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本日の東京為替見通し(為替/FXニュース):本邦経済指標を確認しつつ地政学的リスクに注意する展開か(2024年4月8日)

マーケットレポート

April 8, 2024

【前日の為替概況】ドル円、反発 予想より強い米雇用統計を受けて米長期金利が上昇

5日のニューヨーク外国為替市場でドル円は反発。
終値は151.62円と前営業日NY終値(151.34円)と比べて28銭程度のドル高水準だった。
米労働省が発表した3月米雇用統計で非農業部門雇用者数が前月比30.3万人増と予想の20.0万人増を上回り、失業率が3.8%と予想の3.9%より強い内容だったことが伝わると、米長期金利の上昇とともにドル買いが先行。
22時過ぎに一時151.75円と日通し高値を付けた。

前日の高値151.77円が目先レジスタンスとして意識されると151.44円付近まで伸び悩む場面もあったが、米利下げ開始時期が後ずれするとの観測が高まる中、押し目を拾いたい向きは多く下押しは限定的だった。

なお、ローガン米ダラス連銀総裁は「利下げについて考えるのはあまりに早過ぎる」「インフレの上振れリスクに対する懸念が高まっている」と述べたほか、ボウマン米連邦準備理事会(FRB)理事は「まだ利下げを検討する時期ではない」「可能性は低いものの、インフレを抑制するために追加利上げが必要になる可能性はある」などと話した。

ユーロドルは横ばい。
終値は1.0837ドルと前営業日NY終値(1.0837ドル)とほぼ同水準だった。
米重要指標を発表前にポジション調整目的のユーロ買い・ドル売りが先行すると一時1.0848ドルと日通し高値を付けたものの、米雇用統計の上振れをきっかけに全般ドル買いが活発化すると、22時過ぎに一時1.0791ドルと日通し安値を付けた。
ただ、そのあとはユーロ円の上昇につれた買いが入り、1.0844ドル付近まで下げ幅を縮めた。
市場では「来週11日に欧州中央銀行(ECB)定例理事会を控える中、200日移動平均線が位置する1.0833ドル付近を睨んだ動きとなった」との指摘があった。

ユーロ円は反発。
終値は164.32円と前営業日NY終値(164.03円)と比べて29銭程度のユーロ高水準。
前日に急落したダウ平均が一時440ドル超上昇したうえ、ナイト・セッションの日経平均先物が大証終値比420円高の3万9400円まで反発したことで、投資家のリスク志向が改善し円売り・ユーロ買いが優勢になった。
1時前には一時164.44円と日通し高値を更新した。

カナダドル円は下値が堅かった。
カナダ統計局が発表した3月カナダ雇用統計で、新規雇用者数が0.22万人減と予想の2.50万人増に反して減少したうえ、失業率が6.1%と予想の5.9%より弱い内容だったことが分かると売りが先行。
23時過ぎに一時111.12円と日通し安値を更新した。

ただ、米国株相場の上昇や原油高を背景に円売り・カナダドル買いが優勢になると111.66円付近まで持ち直した。

【本日の東京為替見通し】本邦経済指標を確認しつつ地政学的リスクに注意する展開か

本日の東京外国為替市場でのドル円は、本邦の経済指標を確認しつつ、リスク回避の動きに注意する展開が予想される。
本邦の経済指標について、2月の毎月勤労統計の発表が予定されている。
市場予想は前年比+1.8%と1月(同+2.0%)をやや下回るがプラスは維持する見通し。

4日に連合が発表した2024年春闘の3次集計によると、賃上げ率は平均で5.24%、中小企業でも4.69%であった。
もし、本日の指標が予想を上回った場合、賃金の伸びが続いているとの見方から日銀の追加利上げの思惑が浮上し、本邦の金利上昇につながるようなら、円買いの材料となる可能性がある。
ドル円は日足・一目均衡表の転換線151.39円を割ると、5日安値150.81円に向けて下押すことも考えられる。
また、本邦2月国際収支について、市場予想は貿易収支が1927億円の赤字、経常収支(季調前)は3兆1125億円の黒字となっている。

とはいえ、日米の金利差は依然として5%以上あるため、仮に本邦の利上げ観測が浮上したとしても、早急にこの差が埋まるとは考えにくい。
売りの勢いが一服して5日の上伸を阻んだ4日高値151.77円を上抜くと、152円に観測されているオプションバリア突破を試すことも考えられる。
152円に近付く場面では本邦当局者からの介入けん制発言が出ることも想定されるため、こちらにも注意したいところだ。

他方、中東情勢には引き続き注意したい。
3日にシリアにあるイラン大使館が攻撃されたことを受けて「イランは48時間以内にイスラエルを攻撃する可能性」と報じられたが、執筆時点ではイランの報復行動は伝えられていない。
万一、イランがイスラエルに対し報復攻撃に踏み切るようだと、市場ではリスク回避の色合いが強まりそうだ。
株式市場にとってマイナス材料であり、ドル円のみならずクロス円も神経質な動きを迫られる恐れがある点には留意しておきたい。

【本日の重要指標】 ※時刻表示は日本時間

<国内>
○08:30 ◇ 2月毎月勤労統計(現金給与総額、予想:前年比1.8%)
○08:50 ◎ 2月国際収支速報
     ◇  経常収支(予想:季節調整前3兆1125億円の黒字/季節調整済1兆9550億円の黒字)
     ◎  貿易収支(予想:1927億円の赤字)
○14:00 ◇ 3月景気ウオッチャー調査(予想:現状判断指数51.6/先行き判断指数53.3)

<海外>
○14:45 ◇ 3月スイス失業率(季節調整前、予想:2.3%)
○15:00 ◎ 2月独鉱工業生産(予想:前月比0.3%/前年同月比▲6.7%)
○15:00 ◇ 2月独貿易収支(予想:255億ユーロの黒字)
○16:00 ◇ 2月トルコ鉱工業生産
○18:00 ◎ ストゥルナラス・ギリシャ中銀総裁、講演
○9日00:30 ◎ ブリーデン英中銀(BOE)副総裁、講演
○豪州、NZは7日から冬時間に移行済み

※「予想」は特に記載のない限り市場予想平均を表す。▲はマイナス。
※重要度、高は☆、中は◎、低◇とする。
※指標などの発表予定・時刻は予告なく変更になる場合がありますので、ご了承ください。

>本日発表予定のその他の経済指標についてはこちら

【前日までの要人発言】

5日08:53 鈴木財務相
「(為替相場について)過度な変動は望ましくない」
「高い緊張感をもって注視」
「為替水準は市場を通じファンダメンタルズを反映して決定」
「行き過ぎた動きにあらゆるオプションを排除せず適切に対応」

5日09:55 林官房長官
「(植田日銀総裁の追加利上げ発言に関する報道について)金融政策の具体的な手法、背景にある経済金融情勢の解釈は日銀に委ねている」

5日09:57 植田日銀総裁
「(円安について)内外の金融政策の思惑も影響した可能性」
「為替はファンダメンタルズを反映し安定して推移するのが望ましい」
「為替市場の動向、経済物価への影響を注視する」
「ETF処分、時間をかけて検討していく」
「政策修正を市場に織り込ませるためにリークすることはない」
「厳格な情報管理の下で考え適切に伝わるように努める」
「物価の基調的な上昇率、徐々に今後高まっていく」
「4月の展望リポートに向け、物価見通しを再度確認しているところ」
「政府とは様々な機会通じて意思疎通図っている」

5日15:50 岸田首相
「為替、過度な動きに対しては適切に対応」
「為替、あらゆる手段を排除しない」

6日00:04 ローガン米ダラス連銀総裁
「利下げについて考えるのはあまりに早過ぎる」
「インフレの低下が停滞した場合の対応を準備しておくべき」
「インフレの上振れリスクに対する懸念が高まっている」

6日01:40 ボウマン米連邦準備理事会(FRB)理事
「まだ利下げを検討する時期ではない」
「インフレが低下し続ければ、FRBは最終的に利下げするだろう」
「インフレは多くの上振れリスクに直面している」
「インフレが高止まりすれば追加利上げが必要になる可能性がある」

※時間は日本時間

>本日の要人発言をリアルタイムで確認するならこちら

〔日足一目均衡表分析〕

<ドル円=下値の堅さを示す足型形成>

ドル円0408

パラメータ0408

下影陽線引け。
一時150.81円と3月21日以来の151円割れへ下振れたものの、151円後半へ戻して引ける底堅い動きだった。

下値の堅さを示す長い下ひげをともなう足型を形成しており、反落があっても先週末の安値ほか、ピボット・サポート1も付近に位置する151円付近での底堅さも想定できる。
3日高値151.95円や3月27日につけた年初来高値151.97円を上抜けて勢いづき、1990年以来の152円台で堅調に推移する展開が期待できる。

レジスタンス1 152.30(1990/7/6高値)
前日終値 151.62
サポート1 151.04(ピボット・サポート1)
サポート2 150.51(21日移動平均線)

>ドル円のリアルタイムチャートはこちら

<ユーロドル=雲の下限や転換線付近で下げ渋るか>

ユーロドル0408

パラメータ0408

下影同事線引け。
1.0833ドル前後で推移する200日移動平均線付近から1.0791ドルまで下振れたものの、同線付近へ戻して週の取引を終えた。
一目均衡表・雲の中で方向感が出にくい状態だが、切り上がる雲の下限を下回った水準で底堅さを示した。

今後の上昇が想定できる一目均衡表・転換線1.0801ドル前後でも下げ渋りが期待でき、一定の底堅さを維持できるとみる。

レジスタンス1 1.0877(4/4高値)
前日終値 1.0837
サポート1 1.0764(4/3安値)

>ユーロドルのリアルタイムチャートはこちら

<ユーロ円=転換線付近の底堅さに期待>

ユーロ円0408

パラメータ0408

下影小陽線引け。
163.49円まで下振れが先行したものの、164円台へ戻して取引を終えた。
一目均衡表・転換線163.77円を割り込んだところから戻した格好。
現水準からいったん切り上がる見込みの同線付近の支えを背景に、上値を試す展開が想定できる。

レジスタンス1 164.92(4/4高値)
前日終値 164.32
サポート1 163.49(4/5安値)

>ユーロ円のリアルタイムチャートはこちら

<豪ドル円=転換線や5日線付近の底堅さ想定>

豪ドル円0408

パラメータ0408

下影小陽線引け。
一目均衡表・転換線99.29円を割り込んだものの反発し、99.75円で引けている。
まだ上昇傾向が続きそうな転換線や、99.49円前後へ切り上がった5日移動平均線付近で底堅さを示し、上値を試す流れが想定できる。

再度の100円台回復を視野に入れた展開といえる。

レジスタンス1 100.23(ピボット・レジスタンス2)
前日終値 99.75
サポート1 99.29(日足一目均衡表・転換線)

>豪ドル円のリアルタイムチャートはこちら

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