市場見通し
◆年末年始、流動性低下による一時的な乱高下に注意
◆ポンド、11月予算案後に下げ渋るも積極的な買い地合いは強まりにくい
◆加ドル、米加金融政策見通しの格差が下支え
予想レンジ
ポンド円 208.00-213.00円
加ドル円 112.50-115.50円
12月29日週の展望
来週は年末年始で主な経済指標や注目のイベントに乏しく、市場参加者も少ない。動意に欠ける相場展開になる可能性が高いが、流動性低下に伴った一時的な乱高下になる可能性も念頭に置きたい。最近の円相場は神経質な動きになっており、流動性の低下によるフラッシュクラッシュのリスクに注意。過去には2019月3日に数分で4円もの急落が発生した事例がある。
来週、英国内では12月ネーションワイド住宅価格や12月製造業購買担当者景気指数(PMI)改定値などの発表が予定されているが、結果がポンドの動意につながる可能性は低い。今週に発表された7-9月期GDP改定値は前期比0.1%と速報値と一致した。イングランド銀行(英中銀、BOE)は先週、10-12月期GDPはゼロ成長にとどまると予測した。
英経済は今年に好調なスタートを切ったが、徐々に景気減速が確認された。労働市場の悪化が続いていることが英国経済における最大の懸念材料であるが、GDPの縮小やインフレの低下を背景にBOEは来年も利下げが続くと見込まれており、足もとでは積極的にポンドを買い進める地合いにはなりにくい。
ただ、11月の英政府予算案で財政規律維持に向けた増税が発表された。財政再建の目途が立ち、追加増税への懸念が後退したことは、企業や家計マインドの改善を後押しする可能性がある。BOEの利下げ効果も発揮され、英経済の成長ペースが徐々に持ち直しの傾向を示すことを期待したい。
加ドルは、カナダ銀行(BOC)による利下げサイクルは終了したとの見方が強く、米国との金融政策見通しの格差も手がかりに、底堅い動きが見込まれる。今週公表の12月政策決定会合の議事要旨では、「次の政策金利の変更が利上げと利下げのどちらが有力かを討議した」ことが明らかになった。ただ米国の関税政策の不確実性や政策指標の振れが大きいことを要因に「政策金利の次の変更がいつ、どちらの方向に向かうかの予想は極めて困難」との認識で一致した。また、来年予定の米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)の見通しをめぐる不透明感で「設備投資が抑制される可能性がある」とし、協定の見直しが「重大なリスクになる可能性がある」との認識を示した。
市場では、BOCの次の一手は0.25%の利上げになる可能性が高く、利上げは来年の年央以降に実施される公算が大きいとの観測が出ている。ただ、今週発表の10月GDPは前月比-0.3%と約3年ぶりの大幅な落ち込みとなった。11月は0.1%増予想と反転が見込まれるが、経済に勢いはなく、「市場が来年の利上げを先取りし過ぎ」との声も聞かれている。
12月22日週の回顧
対円では先週の流れを引き継ぎ買いが先行するも、片山財務相の円安けん制発言も重しに上昇が一服。ポンド円は211円半ばまで2008年8月以来の高値を更新した後に伸び悩むも210円前半で下げ渋った。加ドル円は114円前半で伸び悩むも下押しは限定的。
また、対ドルでは、クリスマス休暇で相場全体の値動きは限られたが、全般ドルの上値は重く、ポンドドルは1.35ドル前半、ドル/加ドルは1.36加ドル半ばまでドル売りが優勢となった。(了)
(執筆:12月26日、9:00)
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◆ポンド、11月予算案後に下げ渋るも積極的な買い地合いは強まりにくい
◆加ドル、米加金融政策見通しの格差が下支え
予想レンジ
ポンド円 208.00-213.00円
加ドル円 112.50-115.50円
12月29日週の展望
来週は年末年始で主な経済指標や注目のイベントに乏しく、市場参加者も少ない。動意に欠ける相場展開になる可能性が高いが、流動性低下に伴った一時的な乱高下になる可能性も念頭に置きたい。最近の円相場は神経質な動きになっており、流動性の低下によるフラッシュクラッシュのリスクに注意。過去には2019月3日に数分で4円もの急落が発生した事例がある。
来週、英国内では12月ネーションワイド住宅価格や12月製造業購買担当者景気指数(PMI)改定値などの発表が予定されているが、結果がポンドの動意につながる可能性は低い。今週に発表された7-9月期GDP改定値は前期比0.1%と速報値と一致した。イングランド銀行(英中銀、BOE)は先週、10-12月期GDPはゼロ成長にとどまると予測した。
英経済は今年に好調なスタートを切ったが、徐々に景気減速が確認された。労働市場の悪化が続いていることが英国経済における最大の懸念材料であるが、GDPの縮小やインフレの低下を背景にBOEは来年も利下げが続くと見込まれており、足もとでは積極的にポンドを買い進める地合いにはなりにくい。
ただ、11月の英政府予算案で財政規律維持に向けた増税が発表された。財政再建の目途が立ち、追加増税への懸念が後退したことは、企業や家計マインドの改善を後押しする可能性がある。BOEの利下げ効果も発揮され、英経済の成長ペースが徐々に持ち直しの傾向を示すことを期待したい。
加ドルは、カナダ銀行(BOC)による利下げサイクルは終了したとの見方が強く、米国との金融政策見通しの格差も手がかりに、底堅い動きが見込まれる。今週公表の12月政策決定会合の議事要旨では、「次の政策金利の変更が利上げと利下げのどちらが有力かを討議した」ことが明らかになった。ただ米国の関税政策の不確実性や政策指標の振れが大きいことを要因に「政策金利の次の変更がいつ、どちらの方向に向かうかの予想は極めて困難」との認識で一致した。また、来年予定の米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)の見通しをめぐる不透明感で「設備投資が抑制される可能性がある」とし、協定の見直しが「重大なリスクになる可能性がある」との認識を示した。
市場では、BOCの次の一手は0.25%の利上げになる可能性が高く、利上げは来年の年央以降に実施される公算が大きいとの観測が出ている。ただ、今週発表の10月GDPは前月比-0.3%と約3年ぶりの大幅な落ち込みとなった。11月は0.1%増予想と反転が見込まれるが、経済に勢いはなく、「市場が来年の利上げを先取りし過ぎ」との声も聞かれている。
12月22日週の回顧
対円では先週の流れを引き継ぎ買いが先行するも、片山財務相の円安けん制発言も重しに上昇が一服。ポンド円は211円半ばまで2008年8月以来の高値を更新した後に伸び悩むも210円前半で下げ渋った。加ドル円は114円前半で伸び悩むも下押しは限定的。
また、対ドルでは、クリスマス休暇で相場全体の値動きは限られたが、全般ドルの上値は重く、ポンドドルは1.35ドル前半、ドル/加ドルは1.36加ドル半ばまでドル売りが優勢となった。(了)
(執筆:12月26日、9:00)
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DZH Finacial Research
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