本日の東京為替見通し(為替/FXニュース):ドル円、「デフレ脱却宣言」報道の続報に要警戒か(2024年3月4日)

マーケットレポート

March 4, 2024

【前日の為替概況】ドル円150.72円まで上昇後に失速、米10年債利回りは4.29%から4.18%へ

1日のニューヨーク外国為替市場でドル円は反発。
終値は150.12円と前営業日NY終値(149.98円)と比べて14銭程度のドル高水準だった。
米10年債利回りが上昇したことを背景に買いが進行。
2月米製造業購買担当者景気指数(PMI)改定値が予想を上回る結果になると一時150.72円と本日高値を更新した。
ただ、2月米ISM製造業景況指数や2月米ミシガン大学消費者態度指数・確報値、1月米建設支出がいずれも弱い内容だったことで米長期金利の急低下とともに失速。
150.08円付近まで下落し、その後の戻りも鈍いまま取引を終えた。

なお、バーキン米リッチモンド連銀総裁は「市場が織り込む年内の利下げ回数が減っているのはデータに反応しているため。
FRBは市場と闘ってはいない」と述べたほか、グールズビー米シカゴ連銀総裁は「住宅インフレがなぜ一段と低下していないのか、われわれは完全には把握しておらず、注視しなければならない」と発言した。

ユーロドルは4営業日ぶりに反発。
終値は1.0837ドルと前営業日NY終値(1.0805ドル)と比べて0.0032ドル程度のユーロ高水準だった。
米長期金利の上昇を手掛かりに本日安値となる1.0798ドルまで下げたが、昨日安値の1.0796ドルを下抜け出来ず反発。
低調な米指標が相次いだことで米長期金利が急低下すると全般ドル売りが進んだため1.0843ドルまで持ち直した。

ドル安の流れに沿ってその他ストレート通貨も強く、ポンドドルは1.2664ドル、豪ドル米ドルは0.6534米ドル、NZドル米ドルは0.6112米ドルまでそれぞれ上昇した。
WTI原油先物価格が昨年11月以来の80ドル台に乗せたことを好感してカナダドルも対ドルで1.3545カナダドルまで強含んだ。

ユーロ円は反発。
終値は162.68円と前営業日NY終値(162.06円)と比べて62銭程度のユーロ高水準だった。
ドル円の失速につれる形で162.50円台まで下押ししたが、ユーロドルが反発した影響も受けたため下値は堅かった。

【本日の東京為替見通し】ドル円、「デフレ脱却宣言」報道の続報に要警戒か

本日の東京外国為替市場のドル円は、日経平均株価の4万円台乗せの可能性が高いことで底堅い展開が予想されるものの、「デフレ脱却宣言」に関する報道の続報には警戒しておきたい。
先週のドル円は、ハト派の高田日銀審議委員のややタカ派的な発言を受けて、149円台まで下落したものの、植田日銀総裁のハト派発言を受けて150円台を回復した。

一方2日の報道では、政府が物価の上昇傾向を受け「デフレ脱却」を表明する検討に入ったことが報じられている。
政府は日本経済がデフレにあるとの見解を2001年3月の月例経済報告に併せて公表した資料で「緩やかなデフレにある」と示していたが、デフレ脱却を表明すれば、23年間にわたり安定成長を妨げてきた足枷が外れたと認めることになる。

植田日銀総裁は、1月23日の日銀金融政策決定会合後の記者会見では、物価見通し実現の『確度』は引き続き高まっていると指摘して、金融政策の正常化に前向きな姿勢を示した。

2月22日、植田日銀総裁は衆議院予算委員会に出席し、「消費者物価は去年までと同じような右上がりの動きが続くと予想している。
そういう意味でデフレではなく、インフレの状態にあると考えている」と述べた。
そして、「労働需給が引き締まるもとで、企業の賃金設定行動も従来より積極的な動きが見られている。
こうした動きが続くもとで雇用賃金が増加する中で物価も緩やかに上昇する好循環が強まっていく」と述べた。

2月29日、植田日銀総裁はブラジル・サンパウロで開かれた20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議後の会見で、2%の物価目標の持続的・安定的実現について、現時点で達成が見通せる状況ではないとの認識を示した。
そして、「物価目標達成が見通せるという確認のためには、賃金と物価の好循環がうまく回りだしているかどうか、強まりつつあるかどうかということを確認していく作業を続けるということだと思う」と述べた。

植田日銀総裁は、日銀審議委員として、2000年8月11日の金融政策決定会合で、ゼロ金利政策の解除が決定された時に、時期尚早として反対票を投じていた。
当時の拙速なゼロ金利解除のトラウマが、植田日銀総裁を慎重にさせている要因なのかもしれない。

先週末に発表された2月米ISM製造業景況指数は47.8となり、1月の1年3カ月ぶりの高水準49.1から低下し、実質国内総生産(GDP)に換算すると年率-1.5%となった。
雇用指数は45.9へ低下し、昨年7月以来の低水準となり、今週末発表される米国2月の雇用統計への警戒感を高めた。
価格指数は、52.5へ低下し、コスト上昇ペースの鈍化を示唆した。

【本日の重要指標】 ※時刻表示は日本時間

<国内>
○08:50 ◇ 10-12月期の法人企業統計調査(法人季報、ソフトウェアを含む設備投資額、予想:前年比2.8%)
○08:50 ◇ 2月マネタリーベース

<海外>
○09:30 ◎ 1月豪住宅建設許可件数(予想:前月比4.0%)
○16:00 ◎ 2月トルコ消費者物価指数(CPI、予想:前月比3.70%/前年比65.74%)
○16:30 ◎ 2月スイス消費者物価指数(CPI、予想:前月比0.6%)
○20:30 ◎ ホルツマン・オーストリア中銀総裁、講演
○5日01:00 ◎ ハーカー米フィラデルフィア連銀総裁、あいさつ

※重要度、高は☆、中は◎、低◇とする。
※指標などの発表予定・時刻は予告なく変更になる場合がありますので、ご了承ください。

>本日発表予定のその他の経済指標についてはこちら

【前日までの要人発言】

1日05:45 メスター米クリーブランド連銀総裁
「PCEデータはさらなる行動が必要であることを示している」
「2024年は3回の利下げが妥当」

1日06:53 神田財務官
「為替は従来のコミットメントを再確認」
「世界経済はソフトランディング見通しも不確実性を共有」
「共同声明は発出されなかった」

1日07:01 植田日銀総裁
「基本的には日本の景気は緩やかに回復している」
「世界経済は米国中心にソフトランディングがベースラインの見方」
「(物価目標達成見通しについて)まだそこまでは至っていない」
「春闘がひとつのポイントと考えている」
「(賃金動向について)ある程度まとまった数字が出てくるのは3月以降」

1日07:06 ホークスビーNZ準備銀行(RBNZ)副総裁
「インフレ期待を2%に確実に固定するには、制限的な政策が必要」
「政策はまだしばらくは制限的なままになるだろう」
「たとえ需給ギャップがマイナスであっても政策は制限的であり続ける必要」
「現在の需給ギャップは、若干マイナスではないにしても、ほぼゼロだと考えている」
「将来のインフレショックに関しては、対処できる余地はあまりない」
「インフレに関して正しい道を進んでいるが、方針を堅持する必要がある」
「今は利下げするつもりはないが、いずれ利下げするだろう」

1日09:27 オアNZ準備銀行(RBNZ)総裁
「インフレ率は依然として高すぎるが、低下傾向にある」
「インフレ期待は低下してきた」

1日10:35 ウィリアムズ米ニューヨーク連銀総裁
「さらなる金融引き締めは必要ない」
「今年後半の利下げを予想」

1日15:19 スイス国立銀行(スイス中銀、SNB)
「ジョーダンSNB総裁が今年9月末で退任する」

1日22:25 ジョーダン・スイス国立銀行SNB総裁
「健康状態が退任の判断に影響しなかった、体調は100%」
「スイス中銀でやってきたことに後悔はない」
「後任の人選について内部・外部の区別なくコメントしない」

1日19:31 ホルツマン・オーストリア中銀総裁
「ECBは利下げを急げない、依然としてインフレリスクを認識」

1日22:36 バーキン米リッチモンド連銀総裁
「一部セクターでの低下が価格上昇を相殺」
「インフレ率は低下しており、2.4%は歓迎すべき」
「前年同月比の全体的なインフレ率は低下する公算大」
「FRBは市場と競争しているわけではない」

1日23:09 ピル英中銀金融政策委員会(MPC)委員兼チーフエコノミスト
「インフレの持続性をみている」
「インフレは春に2%を下回ると予想」
「制限的な金利を維持することは金利を固定することを意味していない」

2日00:18 グールズビー米シカゴ連銀総裁
「住宅インフレは本当に奇妙なものだった」
「1月のインフレがノイズであることを驚くべきではない」
「住宅インフレを監視し続ける必要」
「政策金利がかなり制限的であると信じている」
「インフレが下がり続けるなら、雇用を考えなければならない」
「金利がどこで安定するか分からない」

2日00:23 ウォラー米連邦準備理事会(FRB)理事
「バランスシートの縮小ペースについての判断は金利とは独立」
「短期国債の保有割合を引き上げたい」

2日04:17 バイデン米大統領
「数日中にガザに支援物資を空中投下する」

※時間は日本時間

>本日の要人発言をリアルタイムで確認するならこちら

〔日足一目均衡表分析〕

<ドル円=2/29安値を支持に押し目買いスタンス>

ドル円0304

パラメータ0304

陽線引け。
転換線は基準線を上回り、遅行スパンは実線を上回り、雲の上で引けていることで、三役好転の強い買いシグナルが点灯している。
孕み線で反発して転換線を上回って引けており、続伸の可能性が示唆されている。

本日は転換線150.03円を念頭に置き、2月29日の安値を支持に押し目買いスタンスで臨み、同水準を下抜けた場合は手仕舞い。

レジスタンス2 151.91(2023/11/13高値)
レジスタンス1 150.89(2/13高値)
前日終値 150.12
サポート1 149.21(2/29安値)
サポート2 148.40(日足一目均衡表・基準線)

>ドル円のリアルタイムチャートはこちら

<ユーロドル=雲の下限を抵抗に戻り売りスタンス>

ユーロドル0304

パラメータ0304

陽線引け。
転換線は基準線を上回っているものの、遅行スパンは実線を下回り、雲の下で引けていることで、売りシグナルが優勢な展開となっている。
3手連続陰線の後に孕み線で反発したものの転換線を下回って推移しており、反落の可能性が示唆されている。

本日は転換線1.0839ドルを念頭に置き、雲の下限を抵抗に戻り売りスタンスで臨み、同線を上抜けた場合は手仕舞い。

レジスタンス1 1.0916(日足一目均衡表・雲の下限)
前日終値 1.0837
サポート1 1.0762(2/19・20安値)

>ユーロドルのリアルタイムチャートはこちら

<ユーロ円=2/26高値を抵抗に戻り売りスタンス>

ユーロ円0304

パラメータ0304

陽線引け。
転換線は基準線を上回り、遅行スパンは実線を上回り、雲の上で推移していることで、三役好転の強い買いシグナルが点灯中。
しかし、孕み線で切り返したものの転換線を下回って引けており反落の可能性が示唆されている。

本日は転換線162.71円を念頭に置き、2月26日の高値を抵抗に戻り売りスタンスで臨み、同水準を上抜けた場合は手仕舞い。

レジスタンス1 163.72(2/26高値)
前日終値 162.68
サポート1 161.69(2/29安値)

>ユーロ円のリアルタイムチャートはこちら

<豪ドル円=2/23高値を抵抗に戻り売りスタンス>

豪ドル円0304

パラメータ0304

陽線引け。
転換線は基準線を上回り、遅行スパンは実線を上回り、雲の上で引けていることで、三役好転の強い買いシグナルが点灯中。
しかし、4手連続陰線の後孕み線で反発したものの、転換線を下回って引けており、反落の可能性が示唆されている。

本日は2月23日の高値を抵抗に戻り売りスタンスで臨み、同水準を上抜けた場合は手仕舞い。

レジスタンス1 99.06(2/23高値)
前日終値 97.97
サポート1 97.28(日足一目均衡表・基準線)

>豪ドル円のリアルタイムチャートはこちら

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