【本日の東京為替見通し】ドル円底堅い展開だが、ドル売り・円買い介入の可能性には要警戒か

マーケットレポート

June 20, 2023

【前日の為替概況】ドル円142.00円まで強含み、日米金融政策の方向性の違いを背景に

 

19日のニューヨーク外国為替市場でドル円は3日続伸。
終値は141.98円と前営業日NY終値(141.82円)と比べて16銭程度のドル高水準だった。
欧州株相場の下落や日経平均先物の失速に伴う円買い・ドル売りが入ると一時141.66円付近まで下押しする場面もあったが、取引終了間際には欧州時間に付けた約7カ月ぶりの高値142.00円に面合わせした。
米国がジューンティーンス独立記念日で休場となる中、大きな方向感は出なかったが、日米金融政策の方向性の違いに着目した円売り・ドル買いは出やすく高止まりした。

 

ユーロドルは続落。
終値は1.0921ドルと前営業日NY終値(1.0937ドル)と比べて0.0016ドル程度のユーロ安水準だった。
米国市場が休場となる中、動意となるイベントもなく、狭いレンジでの取引が続いた。
市場では「21-22日のパウエル米連邦準備理事会(FRB)議長の議会証言を控えて、様子見ムードが高まっている」との声が聞かれた。

 

ポンドドルはじり安となった。
今週予定の英中銀金融政策委員会(MPC)では0.25%の利上げが見込まれているものの、前週末に昨年4月以来の高値を更新したあとだけに利益確定目的の売りなどが出た。アジア時間早朝に付けた1.2801ドルを下抜けて一時1.2771ドルまで値を下げた。

 

ユーロ円は6営業日ぶりに小反落。
終値は155.09円と前営業日NY終値(155.22円)と比べて13銭程度のユーロ安水準。
大規模な金融緩和を維持する日銀と、利上げ継続方針を示す欧州中央銀行(ECB)との金融政策の違いが意識されて、アジア市場では一時155.33円と2008年9月以来15年ぶりの高値を付けたものの、NY市場では154.69円付近まで下押しした。
ただ、そのあとは155.09円まで買い戻されて取引を終えるなど、下値は堅かった。

【本日の東京為替見通し】ドル円底堅い展開だが、ドル売り・円買い介入の可能性には要警戒か

 

本日の東京外国為替市場のドル円は、日米金融政策の方向性の違いで底堅い展開が予想されるものの、昨年秋のような本邦通貨当局によるドル売り・円買い介入の可能性に警戒する展開が予想される。
ドル円は昨日142.00円まで続伸し、三角保ち合いの上値目標値である142.21円に接近した。
フィボナッチ・リトレースメントでは、151.95円から127.23円までの下落幅の61.8%戻しである142.51円が目安となっている。

しかし、本邦通貨当局は、昨年9月と10月にボラティリティー(過度な変動)を抑制するという名目で、ボリンジャー・バンド+2σ付近でドル売り・円買い介入を断行しており、本日も引き続き警戒していくことになる。
現時点の+2σは、141.90円付近に位置している。

 

先週の米連邦公開市場委員会(FOMC)でのドット・プロット(金利予測分布図)では、2023年末のFF金利の中間予想値が5.60%(5.50-75%)と示され、年内残り4回の内2回(0.25%x2)の利上げが示唆された。
しかし、シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)グループがFF金利先物の動向に基づき算出する「フェドウオッチ」では、7月FOMCで5.25-50%へ利上げ、そして、9月、11月、12月FOMCでは据え置き確率が高まっており、年内1回の利上げだけを示唆している。
すなわち、これまでの市場の原則は「FEDに逆らうな」だったが、現状は、パウエルFRB議長の発言「過去2年、FOMCのインフレ予測は外れていた」により、FEDへの信頼感は低下している。

 

明日からのパウエルFRB議長の議会証言では、FRBと市場の金利見通しの乖離に関する見解に注目することになる。
植田日銀総裁は先週16日の日銀金融政策決定会合の後の会見で、「消費者物価の見通しが大きく変われば、政策変更につながる可能性がある」との見解を示していた。
今週末23日に発表される日本の5月の消費者物価指数(CPI)では、日銀が昨年4月の展望リポートから注視している「コアコアCPI」(※生鮮食品やエネルギーを除いた数字)の予想は前年比+4.2%で、41年9カ月ぶりの上昇幅を記録した4月の同比+4.1%からの上昇が見込まれている。
もし、上昇基調が続いていたならば、7月の日銀金融政策決定会合でのイールドカーブコントロール(YCC)上限引き上げへの思惑が高まることで、ドル円の上値を抑える要因となる。

10時30分に公表される6月豪準備銀行(RBA)理事会議事要旨では、次回7月4日の理事会での利上げの可能性を見極めることになる。
政策金利を4.10%に引き上げた6月理事会では、「オーストラリアのインフレ率はピークを過ぎたが、7%という数字はまだ非常に高く、目標レンジ(2%~3%)へ戻るには、まだ時間がかかりそうである。
今回の追加利上げは、インフレ率が合理的な期間内に目標へ戻る確信を強めるためのもの」と説明していた。
本日は、ケントRBA総裁補佐やブロックRBA副総裁の講演が予定されており、良好だった豪雇用統計後の見解に注目したい。

【本日の重要指標】 ※時刻表示は日本時間

<国内>
○13:30 ◇ 4月鉱工業生産確報
○13:30 ◇ 4月設備稼働率

<海外>
○10:30 ◎ 6月豪準備銀行(RBA)理事会議事要旨
○15:00 ◇ 5月独生産者物価指数(PPI、予想:前月比▲0.7%)
○17:00 ◇ 4月ユーロ圏経常収支(季節調整済)
○17:00 ◎ レーン・フィンランド中銀総裁、講演
○17:00 ◎ ミュラー・エストニア中銀総裁、講演
○17:30 ◎ 5月香港消費者物価指数(CPI、予想:前年同月比2.3%)
○18:00 ◎ ブイチッチ・クロアチア中銀総裁、講演
○18:00 ◇ 4月ユーロ圏建設支出
○19:30 ◎ ブラード米セントルイス連銀総裁、講演
○21:30 ◎ 5月米住宅着工件数(予想:140.0万件、前月比▲0.1%)
     ◎    建設許可件数(予想:142.5万件、前月比0.6%)
○23:30 ◎ シムカス・リトアニア中銀総裁、講演
○21日00:45 ◎ ウィリアムズ米ニューヨーク連銀総裁、バー米連邦準備理事会(FRB)副議長、イベントに参加
○21日02:10 ◎ デギンドス欧州中央銀行(ECB)副総裁、講演

※「予想」は特に記載のない限り市場予想平均を表す。▲はマイナス。
※重要度、高は☆、中は◎、低◇とする。
※指標などの発表予定・時刻は予告なく変更になる場合がありますので、ご了承ください。

【前日までの要人発言】

19日08:43 神田財務官
「米為替報告書の監視対象から外れたことを歓迎、日頃から緊密に意思疎通を図ってきた」
「今後とも緊密なしっかりした意思疎通をマーケットの為にも続けていきたい」

19日17:39 シムカス・リトアニア中銀総裁
「7月利上げに疑いはない」
「9月利上げが必要かを判断するのは時期尚早」
「利上げサイクルは終わりに近づいている」

19日17:51 習中国国家主席
「ブリンケン米国務長官の訪中、米中関係の安定化に寄与し得る」
「ブリンケン米国務長官に中国の立場は明確に伝える」

19日18:20 ブリンケン米国務長官
「米中の関係強化のためより前向きに貢献していく」

19日20:33 レーン欧州中央銀行(ECB)専務理事兼チーフ・エコノミスト
「インフレ見通しについてはデータに依存すべき」
「7月に追加利上げし、9月は様子を見るのが適切」

19日20:45 シュナーベル欧州中央銀行(ECB)専務理事
「インフレリスクは上方向に傾いている」
「利上げ継続が必要」

20日03:44 ストゥルナラス・ギリシャ中銀総裁
「利上げの終了が確実に近づいている」
「今年中に利上げが終了する可能性」
「インフレはさらに低下すると予想」

※時間は日本時間

〔日足一目均衡表分析〕

<ドル円=6/19安値を支持に押し目買いスタンス>

<ドル円=6/19安値を支持に押し目買いスタンス>

各ラインの期間

 

陽線引け。
転換線は基準線を上回り、遅行スパンは実線を上回り、雲の上で引けており、三役好転の強い買いシグナルが点灯している。
3手連続陽線で転換線を大幅に上回って引けており続伸の可能性が示唆されている。
本日は、19日安値を支持に押し目買いスタンスで臨み、同水準を下抜けた場合は手仕舞い。

レジスタンス2:145.18(2022/11/9安値)
レジスタンス1:142.48(2022/11/11高値)
前日終値:141.98
サポート1:141.44(6/19安値)
サポート2:140.34(日足一目均衡表・転換線)

<ユーロドル=低下が見込まれる雲上限を念頭に置いた取引>

<ユーロドル=低下が見込まれる雲上限を念頭に置いた取引>

各ラインの期間

 

陰線引け。
転換線は基準線を上回り、遅行スパンは実線を上回り、雲の中で引けているものの、買いシグナルが優勢な展開となっている。
雲の上限の手前で、2手連続陰線で伸び悩んでいるものの、転換線を上回って引けており反発の可能性が示唆されている。
雲の上限を念頭に置いた取引は変わらず、その上限は本日1.0970ドルから週後半には1.09ドル前半まで水準を下げる。
転換線を支持に押し目買いスタンスは継続で、同線を下抜けた場合は手仕舞い。

レジスタンス1:1.0970(日足一目均衡表・雲の上限)
前日終値:1.0921
サポート1:1.0833(日足一目均衡表・転換線)

<ポンド円=6/19安値を支持に押し目買い継続>

<ポンド円=6/19安値を支持に押し目買い継続>

各ラインの期間

 

小陰線引け。
転換線は基準線を上回り、遅行スパンは実線を上回り、雲の上で引けており、三役好転の強い買いシグナルが点灯中。
4手連続陽線の後に被せ線で反落したものの、転換線を大きく上回って引けており反発の可能性が示唆されている。
本日は、19日の安値を支持に押し目買いスタンスで臨み、同水準を下抜けた場合は手仕舞い。

レジスタンス1:182.13(6/19高値)
前日終値:181.63
サポート1:181.23(6/19安値)

<NZドル円=6/16安値を支持に押し目買いスタンス>

<NZドル円=6/16安値を支持に押し目買いスタンス>

各ラインの期間

 

陰線引け。
転換線は基準線を上回り、遅行スパンは実線を上回り、雲の上で引けており、三役好転の強い買いシグナルが点灯中。
7手連続陽線の後に孕み線で反落したものの転換線を上回って引けており反発の可能性が示唆されている。
本日は、16日安値を支持に押し目買いスタンスで臨み、同水準を下抜けた場合は手仕舞い。

レジスタンス1:88.56(6/16高値)
前日終値:88.03
サポート1:87.28(6/16安値)

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