July 19, 2023
【前日の為替概況】ドル円、6月小売売上高で137.70円へ下落、日銀総裁発言で139.14円へ反発
18日のニューヨーク外国為替市場でドル円は小反発。
終値は138.83円と前営業日NY終値(138.71円)と比べて12銭程度のドル高水準だった。
6月米小売売上高が予想より弱い結果だったことが伝わると、米金利の低下とともに円買い・ドル売りが先行。
前日の安値138.00円を下抜けて、21時30分過ぎに一時137.70円と日通し安値を更新した。
ただ、137円台では押し目を拾いたい向きも多く下げ渋った。
植田和男日銀総裁が20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議後の会見で「持続的、安定的な2%のインフレ達成にはまだ距離がある」などと発言すると、「日銀が今月の金融政策決定会合でイールドカーブ・コントロール(YCC)政策を修正する」との観測が後退。
全般円売りが優勢となり、アジア時間の高値138.92円を上抜けて一時139.14円まで値を上げた。
もっとも、前日の高値139.41円を上抜けることは出来ず、NY午後には138.76円付近まで下押しした。
ユーロドルは小反落。
終値は1.1229ドルと前営業日NY終値(1.1236ドル)と比べて0.0007ドル程度のユーロ安水準だった。
低調な米小売指標の結果が伝わると1.1269ドル付近まで買い戻される場面もあったが、戻りは鈍かった。
欧州時間に伝わったクノット・オランダ中銀総裁の「コアインフレは横ばい状態となったようだ」「(秋以降の利上げについて)あり得るが確実ではない」との発言を受けて、欧州中央銀行(ECB)の利上げ継続観測が後退する中、2時前に一時1.1209ドルと日通し安値を更新した。
ユーロ円はほぼ横ばい。
終値は155.89円と前営業日NY終値(155.88円)と比べて1銭程度のユーロ高水準。
クノット・オランダ中銀総裁の発言が相場の重しとなり、一時154.88円と日通し安値を付けたものの、植田日銀総裁の発言が伝わると一転上昇した。
23時過ぎには156.11円付近まで持ち直した。
ただ、アジア時間に付けた日通し高値156.14円を上抜けることは出来なかった。
【本日の東京為替見通し】ドル円、日・米10年債利回りの動向次第の値動きか
本日の東京外国為替市場のドル円は、来週の米連邦公開市場委員会(FOMC)や日銀金融政策決定会合に向けた日米10年債利回りの動向次第の展開が予想される。
ドル円は、来週27-28日の日銀金融政策決定会合でのイールドカーブコントロール(YCC)許容変動幅拡大観測を受けて137.25円まで下落後、拡大観測の後退により、200日移動平均線136.99円を支持に、137円台から139円台で下げ渋る展開となっている。
昨年12月20日の日銀金融政策決定会合でのYCC許容変動幅拡大の時は、200日移動平均線を下回った後で、高値137.48円から安値130.58円まで下落しており、137-138円付近はYCCに関する分岐点なのかもしれない。
YCCに関しては、内田日銀副総裁や早川元日本銀行理事による許容変動幅の修正を示唆する発言に対して、植田日銀総裁が否定的な見解を述べていることで、動きづらい展開となっており、本日も日銀関係者や報道によるYCCへの見解に警戒することになる。
7日の内田日銀副総裁のインタビュー記事では、「YCCは、金融仲介機能や市場機能に配慮しつつ、いかにうまく金融緩和を継続するかという観点からバランスをとって判断していきたい」と述べていた。
「YCC」は、長期金利の目標であり、昨年12月の許容変動幅の拡大時には、金融政策の変更ではない、と明言されている。
「マイナス金利」は、短期金利の金融政策であり、変更することは、金融緩和策から引き締め策への移行、すなわち、金融政策の変更を意味する。
そこで、内田日銀副総裁は、長期金利のYCCと短期金利のマイナス金利を分離して、金融政策の変更ではないYCC修正の可能性を示唆した。
13日の元日本銀行理事の早川英男氏のインタビュー記事では、日銀金融政策決定会合で、YCCにおける長期金利の変動幅を拡大する政策修正を行う可能性がある、との見解を示していた。
14日の新聞報道では、7月の「経済・物価情勢の展望(展望リポート)」では、物価見通しが引き上げられる可能性が報じられた。
16日、植田日銀総裁は、市場で金融緩和策を修正するという観測が広がっていることに対して釘をさした。
「債券市場の機能に関する私の認識は4月や6月の決定会合のときと大きく変わっていない」と述べた。
さらに、昨日18日も「持続的、安定的な2%のインフレ達成にはまだ距離がある」と述べ、YCCの修正観測を後退させている。
【本日の重要指標】 ※時刻表示は日本時間
<国内>
特になし
<海外>
○07:45 ◎ 4-6月期ニュージーランド(NZ)消費者物価指数(CPI、予想:前期比0.9%/前年比5.9%)
○15:00 ◎ 6月英消費者物価指数(CPI、予想:前月比0.4%/前年比8.2%)
○15:00 ◎ 6月英CPIコア指数(予想:前年比7.1%)
○15:00 ◇ 6月英小売物価指数(RPI、予想:前月比0.5%/前年比10.9%)
○16:30 ◎ ブイチッチ・クロアチア中銀総裁、講演
○17:00 ◎ 6月南アフリカCPI(予想:前月比0.4%/前年比5.6%)
○18:00 ☆ 6月ユーロ圏消費者物価指数(HICP)改定値(予想:前年比5.5%)
○18:00 ☆ 6月ユーロ圏HICPコア改定値(予想:前年比5.4%)
○18:00 ◇ 5月ユーロ圏建設支出
○20:00 ◇ MBA住宅ローン申請指数
○20:00 ◇ 5月南アフリカ小売売上高(予想:前年同月比▲1.1%)
○21:30 ◎ 6月米住宅着工件数(予想:148.0万件、前月比▲9.3%)
◎ 建設許可件数(予想:150.0万件、前月比0.2%)
○23:30 ◇ EIA週間在庫統計
○20日01:00 ◎ ラムスデン・イングランド銀行(英中銀、BOE)副総裁、講演
○20日02:00 ◎ 米財務省、20年債入札
※「予想」は特に記載のない限り市場予想平均を表す。
▲はマイナス。
※重要度、高は☆、中は◎、低◇とする。
※指標などの発表予定・時刻は予告なく変更になる場合がありますので、ご了承ください。
【前日までの要人発言】
18日10:41 豪準備銀行(RBA)議事要旨
「金利据え置きと0.25%の追加利上げを検討し、据え置きを決定」
「インフレ抑制に向けて追加引き締めが必要になる可能性もあり、8月の理事会で協議予定」
「現状の金融政策は明らかに制約的である」
「景気や消費の減速の可能性は認識」
「家計、雇用市場、住宅市場への悪影響も認識」
「インフレ目標2%の達成にはまだ時間がかかる見込み」
「サービスインフレは依然として高止まりしている」
「第2四半期の消費者物価指数、グローバル経済、雇用市場を注視」
18日11:21 チャーマーズ豪財務相
「追加利上げが必要なのか、不明」
18日12:25 ビスコ・イタリア中銀総裁
「基調的なインフレは根強い」
「金融政策が効果を発揮するまで時間がかかる」
「エネルギーコストの低下がコアインフレに表れる見通し」
「やり過ぎには注意が必要」
18日16:55 クノット・オランダ中銀総裁
「7月より後の利上げ、あり得るが確実というわけではない」
「コアインフレは横ばい状態となったようだ」
18日22:34 岸田首相
「中国の習近平国家主席と意見交換の場を作っていきたい」
「(石油市場安定と脱炭素)投資資金の大量供給が必要」
「(内閣改造)今の時点では何も決めていない」
18日22:36 鈴木財務相
「世界経済の下振れリスクで認識を共有した」
「為替についてのコミットメントを再確認した」
18日22:45 植田日銀総裁
「持続的、安定的な2%のインフレ達成にはまだ距離がある」
「(世界経済の分断で)何らかのマイナスの影響避けられない」
※時間は日本時間
〔日足一目均衡表分析〕
<ドル円=7/17高値を抵抗に戻り売りスタンス>
陽線引け。
転換線は基準線を下回り、遅行スパンは実線を下回り、雲の上で引けているものの、売りシグナルが優勢な展開となっている。
抱き線で反発したものの、依然として転換線を下回っていることで反落の可能性が示唆されている。
本日は、雲の上限138.44円を念頭に置き、17日の高値を抵抗に戻り売りスタンスで臨み、同線を上抜けた場合は手仕舞い。
レジスタンス2 140.73(日足一目均衡表・転換線)
レジスタンス1 139.41(7/17高値)
前日終値 138.83
サポート1 137.70(7/18安値)
サポート2 137.25(7/14安値)
<ユーロドル=7/13安値を支持に押し目買いスタンス>
小陰線引け。
転換線は基準線を上回り、遅行スパンは実線を上回り、雲の上で引けているため、三役好転の強い買いシグナルが点灯中。
8手連続陽線の後、抱き線で反落したものの転換線を上回って引けており、反発の可能性が示唆されている。
本日は、13日の安値を支持に押し目買いスタンスで臨み、同水準を下抜けた場合は手仕舞い。
レジスタンス1 1.1313(2022/2/24高値)
前日終値 1.1229
サポート1 1.1129(7/13安値)
<ポンド円=転換線を抵抗に戻り売りスタンス>
陰線引け。
転換線は基準線を上回り、遅行スパンは実線を上回り、雲の上で引けており、三役好転の強い買いシグナルが点灯中。
しかし、2手連続陰線で転換線を下回って引けており、続落の可能性が示唆されている。
本日は、転換線を抵抗に戻り売りスタンスで臨み、同線を上抜けた場合は手仕舞い。
レジスタンス1 181.54(日足一目均衡表・転換線)
前日終値 180.98
サポート1 180.23(日足一目均衡表・基準線)
<NZドル円=基準線を抵抗に戻り売りスタンス>
陰線引け。
転換線は基準線を下回っているものの、遅行スパンは実線を上回り、雲の上で引けていることで、買いシグナルが優勢な展開となっている。
しかし、2手連続陰線で転換線を下回って引けており、続落の可能性が示唆されている。
本日は、基準線を抵抗に戻り売りスタンスで臨み、同線を上抜けた場合は手仕舞い。
レジスタンス1 87.88(日足一目均衡表・基準線)
前日終値 87.08
サポート1 86.46(7/18安値)
Provided by
DZH Finacial Research
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