January 22, 2025
【前日の為替概況】ユーロドル、小幅続伸 欧米株相場が堅調でリスク・オン
21日のニューヨーク外国為替市場でユーロドルは小幅ながら続伸。
終値は1.0428ドルと前営業日NY終値(1.0416ドル)と比べて0.0012ドル程度のユーロ高水準だった。
アジア時間に「トランプ米大統領はカナダとメキシコに25%の関税を検討」と伝わったことを受けて、欧州市場まではユーロ売り・ドル買いの流れが続いた。
18時30分過ぎには一時1.0342ドルと日通し安値を付けた。
ただ、NY市場に入ると買い戻しが優勢に。
英独株価指数が史上最高値を更新し、ダウ平均が一時560ドル超上昇するなど、欧米株相場が堅調に推移するとリスク・オンのユーロ買い・ドル売りが入った。
市場では「ロンドン16時(日本時間1時)のフィキシングに絡んだユーロ買い・ドル売りのフローが観測された」との声も聞かれ、一時1.0435ドルとアジア時間に付けた日通し高値に面合わせした。
ドル円は小幅続落。
終値は155.52円と前営業日NY終値(155.62円)と比べて10銭程度のドル安水準だった。
対ユーロなどでドル買いが先行するとドル円にも買いが入り、20時30分前には156.05円付近まで値を上げたものの、アジア時間に付けた日通し高値156.23円が目先レジスタンスとして意識されると失速した。
ロンドン・フィキシングに絡んだドル売りが観測されると一時155.25円付近まで下押しした。
なお、「日銀は23-24日に開く金融政策決定会合で、政策金利の追加引き上げを決める方向」との報道が伝わったが、「追加利上げは織り込み済み」との見方から反応は限定的だった。
ユーロ円は小幅に3日続伸。
終値は162.14円と前営業日NY終値(162.09円)と比べて5銭程度のユーロ高水準。
アジア市場では一時160.96円まで売られたものの、欧米市場に入ると買い戻しが優勢となり上げに転じた。
欧米株価の上昇を背景にリスク・オンの円売り・ユーロ買いが優勢になると、一時162.23円と本日高値を更新した。
【本日の東京為替見通し】ドル円、日銀の利上げ観測が上値を抑える展開か
本日の東京外国為替市場のドル円は、23-24日の日銀金融政策決定会合での追加利上げ観測が上値を抑える中、トランプ米大統領による突発的な発言に警戒していく展開が予想される。
第2次トランプ米政権でのトランプ関税は、メキシコとカナダに対しては25%の引き上げが2月1日から実施されることが検討されている模様だが、中国に対しては、まず通商交渉が行われ、合意に達しない場合に関税の引き上げとなる模様で、当面の米中貿易戦争は回避された。
また、これまでの所、欧州に対する関税引き上げも打ち出されていない。
しかし、トランプ米大統領は、明日ダボス会議に参加予定となっており、発言内容次第では市場を混乱させ日銀の利上げ見送り(※円売り要因)になる可能性もあることで、利上げ決定までは円を買い進めにくい状況となっている。
今週の注目ポイントは、23-24日の日銀金融政策決定会合での追加利上げの有無だが、オーバーナイト・インデックス・スワップ(OIS)市場が示す追加利上げ確率は90%台に上昇している。
そして、「日銀金融政策決定会合で、政策金利の追加引き上げを決める方向」との観測報道が相次いでいることから、利上げはほぼ確実視されている。
24日には通常国会が召集され、25年度予算案が国会に提出されるため、予算案成立の前の利上げは避けられるのではないかとの見方があるものの、これまでの政府と日銀の関係者の発言は、利上げを既定路線化している。
・14日:氷見野日銀副総裁「23、24両日に開く金融政策決定会合の焦点は利上げするかどうかだ。政策委員の間でよく議論して適切に判断する。20日に就任するトランプ次期米大統領の演説内容などを見極めて結論を出す」
赤沢経済再生相(氷見野日銀副総裁の発言に対して)「日銀の利上げ検討と政府がデフレ脱却を目指すことに矛盾することはない」
・15日:植田日銀総裁「来週の金融政策決定会合で米新政権の政策や春闘の賃金動向などを精査し、追加利上げを行うかどうか判断する」
・16日:林官房長官(植田日銀総裁の発言に対して)「今後の利上げを含め、金融政策の具体的な手法は日銀に委ねられるべき」
・17日:加藤財務相「賃金と物価が上がり、金利が動くというのが経済の本来の姿」
・21日:三村財務官「今週の決定会合、日銀の独立性の中での判断になる」
【本日の重要指標】 ※時刻表示は日本時間
<国内>
特になし
<海外>
○06:45 ◎ 10-12月期ニュージーランド(NZ)消費者物価指数(CPI、予想:前期比0.5%/前年比2.1%)
○17:00 ◎ 12月南アフリカ消費者物価指数(CPI、予想:前月比0.3%/前年比3.2%)
○18:15 ◎ ビルロワドガロー仏中銀総裁、講演
○19:30 ◎ クノット・オランダ中銀総裁、講演
○20:00 ◇ 11月南アフリカ小売売上高(予想:前年同月比5.5%)
○21:00 ◇ MBA住宅ローン申請指数
○22:30 ◇ 12月カナダ鉱工業製品価格(予想:前月比0.6%)
○22:30 ◇ 12月カナダ原料価格指数(予想:前月比0.5%)
○24:00 ◎ 12月米景気先行指標総合指数(予想:前月比横ばい)
○23日00:05 ◎ ラガルド欧州中央銀行(ECB)総裁、講演
○23日03:00 ◎ 米財務省、20年債入札
○23日03:30 ◎ ナーゲル独連銀総裁、講演
○世界経済フォーラム年次総会(ダボス会議、スイス・ダボス、24日まで)
※「予想」は特に記載のない限り市場予想平均を表す。▲はマイナス。
※重要度、高は☆、中は◎、低◇とする。
※指標などの発表予定・時刻は予告なく変更になる場合がありますので、ご了承ください。
【前日までの要人発言】
21日11:04 加藤財務相
「米政策の世界経済・日本経済への影響が貿易・金融などのルートでどう生じてくるのか高い関心もって注視」
「日銀において適切な金融政策運営なされると期待している。具体的な内容は日銀に委ねられている」
21日12:44 三村財務官
「足元の為替の動き、私の立場ではコメントしない」
「実質賃金がどうなっていくかがポイント」
「中銀の金融政策についてはコメント控える」
「今週の決定会合、日銀の独立性の中での判断になる」
「企業の設備投資は悪くない、実質消費は弱い」
21日18:39 ビルロワドガロー仏中銀総裁
「インフレについては警戒しているが心配はしていない」
「将来的には大幅な利下げも排除しない」
「ECBは各会合で行動するというコンセンサスが妥当」
「中立金利を下回る可能性は今のところ問題ではない」
「利下げペースが安定すれば利下げの規模は拡大しない」
21日22:44 ナーゲル独連銀総裁
「ECBは2025年半ばに2%の目標を達成する道を進んでいる」
「消費と投資のさらなる安定が必要」
「貿易戦争では誰もが損をする」
「ECBが来週利下げする可能性は十分にある」
「ECBはデータに基づいて決定を下す」
22日 トランプ米大統領
「対中10%関税について協議している」
「習中国国家主席との会談では関税の話はあまりしなかった」
「望むならいつでもプーチン露大統領と会う」
「NATOの欧州メンバーは、GDP比5%の防衛費を負担すべき」
「EU製品にも関税の対象になる」
「ウクライナを巡る協議なければ、ロシアへの制裁強化の可能性」
「カナダとメキシコへの関税は、USMCAとは無関係」
※時間は日本時間
〔日足一目均衡表分析〕
<ドル円=5日線前後で重い動き続きそう>
小陰線引け。
156円台へ戻す場面を挟みつつも、155.80円台で推移する5日移動平均線を下回る水準へ押し戻され、155円割れまで下振れる局面もあった。
155円半ばへ戻したが、156円台で上昇傾向の一目均衡表・転換線は回復できずにNYを引けている。
本日155.62円前後へ低下した5日移動平均線前後で重い動きが続きそうだ。
レジスタンス1 156.23(1/21高値)
前日終値 155.52
サポート1 154.78(1/21安値)
サポート2 154.44(12/19安値)
<ユーロドル=雲下限を視野に入れた動き継続>
下影小陽線引け。
一時1.0342ドルと、下押しが進んだ。
まだ低下余地を残す一目均衡表・基準線1.0356を下回る格好となった。
ただ、その後は大きく戻し、1.04ドル台でNYの取引を終えている。
底堅さを示す下ひげの長い足型を形成しており、本日1.0491ドルに位置する一目均衡表・雲の下限を視野に入れた動きが続いている。
レジスタンス1 1.0491(日足一目均衡表・雲の下限)
前日終値 1.0428
サポート1 1.0342(1/21安値)
<ユーロ円=基準線の回復をうかがう流れが続くか>
下影小陽線引け。
一目均衡表・基準線162.32円の回復をうかがう162円前半から、161円割れまで下振れる動きが先行した。
しかし一目・雲の中へ落ち込んだ同水準から162円台へ反発している。
雲のサポートを確認して、下ひげをともなう底堅さを示す足型を形成して引けた。
基準線の回復をうかがう流れが続くか。
レジスタンス1 162.89(1/15高値)
前日終値 162.14
サポート1 161.44(日足一目均衡表・雲の上限)
<豪ドル円=基準線を支えとした雲に沿うじり高想定>
下影小陰線引け。
一目均衡表・基準線97.49円を上回る水準、一目・雲の下限97.74円を視野に入れた水準から、一時96.78円まで下落した。
97円前半で低下中の一目・転換線を追うような下振れだったが反発して97.57円と、基準線を上回ってNYを引けている。
上昇傾向の基準線付近の底堅さを維持し、緩やかに上昇していく雲の下限に沿ってじり高となる流れを想定する。
レジスタンス1 98.23(ピボット・レジスタンス2)
前日終値 97.57
サポート1 96.78(1/21安値)
Provided by
DZH Finacial Research
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