本日の東京為替見通し(為替/FXニュース):円買いの流れは変わらず、欧州政局不安もありクロス円の上値も重い(2024年12月3日)

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December 3, 2024

【前日の為替概況】ドル円、続落 日銀早期利上げ観測が一段と高まるなか売りが優勢

2日のニューヨーク外国為替市場でドル円は続落。
終値は149.60円と前営業日NY終値(149.77円)と比べて17銭程度のドル安水準だった。
11月米製造業購買担当者景気指数(PMI)改定値や11月米ISM製造業景況指数が市場予想を上回り、米長期金利は上昇したが支えとはならず、日銀の早期利上げ観測が一段と高まるなかでクロス円とともに売りが優勢に。
その後に米金利が上昇幅を急速に縮めると、先週末安値の149.47円を下抜けて10月16日以来の安値となる149.08円まで売り込まれた。
市場の流動性が悪く、値が振れやすかった面もあった。

もっとも、一巡後はショートカバーが入り149.80円手前まで持ち直した。
ウォラー米連邦準備理事会(FRB)理事が「12月の利下げ支持に傾いている」と発言したことで149.20円台まで再び下げる場面があったが、下値は限られた。

ユーロドルは反落。
終値は1.0498ドルと前営業日NY終値(1.0577ドル)と比べて0.0079ドル程度のユーロ安水準だった。
欧州中央銀行(ECB)の利下げ観測や仏政局不安の高まりから売りが強まった。
良好な米指標を受けて米長期金利が一時上昇したことも嫌気され、一時1.0461ドルまで下落した。
ただ、米金利がその後に上昇幅を縮めたため次第に買い戻しが入り、ウォラーFRB理事のハト派発言で1.0516ドル付近まで切り返した。

なお、バルニエ仏首相は不人気の予算案の一部を採決なしで議会を通過させるため、憲法上の手段を行使した。
これに対して極右・左派の両野党は内閣不信任案に賛成する意向を表明。
4日にも採決し可決される見通しとなっている。

ユーロ円は続落。
終値は157.05円と前営業日NY終値(158.41円)と比べて1円36銭程度のユーロ安水準だった。
対ドルを中心に円高が進んだ流れに沿って156.38円まで値を下げた。
また、ポンド円は188.48円、豪ドル円は96.28円、NZドル円は87.64円まで下値を広げた。

【本日の東京為替見通し】円買いの流れは変わらず、欧州政局不安もありクロス円の上値も重い

本日の東京時間のドル円は、上値が重いか。
昨日の東京時間はフランスの内閣不信任案が採決される可能性が高まり、ユーロ売り・ドル買いの影響でドル円も底堅い動きになった。
しかしながら、12月の日銀政策決定会合での利上げ期待が高まる中で、積極的に円を売るような流れではなく上値が重かった。
本日は昨日に上値の重さを確認した後だけに、更に円売り・ドル買いは仕掛けにくいだろう。

昨日日銀が発表した11月調査の「債券市場サーベイ」では、DIはマイナス20ながらも2015年11月調査以来の高い水準となった。
8月からの国債買い入れの減額などで市場機能の改善につながったとみられる。
また、2024年末は若干下がったが、金利見通しはおおむね前回より上昇予想が高まったことで、市場の利上げ期待も強い。
今後は今週予定されている中村審議委員の会見など、日銀関係者の金融政策についての温度差を確認していく相場展開が予想される。

ただ、植田日銀総裁が「データはオントラック」と発言したように、先週の11月東京都区部消費者物価指数(CPI)の発表後は12月の政策決定会合まではインフレ指標の発表予定がないことで、12月もしくは1月の利上げ期待の高さが円買い意欲を高めそうだ。
また、円買いの勢いは対ドル以外でも根強いことにも要警戒。
欧州圏ではフランスやドイツの政局不安、豪州では昨日発表されたメルボルンインスティテュートのインフレ率の低下などもありクロス円が売られやすいだろう。
なお、12月に入り市場流動性が悪化していることで、ニュース等が全くない場合でも市場が大きく動意づくリスクには警戒したい。

本日は本邦からは11月マネタリーベース、豪州からは7-9月期経常収支が発表される程度で、経済指標で市場を動意づけるのは難しそうだ。
ただし、米国からは10月米雇用動態調査(JOLTS)求人件数が発表され、今週6日の米雇用統計まで雇用指標の発表が相次ぐことでNY入り後の市場動向には警戒したい。

【本日の重要指標】 ※時刻表示は日本時間

<国内>
○08:50 ◇ 11月マネタリーベース

<海外>
○09:01 ◇ 11月英小売連合(BRC)小売売上高調査(予想:前年同月比0.6%)
○09:30 ◇ 7-9月期豪経常収支(予想:100億豪ドルの赤字)
○16:00 ◎ 11月トルコ消費者物価指数(CPI、予想:前月1.91%/前年比46.60%)
○16:30 ◎ 11月スイス消費者物価指数(CPI、予想:前月比▲0.1%)
○17:00 ◎ チポローネ欧州中央銀行(ECB)専務理事、講演
○18:30 ◎ 7-9月期南アフリカ国内総生産(GDP、予想:前期比0.5%/前年同期比1.2%)
○21:00 ☆ 7-9月期ブラジルGDP(予想:前期比0.8%/前年同期比4.0%)
○21:00 ◇ 10月メキシコ失業率(季節調整前、予想:2.90%)
○24:00 ◎ 10月米雇用動態調査(JOLTS)求人件数(予想:747.5万件)
○4日00:30 ◎ パネッタ欧州中央銀行(ECB)専務理事、講演
○4日02:35 ◎ クーグラー米連邦準備理事会(FRB)理事、講演
○4日05:45 ◎ グールズビー米シカゴ連銀総裁、あいさつ

※「予想」は特に記載のない限り市場予想平均を表す。▲はマイナス。
※重要度、高は☆、中は◎、低◇とする。
※指標などの発表予定・時刻は予告なく変更になる場合がありますので、ご了承ください。

>本日発表予定のその他の経済指標についてはこちら

【前日までの要人発言】

2日08:07 アルマン仏財務相
「フランスは予算で脅迫されることはない」

2日14:09 レーン欧州中央銀行(ECB)専務理事兼チーフ・エコノミスト(FT)
「インフレ率はECBの目標である2%に近づいたが『まだ少し距離がある』」
「データへの依存度は低下するが、新たな課題は『会合ごとに』発生するリスクを評価すること」

2日15:15 カザークス・ラトビア中銀総裁
「インフレ問題は近く終わると見込む」
「個人的には利下げの継続が必要」
「ECBが12月会合で大幅利下げを議論する可能性は高いが、不確実性も高い」

2日19:09 ストゥルナラス・ギリシャ中銀総裁
「12月に再び利下げがありそうだ」

2日22:40 ガリポロ次期ブラジル中銀総裁
「金利が長期間高止まりするシナリオが想定される」
「予想以上に強い経済と弱い通貨が組み合わさると、より引き締まった金融政策が必要になるのは論理的」
「中央銀行の役割はインフレ期待を再固定すること」
「債務対GDP比の予測は、今年の金利、インフレ、GDP予測ほど大きく変化していない」

3日00:16 ルペン仏極右政党・国民連合(RN)議員
「予算に関する我々の要求は満たされなかった」

3日02:02 ボスティック米アトランタ連銀総裁
「インフレは2%目標に向けて順調に推移」
「経済成長は冷え込んでおり、企業の価格決定力は引き続き低下」
「労働市場は安定化しており、最大雇用水準に達しているか、それに近い状態」
「利下げに関しては柔軟性を強調」
「政策は依然として引き締め的」
「2025年の利下げのペースや程度についてはまだ決定していない」

※時間は日本時間

>本日の要人発言をリアルタイムで確認するならこちら

〔日足一目均衡表分析〕

<ドル円=雲上限付近で長めの上ひげ伴う足型形成>

ドル円1203

パラメータ1203

上影小陽線引け。
一目均衡表・雲の上限149.57円を挟んだ攻防で、150.75円まで上昇先行後、雲をわずかながら上回ってNYを引けた。

本日149.63円へ小幅に切り上がった雲の上限前後の攻防が続くか。
売り圧力を感じさせる長めの上ひげをともなう足型を形成した後だけに重い推移を警戒したい。
148円前半で緩やかに低下する90日移動平均線に近づく展開も視野に入れておいた方がよいだろう。

レジスタンス1 150.32(5日移動平均線)
前日終値 149.60
サポート1 148.85(10/15安値)
サポート2 148.30(10/10安値)

>ドル円のリアルタイムチャートはこちら

<ユーロドル=転換線を割り込んだ水準からやや戻す>

ユーロドル1203

パラメータ1203

下影陰線引け。
一時1.0461ドルへ下押す場面もあったが、一目均衡表・転換線1.0473ドルを割り込んだ同水準からやや戻し、1.05ドル手前でNYの取引を終えている。
転換線は本日1.0466ドルへ小幅に低下。
ただ、現状からすれば同線はここで下げ止まると考えられ、明後日5日に1.0511ドルへ切り上がる公算。
転換線の動向が示唆する底堅さを維持できるか注視することになる。

レジスタンス1 1.0589(12/2高値)
前日終値 1.0498
サポート1 1.0425(11/26安値)

>ユーロドルのリアルタイムチャートはこちら

<ポンド円=今後の低下予想される転換線がやがて重しに>

ポンド円1203

パラメータ1203

下影陰線引け。
一目均衡表・雲を下回る水準で下値を探る動きとなった。
9月19日以来の安値188.48円まで下振れている。
目先的な底堅さを示唆する長めな下ひげをともなう足型を形成して引けた。
しかし戻りを試しても、今後の低下が予想される一目均衡表・転換線192.60円がやがて重しになりそう。
反発が限定される示唆とみる。

レジスタンス1 190.16(11/29安値)
前日終値 189.32
サポート1 188.48(12/2安値)

>ポンド円のリアルタイムチャートはこちら

<NZドル円=戻しても低下中の5日線付近までか>

NZドル円1203

パラメータ1203

下影陰線引け。
一目均衡表・雲を下回る水準で、目先のすう勢を示す5日移動平均線の低下をともない下値を広げる動きが進んだ。
多くのクロス円に見られような一目均衡表・転換線の低下傾向が下向きの流れを示唆する弱い動き。
戻しても本日88.59円前後で低下中の5日線付近にとどまりやすいさえない推移が予想される。

レジスタンス1 88.59(5日移動平均線)
前日終値 88.07
サポート1 87.50(9/18安値)

>NZドル円のリアルタイムチャートはこちら

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