1日3度のチャンスを狙い撃ちする-待つFX・FX/CFD初級者向け書籍

序章
ＦＸとの出合い
「今、ＦＸっていう投資が注目されているのよ」
　今思えば、姉と何気なくこの会話をしたときが私とＦＸとの出合いだったと思います。
　ずっと経営者として会社を運営してきましたが、子供が生まれたのをきっかけに会社をたたんで家庭に入った私。最初のうちは、子供の世話や家事に追われて“それ以外のこと”を思い浮かべることもありませんでしたが、姉と上のような話をしていたときは育児にも慣れて きたころで、時間のやりくりもできるようになっていましたから、「私にも何かできるかも」と何となしにインターネットでＦＸについて検索してみたのです。いろいろと調べてみると、リスクが高いことについてはあまり頭に残らなかった代わりに、「枚数をどんどん増やせば１日に何十万円も利益が取れる」ということだけは、知識として、私自身の興味として、ダムに水が貯まるように私の頭の中に蓄積されました。事実、「すぐに利益が出るのね。株式投資よりも全然良いかも～」と感心したものでした。
　会社を経営しているときには平日だけでなく、週末も別のプロジェクトに参加していましたが、収入的にはあまり満足のいくものではありませんでした。例えば、３カ月もの間、東京と神戸や大阪を行き来する仕事を続けても、私に入ってくる金額は必要経費を差し引いたり、会社の利益を考えたりすると、「（この仕事をして）良かったわぁ」と素直に喜べるものではなかったのです。
　でも、ＦＸは自宅でトレードするものなので、交通費や交際接待費、事務所経費はまったく必要ありません。税金以外の諸経費が必要ないことは私の目にはとても魅力的に映りました。
初期のトレード
　興味はあったものの、さすがにすぐに実戦に入るのは怖かったので、最初はバーチャルＦＸでトレードをしていました。
　バーチャルですと、仮想資金として５００万円が使えます。ですから、まずは取引可能な１００枚くらいで始めてみました。まだ右も左もわからないときでしたから、このころは特にお気に入りのテクニカルもなく、実際にテクニカルを使うこともなく、「私のお金ではない」という気軽さから深いことを考えずにエントリーしていました。
　お気楽気分でしたし、「どんな動きをするのだろう」という興味のほうが勝っていましたから、パソコンを立ち上げ、チャート見ていても、正直、あまり期待はしていませんでした。ところが、そのままパソコンの画面の様子を見ていると、私がエントリーしたポイントからドル円がどんどん上昇していって、あっという間に利益が３５万円になったのです。「２０分くらいでこんなにお金が増えるなんて、何ていうことなの！」とかなり驚いたことを今でも覚えています。
　こういう経験をすると、興奮なんていう言葉ではもう表現できなくなります。私はなぜだかとてもうれしくなってしまって、「これはものすごい投資だわぁ」と、素直に感激したものです。
　それからもＦＸのサイトやブログをいろいろ閲覧してまわって、最終的に外為ＦＸとひまわり証券に口座を開設しました。送られてくるファイルや書類も真新しく、ただただウキウキしていました。
 
　その後、バーチャルトレードにも慣れ、いよいよ実戦してみてもよいかなと思えるときがやってきました。はじめのうちは外為ＦＸのチャートと口座を使っていました。パソコンでチャートが見られる こと自体がおもしろくて、ピコピコと動くローソク足を「おもしろいわぁ」と呟きながら見ていたのを今でも覚えています。
　そのころのトレード方法はとても簡単なものでした。ＭＡＣＤがゴールデンクロスしたらエントリーするやり方です。家事やお掃除が終わって息子がお昼寝をするのは１４時から１５時、それからパソコ ンの前に座り、電源を入れ、チャートを見ながらトレードしていたので、今思えば、時間的にもちょうど良いとき（市場が動くとき）にエントリーできていたのだと思います。ですから、２～３日は続けて利益を出すことができて、「こんなに簡単にお金が増えるなんてすごい」と感激していたのです。
　比較的簡単にお金が増える魔力というか、順調にお金が増え続けると、今度はＦＸのことがたえず気になるようになってきました。事実、連続で利益を出したその翌日くらいからは、時間が空くとトレードをするようになりました。ところが、そのときから損が続くようになってきたのです。
　そしてとうとう最初の３日間の利益がなくなったころに「このままではいけない」と思い、「ほかの方はどうされているのだろう」と、いろいろなブログやサイトを見てまわりました。チャートについては、 私のようにＭＡＣＤだけでなく、ほかにもさまざまなテクニカル指標を見ないといけないことがわかりました。
　そこで、私はどうしたかというと、ＭＡＣＤだけではなく、ストキャスティクスと移動平均線も使ってトレードをするようになりました。
しかし、増えては減り、減っては増えの繰り返しで、大きく利益が伸びることはなかったのです。
　また、チャートの画面の前にずっと居座って動きをチェックしていないといけないことがとても不便に感じました。でも、有名なブログの「今日は４５pips（ピプス）獲得でプラス２２万円」というような 取引結果の報告を見ては「絶対に私もこんなふうになるんだ」と自分を奮い立たせ、日々、格闘していたのです。
チャートに取り組んだ日々
　「利益が出ては損をして」ということを繰り返しながら、ほかの方々のブログを見ていくうちに、「MetaTrader ４」というチャートシステムを説明しているブログを見つけました。
　このブログにはいろいろなテクニカルチャートが紹介されており、さらにそれらを自分で組み合わせることができると説明されていました。そこで「自分で少し追求してみよう」と、フリーのインジケーターをいろいろダウンロードし、そのインジケーターのパラメーターを少しずつ変えて自分に合うチャートを作ろうとしました。以前、銀行や証券会社のシステム開発に携わっていたことがあるので、この作業自体は楽しいものでしたが、実際に動くチャートと見比べないといけないため時間がかかりますから、根気が必要でした。
　日々格闘していくうちに、単純なことですが、「ローソク足が上昇し始めたときに上昇のサインが出るようにすればいいんだな。下降し始めたときに下降のサインが出るようにすればいいんだな」と思うようになりました。事実、いろいろなインジケーターのパラメーターの数値を自分で変更して、ベストなところでサインが出るように調整しました。
　私が一番興味を持ったのは、「キンコーン！」というアラーム音が出るインジケーターでした。チャートの前にずっといないといけない状況は不便なので、アラームでトレンドが変わったことを教 えてくれる機能はとても便利に感じました。特に、ＱＱＥ（ローソク足上に矢印を出してくれてアラームも鳴るインジケーター）やPerkyAsctrend（ローソク足上に丸印を出してくれてアラームも鳴るインジケーター）、ＶＱ（ローソク足とは枠が別になりますが、１本のラインで上昇、下降の変化がわかり、矢印を出してくれてアラームも鳴るインジケーター）のパラメーターについては試行錯誤を繰り返しました。有名なブログに、「▲▲さんのようにＦＸで利益が取れるようになりたいので、今、実際に使用しているパラメーターを教えてください」という質問を投げてみましたが、どのブロガーさんからも返事をもらえなかったので、自分でやるしかなかったのです。
　それからは、自分でパラメーターをどんどん変え、一番良いと思えるパラメーターを決め、それらを参考にしながらトレードを始めてみました。でも、結果的に利益だけが増えることはありませんでした。
損をしては取り返し、損をしては取り返しの連続だったのです。
　このころから、私は週３日くらいのパートの仕事を始めました。理由は、息子を毎日保育園に預ける理由が必要になったからです。そして、仕事がない日には１日中チャートに向き合う時間を確保しました。
　その後、しばらくしてそのパートを辞めてからも、私はテクニカルを追求するために、息子を保育園に預けてトレードの研究をするようになりました。保育園まで息子を送った後、家事や掃除を急いで終わらせ、1日６時間から８時間くらいはずっとチャートを見ていました。
ときには昼食をとる時間も惜しんでチャートに向かっていました。毎日パソコンをずっと見ていたので、頭痛がずっと続くようになるなど、今考えれば非常にクレイジーな状態だったと思います。 　でもこのころ、私は何かがつかめそうな気がしながらトレードをしていました。チャートをずっと眺めていると、「チャートには、大きく動くときとあまり動かないときがある。しかもそれが明確にわか る」と気づいたのです。単純にこの大きい動きのときにだけトレードできれば大きく利益が取れるのではないかと思うようになってきたのです。もちろん、その当時の知識は、今の私が持っている“それ”には到底及ばないのですが、テクニカル的には大体把握できていて「あともう少し」と思い始めたころだったのです。
ノートに記録をつけ始める
私は会社を経営しているときから手帳が大好きでした。ナポレオンヒルプログラムという、自己啓発の本の内容を速聴器という器械で聞いたり、自分の目標や将来のビジョンを段階的に追求していくプログラムを試してみたり、フランクリン・コヴィーという、手帳で自分の目標や優先事項を管理することを薦めている本を読んだりしては、自分の目標やこれからの展望をよく手帳に書いていました。
手帳やノートについては気に入ったものはすぐ買ってしまいます。
何冊も持つのが好きで、人生設計を書き込んだもの、息子の進学や教育について書き込んだもの、主人との人生設計や老後について書き込んだものなどがあります。自分でウキウキすることが私の楽しみのひとつだったのです。
　その流れから、トレードの記録についても、トレードを始めた当初から自然に残すようになりました。最初のころはテクニカル的な記述が多かったのですが、だんだん自分がエントリーした時間を書き残すようになりました。それと同時に、チャートがよく動いた時間帯もメモするようになりました。先ほどお話ししたように「チャートには、大きく動くときとあまり動かないときがある。しかもそれが明確にわかる」と思えたのも、ノートに記録をつけていたからだと思います。
　そうやってまとめていくと、次第にノートがカラー刷りの参考書のようになっていくのです。私自身、記録をつけることが楽しくなってきていました。
　もちろん、私も人間ですから、“楽しい”とはいっても、損をした日のノートはどうしても殴り書きになってしまいます。真っ赤なボールペンでぐしゃぐしゃに書き込むので見た目は汚いのですが、失敗した理由や注意しなければいけないことについてはしっかり書き込んであるので、後から見直すと、うまくいった日のノートに書かれている内容よりも説得力がありました。
　最初はニュースの内容もよくわからないので、わからないことはとにかく何でもメモを取りました。また、よくわからない指標発表後や、ニュースが出た後の動きについても、できるだけメモしました。
　有名な方のブログに質問してもテクニカル的な質問には答えてもらえなかったので、ノートに記録を残すことしかできなかったのです。
ノートに夢を書き続けた日々と、レンジ相場の対策ができない日々の繰り返しで……
　ノートに記録を残しつつ、何かをつかめそうな気配を感じてはいたものの、成績自体は損をしては取り返しての繰り返しでした。その期間はだいたい1年くらい続いたと思います。
　さすがに、1年も同じことをやっていると、テクニカル的にはもう注意するところは把握していました。それなのに、上昇すると思ったところから大きく上がらなかったり、下落すると思ったところから大きく下がらなかったりなど、ジレンマが続きました。そうです、私はレンジ相場の判断がまったくできていなかったのです。
　次第に損のほうが利益よりも増えてきたので、だんだん行き詰まってくるようになりました。そういう状況でも、家にいるときは必ずチャートを立ち上げて、値動きを観察するようにしていました。 「レンジ相場にはまってしまったら、単純に運が悪かったと思うしかないのかな。何かレンジを判断できるテクニカルはないかな」　そんなことを思いながらいろいろなインジケーターをダウンロード して検証しましたが、良い解決策はなかなか見つからないまま時間だけが過ぎていったのです。
　足踏み状態の日々が続いていましたが、メモをすることだけは忘れずに続けました。このときに書いていたことは、資産的な今後の目標とテクニカル的な今後の目標でした。
　資産的な今後の目標については、資金が順調に増えた場合の数カ月後の残金について、何度も何度もノートに書きました。「こんなにたくさんお金が増えたらすごいことだわぁ」と想像しながら、パソコンのモニターを増やしたいとか、いくつもの通貨を同時に見ることができるようになりたいとか、利益が出るようになったら姉や親族の資金も増やしてあげたいなどと、お金が増えたらやってみたいことを書いていたものです。もともと贅沢や派手な生活には興味がありませんが、やはりお金が増えることを考えるとフワフワっとした気持ちになりました。
　これらの夢はワクワクしながら書くことができたのですが、一方で、テクニカルの目標を書くときはどうしても感情が入ってしまっていました。なぜなら、そのころがちょうど、レンジ相場に対応できないという問題が解決できなくて行き詰まっていたときだったからです。そして、困ったことに、私には自分の悩みを相談できる相手がいなかったのです。
ＦＸをして利益を上げている人が身近にいない。
ＦＸについて話せる人もいない
　私のまわりにもＦＸをしている人は数人いました。でも、「スワップ狙いで、今、２０万円くらいの含み損を抱えていて損切りしたくないからそのまま持っているんだよ」という男性や、「昨夜、主人がトレードをして、一晩で５０万円マイナスになって、混乱して大変だった」というお友達のご主人や、「トルコリラをスイングトレードのつもりで買って、損が２０万円に……」という方のように、コンスタン トに利益を出している人はひとりもいませんでした。
　私としては、少しずつチャートの動きがわかってきていたころだったので、とても不思議に思いました。そして、今の自分にわかっていることを教えてあげたいと思って、「このブログを読むと勉強になりますよ」と教えたりしたのですが、その後は特に良い報告はありませんでした。ほとんどの人が「ＦＸはもうやめた」と話すのです。「私のまわりにひとりでも利益を出している人がいればいいのに……」とよく思ったものでした。
　私がＦＸを始めたときに、姉もＦＸを始めました。でも、途中からは「損をしたら痛手だからやめるわ」と言い出してＦＸをやらなくなり、相談できる人が主人だけになりました。その主人も、私がテクニカル分析についての知識を深めていくと話についてこられなくなるようでした。次第に、その日の結果だけを話すようになっていったのです。
　友人に話しても、「すごいねえ。でも私には無理だわ～」と一瞬で会話が終わってしまうので、それ以上の話はできませんでした。
　両親に話したときには、「あら、またそんなことを……。女の人が投資なんかしたら失敗するわよ」と心配されてしまい、それ以後はＦＸについての話題は出せなくなってしまいました。
　このように、ＦＸについて話せる人が私のまわりにはいませんでした。利益が増えれば、そのうれしい気持ちを誰かに聞いてほしいし、損をしたときにはその理由を討論したかったのですが、私はひとりきりだったのです。そして、唯一の話し相手はいつも私のノートでした。
　　２年目のある日。腹が立って、私はノートを破った！　誰にも相談できない。私の話し相手はノートだけ。先ほど、このように書きましたが、“話し相手”との別れは意外に早くやってきました。
　ＦＸを始めて２年目のある日、損をしたことに腹が立って、ここまでがんばって書いてきたノートをビリビリに破って捨ててしまったのです。
　すでにお話ししたように、ＦＸを始めてから１年くらい経過すると、MetaTrader やインジケーターにも慣れてきて、少しずつ自分のルールがまとまってきました。そして、そのころから自信をもってエントリーをしたにもかかわらず損をしてしまうと、非常に腹が立つようにもなってきたのです。キーボードやマウス、近くに置いてあった電卓をバンバン叩いて壊すようになりました。
　ところが、この日は“そのくらい”では気が済まなかったのです。今思うと、あんなに大事なものを破り捨ててしまうなんて、何て馬鹿なことをしてしまったのだろうと本当に後悔しています。でも、そのときの私は感情を抑えることができませんでした。「自信があるからエントリーしたのに、逆にマイナスになってしまって、今までの自分の努力は何だったのか」と思うと、何ともいえない怒りがこみ上げてきたのです。
　テクニカルを勉強して利益を取れることが増えたにもかかわらず、なかなか損を減らすことができないでいた数カ月は、私にとって非常に辛い時期でした。何をしても楽しくなく、ちょっとしたことでイライラしてしまい、小さな息子が「ママ、怒っているの？　どうしてそんなに怖い顔をしてるの？」と、私の顔を眺めながらよく聞いてきました。頑張って顔をニッコリとさせて、「ママは全然怒ってないのよ～」と息子をなだめていましたが、実のところ、心の中は腹立たしい気持ちでいっぱいだったのです。
　そんな私を見て、主人は「ＦＸを続けていても、なんだか楽しくなさそうだねぇ」と言いました。 　そうです。まさしく主人の言う通りでした。
　このころはチャートを見ていてもまったく楽しくありませんでした。家事をしているときに大きなトレンドが発生し、勢いよくローソク足が伸びているのを見つけると、遠くからチャートを睨みつけなが ら「私がトレードするときは、わざと動かないんだわ」と、被害妄想的なことを思ったこともありました。夜中一人で起きているときに、チャートを見ながら悔しさがこみ上げてきて、シクシク泣いてしまったことも何度もありました。結局は、「何か良い方法を自分で見つけるしかないんだわ」という結論に辿り着きましたが、相談する相手がいない私にとっては、その後も、ゴールの見えない非常に寂しい状況が続いたのです。
　今でこそ、私は、コンスタントに利益を取ることができるようになりましたが、大きく利益を取った後には、よくこのころの苦しかったときを思い出します。お恥ずかしい話ですが、なかなか利益を出せなかったころを思い出しては感慨深くなってしまって、いまだに涙が出てきます。あのような辛い思いは、これから希望を持ってＦＸを始める人には味わってほしくないと思っています。
私の質問に答えてくれたブログのおかげで立ち直りのきっかけが見えてきた
　「自分で何か良い方法を見つけなくてはいけない」と焦る一方で、私は、利益が出ている方のブログに、たびたびコメント欄で質問をしていました。
「テクニカルでは何を重要視していますか？」
「私は損がなかなか減らないのですが、▲▲さんが損を減らすことができたのは、どうしてですか？　教えてください」
「ゴールデンクロスをしたので上昇だと思ったらそんなに上昇しませんでした。▲▲さんはこういうときはどうやって対処していますか？」
　そういう内容を熱心に質問したものでした。
　しかし、テクニカル的なことや、技術的なことに関して質問しても、返事をいただくことはありませんでした。そのくせに、たわいもない質問にはきちんと返事が書かれてくるのです。そういう役にも立たない文面を見ると、ひどく落胆することが多くなりました。
「何かヒントが欲しいのに、どうして教えてくれないんだろう」
　そう思いながらいろいろなブログを訪問しましたが、きちんと質問に答えてくれたり、必要な情報を得られたのはわずかなブログだけでした。返事のコメントがあったときのあのうれしい気持ちは今も忘れられません。
　その中で、私の立ち直りのきっかけとなったブログがあります。それは、waash さんというハンドルネームの方が手法を公開していた「ｍｔ４で単純シストレ」というブログです。私がトレンドをしっかりとつかめるようになったのは、waash さんのブログのおかげと言っても言い過ぎではありません。そのくらい感謝しています。
　残念ながら、今はそのブログはありませんが、当時、waash さんは私の質問に率直に答えてくれました。
「どうしてそんなに利益が出せるんですか？」
　そう質問すると、waash さんは、「大きく動くときだけエントリーしているからですよ」とだけ答えていらっしゃいました。もともと、私は毎日記録をつけていたので、このときに「ハッ」と気づいたのです。
　私は、自分がエントリーした時間と一緒に、その日の相場がよく動いた時間帯についてもメモを残すようにしていました。よく動いた時間帯のテクニカルを確認して、よく動いた時間帯にエントリーできなかった場合はその理由を知りたかったからです。ちなみに、記録を振り返ると、エントリーできなかった理由のほとんどは、よく動いた時間帯の前に損をしてエントリーすること自体をためらっていたことと、家事・掃除・子供の世話をしていてパソコンの前にいなかったことでした。
　また、週末にじっくりノートを見直していたときに、損をする時間帯がほとんど同じであること、家事をしていてトレードができない夕方に相場がよく動いていることにも気づきました。ここにヒントがあるように感じて、「考えすぎかな」と思いながらも、「少しまとめてみようかな」と思い、エクセルに８時から２４時までの表を作り、毎日のよく動いた時間帯に丸印を付けて、エントリーした時間の枠には色を付けていたのです。その結果は思っていたとおりでした。相場がよく動くことを示す丸印は同じ時間帯に偏っていたのです。何だかよくわからないけど、何かがつかめそう。そんなことをずっと思っていました。
　だからこそ、「大きく動くときだけエントリーしているから」という言葉と、waash さんのブログで公開されていたテクニカルだけですぐにひらめいたのです。
「これを探していたのよー！」
　そう何度も独り言を言ってしまうほど、それは私にとって画期的なものでした。事実、その後は、相場が動かないときを判断できるようになり、レンジ相場のときにはエントリーしなくなったのです（詳しくは後述します）。
　waash さんのブログを見たことで大きな疑問点が解決されたことは、私にとっては本当に喜ばしいことでした。チャートを見ていても、思った通りにレンジ相場になったり、大きなトレンドが来たりするのを見ていて、本当にワクワクしました。ＦＸが楽しく思えるようになったのは、waash さんに相場の勢いをつかむことを教えていただいてからです。
ADXDMI と BBand Width Ratio との出合いで謎が解けた！
　waash さんのブログは、私が見ていたほかのブログとは違い、毎日のトレード結果だけでなく、トレードしたときのチャートがいつも載っていました。過去に遡ってブログを読んでみると、毎日しっかりと利益を残しているので、「まずは、そのチャートを真似してみよう」と思い、私なりにいろいろと試してみることから始めました。
　waash さんが主に使っていたテクニカルのインジケーターは、ＶＱとＡＤＸのようなものと、ＡＤＸと同じような形をしている BBandWidth Ratio（ボリンジャーバンドを１本の線にしたもの）というものでした。
　ＡＤＸにはいくつか種類があるので、同じような形にするのにとても時間がかかりました。でも、きちんと利益を出している人の真似をするのが一番の近道だと思ったので、同じチャートになるようにパラメーターの数字を何度も変更して、ブログのチャートと見比べていきました。そのとき、waash さんのチャートに一番近いと思ったのがADXDMI（オシレータ系の勢いを知る指標）だったのです。
　先ほどもお話ししたように、相場がよく動く時間帯に気づきはじめていたので、私のノートに記録している相場のよく動く時間帯と、ADX DMI と BBand Width Ratio によって、相場に勢いがついた時間とを見比べていきました。そうすると、今までまったく解決できなかったレンジ相場に対する対策と、気づきはじめていた相場に勢いがつく時間帯がはっきりとしたのです。それらをまとめて、勢いがつきやすい時間帯を書き出し、次の日からトレードしてみることにしました。
　私はものすごくワクワクしていました。早くトレードがしたくてたまりませんでした。「これで損が減って利益が増える！」と思えたからです。
　次の日になると、まず私は自分が記録していたよく動く時間帯を付箋紙に書き、パソコンの前に貼りました。そして、市場がよく動く時間帯のときの ADXDMI と BBand Width Ratio の動きに注目するようにしました。そして、相場に勢いがついたと判断できたときに、ドル円で「買い」でエントリーしました。
　すると、“そこ”からどんどん上昇していって、きれいな右上がりのチャートになり、トレンドが発生しました。結果的に、私は１０pips 以上の利益を取ることができたのです。また、レンジ相場であ ると判断できるところでは絶対にエントリーしませんでした。結果、その日は損を出すことなく、プラスで終えることができました。このとき、私は今まで見えなかったものを手にできたような感じがして本当にうれしく思いました。
　それからは、トレードする時間帯を区切るように意識しました。ひとことでいうと、大きな波が来るまで「待つ」ようになったのです。
そうすることによって、時間に余裕が出てきました。もともとチャートを見ることが好きなので最初のうちはパソコンの前にいるとついエントリーしてしまうことも何度かありましたが、それも、トレードする時間帯をノートにあらかじめ書き出しておいたり、パソコンの画面に付箋紙を貼って注意を促すことで、できるだけ意識できるような形にしていきました。このように徹底すると、嫌でも頭の中に入りますので徐々にエントリーしないほうがよい時間帯にはトレードをしなくなり、それに呼応するかのように次第に無駄なエントリーも減っていきました。
　また、レンジ相場か否かを判断できるようになったので、間違ってレンジ相場にエントリーしたとしても、「レンジ相場だからまた元の建値近くに戻る」と判断できるようになったのも収穫のひとつでした。
また、そのときに大ケガをしないように損切りする方法などもわかるようになりました。
　結果として、勢いのある時間帯に集中してトレードするようになってからは、自分の思っているような利益が残せるようになっていったのです。
本書の構成
　本書の中で私が声を大にして言いたいことは「勢いをつかんでからエントリーしてください」ということです。
　ここまでお話ししてきたように、私は「勢いをつかんでからエントリーする」という、私にとっての答えに出合うまでに本当に遠まわりをしてきました。ＦＸをやめてしまいたいと思ったことも何度もあり ます。本書を手に取ってくださった皆さんには、私の二の舞いを演じてほしくはないのです。それが、今回、執筆した理由でもあります。
　本書の命題でもある「勢いをつかんでからエントリーする」というメッセージが少しでも多くの方にわかりやすく伝わるように、本書は以下の構成にしてあります。
第１部：第１章～第３章
「FX を始めるならば知っておいてほしいこと」として、簡単にエントリーしてはいけないことや、私が毎日確認している情報などについて紹介しています
第２部：第４章～第８章
「えつこ流ＦＸの実践方法」として、勢いをつかんでエントリーする方法や決済の仕方、枚数の増やし方、行動プログラムなどの話を展開しています
第３部：第９章～第１０章
「知識を“技”に昇華するために」として、チャートに慣れるための練習方法や、本書の内容をきちんと理解したかどうかを確認させる問題集を載せています
　私は遠まわりしてしまいましたが、少なくとも本書を読み終えれば、「勢いが大事なこと」や「勢いをつかむ方法（ADX DMI と BBandWidth Ratio が右上がりのときにエントリーする。詳しくは第 4 章参照）」については回り道をしないでたどり着けるはずです。
　そして、もうひとつ、声を大にして言いたいことがあります。それは、とにかく練習してくださいということです。第９章でチャートに慣れるための方法を紹介しています。そこで、エントリーの仕方や決済の仕方を十分練習してから実戦に向かってほしいのです。
　本書で展開している理論は比較的シンプルですので、始めようと思えばすぐにでもできるでしょう。でも、それですぐに利益が取れるほど、ＦＸの世界は甘くないと思います。
　簡単にエントリーすることなく、十分な練習を積んだうえでＦＸを楽しんでいただけたら、私はうれしく思います。

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