のレンジを維持したじり高の流れを予想する。

レジスタンス1 91.05(日足一目均衡表・雲の上限)
前日終値 89.99
サポート1 89.20(日足一目均衡表・雲の下限)

>NZドル円のリアルタイムチャートはこちら

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