January 23, 2025
【前日の為替概況】ドル円156.71円まで上昇 日銀追加利上げほぼ織り込み、米株高リスクオン
22日のニューヨーク外国為替市場でドル円は3営業日ぶりに反発。
終値は156.53円と前営業日NY終値(155.52円)と比べて1円01銭程度のドル高水準だった。
米10年債利回りが上昇に転じたことなどをきっかけに円売り・ドル買いが先行。
ロンドン16時(日本時間1時)のフィキシングに絡んだ円売り・ドル買いのフローも観測されると、本日高値となる156.71円まで値を上げた。
「マーケットは23-24日の日銀金融政策決定会合での追加利上げをほぼ織り込んでいる」との声が聞かれる中、米国株相場の上昇を好感したリスク・オンの円売りも出た。
ユーロドルは3日ぶりに小反落。
終値は1.0409ドルと前営業日NY終値(1.0428ドル)と比べて0.0019ドル程度のユーロ安水準だった。
欧州市場序盤には一時1.0457ドルと昨年12月30日以来の高値を付ける場面もあったが、一目均衡表雲の下限が位置する1.0491ドルがレジスタンスとして意識されると失速した。
米長期金利が上昇に転じたことも相場の重しとなり、一時1.0408ドル付近まで下押しした。
もっとも、NY午後に入ると1.04ドル台前半での狭いレンジ取引に終始した。
米長期金利の上昇が重しとなる一方、ユーロ円のユーロ高推移が相場を下支えした。
ユーロ円は4日続伸。
終値は162.93円と前営業日NY終値(162.14円)と比べて79銭程度のユーロ高水準。
独DAXが連日で史上最高値を更新したほか、米株式市場ではS&P500種株価指数が取引時間中の最高値を更新。
投資家がリスク選好姿勢を強め円売り・ユーロ買いが出た。
2時30分過ぎには一時163.22円と本日高値を付けた。
ユーロ円以外のクロス円も堅調だった。
ポンド円は一時193.01円、豪ドル円は98.34円、NZドル円は88.80円、カナダドル円は109.08円、スイスフラン円は172.80円、メキシコペソ円は7.65円まで値を上げた。
【本日の東京為替見通し】ドル円、トランプ米大統領の発言待ちか
本日の東京外国為替市場のドル円は、本日から明日にかけて開催される日銀金融政策決定会合での追加利上げをほぼ織り込みつつある中、トランプ米大統領のインタビューやダボス会議での演説への警戒感から動きづらい展開が予想される。
トランプ米大統領は、本日の日本時間の午前中に米国メディアとのインタビューの放映が予定されており、日本時間24日の1時からは世界経済フォーラム年次総会(ダボス会議)でオンライン演説を行う予定、と報じられている。
英国や欧州に対するトランプ関税、ウクライナ戦争や中東紛争に対する方針などが語られると思われるものの、サプライズには警戒しておきたい。
第2次トランプ米政権のトランプ関税に関しては、中国に10%、カナダとメキシコに25%、欧州連合(EU)へも関税が検討されていると報じられており、米国の物価上昇圧力への警戒感がドル買い材料となっている。
8時50分に発表される12月貿易統計(通関ベース、予想:季節調整前530億円の赤字、季節調整済5260億円の赤字)では、本邦実需筋の円売り圧力を確認することになる。
2024年1-11月の貿易赤字は5.46兆円、また、1-12月の投資信託を通じた家計の円売り(新NISA少額投資非課税制度)は11.5兆円となっており、合計で約17兆円の円売りだった。
2024年の本邦通貨当局によるドル売り・円買い介入は、合計で15兆3233億円となっている。
円売りサイドには、本邦機関投資家の外債投資や本邦企業の海外直接投資、買収案件、さらに投機筋の円売りも加わるため、ドル円の下値を限定的にしている。
日銀金融政策決定会合では、植田日銀総裁や氷見野日銀副総裁による利上げ示唆発言、そして複数の利上げ観測報道などから、追加利上げはほぼ確実視されている。
オーバーナイト・インデックス・スワップ(OIS)市場が示す追加利上げ確率は90%台に上昇している。
また昨日は、神田内閣官房参与(前財務官)が「過度な動きやファンダメンタルズから乖離なら是正が必要」と述べていた。
21日には三村財務官が、今後の為替相場の基調について、トランプ氏の打ち出す政策や発信次第との認識を示していた。
そして、為替のコミットメントは、第1次トランプ政権時のG7合意「為替レートの過度の変動や無秩序な動きは、経済及び金融の安定に対して悪影響を与え得る」が続いているとも述べていた。
第1次トランプ政権は、米国の貿易赤字削減のために関税引き上げとドル安を志向してきたが、第2次トランプ政権では、関税引き上げは打ち出されているものの、明確なドル安政策はこれまでのところ表明されていないが、今後の警戒材料となるのかもしれない。
【本日の重要指標】 ※時刻表示は日本時間
<国内>
○08:50 ◎ 12月貿易統計(通関ベース、予想:季節調整前530億円の赤字、季節調整済5260億円の赤字)
○08:50 ◇ 対外対内証券売買契約等の状況(週次・報告機関ベース)
○未定 ◇ 1月月例経済報告
○日銀金融政策決定会合(1日目)
<海外>
○14:00 ◎ 12月シンガポール消費者物価指数(CPI、予想:前年比1.5%)
○16:45 ◇ 1月仏企業景況感指数(予想:94)
○18:00 ◎ ノルウェー中銀、政策金利発表(予想:4.50%で据え置き)
○19:30 ◎ エスクリバ・スペイン中銀総裁、講演
○20:00 ◎ トルコ中銀、政策金利発表(予想:45.00%に引き下げ)
○22:30 ◎ 11月カナダ小売売上高(予想:前月比0.2%/自動車を除く前月比0.1%)
○22:30 ◎ 前週分の米新規失業保険申請件数/失業保険継続受給者数(予想:22.0万件/186.2万人)
○24:00 ◎ 1月ユーロ圏消費者信頼感指数(速報値、予想:▲14.2)
○24日01:00 ◎ トランプ米大統領、ダボス会議でオンライン演説
○24日02:00 ◇ EIA週間在庫統計
○世界経済フォーラム年次総会(ダボス会議、スイス・ダボス、24日まで)
※「予想」は特に記載のない限り市場予想平均を表す。▲はマイナス。
※重要度、高は☆、中は◎、低◇とする。
※指標などの発表予定・時刻は予告なく変更になる場合がありますので、ご了承ください。
【前日までの要人発言】
22日07:57 トランプ米大統領
「ウクライナを巡る協議なければ、ロシアへの制裁強化の可能性」
「カナダとメキシコへの関税は、USMCAとは無関係」
「対中10%関税について協議している」
「NATOの欧州メンバーは、GDP比5%の防衛費を負担すべき」
「習中国国家主席との会談では関税の話はあまりしなかった」
「望むならいつでもプーチン露大統領と会う」
22日14:56 神田前財務官
「過度な動きやファンダメンタルズから乖離なら是正が必要」
22日15:57 クノット・オランダ中銀総裁
「景気回復が進めば、刺激策に踏み切る必要があるとは考えていない」
「来週の追加利下げにほとんど障害はない」
「貿易政策による新たな成長下振れリスク、インフレについてはそれほど明確ではない」
22日15:58 ストゥルナラス・ギリシャ中銀総裁
「金利は2025年末までに2%に近づくはず」
22日17:25 ラガルド欧州中央銀行(ECB)総裁
「2025年のうちにインフレが目標に達すると確信」
「ディスインフレの進展は続いている」
「今年のユーロ圏の成長には下振れリスクがある」
「米国からのインフレ輸出についてはあまり心配していない」
「ECBの金利の方向性は明確、ペースについてはデータ次第」
22日18:46 エスクリバ・スペイン中銀総裁
「来週は0.25%の利下げが有力なシナリオ」
「ECBは予測を確認するために確かなデータを待つ必要がある」
22日18:48 ビルロワドガロー仏中銀総裁
「ECBの金利、夏に2%前後になっているのが妥当」
※時間は日本時間
〔日足一目均衡表分析〕
<ドル円=転換線付近の攻防>
陽線引け。
156円回復を試しても155円台へ押し返される展開が先行したものの上値を伸ばし、156円台で上昇傾向の一目均衡表・基準線を回復した。
ここからは本日156.66円へ切り上がる基準線へさらに追随できるか、一目・転換線の抵抗をこなすことができるかを注視する展開。
今後も低下が続く見込みの転換線156.49円が抵抗となることも考えられ、同線付近の攻防を注視することになる。
レジスタンス2 158.08(1/15高値)
レジスタンス1 157.31(1/10-21下落幅の61.8%戻し)
前日終値 156.53
サポート1 155.75(1/21-22上昇幅の半値押し)
サポート2 154.85(ピボット・サポート2)
<ユーロドル=雲を試す流れしばらく停滞か>
小陰線引け。
一時1.0457ドルまで上昇したものの、一目均衡表・雲の下限1.0491ドルを超えることができなかった。
本日、雲の下限は1.0476ドルへ切り下がっている。
乗り越えるためハードルが下がったとも考えられるが押し戻されたため、NY引けの水準を維持しただけでは上回れない状態。
気迷いを示す長めの上ひげをともなう足型を形成していることもあり、雲を試す流れはしばらく停滞するかもしれない。
レジスタンス1 1.0476(日足一目均衡表・雲の下限)
前日終値 1.0409
サポート1 1.0354(1/15高値)
サポート2 1.0318(日足一目均衡表・基準線=転換線)
<ポンド円=194円前後には複数の注目水準>
陽線引け。
一時日足・転換線を割り込むものの4手連続の陽線引けとなり、15日以来の193円台を回復した。
本日は昨日安値をめどに買いで臨み、192円台から191円前半まで低下している転換線を割り込んだら手仕舞い。
194円前後には日足・雲や基準線など注目水準が多くあることで、それらの水準手前では一度利食いたい。
レジスタンス1 194.15(日足一目均衡表・基準線=雲の上限)
前日終値 192.77
サポート1 191.70(1/22安値)
<NZドル円=基準線を上抜けるも雲上限が重しになるか>
陽線引け。
日足一目均衡表・転換線近辺が支えになり、9日以来の高値まで上昇し4手連続続伸。
これまで攻防が続いていた日足・基準線を明確に上抜けたことで、本日も上値トライが期待される。
ただ、ここから上は日足・雲上限が相応の重しになるとも考えられることで大きく上抜けするのも難しいか。
レジスタンス1 89.60(日足一目均衡表・雲の上限)
前日終値 88.64
サポート1 88.20(日足一目均衡表・基準線)
Provided by
DZH Finacial Research
「投資を面白く、投資家を笑顔に」をスローガンに、株式や為替など様々な金融マーケットの情報を提供。
豊富な経験を持つエキスパートが多数在籍し、スピーディー且つオリジナルな視点からの情報をOANDA Labに配信しています。
会社名:株式会社DZHフィナンシャルリサーチ
所在地:東京都中央区明石町8番1号 聖路加タワー32階
商号等:【金融商品取引業者】投資助言業/【登録番号】関東財務局長(金商)907号
本ホームページに掲載されている事項は、投資判断の参考となる情報の提供を目的としたものであり、投資の勧誘を目的としたものではありません。投資方針、投資タイミング等は、ご自身の責任において判断してください。本サービスの情報に基づいて行った取引のいかなる損失についても、当社は一切の責を負いかねますのでご了承ください。また、当社は、当該情報の正確性および完全性を保証または約束するものでなく、今後、予告なしに内容を変更または廃止する場合があります。なお、当該情報の欠落・誤謬等につきましてもその責を負いかねますのでご了承ください。