本日の東京為替見通し(為替/FXニュース):東京都区部CPIは上振れに反応敏感か、日米政治動向も要注視(2024年11月29日)

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November 29, 2024

【前日の為替概況】ドル円、4日ぶり反発も152円には届かず ユーロ円は3日ぶり反発

28日のニューヨーク外国為替市場でドル円は4営業日ぶりに反発。
終値は151.55円と前営業日NY終値(151.09円)と比べて46銭程度のドル高水準だった。
「米政権が検討中の追加の対中半導体規制が想定されていたより厳しい措置には至らない見通し」との一部報道を受け、投資家心理が改善すると欧州株相場が上昇。
リスク・オンの円売りが先行し、欧州市場では一時151.95円と日通し高値を付けた。

ただ、200日移動平均線が位置する152.00円がレジスタンスとして意識されると徐々に上値が重くなった。
米国市場が感謝祭の祝日で休場となる中、24時過ぎには151.41円付近まで下押しした。
その後は市場参加者が激減し、151円台半ばで値動きが細った。

ユーロドルは小反落。
終値は1.0552ドルと前営業日NY終値(1.0566ドル)と比べて0.0014ドル程度のユーロ安水準だった。
米感謝祭の祝日で市場参加者が極端に減少する中、目先のポジション調整が相場を主導した。
NY市場に限れば0.0027ドル程度の狭いレンジでの取引に終始した。
市場では「明日29日に発表される11月ユーロ圏消費者物価指数・速報値を確認したいとの雰囲気がある」との声も聞かれた。

アルマン仏財務相が「予算が可決されなければフランスが制御不能に陥るリスク」と述べたことで仏政局不安が意識されたほか、ビルロワドガロー仏中銀総裁が「12月に利下げする理由は十分にあり、規模についてはオープンな姿勢を維持すべき」と述べたことが相場の重しとなり、23時前に一時1.0530ドル付近まで下押しした。
ただ、日本時間夕刻に付けた日通し安値1.0528ドルが目先サポートとして意識されると1.0557ドル付近まで下げ渋った。

ユーロ円は3日ぶりに反発。
終値は159.90円と前営業日NY終値(159.66円)と比べて24銭程度のユーロ高水準。
日本時間夕刻に一時160.34円と日通し高値を付けたものの、NY市場に入ると159.57円付近まで下押しした。
ただ、東京時間に付けた日通し安値159.51円が目先サポートとして意識されると下げ渋った。
そのあとは米市場が休場で動意が鈍った。

【本日の東京為替見通し】東京都区部CPIは上振れに反応敏感か、日米政治動向も要注視

本日の東京時間でドル円は、まずは日本時間8時半に発表予定の11月東京都区部消費者物価指数(CPI)が注目される。
市場では生鮮食品を除いたCPIは前年同月比で前月の1.8%増から2.1%増程度の上昇予想となっている。
今回の結果が予想から上振れなくても、予想通りで前月よりも上昇していることが確認できれば、来月18-19日の日銀政策決定会合での利上げ期待が高まることになりそうだ。

市場の利上げ期待が高いのは、10月に石破氏が自民党総裁に着任した後に、植田総裁は「経済物価が見通し通り動けば緩和の度合いを調整するが、本当にそうか見極める時間があるので丁寧にやる」と発言したいわゆる「時間がある」発言を、10月の総選挙が終わった10月31日に、一転して植田総裁は「時間的な余裕があるは今後使わない」とこれまでの発言を否定したことが要因になっている。
しかも、その間に発表された本邦の経済指標は下記のようにCPIのコアコア以外は決して、利上げを促すような結果ではなかった。

・全国CPI(コア)・・・(植田総裁の「時間がある発言」前に発表された8月分2.8%)、9月2.4%、10月2.3%
・全国CPI(コアコア)・・・(8月2.0%)、9月2.1%、10月2.3%
・実質賃金・・・(7月0.3%)、8月-0.8%、9月-0.4%(注:9月は11月22日に-0.1%から下方修正)
・実質GDP前期比年率・・・(4-6月期2.2%)、7-9月期0.9%(注:4-6月期は11月15日に2.9%から2.2%へ大幅下方修正)

さらに、今週26日に発表された10月全国CPIの刈込平均値も1.5%まで低下し、8月1.8%、9月1.7%よりも更に低くなっている。

このような状況下でもあるのに利上げ期待が変わらないのは、総選挙が終わったことで、もともとは利上げに理解を示していた石破首相が日銀の利上げに賛成し、12月は結果ありきとなる可能性が高いからだ。
よって、本日発表される東京都区部CPIは余程低下しない限りは、12月利上げ期待による円買いの方が動意づきやすくなりそうだ。

東京都区部のCPI以外では、引き続き政治的な動向に注目したい。
石破首相は本日所信表明演説を行い、「年収103万円の壁」の見直しなどを表明することになる。
本邦の政治情勢で市場が動くことは稀ではあるが、少数与党となっていることでこれまでとは異なった政局であり、警戒は怠らないようにしたい。

また、引き続きトランプ次期大統領のSNS(TruthSocial)にも要注目。
昨日も東京時間午前にシェインバウム・メキシコ大統領との会談内容についてSNSで発表し、メキシコペソが大きく動意づいた。
引き続きトランプ氏の動向が市場へ大きな影響を与える可能性が高いので、SNSから目が離せない4年間になるだろう。

なお、アジア時間では相場の材料にはなりにくいが、引き続きウクライナとロシア間の戦争が激化していることにも要注目。
プーチン露大統領は、ウクライナが米国と英国の長距離兵器を使用したことに対する報復として、新型弾道ミサイル「オレシュニク」でキエフの中枢部を標的にすると発言している。
週末を含め、両国間での戦闘状況にも目を向ける必要がありそうだ。

【本日の重要指標】 ※時刻表示は日本時間

<国内>
○08:30 ◎ 10月完全失業率(予想:2.5%)
○08:30 ◎ 10月有効求人倍率(予想:1.24倍)
○08:30 ◎ 11月東京都区部消費者物価指数(CPI、生鮮食料品除く総合、予想:前年比2.1%)
○08:50 ◎ 10月鉱工業生産速報(予想:前月比4.0%/前年比2.0%)
○08:50 ◇ 10月商業販売統計速報(小売業販売額、予想:前年比2.2%)
○14:00 ◇ 10月新設住宅着工戸数(予想:前年比▲2.0%)
○14:00 ◇ 11月消費動向調査(消費者態度指数 一般世帯、予想:36.5)
○19:00 ◇ 外国為替平衡操作の実施状況(介入実績)
〇石破首相、所信表明演説

<海外>
○16:00 ◎ 7-9月期スウェーデン国内総生産(GDP、予想:前期比▲0.1%)
○16:00 ◎ 7-9月期トルコGDP(予想:前年比2.6%)
○16:00 ◇ 10月独輸入物価指数(予想:前月比0.1%/前年比▲1.2%)
○16:00 ◎ 10月独小売売上高(予想:前月比▲0.5%/前年比3.3%)
○16:45 ◇ 10月仏消費支出(予想:前月比0.1%)
○16:45 ◇ 11月仏消費者物価指数(CPI)速報値(予想:前月比0.1%/前年比1.5%)
○16:45 ◇ 10月仏卸売物価指数(PPI)
○16:45 ◎ 7-9月期仏GDP改定値(予想:前期比0.4%)
○17:00 ◇ 11月スイスKOF景気先行指数(予想:100.0)
○17:00 ◎ 7-9月期スイスGDP(予想:前期比0.4%/前年比1.8%)
○17:55 ◎ 11月独雇用統計(予想:失業率6.1%/失業者数変化2.00万人)
○18:30 ◇ 10月英消費者信用残高(予想:13億ポンド)
○18:30 ◇ 10月英マネーサプライM4
○19:00 ☆ 11月ユーロ圏消費者物価指数(HICP)速報値(予想:前年比2.3%)
○19:00 ☆ 11月ユーロ圏HICPコア速報値(予想:前年比2.8%)
○19:30 ☆ 7-9月期インドGDP(予想:前年同期比6.5%)
○21:00 ◎ 10月南アフリカ貿易収支(予想:33億ランドの黒字)
○22:30 ☆ 9月カナダGDP(予想:前月比0.3%/前年比1.6%)
     ☆ 7-9月期カナダGDP(予想:前期比1.0%)
○感謝祭翌日で米債券・株式・商品市場は短縮取引

※「予想」は特に記載のない限り市場予想平均を表す。▲はマイナス。
※重要度、高は☆、中は◎、低◇とする。
※指標などの発表予定・時刻は予告なく変更になる場合がありますので、ご了承ください。

>本日発表予定のその他の経済指標についてはこちら

【前日までの要人発言】

28日09:19 トランプ次期米大統領
(SNSのTruthSocialより)
「メキシコのシャインバウム大統領と素晴らしい会話を交わした」
「シャインバウム大統領はメキシコ経由の米国への移民を止めることに同意し、事実上、南国境を閉鎖した」
「我々はまた、米国への大量の麻薬流入を止めるために何ができるか、そして麻薬の米国での消費についても話した。とても生産的な会話だった!」

28日12:37 シルクRBNZ総裁補
「2月に25bpまたは50bpの利下げが検討される」
「今週はあらゆることが検討されたが、委員会は50bp利下げで非常に迅速に合意に達した」
「国内インフレについてまだやるべきことがあるため、50bp以上の利下げは必要ないと感じた」
「コアインフレが目標中間点に持続的に維持されるようにする必要がある」

28日15:18 ラガルド欧州中央銀行(ECB)総裁
「敵対的な貿易戦争は世界経済成長を損なうリスク」
「EUは報復ではなく交渉すべき」
「世界需要が落ち込んでいるのに、どうしてアメリカを再び偉大にできるのか」
「欧州はトランプ氏の2期目を脅威から応えるべき課題に変える必要がある」

28日16:28 中国商務省報道官
「中国の一方的な関税引き上げに反対する立場は一貫している」
「貿易相手国に対して恣意的に関税を課すことで、米国自身の問題を解決することはできない」

28日16:41 アルマン仏財務相
「予算が可決されなければフランスが制御不能に陥るリスク」

28日17:59 ブロックRBA総裁
「コアインフレが目標上回っており当面利下げしない」
「インフレ目標達成を確信するまで制約的政策を維持」
「関税で米インフレ高進の可能性、今後6カ月間の豪インフレには影響せず」
「インフレ2.5%を目指す、緩やかな鈍化傾向なら利下げをいずれ検討」

28日19:24 プーチン露大統領
「ウクライナへの対応として、中距離弾道ミサイル(IRBM)の使用を継続する可能性」
「来年、ロシアはミサイル生産を25-30%増加させる予定」

28日22:45 ビルロワドガロー仏中銀総裁
「利下げの可能性についていかなる会合も排除すべきではない」
「12月に利下げする理由は十分にある」
「中立水準を下回る金利を排除することはない」
「ECBには制限的な政策を撤廃する大きな余地がある」
「12月利下げの規模にはオープンな姿勢を維持すべき」

※時間は日本時間

>本日の要人発言をリアルタイムで確認するならこちら

〔日足一目均衡表分析〕

<ドル円=均衡表の逆転、200日線が依然としてポイントに>

ドル円1129

パラメーター1129

陽線引け。
151円割れで支えられて反発も、152円付近の200日線の手前では伸び悩んだ。
4手ぶりの陽線引け。

昨日から日足一目・転換線は153円台で基準線を下回り、「均衡表の逆転」が発生している。
上値の重さは依然として意識されるなか、昨日抑えとなった200日線が依然として上サイドのポイント。
同線を超えるようだと153円前半の転換線が次の抵抗水準となる。

レジスタンス1 152.00(200日移動平均線)
前日終値 151.55
サポート1 150.46(11/27安値)
サポート2 149.22(日足一目均衡表・雲の上限)

>ドル円のリアルタイムチャートはこちら

<ユーロドル=20日高値が目先のめど、その上にも抵抗帯>

ユーロドル1129

パラメーター1129

小陰線引け。
1.05ドル半ばを中心に上下し、方向感を欠いた展開が続いた。
小幅ながら2手ぶりの陰線引け。

目先の上値ポイントは20日高値1.0610ドルと変わらず。
その上、1.0620ドル台まで低下してきた21日線や1.0636ドルで横ばいの基準線も抵抗帯として働きそうだ。
下押した場合は1.0470ドル台の転換線付近が支持となるか。

レジスタンス1 1.0636(日足一目均衡表・基準線)
前日終値 1.0552
サポート1 1.0473(日足一目均衡表・転換線)

>ユーロドルのリアルタイムチャートはこちら

<ユーロ円=三役逆転は点灯中も雲の下限は近い位置に>

ユーロ円1129

パラメーター1129

陽線引け。
159円半ばから160円前半まで反発も、日足一目・雲の中に入り込んだところで上昇が一服。
再び雲を割り込むも3手ぶりの陽線引け。

売りシグナルとされる三役逆転(転換線が基準線の下、遅行スパンは実線の下、雲の下で引け)は点灯中だが、雲の下限は160.09円と近い。
来週にも下限は160円後半まで上昇が示唆されており、その方向性に沿った動きも考えられる。

レジスタンス1 160.71(11/27高値)
前日終値 159.90
サポート1 159.10(11/27安値)

>ユーロ円のリアルタイムチャートはこちら

<豪ドル円=昨日抑えとなった、下向き90日線を念頭に取引>

豪ドル円1129

パラメーター1129

陽線引け。
98円前半で支えられて上昇するも、98円後半で下向きの90日線の手前では上値を抑えられた。
日足一目・雲の中での推移となったが、6手ぶりの陽線引け。

90日線は本日、98.81円まで水準を下げてきた。
同線をしっかり超えるようだと、上向きの調整幅を広げるか。
逆に一目・雲の中で伸び悩むようだと、27日の下落時に支持となった雲の下限を目指す展開となるだろう。

レジスタンス1 99.22(11/27高値)
前日終値 98.49
サポート1 97.64(日足一目均衡表・雲の下限)

>豪ドル円のリアルタイムチャートはこちら

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