本日の東京為替見通し(為替/FXニュース):ドル円、一進一退で方向感出ず 市場の注目は欧州通貨に(2024年11月25日)

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November 25, 2024

【前日の為替概況】ユーロドル、4日続落も1.03ドル台では下げ渋る ドル円は一時155円台乗せ

22日のニューヨーク外国為替市場でユーロドルは4日続落。
終値は1.0418ドルと前営業日NY終値(1.0474ドル)と比べて0.0056ドル程度のユーロ安水準だった。
欧州時間発表の仏・独・ユーロ圏の購買担当者景気指数(PMI)が低調な内容となり、ユーロ圏の景況感悪化が示されると全般ユーロ売りが進行。
重要なサポートとして意識されていた昨年10月3日の安値1.0448ドルを下抜けて一時1.0335ドルと2022年11月以来2年ぶりの安値を更新した。
市場では「ウクライナ情勢の緊迫化にユーロ圏景気の失速懸念が重なり、独長期金利の低下とともにユーロ売りが膨らんだ」との声が聞かれた。

ただ、NY市場では急ピッチで下落した反動などが出たため下げ渋った。
週末を控えたポジション調整目的のユーロ買い・ドル売りも入り、1.04ドル台前半でのもみ合いに終始した。
なお、センテノ・ポルトガル中銀総裁は「インフレは目標通りだが経済は苦戦している」「下方リスクのシナリオでは、より大きな利下げが議論される可能性」と述べたほか、ナーゲル独連銀総裁は「インフレ目標は遅くとも2025年半ばまでに達成されるだろう」「今後数カ月でさらなる利下げが行われる可能性」などと語った。

ドル円は反発。
終値は154.78円と前営業日NY終値(154.54円)と比べて24銭程度のドル高水準だった。
22時30分過ぎに一時154.19円付近まで値を下げたものの、アジア時間に付けた日通し安値153.97円が目先サポートとして働くとじりじりと下値を切り上げた。

本日発表の11月米製造業PMI速報値は市場予想と一致し、サービス部門と総合は予想を上回った。
米景気の底堅さが示されたことも相場の支援材料となり、24時前に一時155.02円と日通し高値を付けた。
ただ、その後発表された11月米ミシガン大学消費者態度指数確報値が予想を下回ると上昇は一服。
154円台後半で徐々に値動きが鈍った。

ユーロ円は続落。
終値は161.24円と前営業日NY終値(161.87円)と比べて63銭程度のユーロ安水準。
この日発表されたユーロ圏の景況感を示す指標が総じて弱い内容だったことから、欧州市場では一時159.93円と10月2日以来の安値を付けた。
ただ、NY市場ではユーロドルと同様に、急ピッチで下落した反動などが出て161円台前半で下げ渋った。

【本日の東京為替見通し】ドル円、一進一退で方向感出ず 市場の注目は欧州通貨に

本日の東京時間のドル円は154円台を中心に一進一退か。
日銀の12月の政策決定会合への注目度は高いが、先週末から相場の注目が欧州通貨に移りつつある。
先週発表された仏・ユーロ圏・英の製造業購買担当者景気指数(PMI)が市場予想から下振れ、サービス部門については独も含めて弱い結果となった。
また、ロシアとウクライナの戦火拡大、トランプ大統領の返り咲きによる財政負担増や通商摩擦再燃、ドイツの総選挙への不安など、ユーロ圏からはポジティブ要素を探すのが難しい状況だ。
引き続き今週もユーロを中心とした相場展開となるだろう。

円相場に関しては、12月日銀政策決定会合で昨年のデジャヴを期待する声が強まっていることが円買い要因。
先週21日の「パリ・ユーロプラスファイナンシャル・フォーラム2024」での講演で植田日銀総裁は、「今後1カ月間に発表される多くのデータや情報が政策決定会合の決定要因」と言及。
先月初旬には石破自民党総裁が首相の就任直後に「経済物価が見通し通り動けば緩和の度合いを調整するが、本当にそうか見極める時間があるので丁寧にやる」という発言と比較すると、大きく見解が変わったといえる。
その間に発表された本邦の主な指標は下記の通り。

・全国CPI(コア)・・・(植田総裁の「時間がある発言」前に発表された8月分2.8%)、9月2.4%、10月2.3%
・全国CPI(コアコア)・・・(8月2.0%)、9月2.1%、10月2.3%
・実質賃金・・・(7月0.3%)、8月-0.8%、9月-0.4%(注:9月は先週22日に-0.1%から下方修正)
・実質GDP前期比年率・・・(4-6月期2.2%)、7-9月期0.9%、(注:4-6月期分は15日に2.2%へ下方修正)となっている。

全国CPIのコアコアはやや上昇傾向にあるが、ほかの指標をみると決して利上げできる環境とは思えない。
しかしながら、これらの指標にかかわらず植田日銀総裁が10月末に「時間的な余裕がある」という言葉を今後は使わないと述べたことは、ここ最近の傾向として日銀が政権の意向に忠実なことで、石破政権の意向を含め12月は利上げもしくはタカ派声明は決定事項に近いとの声もある。

結果ありきでの植田総裁発言であれば、今週29日の東京都区部CPIが少しでも強い数字となった場合は、12月にかけて本邦中長期金利が上昇過程を辿りそうだ。
一方で上述のように欧州圏の景気が低迷していることが顕著で追加利下げの思惑が高まり、今週行われるNZ準備銀行(RBNZ)の理事会では大幅利下げが確定的なことを考えると、日銀と他中銀との方向性の違いがドル円の頭を抑えるだろう。

もっともドル円が円買いに一方的に傾けないのは、トランプ次期政権の主要閣僚メンバーが保守路線となることが引き続き明らかになっていること。
先週22日には投資家のスコット・ベセント氏を財務長官に、23日にはアメリカファースト政策研究所CEOブルック・ロリンズ氏を農務長官に任命することを発表している。
いずれも、超保守派ということもあり、根強いトランプトレードにより米金利上昇、ドル高予想が変わらないか。

【本日の重要指標】 ※時刻表示は日本時間

<国内>
○14:00 ◇ 9月景気動向指数改定値

<海外>
○14:00 ◎ 10月シンガポール消費者物価指数(CPI、予想:前年比1.8%)
○18:00 ◎ 11月独Ifo企業景況感指数(予想:86.0)
○19:30 ◎ ディングラ英中銀金融政策委員会(MPC)委員、講演
○26日01:05 ◎ センテノ・ポルトガル中銀総裁、講演
○26日01:30 ◎ レーン欧州中央銀行(ECB)専務理事兼チーフ・エコノミスト、講演
○26日02:30 ◎ ナーゲル独連銀総裁、講演
○26日03:00 ◎ 米財務省、2年債入札
○26日04:00 ◎ マクルーフ・アイルランド中銀総裁、講演

※「予想」は特に記載のない限り市場予想平均を表す。▲はマイナス。
※重要度、高は☆、中は◎、低◇とする。
※指標などの発表予定・時刻は予告なく変更になる場合がありますので、ご了承ください。

>本日発表予定のその他の経済指標についてはこちら

【前日までの要人発言】

22日09:13 石破首相
「政府の総合経済対策、事業規模は39兆円程度 国の一般会計13.9兆円」
「今後補正予算を速やかに編成し、早期成立を目指す」

22日11:38 王・中国商務次官
「尊重を基礎とした米国との協力に意欲」
「米国との対話と相違点の管理に意欲」
「他国が課す関税による消費者物価の上昇を警告」
「中国は外部からの影響に耐えられる」
「中国経済は耐久性と大きな潜在力を示している」

22日14:37 ホルツマン・オーストリア中銀総裁
「欧州中央銀行(ECB)の政策は景気抑制的であり続ける必要」

22日18:09 デギンドス欧州中央銀行(ECB)副総裁
「金融政策の軌道は明確」
「利下げ幅が0.25%か0.50%かはあまり重要ではない」

22日21:45 センテノ・ポルトガル中銀総裁
「インフレは目標通りだが経済は苦戦している」
「2%を下回ることを防ぐために、強い経済が必要」
「下方リスクのシナリオでは、より大きな利下げが議論される可能性」
「インフレが目標を下回らないように注力する必要」

22日21:51 シュレーゲル・スイス国立銀行(スイス中銀、SNB)総裁
「スイスは現在のように柔軟なインフレ目標を必要としている」
「インフレ目標により中央銀行はショックに柔軟に対応できる」
「主な手段は政策金利と為替介入」
「中央銀行は物価安定の確保に努める」
「スイスフランの安全通貨としての性質を認識」
「世界経済の低迷は通貨高によりスイスにさらに大きな打撃を与える」

22日22:56 ナーゲル独連銀総裁
「インフレ率を2%に戻す正しい軌道に乗っている」
「インフレ目標は遅くとも2025年半ばまでに達成されるだろう」
「今後数カ月でさらなる利下げが行われる可能性」
「PMIはドイツの停滞を裏付けている」
「PMIの数字は驚きではなかった」

22日23:11 ビルロワドガロー仏中銀総裁
「ECBはソフトランディングを達成中」
「成長の回復力の継続性を確認」

23日01:43 プーチン露大統領
「ロシアは新兵器の試験を続ける」

※時間は日本時間

>本日の要人発言をリアルタイムで確認するならこちら

〔日足一目均衡表分析〕

<ドル円=155.02円で横ばいの転換線が上値ポイント>

ドル円1125

パラメーター1125

陽線引け。
154円割れの前日安値の手前で支えられて反発。
155円超えたところでは日足一目・転換線で頭を抑えられたが、2手ぶりの陽線引け。

先週に水準を切り上げた転換線は155.02円で上昇一服。
本日は横ばいの同線を超えられるかが上値のポイントに。
下サイドは2日連続で支えられた153.90円台が支持となるか。
割り込むと153円割れの基準線を目指す展開が想定される。

レジスタンス1 155.89(11/20高値)
前日終値 154.78
サポート1 153.91(11/21安値)
サポート2 152.92(日足一目均衡表・基準線)

>ドル円のリアルタイムチャートはこちら

<ユーロドル=先週レンジの61.8%戻しが抵抗水準か>

ユーロドル1125

パラメーター1125

陰線引け。
1.05ドル手前で上値を抑えられ、2022年11月以来の安値1.0335ドルまで下げ足を速めた。
一巡後は1.04ドル台まで下値を切り上げるも4手連続の陰線引け。

日足一目・転換線は1.0490ドル台まで下りてきた。
先週レンジの下限から61.8%戻しが1.0505ドルに位置しており、転換線から同水準辺りまでが抵抗帯か。
下サイドは22日安値が支持となるか見極めたい。

レジスタンス1 1.0505(11/20-22下落幅の下値から61.8%戻し)
前日終値 1.0418
サポート1 1.0335(11/22安値)

>ユーロドルのリアルタイムチャートはこちら

<ユーロ円=一目・雲の上限や90日線を巡る攻防>

ユーロ円1125

パラメーター1125

陰線引け。
162円半ばの日足一目・転換線で上値を抑えられ、一時160円割れまで急落した。
買い戻されて161円台まで下げ幅を縮小したが、2手連続の陰線引け。

161円を超えたところに一目・雲の上限、また162.10円台には90日線が位置している。
雲の上限は明日以降に上昇し始めるため、同水準に沿った値動きもあり得そうだ。
そうなると22日高値でもある転換線が再び意識される。

レジスタンス1 162.49(11/22高値=日足一目均衡表・転換線)
前日終値 161.24
サポート1 159.93(11/22安値)

>ユーロ円のリアルタイムチャートはこちら

<豪ドル円=100円半ばの転換線を睨みながらの値動き>

豪ドル円1125

パラメーター1125

ほぼ寄引同事線引け。
100円後半の日足一目・基準線が抵抗となり下値を試すも、100円手前では支えられた。
100円半ばの転換線も上回って週引けしている。

転換線は100.49円で横ばいであり、暫くは同線を睨みながらの値動きか。
100.90円台に位置する基準線を超えるようだと、先週高値101円半ばが視野に入る。

レジスタンス1 101.56(11/20高値)
前日終値 100.61
サポート1 100.06(11/22安値)

>豪ドル円のリアルタイムチャートはこちら

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