March 11, 2024
【前日の為替概況】米2月失業率3.9%でドル続落 対円146.49円、対ユーロ1.0981ドル
8日のニューヨーク外国為替市場でドル円は4日続落。
終値は147.06円と前営業日NY終値(148.05円)と比べて99銭程度のドル安水準だった。
日本時間夕刻に伝わった「日銀は18-19日の金融政策決定会合でマイナス金利解除に傾く政策委員が増えている」「日銀は国債買い入れ規模を示す新たな量的金融政策の枠組みを検討」との観測報道を受けて、欧米市場でも円買いが入りやすい地合いとなった。
米労働省が発表した2月米雇用統計で非農業部門雇用者数が前月比27.5万人増と予想の20.0万人増を上回ったことが伝わると、当初はドル買いで反応し一時147.45円付近まで値を戻す場面があった。
ただ、過去2カ月の数値が下方修正されたほか、失業率が3.9%と予想の3.7%よりも悪化し、平均時給が前月比0.1%上昇/前年比4.3%上昇と予想の前月比0.3%上昇/前年比4.4%上昇を下回ったことからすぐに失速。
米連邦準備理事会(FRB)の早期利下げが意識される中、ドル全面安の展開になると一時146.49円と2月2日以来の安値を更新した。
市場では米雇用統計について「予想よりも弱めの内容と受け止められ、FRBが近く利下げに動くとの観測が改めて台頭した」との声が聞かれた。
ユーロドルは3営業日ぶりに小反落。
終値は1.0939ドルと前営業日NY終値(1.0948ドル)と比べて0.0009ドル程度のユーロ安水準だった。
米雇用統計発表直後に一時1.0921ドルと日通し安値を付けたものの、FRBの早期利下げ観測が高まる中、一転ドル売りが優勢になると一時1.0981ドルと1月12日以来の高値を付けた。
ただ、「欧州中央銀行(ECB)当局者らは初回利下げについて6月を圧倒的に支持している」との一部報道が伝わり、ECBの利下げが意識されると徐々に弱含んだ。
3時30分過ぎには1.0934ドル付近まで押し戻された。
なお、「依然として4月利下げ開始を主張する一部当局者の支持を得るために、7月に2回目の利下げを行うという案も浮上している」という。
ユーロ円は4日続落。
終値は160.86円と前営業日NY終値(162.08円)と比べて1円22銭程度のユーロ安水準。
日銀の早期政策修正観測が高まる中、日本時間夕刻に一時160.62円と日通し安値を付けたが、NY時間に限れば161.00円を挟んだもみ合いに終始した。
ドル円とユーロドルの値動きの影響を同時に受けたため、相場は方向感が出なかった。
代表的な暗号資産(仮想通貨)であるビットコインは乱高下。
対ドルで一時7万0085ドル前後と7万ドルの大台を突破し史上最高値を更新したものの、最高値を更新した達成感から利益確定目的の売りが膨らむと急失速した。
1時過ぎには6万6186ドル前後と日通し安値を付けた。
もっとも、先高観を背景に押し目買い意欲も旺盛で下押しは限定的。
取引終盤には6万9000ドル台半ばまで持ち直した。
【本日の東京為替見通し】本邦GDPの上方修正で金融政策正常化観測が高まる可能性
本日の東京外国為替市場のドル円は、日本の10-12月期実質国内総生産(GDP)改定値が予想通りに上方修正されてテクニカル・リセッションではなかったことが判明した場合、3月日銀金融政策決定会合でのマイナス金利解除の可能性が高まることで円高リスクに警戒する展開が予想される。
8時50分に発表される日本の10-12月期実質GDP改定値は前期比+0.3%/前期比年率+1.1%と予想されており、速報値の前期比-0.1%からの上方修正が見込まれている。
個人消費、住宅投資、政府消費の伸びに大きな修正はないものの、法人企業統計で設備投資が上方修正されたことが主な要因とのことである。
予想通りだった場合、日本経済は2四半期連続のマイナス成長によるテクニカル・リセッションには陥っていなかったことになり、今月18-19日の日銀金融政策決定会合でのマイナス金利解除の可能性を高めることになる。
先週末には、「日銀は18-19日の金融政策決定会合でマイナス金利解除に傾く政策委員が増えている。
日銀が国債買い入れ規模示す新たな量的金融政策枠組みを検討」と報じられた。
今週は13日に春闘の集中回答があり、15日に春闘の第1次集計結果が発表され、来週18-19日の日銀金融政策決定会合を迎えることになる。
先週末に発表された米2月雇用統計では、非農業部門雇用者数は前月比+27.5万人だったものの、1月と12月分が16.7万人下方修正されていた。
また失業率は2022年1月以来の高い水準の3.9%へ上昇し、就労者数は18.4万人減となり、1月の6.3万人減、12月の68.3万人減に続き3カ月連続で減少していた。
フェデラルファンド(FF)金利先物市場では、3月19-20日の米連邦公開市場委員会(FOMC)での政策金利据え置きはほぼ確実視されているものの、6月半ばまでに利下げが開始される確率は80%まで上昇している。
パウエルFRB議長は、先週の米上院銀行委員会で「FRBが利下げに着手するために必要なインフレ低下に対する『確信』はそう遠くない(not far)将来に得られる」とややハト派的な見解を述べていた。
19-20日のFOMCの前に明日発表される米2月消費者物価指数(CPI)を判断材料にして、利下げ開始時期が協議されることになる。
【本日の重要指標】 ※時刻表示は日本時間
<国内>
○08:50 ◇ 2月マネーストックM2
○08:50 ☆ 10-12月期実質国内総生産(GDP)改定値(予想:前期比0.3%/前期比年率1.1%)
<海外>
○16:00 ◎ 2月ノルウェー消費者物価指数(CPI、予想:前月比0.5%/前年比4.9%)
○16:00 ◇ 1月トルコ失業率
○17:00 ◇ 2月スイスSECO消費者信頼感指数
○12日02:00 ◎ マン英中銀金融政策委員会(MPC)委員、講演
○12日02:00 ◎ 米財務省、3年債入札
○バイデン米政権、2025会計年度の予算教書を発表
○米国は10日から夏時間に移行済み
※重要度、高は☆、中は◎、低◇とする。
※指標などの発表予定・時刻は予告なく変更になる場合がありますので、ご了承ください。
【前日までの要人発言】
8日11:33 鈴木財務相
「デフレから脱却したとは考えていない」
8日14:07 ナーゲル独連銀総裁
「6月の利下げはデータ次第となる」
「経済は年後半に上振れの可能性」
8日16:32 ビルロワドガロー仏中銀総裁
「ECBは4月、6月に利下げの公算が非常に高い」
「インフレ目標に関してますます確信」
8日18:09 シムカス・リトアニア中銀総裁
「利下げ可能な時期は6月、4月の利下げは可能性低い」
「25ベーシスポイント以上の大幅な利下げは見込んでいない」
「6月の利下げはかなり可能性が高い」
「金融緩和を急ぐ必要はない」
9日04:12 グールズビー米シカゴ連銀総裁
「今年はインフレ率の低下に伴って、制限的な金利が緩和されると予想」
「コロナ禍前の水準まで物価が戻るとの予想は現実的ではない」
「インフレ目標は2%であり、そうあるべき」
※時間は日本時間
〔日足一目均衡表分析〕
<ドル円=3/8の高値を抵抗に戻り売りスタンス>
陰線引け。
転換線は基準線を下回り、遅行スパンは実線を下回り、雲の上で引けているものの、売りシグナルが優勢な展開となっている。
4手連続陰線で転換線を下回って引けており続落の可能性が示唆されている。
本日は8日の高値を抵抗に戻り売りスタンスで臨み、同水準を上抜けた場合は手仕舞い。
レジスタンス2 148.67(日足一目均衡表・転換線)
レジスタンス1 148.12(3/8高値)
前日終値 147.06
サポート1 146.13(日足一目均衡表・雲の上限)
サポート2 144.98(日足一目均衡表・雲の下限)
<ユーロドル=雲の下限を支持に押し目買いスタンス>
陰線引け。
転換線は基準線を上回り、遅行スパンは実線を上回り、雲の上で引けていることで、三役好転の強い買いシグナルが点灯している。
5手連続陽線の後の孕み線で反落したものの、依然として転換線を上回って引けており反発の可能性が示唆されている。
本日は雲の下限を支持に押し目買いスタンスで臨み、同水準を下抜けた場合は手仕舞い。
レジスタンス1 1.1046(1/2高値)
前日終値 1.0939
サポート1 1.0858(日足一目均衡表・雲の下限)
<ポンド円=転換線を抵抗に戻り売りスタンス>
陰線引け。
転換線は基準線を上回り、遅行スパンは実線を上回り、雲の上で推移していることで、三役好転の強い買いシグナルが点灯している。
しかし、4手連続陰線で転換線を下回って引けており続落の可能性が示唆されている。
本日は転換線を抵抗に戻り売りスタンスで臨み、同線を上抜けた場合は手仕舞い。
レジスタンス1 189.72(日足一目均衡表・転換線)
前日終値 189.09
サポート1 188.24(3/7安値)
<NZドル円=低下中の転換線を抵抗に戻り売りスタンス>
陰線引け。
転換線は基準線を上回り、遅行スパンは実線を上回り、雲の上で引けていることで、三役好転の強い買いシグナルが点灯している。
しかし、2手連続陰線で転換線を下回って引けており続落の可能性が示唆されている。
レジスタンス1 91.83(日足一目均衡表・転換線)
前日終値 90.84
サポート1 89.90(日足一目均衡表・雲の上限)
Provided by
DZH Finacial Research
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