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週間為替展望(豪ドル/ZAR)-豪ドル、利上げ期待も雇用不安が重し

市場見通し
◆豪ドル、インフレ懸念や経済情勢好調も雇用情勢の不安が重し
◆NZドル、7−9月期GDPに注目
◆ZAR、相次ぐ好調な経済指標を支えに対円・対ドルともに年初来高値を更新

予想レンジ
豪ドル円 102.50-106.50円
南ア・ランド円 9.10-9.45円

12月15日週の展望
 豪ドルは底堅さを維持しそうだが、雇用不安が重しになる。今週8−9日に今年最後の豪準備銀行(RBA)理事会が行われ、豪州からの大きなイベントを消化した。通常であれば、年末を前に凪相場になりやすい状況であるが、来週は日銀金融政策決定会合や米政府機関の閉鎖で延期されていた米国の重要経済指標(雇用統計や消費者物価指数=CPI)などが公表される予定。いつもの年末よりも市場はボラタイルに動くことが予想される。

 豪ドルの支えとなるのは、豪州経済が好調なだけでなく、インフレ懸念が台頭し利上げ期待が浮上してきたこと。今週のRBA理事会では予想通り政策金利を据え置いたほか、これまでの利下げ路線を完全に否定。物価上昇圧力は2022年のピーク以降、大幅に緩和しているものの、RBAはインフレ率が「最近になって上昇している」と指摘し「より広範囲にわたるインフレの上昇の兆候を示唆し、その一部は持続する可能性があり、注意深く監視する必要がある」と警戒感を明らかにした。また、「経済情勢は民間需要を中心に成長が加速し、住宅市場も堅調に推移している」との見解を示した。来年発表される経済指標次第では、来年上半期の利上げ期待も高まるだろう。

 ただ、11日に発表された11月雇用統計は失業率こそは予想より強かったが、新規雇用者数は増加予想が減少という結果に。雇用情勢に対する不安は豪ドルの重しになりそうだ。

 来週は豪州からは15日にブリシェットRBA金融安定局局長、16日にジョーンズRBA総裁補佐の講演が予定されている。なお、ニュージーランドからは18日に発表される7−9月期国内総生産(GDP)に注目。4−6月期は前年比・前期比ともマイナス成長となったが、7−9月期はプラス転となる予想。また、19日には11月貿易収支とANZ企業景況感指数なども発表予定。

 南アフリカ・ランド(ZAR)は堅調な動きを予想している。今週発表された10月小売売上高は市場予想を上回り、衣料品、家庭用品、ハードウェアへの支出の伸びが目立った。長期にわたる経済的な下降圧力が緩み、家計がようやく購買力を取り戻しつつあることが示され、小売業者や経済全体にとって明るい兆候を見せている。南ア商工会議所(SACCI)が発表した11月企業信頼感指数も2011年11月以来の好結果と、ここ最近の南アの経済指標は総じて良好だ。財政・経済ともに回復傾向を示しており、ZARは堅調に推移する可能性が高い。また、コモディティ価格が底堅い動きを見せていることもZARの支えになりそうだ。なお、来週南アからは17日に11月CPI、18日に卸売物価指数(PPI)のインフレ指数が発表予定。

12月8日週の回顧
 豪ドルは対円では昨年7月以来となる104円台まで上昇した。対ドルでも底堅い動きだったが、豪雇用統計後は上値を抑える場面も一時あった。ZARは対円・対ドルともに年初来高値を更新。今週発表された南アの経済指標が相次いで好結果だったほか、プラチナをはじめとするコモディティ価格が堅調だったこともZAR買いを促した。
(執筆:12月12日、9:00)


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