【本日の東京為替見通し】今夜の米5月雇用統計控えて動意薄、米上院の採決を見極める展開

マーケットレポート

June 2, 2023

【前日の為替概況】米10年債利回り3.56%台でドル安 対円138.45円、対ユーロ1.0768ドル

 

1日のニューヨーク外国為替市場でドル円は4日続落。終値は138.80円と前営業日NY終値(139.34円)と比べて54銭程度のドル安水準。
5月ADP全米雇用報告が予想より強い結果となったことを受けて139.86円付近まで上昇したものの、すぐに失速。
米利上げ期待が後退するなか、米長期金利が低下すると売りが優勢となった。
5月米サプライマネジメント協会(ISM)製造業景気指数が予想を若干下回る結果だったことが伝わると、一時138.45円まで下げ足を速めた。
すぐに米金利が低下幅を縮めたため、つれる形で139.06円付近まで持ち直したが戻りは鈍く、138円台後半を中心としたもみ合いとなった。

 

ユーロドルは反発。
終値は1.0762ドルと前営業日NY終値(1.0689ドル)と比べて0.0073ドル程度のユーロ高水準だった。
米長期金利が低下したうえ、欧州株が全面高となったことを支えに買いが活発化した。
浅い下押しがありながらも強い地合いを保ちながら一時1.0768ドルまで上値を伸ばした。
主要通貨に対するドルの値動きを示すドルインデックスは一時103.50と5月24日以来の安値を付けた。

 

なお、カナダドルは買い優勢。
WTI原油先物価格が4%超高まで急伸すると資源国通貨であるカナダドルに買いが集まり、対ドルで1.3437カナダドル、対ユーロで1.4446カナダドル、対円で103.33円までカナダドル高が進んだ。

 

ユーロ円は4営業日ぶりに反発。
終値は149.37円と前営業日NY終値(148.95円)と比べて42銭程度のユーロ高水準。
ドル円が安値を付けたタイミングで148.70円付近まで下げたが、東京市場に付けた安値148.63円を前に下げ渋り。
ユーロドルや欧米株価が堅調に推移したことを支えに149.40円台まで反発。

【本日の東京為替見通し】今夜の米5月雇用統計控えて動意薄、米上院の採決を見極める展開

 

本日の東京外国為替市場のドル円は、今夜発表される米国5月の雇用統計を控えて動きづらい展開の中、米上院での財政責任法案の採決を見極めることになる。
6月13-14日の米連邦公開市場委員会(FOMC)に向けて、今週末からブラックアウト期間に入るが、次期FRB副議長に指名されているジェファーソンFRB理事は、タカ派的利上げ休止「6月FOMCでは利上げ見送り支持」を表明した。

そして、米ウォールストリート・ジャーナルのFEDウォッチャー、ニック・ティミラオス記者も「Fed Prepares to Skip June Rate Rise but Hike Later(FRBは6月会合では金利を据え置き、夏以降に再び利上げを行う準備をする可能性」と配信した。
すなわち、米連邦準備理事会(FRB)執行部の意向は、6月FOMCは利上げ休止、その後の利上げ再開や利下げへの転換は、データー次第ということになる。

 

米5月雇用統計の予想は、失業率が3.5%で4月の3.4%から上昇、非農業部門雇用者数は前月比+19.0万人の増加となっており、4月の+25.3万人からは増加幅の減少が見込まれている。
ティミラオス記者の発言に従えば、ポジティブサプライズでない限り、6月13-14日のFOMCでは、シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)グループがFF金利先物の動向に基づき算出する「フェドウオッチ」が示唆しているように、据え置かれる可能性が高まることになる。

 

5月30日に下院議事運営委員会で審議された財政責任法案(Fiscal Responsibility Act of 2023)は、13人中(共和党9・民主党4)、賛成7、反対6の1票差で可決した。
5月31日に下院本会議(435議席:共和党222・民主党213)でも、賛成314対反対117の賛成多数で可決され、共和党の保守強硬派71人が反対、民主党もプログレッシブ(急進左派)46人が反対(賛成165人)した。

 

本日は、上院(100議席:共和党49・民主党50・無所属1)で債務上限停止法案を盛り込んだ「財政責任法案」の採決が予定されている。
上院で予想されているフィリバスター(議事妨害)を阻止する60票到達には、民主党会派の51議席(民主党50・無所属1)に加えて、共和党からも9票以上の上積みが必要となっている。

 

米財務省の5月30日時点での現金残高は374億ドルと発表されており、連邦政府債務の支払い義務を履行する上での必要最低限の現金残高300億ドルに迫りつつある。
しかしながら、バイデン米大統領が法案に署名した後でも、格付け会社による米国債格下げへの警戒感は払拭されない。
2011年8月5日の米格付け会社スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)による米国債格下げは、8月2日の期限(Xデイ)にオバマ第44代米大統領が債務上限引き上げ法案に署名した3日後だった。
2011年と2023年の民主党政権と共和党下院とのチキンゲームは以下の通りとなっている。
【2011年】 【2023年】(※日付けは米国時間)

  • ・両党指導部が合意:7月31日   5月27日
  • ・下院で可決:8月1日       5月31日
  • ・上院で採決:8月2日       6月1日??
  • ・大統領署名:8月2日       6月X日??
  • ・Xデイ  :8月2日       6月5日

【本日の重要指標】 ※時刻表示は日本時間

<国内>
○08:50 ◇ 5月マネタリーベース

<海外>
○15:45 ◇ 4月仏鉱工業生産(予想:前月比0.3%)
○16:30 ◎ バスレ・スロベニア中銀総裁、講演
○21:00 ◇ 4月メキシコ失業率(季節調整前、予想:2.73%)
○21:30 ☆ 5月米雇用統計(予想:非農業部門雇用者数変化19.0万人/失業率3.5%/平均時給、前月比0.3%/前年比4.4%)
○シンガポール(べサックデイ)、休場
○4日 石油輸出国機構(OPEC)とロシアなど非加盟産油国による「OPECプラス」閣僚級会合

※「予想」は特に記載のない限り市場予想平均を表す。▲はマイナス。
※重要度、高は☆、中は◎、低◇とする。
※指標などの発表予定・時刻は予告なく変更になる場合がありますので、ご了承ください。

【前日までの要人発言】

1日07:36 米ウォールストリート・ジャーナル
FEDウォッチャー、ニック・ティミラオス記者
「FRBは金曜日の雇用統計が突出したものでなければ、6月の利上げを見送り、利上げペースを減速させる計画を固めている」

1日10:34 ホワイトハウス
「バイデン大統領、下院の債務上限停止法案可決を歓迎。上院にも法案の速やかな可決求める」

1日14:12 レーン・フィンランド銀行(中央銀行)総裁
「ターミナルレート(利上げの最終到達点)には到達していない。ECBが緩和検討する前にコアインフレの鈍化が必要」

1日18:40 ラガルド欧州中央銀行(ECB)総裁
「インフレ率が2%目標に戻る軌道に乗っていると十分に確信できるまで、利上げを続ける必要がある」
「インフレは高過ぎる。またその状態が長く続くことが予想される」

1日20:36 欧州中央銀行(ECB)理事会議事要旨(5月4日分)
「さらなる金利引き上げによる金融政策スタンスの引き締めが正当化されるとの認識で一致」
「ほぼ全員のメンバーが25bpの利上げを支持」
「利上げ幅の縮小は理事会が金融政策引き締めサイクルの一時停止への扉を開いたと解釈すべきではない」

※時間は日本時間

〔日足一目均衡表分析〕

<ドル円=上昇中の転換線を抵抗に戻り売りスタンス>

<ドル円=上昇中の転換線を抵抗に戻り売りスタンス>

各ラインの期間

 

陰線引け。
転換線は基準線を上回り、遅行スパンは実線を上回り、雲の上で引けていることで、三役好転の強い買いシグナルが点灯中。
しかし、3手連続陰線で転換線を下回って引けており続落の可能性が示唆されている。
本日は、上昇中の転換線を抵抗に戻り売りスタンスで臨み、同線を上抜けた場合は手仕舞い。

レジスタンス2:140.93(5/30高値)
レジスタンス1:139.58(日足一目均衡表・転換線)
前日終値:138.80
サポート1:138.45(6/1安値)
サポート2:137.30(200日移動平均線)

<ユーロドル=転換線を支持に押し目買いスタンス>

<ユーロドル=転換線を支持に押し目買いスタンス>

各ラインの期間

 

陽線引け。
転換線は基準線を下回り、遅行スパンは実線を下回り、雲の下で引けていることで、三役逆転の強い売りシグナルが点灯している。
しかし、抱き線で反発して転換線を上回って引けており続伸の可能性が示唆されている。
本日は、転換線を支持に押し目買いスタンスで臨み、同線を下抜けた場合は手仕舞い。

レジスタンス1:1.0863(日足一目均衡表・基準線)
前日終値:1.0762
サポート1:1.0728(日足一目均衡表・転換線)

<ポンド円=転換線を支持に押し目買いスタンス>

<ポンド円=転換線を支持に押し目買いスタンス>

各ラインの期間

 

陽線引け。
転換線は基準線を上回り、遅行スパンは実線を上回り、雲の上で引けていることで、三役好転の強い買いシグナルが点灯中。
抱き線で切り返して転換線を上回って引けていることで続伸の可能性が示唆されている。
本日は、転換線を支持に押し目買いスタンスで臨み、同線を下抜けた場合は手仕舞い。

レジスタンス1:174.28(5/30高値)
前日終値:173.86
サポート1:172.76(日足一目均衡表・転換線)

<NZドル円=下落中の転換線を抵抗に戻り売りスタンス>

<NZドル円=下落中の転換線を抵抗に戻り売りスタンス>

各ラインの期間

 

陽線引け。
転換線は基準線を上回り、遅行スパンは実線を上回り、雲の上で引けていることで、三役好転の強い買いシグナルが点灯中。
しかし、孕み線で反発したものの転換線を下回って引けていることで反落の可能性が示唆されている。
本日は、下落中の転換線を抵抗に戻り売りスタンスで臨み、同線を上抜けた場合は手仕舞い。

レジスタンス1:85.42(日足一目均衡表・転換線)
前日終値:84.24
サポート1:82.86(日足一目均衡表・雲の上限)

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