March 14, 2024
【前日の為替概況】ユーロドル一時1.0964ドルまで強含み、米10年債利回りは4.19%付近
13日のニューヨーク外国為替市場でドル円は小幅ながら続伸。
終値は147.76円と前営業日NY終値(147.68円)と比べて8銭程度のドル高水準だった。
日本時間夕刻に一時148.05円まで上昇した影響が残った。
ただ、前日の高値148.12円が目先レジスタンスとして意識されると徐々に上値を切り下げる展開に。
日銀の早期政策修正観測が高まる中、円買い・ドル売りが入りやすい面もあり、2時過ぎには147.46円付近まで下押しした。
なお、日経新聞が報じたところによると、日銀は来週18-19日に開く金融政策決定会合でマイナス金利政策を解除するか議論する。
2024年の賃上げ率は昨年を上回る見通しで、2%の物価目標を安定的に達成できる確度が高まったという。
もっとも、引けにかけては再び強含んだ。
米長期金利の指標となる米10年債利回りが4.19%台まで上昇すると円売り・ドル買いがじわりと強まった。
ユーロドルは上昇。
終値は1.0948ドルと前営業日NY終値(1.0927ドル)と比べて0.0021ドル程度のユーロ高水準だった。
本日は主要な米経済指標の発表がなく、明日14日に発表される2月米卸売物価指数(PPI)や同月小売売上高などインフレや個人消費の動向を示す指標待ちの状態となり、しばらくは大きな方向感が出なかった。
米30年債入札が「好調」だったことが伝わると、米長期金利が上昇幅を縮めたためドル売りが進行。
2時過ぎに一時1.0964ドルと日通し高値を更新した。
ただ、米長期金利が再び上昇すると1.0946ドル付近まで上値を切り下げた。
なお、欧州中央銀行(ECB)はこの日、政策金利の運営枠組みの見直しを発表。
銀行が中銀からお金を借りる際の金利条件の変更などを含むが、市場では「政策金利の見通しに影響を及ぼすものではない」と受け止められ、相場の反応は限られた。
ユーロ円は続伸。
終値は161.77円と前営業日NY終値(161.35円)と比べて42銭程度のユーロ高水準。
ただ、NY市場に限れば161円台後半での狭いレンジ取引に終始した。
21時過ぎに一時161.95円と日通し高値を付けたあとは、新規材料難から様子見ムードが広がり161円台後半でのもみ合いとなった。
【本日の東京為替見通し】ドル円、明日の春闘の第1次集計結果を控えて上値が重い展開か
本日の東京外国為替市場のドル円は、昨日の春闘での満額回答が相次いだことで、明日公表される春闘の第1次集計結果への警戒感が高まっているため、上値が重い展開が予想される。
18-19日の日銀金融政策決定会合では、2024年の賃上げ率は昨年を上回る見通しで、日銀の2%の物価目標を安定的に達成できる確度が高まりつつあることで、マイナス金利の解除の是非についてより踏み込んだ議論を行う公算が大きくなっている。
注目ポイントは、マイナス金利が解除された後、内田日銀副総裁が示唆したように、緩和的な金融環境が維持されていくのか、それとも、植田日銀総裁の発言「デフレではなくインフレの状態」に示唆されるように、インフレ目標2%に向けた利上げというパラダイムシフトになるのか、となる。
ドル円は、2月の米消費者物価指数(CPI)を受けた米10年債利回りの上昇などで、12日には148.12円、昨日は148.05円まで上昇しており、今夜の2月の米卸売物価指数(PPI)、そして明日の春闘の第1次集計結果を見極める展開となっている。
シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)グループがFF金利先物の動向に基づき算出する「フェドウオッチ」では、6月の米連邦公開市場委員会(FOMC)での0.25%の利下げ開始確率が58%程度、そして年内の利下げ回数は3回(×▲0.25%=4.50-75%)となっている。
すなわち、これまでは6回の利下げ(×▲0.25%=3.75-00%)を予想していたが、現状は、12月のFOMCでのドット・プロット(金利予測分布図)に示された3回まで減少しており、ドル円の下げ止まり要因となっている。
昨日は、大手企業の多くが労働組合の賃上げ要求に対して満額回答したことで、企業全体の最終的な賃上げ率は、4%を上回るとの見方が出ている。
試算によると、3.6%の賃上げで実質賃金がプラスになるとのことで、今年の実質賃金はプラスに浮上する可能性が高まっている。
植田日銀総裁は、昨日午後の参院予算委員会で、賃金と物価の好循環の見極めについて、企業から今後も表明されていく賃上げの回答結果や、その他のデータ、様々なヒアリング情報を総合的に点検した上で適切に判断していきたい、と述べたものの、満額回答が相次いだ春闘への評価は述べなかった。
また、日本銀行は2%物価目標の実現が見通せ、政策正常化に踏み出す段階で、2010年以来続けてきた上場投資信託(ETF)の新規買い入れの完全停止を検討する、と報じられており、株式市場の動向には要警戒となる。
【本日の重要指標】 ※時刻表示は日本時間
<国内>
○08:50 ◇ 対外対内証券売買契約等の状況(週次・報告機関ベース)
<海外>
○09:01 ◇ 2月英王立公認不動産鑑定士協会(RICS)住宅価格(予想:▲11)
○16:00 ◎ 2月スウェーデン消費者物価指数(CPI、予想:前月比0.4%/前年比4.7%)
コア指数(予想:前月比0.3%/前年比2.8%)
○16:30 ◇ 2月スイス生産者輸入価格
○18:40 ◎ デコス・スペイン中銀総裁、講演
○20:00 ◎ シュナーベル欧州中央銀行(ECB)専務理事、講演
○21:00 ◎ クノット・オランダ中銀総裁、講演
○21:00 ◎ 1月ブラジル小売売上高(予想:前年同月比1.3%)
○21:30 ◇ 1月カナダ製造業出荷(予想:前月比0.4%)
○21:30 ◎ 2月米卸売物価指数(PPI、予想:前月比0.3%/前年比1.1%)
◎ 食品とエネルギーを除くコア指数(予想:前月比0.2%/前年比1.9%)
○21:30 ☆ 2月米小売売上高(予想:前月比0.8%/自動車を除く前月比0.5%)
○21:30 ◎ 前週分の米新規失業保険申請件数/失業保険継続受給者数(予想:21.8万件/190.0万人)
○23:00 ◇ 1月米企業在庫(予想:前月比0.2%)
○15日03:00 ◎ デギンドスECB副総裁、講演
○15日03:30 ◎ ストゥルナラス・ギリシャ中銀総裁、講演
※重要度、高は☆、中は◎、低◇とする。
※指標などの発表予定・時刻は予告なく変更になる場合がありますので、ご了承ください。
【前日までの要人発言】
13日09:51 ウンシュ・ベルギー中銀総裁
「賃金やサービス価格の上昇率がなお高いものの、ECBは近く利下げについて賭けをする必要がある」
「賃金上昇率が3%になるのを待ってから利下げするわけではない。それより前に実施するだろう」
13日15:40 岸田首相
「日本経済はデフレ脱却には至っていない」
「デフレ脱却の判断は金融政策の変更そのものと連動しない」
「金融政策の具体的な手法は日銀に委ねられている」
13日15:46 植田日銀総裁
「企業の賃上げ回答やその他データ、様々なヒアリング情報を総合的に点検した上で適切に判断していきたい」
13日16:27 カザークス・ラトビア中銀総裁
「ECBの利下げ判断、今後の数会合で決定される見通し」
「利下げをあまり遅らせる必要はない」
13日18:31 十倉経団連会長
「連合の1次集計、昨年3月を上回ることはほぼ確実=春闘集中回答日で」
「政府・日銀の物価目標2%実現することは重要、ベアと生産性向上で企業がそれを上回る」
14日02:58 イエレン米財務長官
「米ドルはこれまでも、これからも基軸通貨であり続けるだろう」
「広範な米ドル離れの動きはない」
※時間は日本時間
〔日足一目均衡表分析〕
<ドル円=転換線を抵抗に戻り売りスタンス>
陽線引け。
転換線は基準線を下回り、遅行スパンは実線を下回り、雲の上で引けているものの、売りシグナルが優勢な展開となっている。
5手連続陰線の後、2手連続陽線で反発したものの依然として転換線を下回って引けており反落の可能性が示唆されている。
本日は転換線を抵抗に戻り売りスタンスで臨み、同線を上抜けた場合は手仕舞い。
レジスタンス2 149.38(3/7高値)
レジスタンス1 148.53(日足一目均衡表・転換線)
前日終値 147.76
サポート1 146.93(日足一目均衡表・雲の上限)
サポート2 144.87(日足一目均衡表・雲の下限)
<ユーロドル=三役好転、基準線を支持に押し目買い>
陽線引け。
転換線は基準線を上回り、遅行スパンは実線を上回り、雲の上で引けていることで、三役好転の強い買いシグナルが点灯した。
2手連続陽線で転換線を上回って引けており続伸の可能性が示唆されている。
本日は基準線を支持に押し目買いスタンスで臨み、同線を下抜けた場合は手仕舞い。
レジスタンス1 1.1046(1/2高値)
前日終値 1.0948
サポート1 1.0838(日足一目均衡表・基準線)
<ユーロ円=3/7高値を抵抗に戻り売りスタンス>
陽線引け。
転換線は基準線を上回り、遅行スパンは実線を上回り、雲の上で推移していることで、三役好転の強い買いシグナルが点灯している。
しかし、2手連続陽線でも転換線を下回って引けており反落の可能性が示唆されている。
本日は転換線161.87円を念頭に置き、7日の高値を抵抗に戻り売りスタンスで臨み、同水準を上抜けた場合は手仕舞い。
レジスタンス1 162.85(3/7高値)
前日終値 161.77
サポート1 160.90(3/13安値)
<豪ドル円=雲の上限を支持に押し目買いスタンス>
陽線引け。
転換線は基準線を下回っているものの、遅行スパンは実線を上回り、雲の上で引けていることで買いシグナルが優勢な展開となっている。
2手連続陽線で転換線を上回って引けており続伸の可能性が示唆されている。
本日は雲の上限を支持に押し目買いスタンスで臨み、同水準を下抜けた場合は手仕舞い。
レジスタンス1 99.06(2/23高値)
前日終値 97.84
サポート1 96.65(日足一目均衡表・雲の上限)
Provided by
DZH Finacial Research
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