November 22, 2024
【前日の為替概況】ユーロドル、1.0462ドルまで続落 ドル円は反落も154円割れでは下げ渋る
21日のニューヨーク外国為替市場でユーロドルは3日続落。
終値は1.0474ドルと前営業日NY終値(1.0544ドル)と比べて0.0070ドル程度のユーロ安水準だった。
「ロシアが大陸間弾道ミサイル(ICBM)を発射した」と伝わると、ロシアとウクライナを巡る地政学リスクへの懸念からユーロ売り・ドル買いが優勢となった。
ユーロ圏経済の先行き不透明感から欧州中央銀行(ECB)が12月に追加利下げを決めるとの見方も根強く、ユーロ売りが出やすい面もあった。
前日の安値1.0507ドルや14日の安値1.0497ドルを下抜けると目先のストップロスを巻き込んで、一時1.0462ドルと昨年10月4日以来の安値を更新した。
11月ユーロ圏消費者信頼感速報値が予想を下回ったことも相場の重し。
なお、グールズビー米シカゴ連銀総裁はこの日、「米連邦準備理事会(FRB)は追加利下げを実施しなければならない」としながらも、「利下げは一段と緩やかなペースで行う必要がある」と改めて表明した。
ドル円は反落。
終値は154.54円と前営業日NY終値(155.44円)と比べて90銭程度のドル安水準だった。
ロシアが攻撃の一環としてICBMを使用したと伝わると、ロシアとウクライナの戦闘激化に対する警戒が高まった。
米国株相場が下げに転じたタイミングでリスク・オフの円買い・ドル売りが強まると一時153.91円と日通し安値を付けた。
ただ、売り一巡後は下げ渋る展開に。
米国株相場の持ち直しや米長期金利の上昇に伴う円売り・ドル買いが出ると、3時30分過ぎには154.70円付近まで下値を切り上げた。
なお、この日発表の11月米フィラデルフィア連銀製造業景気指数や10月米景気先行指標総合指数は予想を下回った一方、前週分の米新規失業保険申請件数や10月米中古住宅販売件数は予想より強い内容となるなど、強弱入り混じる結果となった。
ユーロ円は下落。
終値は161.87円と前営業日NY終値(163.88円)と比べて2円01銭程度のユーロ安水準。
ロシアとウクライナを巡る地政学リスクへの警戒からリスク回避の円買いが先行。
ユーロドルの下落につれた売りも出ると一時161.75円と日通し安値を更新。
その後の戻りも162.20円付近にとどまった。
【本日の東京為替見通し】ドル円、10月コアCPIを見極めた後はウクライナ情勢に要注目か
本日の東京外国為替市場のドル円は、日本の10月のコア消費者物価指数(CPI)を見極めた後は、ウクライナ情勢を巡る関連ヘッドラインに警戒することになる。
植田日銀総裁は、昨日の「パリ・ユーロプラスファイナンシャル・フォーラム2024」での講演で、12月18-19日の日銀金融政策決定会合に関して、「現時点で会合の結果を予測するのは不可能だ」と述べた。
12月会合に向けては「まだ1カ月程度ある。それまでの期間に非常に多くのデータや情報が利用可能となるだろう」と述べており、本日は日本の10月のコアCPIを見極めることになる。
植田総裁はまた、「12月会合で利上げの是非を巡り活発な議論が行われるであろう。為替変動の要因も含め、経済・インフレ見通しを策定する際には為替レートの変動も考慮する」とも述べており、7月会合のような円安抑制のための追加利上げの可能性を示唆したのかもしれない。
8時30分発表の10月全国消費者物価指数(CPI、生鮮食品を除く総合)は、前年比+2.2%と予想されており、9月の同比+2.4%からの伸び率鈍化が見込まれている。
政府による電気・ガス代補助の再開によって、エネルギーの上昇幅が縮むことが背景にある。
総合経済対策において石破政権は、10月使用分で終了する補助金を来年1月の使用分から再開させて3月まで実施することを示唆しており、当分の間は、日本のインフレ率は鈍化傾向が見込まれている。
植田総裁は、先日「経済・物価が足元で見通し通りに進捗して見通しが実現する確度がある程度高まるという自信が得られれば次のステップに移る」と述べていた。
政府による補助金でインフレ率が抑えられている状況で、12月会合での追加利上げ、あるいは据え置きの判断を見極めていくことになる。
ウクライナ情勢に関しては、ウクライナ軍は19日に米国製地対地ミサイルでロシア領を攻撃し(※下値153.29円)、20日には英国製長距離ミサイルでロシア領内の軍事施設を攻撃した(※下値155.06円)。
そして昨日は、ロシアが初めて大陸間弾道ミサイル(ICBM)を発射した(※下値153.91円)と報じられている。
プーチン露大統領は、21日に国営テレビで放送された国民向けの演説で、「ロシア・ウクライナ戦争は世界規模の紛争にエスカレートしつつある。ロシアは反撃する可能性がある」と警告した。
ウクライナとロシアは、「安全保障のジレンマ」という負のスパイラルに陥りつつあり、ロシアがウクライナ軍に対する限定的な戦術核の使用に踏み切る可能性に警戒しておくべきかもしれない。
【本日の重要指標】 ※時刻表示は日本時間
<国内>
○08:30 ☆ 10月全国消費者物価指数(CPI、生鮮食品を除く総合、予想:前年比2.2%)
○08:30 ☆ 10月全国CPI(生鮮食料品・エネルギー除く、予想:前年比2.2%)
<海外>
○09:00 ◎ 7-9月期シンガポール国内総生産(GDP)確定値(予想:前期比年率2.7%)
○09:01 ◇ 11月英消費者信頼感指数(Gfk調査、予想:▲22)
○16:00 ◎ 10月英小売売上高(自動車燃料含む、予想:前月比▲0.3%/前年比3.4%)
○16:00 ◎ 10月英小売売上高(自動車燃料除く、予想:前月比▲0.4%/前年比3.3%)
○16:00 ☆ 7-9月期独GDP改定値(季節調整済、予想:前期比0.2%/前年同期比▲0.2%)
○16:00 ☆ 7-9月期独GDP改定値(季節調整前、予想:前年同期比0.2%)
○17:15 ◎ 11月仏製造業購買担当者景気指数(PMI)速報値(予想:44.5)
○17:15 ◎ 11月仏サービス部門PMI速報値(予想:49.0)
○17:30 ◎ ラガルド欧州中央銀銀行(ECB)総裁、講演
○17:30 ◎ 11月独製造業PMI速報値(予想:43.0)
○17:30 ◎ 11月独サービス部門PMI速報値(予想:51.6)
○17:40 ◎ デギンドスECB副総裁、講演
○18:00 ◎ 11月ユーロ圏製造業PMI速報値(予想:46.0)
○18:00 ◎ 11月ユーロ圏サービス部門PMI速報値(予想:51.6)
○18:30 ◎ 11月英製造業PMI速報値(予想:50.0)
○18:30 ◎ 11月英サービス部門PMI速報値(予想:52.0)
○21:00 ◎ 7-9月期メキシコGDP確定値(予想:前期比1.0%/前年比1.5%)
○22:00 ◎ ナーゲル独連銀総裁、ビルロワドガロー仏中銀総裁、講演
○22:30 ◎ 9月カナダ小売売上高(予想:前月比0.4%/自動車を除く前月比0.5%)
○23:45 ◎ 11月米製造業PMI速報値(予想:48.8)
○23:45 ◎ 11月米サービス部門PMI速報値(予想:55.2)
○23:45 ◎ 11月米総合PMI速報値(予想:54.3)
○24:00 ◎ 11月米消費者態度指数(ミシガン大調べ、確報値、予想:73.7)
○23日00:45 ◎ シュナーベルECB専務理事、講演
※「予想」は特に記載のない限り市場予想平均を表す。▲はマイナス。
※重要度、高は☆、中は◎、低◇とする。
※指標などの発表予定・時刻は予告なく変更になる場合がありますので、ご了承ください。
【前日までの要人発言】
21日06:16 コリンズ米ボストン連銀総裁
「政策は依然として制限的であるため、追加の利下げが必要」
「利下げを急ぎたくない」
「利下げが遅すぎると労働市場に悪影響を与える可能性がある」
「金融政策は経済見通しに対して適切な位置にある」
「金融政策は事前に設定されたコースではない」
21日14:20 植田日銀総裁
「テクノロジーの進化、金融安定上の新たなリスクの源泉にもなり得る点に留意必要」
「トランプ次期米政権の政策が発表された段階で状況を注視する」
「12月会合までに多くのデータが出る。12月会合の結果を予測するのは不可能」
「各会合ごとにデータを精査して判断」
「短期的な為替の動きにはコメントしない」
「現在の為替変動要因も含め、経済・インフレ見通しを立てる上で為替変動を考慮」
21日14:32 ビルロワドガロー仏中銀総裁
「物価と成長のリスクは下方向」
「欧州中央銀行(ECB)は制約的な金融政策を解除し続けるべき」
「2025年のインフレ率は2%程度で継続する見通し」
「次期米政権の関税は、欧州のインフレ見通しに著しい打撃は与えない見込み」
「欧州ではインフレに対する勝利が視野に入っている」
21日15:13 ウィリアムズ米ニューヨーク連銀総裁
「金利はさらに低下する可能性がある」
「ディスインフレは続くだろう」
「インフレは鎮静化しつつあっる」
21日18:39 ストゥルナラス・ギリシャ中銀総裁
「12月の0.25%利下げは正しい対応」
「中立金利は平均で約2%」
「2%に達するまで会合ごとに利下げすべき」
「ECBが中立金利を下回る必要があるか判断するのは時期尚早」
「第3四半期の賃金上昇は一時的」
21日20:05 トルコ中銀声明
「10月のインフレ基調は低下した」
「前四半期の指標は内需の減速が続き、ディスインフレ水準に達していることを示唆している」
「ディスインフレ・プロセスは力強さを増す」
「インフレ期待と価格決定行動は改善傾向にあるが、ディスインフレのプロセスには引き続きリスクがある」
「月次インフレ率の基調的な低下が顕著かつ持続的に観察され、インフレ期待が予想レンジに収束するまで、金融引き締めスタンスを維持する」
「政策金利の水準は、予想されるディスインフレ経路で必要とされる引き締めを確保する形で決定される」
21日22:39 クガニャゴ南ア準備銀行(SARB)総裁
「保護主義の高まりが貿易や物価に打撃を与える可能性」
「4.5%のインフレは低いインフレではない」
「インフレ目標の議論についてタイムラインは示せない」
「環境は不透明、注意が必要」
「ディスインフレのプロセスは困難に直面している」
「MPCは0.50%の利下げを議論しなかった」
「今回の決定は全会一致」
21日23:16 ホルツマン・オーストリア中銀総裁
「12月利下げの可能性は高いが、確実ではない」
「物価リスクがある中で政策は制限的であると言わざるを得ない」
「インフレが2%を下回るとの警告は根拠がない」
22日00:24 マン英中銀金融政策委員会(MPC)委員
「BOEは持続性を評価するために金利を長く維持すべき」
「基調的なインフレ動向の変化を待っている」
「1.00%の引き下げは、私にとっては積極的すぎる」
22日02:28 グールズビー米シカゴ連銀総裁
「インフレは2%へ低下する道筋にある」
「労働市場は安定し、完全雇用の状態へ移行している」
「来年にかけ金利は現時点より低いところに終始しそう」
「金利の落ち着きどころに近づき、利下げが遅いぺースになることは正当」
※時間は日本時間
〔日足一目均衡表分析〕
<ドル円=155円台に乗せた転換線がポイントに>
陰線引け。
日足一目・転換線や20日安値を下抜けて、一時154円も割り込んだ。
153円台で上向きの21日線が支持となり、一巡後は切り返すも4手ぶりの陰線引け。
本日は155.02円まで上昇した転換線まで持ち直せるかがポイント。
同線をしっかりと上抜ければ、昨日下落の全戻しの可能性も高まる。
下サイドは153.70円台の21日線が支持となるか見極め。
割り込むと153円割れの基準線が視野に入る。
レジスタンス1 155.45(11/21高値)
前日終値 154.54
サポート1 153.79(21日移動平均線)
サポート2 152.92(日足一目均衡表・基準線)
<ユーロドル=22年12月以来の1.03ドル台が視野に>
陰線引け。
14日安値の下抜けに成功し、昨年10月安値1.0448ドルの手前では下げ渋るも3手連続の陰線引け。
日足一目・転換線は1.0563ドルまで大きく水準を切り下げてきた。
揺り戻しがあったとしても同線辺りの売り圧力は強いままと見る。
下サイドは22年12月以来の1.04ドル割れが視野に入ってきている。
レジスタンス1 1.0563(日足一目均衡表・転換線)
前日終値 1.0474
サポート1 1.0394(2022/12/1安値)
<ポンド円=200日線を念頭に置いた取引き>
大陰線引け。
日足一目・基準線が抵抗となり、196円台で低下中の転換線を下抜けると194円台まで下げ足を速めた。
本日は194.70円台で上向きの200日線を念頭に置いた取引き。
相場の強弱を判断する上の分岐点である同線の下で推移が続くと、193円半ばの19日安値や193円付近の90日線を目指す展開が想定される。
レジスタンス1 196.01(日足一目均衡表・転換線)
前日終値 194.55
サポート1 193.01(90日移動平均線)
<NZドル円=転換線から基準線が抵抗帯として意識>
陰線引け。
91円前半の一目・基準線が重しとなり、転換線を割り込むと90円前半まで下落幅を広げた。
雲の上限が支えとなるも2手連続の陰線引け。
雲の上限は90円付近に位置し、来週末にかけて90円後半まで上昇が示唆される。
同水準の切り上げに沿った動きは今後想定されるが、本日は91円付近の転換線から91.30円で横ばいの基準線が抵抗帯として意識されそうだ。
レジスタンス1 91.30(日足一目均衡表・基準線)
前日終値 90.55
サポート1 90.00(日足一目均衡表・雲の上限)
Provided by
DZH Finacial Research
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