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FX・CFDで法人化した場合に行わなければならない11の業務を専門家が解説


法人化した場合、個人事業主と比較し、行わなければならない業務が増えます。

今回は、法人化すると必要になる業務を毎月、毎年、随時に分けて紹介します。

1.毎月行わなければならない業務

1-1.役員報酬の計算・役員報酬の支払い(毎月)

役員報酬を支払う場合は、毎月、報酬の支払いを行う必要があるため、毎月の給与計算、給与の支払い業務が発生します。

役員報酬の金額は基本的には、毎月同じですが、社会保険料等が変更になることがあるため、確認が必要です。

1-2.源泉所得税の納付・届出(毎月、または半年に一度)

法人化すると、役員報酬や給与、税理士等の報酬から所得税及び復興特別所得税を源泉徴収し、税務署に納付しなければなりません。

仮に、源泉徴収額が0円の場合でも税務署への納付書の提出が必要です。

納付は税務署の他、金融機関でも行うことができます。
ただし、源泉徴収額が0円の場合は、金融機関では取り扱いができないため、税務署に納付書を提出します。

基本的には、毎月納付が必要ですが、給与の支給人員が常時10人未満である場合、事前に申請することで、給与や退職手当、税理士等の報酬・料金について源泉徴収をした所得税及び復興特別所得税について、半年分をまとめて納付できるという特例制度を利用することもできますので、小規模な会社の場合は、申請しておくと、事務処理を軽減することができます。

2.毎年行わなければならない業務

2-1.法定調書の提出(税務署)、送付

法人になると毎年1月31日までに法定調書を税務署に提出する必要があります。

法定調書とは、「所得税法」、「相続税法」、「租税特別措置法」および「内国税の適正な課税の確保を図るための国外送金等に係る調書の提出等に関する法律」の規定により税務署への提出が義務づけられている資料をいいます。

現在、60種類程度の法定調書があり、会社の取引の内容に応じて作成をします。

>法定調書の種類について

一般的な会社の場合、主に、「所得税法に規定されている給与所得の源泉徴収票(役員報酬や給与の支払い)」、「退職所得の源泉徴収票(退職金の支払い)」、「報酬、料金、契約金及び賞金の支払い調書(税理士等への報酬等の支払い)」、「不動産の使用料等の支払い調書(事務所の賃料等の支払い)」等が対象となります。

これらに関する前年の支払内容を記載した支払調書を作成し、法定調書合計表と併せて税務署へ提出し、また、支払い先への支払調書の送付を行います。

専門家に依頼する場合は税理士に依頼します。

2-2.固定資産(償却資産)の申告書(各市町村税事務所、東京23区の場合は都税事務所)

法人の保有している固定資産の状況を毎年1月31日までに各市町村(東京23区の場合は都税事務所)に申告します。
申告した固定資産に応じて固定資産税が計算されます。

固定資産税が発生する場合は、市区町村から、6月に納税通知書が送付されるので、それを元に固定資産税の支払いを行います。

2-3.給与支払報告書(市区町村役場)

毎年1月に住民税と国民健康保険料の計算のため、役員、従業員の居住地の市区町村に給与支払報告書を提出します。

給与支払報告書は、主に給与支払者(会社)の情報を記載する総括表と前年の役員、従業員への給与の支払内容を記載する個別明細書(源泉徴収票と同様のフォーマット)を提出します。

また、住民税は原則、特別徴収(給与から天引き)となりますが、一定の理由がある場合は普通徴収(納付書を送付してもらい、金融機関やコンビニエンスストア等で従業員自らが納付)に切り替えることができます。

2-4.法人税・消費税中間申告(税務署)

前期の法人税、消費税の金額が一定額を超える場合は、税務署に中間納付をする必要があります。

法人税は半年に1回ですが、消費税は前期の消費税額に応じて回数が変わります。

2-5.決算、法人税・地方税の申告・納税(税務署、都道府県税事務所、市町村)

事業年度の終了後、その事業年度における損益を確定する決算を行います。
確定した損益に基づき所得を計算し、税務署・都道府県税事務所・市町村へ申告、納税を行います。

法人税の申告は原則として決算日から2ヶ月以内に行う必要があります。

申告に誤りがあると、税務調査が入ったときに、指摘され、場合によっては追徴課税となることもあるため、売上、経費の漏れや二重入力等の間違いが無いないように入念にチェックする必要があります。

2-6.定時株主総会の開催、議事録作成(株式会社の場合)

株式会社の場合、決算日から3ヶ月以内に定時株主総会を開催し、決算書の承認を得る必要があります。
株主が一人の場合でも、株主総会議事録を作成する必要があります。

2-7.決算公告(株式会社の場合)

株式会社の場合、定時株主総会が完了したら遅滞なく、定款に定めた公告方法で賃借対照表(大会社の場合には貸借対照表及び損益計算書)を公告する必要があります。

2-8.社会保険料の算定基礎届(年金事務所)、労働保険の年度更新(労働基準監督署)

社会保険料の算定基礎届とは、年に1回、健康保険・介護保険・厚生年金保険の保険料を現在の報酬(給与)に見合った額に調整するための手続きです。
基本的には4月から6月までの3ヶ月間に支給した報酬の平均額を7月上旬までに申告します。
この情報を元に保険料の階級が9月から翌年8月までの保険料が決定します。

従業員(役員以外)を雇用している場合は、労働保険に加入しなければなりません。
労働保険の保険料は、毎年4月1日から翌年3月31日までの1年間(これを「保険年度」といいます。)を単位として計算され、その額はすべての労働者(雇用保険については、被保険者)に支払われる賃金の総額に、その事業ごとに定められた保険料率を乗じて算定します。

労働保険は保険年度ごとに概算で保険料を納付し、保険年度末に賃金総額が確定したあとに精算するので、事業主は、前年度の保険料を精算するための確定保険料の申告・納付と新年度の概算保険料を納付するための申告・納付の手続きを行います。

この年度更新の手続きは、毎年6月1日から7月10日までの間に行わなければなりません。

手続きが遅れると、政府が保険料・拠出金の額を決定し、さらに追徴金(納付すべき保険料・拠出金の10%)を課すことがあります。

2-9.年末調整

1年間で支払った役員報酬、給与、賞与や源泉徴収した所得税について、再度計算し、所得税の過不足の調整を行います。

まとめ

法人化し、会社を運営するにあたり、これらの業務が発生します。

自分でこれらの業務を行うこともできますが、税金の申告など、比較的難易度の高いものもあります。
費用が発生しますが、専門家に依頼した方が効率的な場合もあるため、必要に応じて検討してみましょう。

>会社設立や設立後の手続きについて、専門家に依頼するなら、誰に依頼する

本記事の執筆者

税務関連の部分:サン共同税理士法人 宮川大介(税理士)

社会保険関係の部分:山形社労士・行政書士事務所 山形日野花(社会保険労務士)

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