May 22, 2024
【前日の為替概況】ドル円、4日ぶり小反落 アジア時間高値がレジスタンスとして意識され失速
21日のニューヨーク外国為替市場でドル円は4営業日ぶりに小反落。
終値は156.17円と前営業日NY終値(156.26円)と比べて9銭程度のドル安水準だった。
22時過ぎに一時156.43円付近まで値を上げたものの、アジア時間に付けた日通し高値156.55円が目先レジスタンスとして意識されると失速。
24時前には一時155.85円と日通し安値を更新した。
ただ、155円台では押し目を拾いたい向きは多く、2時30分過ぎには156.25円付近まで下げ渋った。
なお、ウォラー米連邦準備理事会(FRB)理事は「利下げを支持するにはあと数カ月分の良好な物価指標を確認する必要がある」と述べたほか、バーFRB副議長は「以前に考えられていたよりも長期間、引き締めを維持する必要がある」と発言。
また、米連邦公開市場委員会(FOMC)で投票権を有するボスティック米アトランタ連銀総裁は「第4四半期前の利下げはないだろう」などと語った。
ユーロドルは小幅続落。
終値は1.0854ドルと前営業日NY終値(1.0857ドル)と比べて0.0003ドル程度のユーロ安水準だった。
日本時間夕刻に一時1.0875ドルと日通し高値を付けたものの、前日の高値1.0884ドルがレジスタンスとして働くと一転下落し、22時過ぎには1.0843ドルと日通し安値を付けた。
このところFRB高官からは利下げに慎重な発言が相次いでおり、ユーロ売り・ドル買いが出やすい面もあった。
ユーロ円は4日ぶり小反落。
終値は169.51円と前営業日NY終値(169.65円)と比べて14銭程度のユーロ安水準。
ドル円やユーロドルの下落につれた売りが出ると一時169.22円と日通し安値を更新した。
その後の戻りも169.59円付近にとどまった。
カナダドルは下落。
4月カナダ消費者物価指数(CPI)が前年比で2.7%上昇と2021年3月以来3年1カ月ぶりの低い伸び率となり、早期利下げ観測が高まった。
対ドルで一時1.3676カナダドル、対円で114.16円までカナダドル安に振れた。
【本日の東京為替見通し】ドル円の上値トライは一服、RBNZはタカ派的据え置きか
本日のドル円相場は156円を挟んでもみ合いとなるか。
中長期的な円安地合いは継続されそうだが、156円半ばから後半の重さを連日確認したこともあり、積極的なドル買い・円売りを仕掛けるのも難しくなっている。
3日の米雇用統計後に下落したドル円は、その後は買い戻しが優勢となった。
しかし、14日に156.74円、15日に156.56円で上値が抑えられた。
そして、先週15日に4月の米消費者物価指数(CPI)が発表されて再びドルが弱含んだ後の買い戻しが、20日の156.30円、昨日の156.55円で上値が抑えられた。
本日も本邦から主だった経済指標の発表予定がないことや、米国からも住宅関連指標以外の主要経済指標の発表予定がないことで、材料不足の中でドル円が敢えて上値をトライしていくのは難しいだろう。
もっとも、ドル円が大きく崩れるのが難しいのは、ここ最近は米連邦準備理事会(FRB)高官のほぼ全員が、口裏合わせたかのように今後のインフレ低下や早期利下げに慎重な見方を示していることだ。
昨日もウォラーFRB理事が「利下げには良好なインフレがあと数カ月必要」と述べ、今月に入って発表された雇用統計やCPIだけでは判断がまだ不足しているとの見解を示した。
また、今年の米連邦公開市場委員会(FOMC)の投票権を有するボスティック米アトランタ連銀総裁は「第4四半期前の利下げはないだろう」と発言し、市場が期待する9月の最初の利下げを否定している。
連日本邦の長期金利は11年ぶりの水準まで上昇しているが、日銀の利上げ期待がより高まったとしても、本邦経済のファンダメンタルズの弱さを考えると利上げ幅が大きくなることは考えにくく、米国の利下げまではドル円が売りトレンドになるのは難しそうだ。
ドル円の大きな動きを期待するのは難しいだろうが、本日はNZドルがボラタイルな動きになるだろう。
日本時間11時には、NZ準備銀行(RBNZ)の金融政策委員会(MPC)が政策金利を発表する。
政策金利は5.50%の据え置き予想となっているが、注目は同時に発表される声明文と、政策金利発表後に行われるオアRBNZ総裁の会見になる。
先月までは景気減速が続いていることで、タカ派的据え置きが転換するのではとの予想もあった。
しかし、最近はインフレの低下が鈍っていることで、利下げなどについて示唆するのは時期尚早との予想が高まり、これまで通りのタカ派的据え置き予想となっている。
なお、欧州入り後すぐに英国からCPIが発表されることで、欧州入りの時間帯もポンドがボラタイルに動きそうだ。
【本日の重要指標】 ※時刻表示は日本時間
<国内>
○08:50 ◎ 4月貿易統計(通関ベース、予想:季節調整前3395億円の赤字、季節調整済7340億円の赤字)
○08:50 ◎ 3月機械受注(予想:船舶・電力除く民需 前月比▲2.2%/前年比1.4%)
<海外>
○08:00 ◎ ボスティック米アトランタ連銀総裁、コリンズ米ボストン連銀総裁、メスター米クリーブランド連銀総裁、パネルディスカッションに参加
○11:00 ☆ ニュージーランド準備銀行(RBNZ)、政策金利発表(予想:5.50%で据え置き)
○12:00 ◎ オアRBNZ総裁、記者会見
○15:00 ◎ 4月英消費者物価指数(CPI、予想:前月比0.2%/前年比2.1%)
○15:00 ◎ 4月英CPIコア指数(予想:前年比3.6%)
○15:00 ◇ 4月英小売物価指数(RPI、予想:前月比0.5%/前年比3.3%)
○17:00 ◎ 4月南アフリカCPI(予想:前月比0.4%/前年比5.3%)
○17:05 ◎ ラガルド欧州中央銀行(ECB)総裁、講演
○20:00 ◇ MBA住宅ローン申請指数
○21:45 ◎ ブリーデン英中銀(BOE)副総裁、講演
○22:40 ◎ グールズビー米シカゴ連銀総裁、講演
○23:00 ◎ 4月米中古住宅販売件数(予想:前月比0.8%/年率換算422万件)
○23:30 ◇ EIA週間在庫統計
○23日02:00 ◎ 米財務省、20年債入札
○23日03:00 ☆ 米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨(4月30日-5月1日分)
○シンガポール(ベサックデイ)、休場
※「予想」は特に記載のない限り市場予想平均を表す。▲はマイナス。
※重要度、高は☆、中は◎、低◇とする。
※指標などの発表予定・時刻は予告なく変更になる場合がありますので、ご了承ください。
【前日までの要人発言】
21日09:29 鈴木財務相
「円安にはプラスとマイナス面がある」
「為替相場は市場において決定」
「物価上昇を上回る賃上げが一つの目標」
「為替は安定的に推移することが望ましい」
「市場の動向をしっかり見て、必要に応じて適切に対応」
21日10:02 林官房長官
「日銀には適切な金融政策運営を期待」
「国債金利の動向に逐一コメントを控える」
「国債金利は様々な要因で市場で決める」
21日10:33 豪準備銀行(RBA)議事要旨
「最近のデータから、インフレリスクが高まっている可能性」
「CPIの短期的な変動は無視できる」
「最優先課題はインフレを目標に戻すこと」
「今後の政策金利の変更について確定的に言うことは難しい」
「過度の細かな政策調整は避けたい」
21日18:08 イエレン米財務長官
「米国は中国との分断を目論んでいるのではなく、サプライチェーン(部品の調達・供給網)の多様化を目指している」
「中国の過剰生産能力に対して、欧米は連携して対応する必要がある」
21日19:12 ブンゲ・スウェーデン中銀副総裁
「国内要因は、金融緩和策を支持している」
「リスク要因は、地政学リスクや米国のインフレ」
21日22:06 ウォラー米連邦準備理事会(FRB)理事
「利下げには良好なインフレがあと数カ月必要」
「追加利上げは恐らく不要だろう」
22日02:15
「赤字支出が金利上昇に影響を及ぼし始めるか、それが懸念事項」
「インフレが目標に向かって低下していることを本当に確認する必要がある」
「利下げはデータ次第」
21日22:11 ボスティック米アトランタ連銀総裁
「第4四半期前の利下げはないだろう」
22日01:04 バー米連邦準備理事会(FRB)副議長
「以前に考えられていたよりも長期間、引き締めを維持する必要がある」
「インフレ対策において、FRBはまだ仕事を終えていない」
「全体として米国経済は非常に強い」
22日01:35 ナーゲル独連銀総裁
「6月の利下げがその後の会合でも利下げを行うことを意味するものではない」
※時間は日本時間
〔日足一目均衡表分析〕
<ドル円=転換線の動向に沿う調整も視野>
小陰線引け。
一時155.85円まで下押す場面もあった。
しかし一目均衡表・基準線156.02円を上回る水準へ戻してNYを引けている。
一定の底堅さを維持しているものの動きにくい状態。
低下余地を残す一目・転換線155.17円の動向に沿って調整気味に推移する展開も視野に入れて臨みたい。
レジスタンス1 156.74(5/14高値)
前日終値 156.17
サポート1 155.59(21日移動平均線)
サポート2 155.08(5/16-21上昇幅の半値押し)
<ユーロドル=気迷い示す足型形成、神経質な動き続くか>
極小陰線引け。
1.0866ドルで引けた5日移動平均線を下回る水準を中心としたレンジで下げ渋りのポイントを探るような動きだった。
値動きは限られ、気迷いを示す足型を形成している。
上昇傾向の一目均衡表・転換線1.0828ドルの動きをにらみ、1.09ドル手前からの調整を一層進めることをためらう状態と考えることもできるが、神経質な動きがまだ続きそうだ。
レジスタンス1 1.0895(5/16高値)
前日終値 1.0854
サポート1 1.0791(日足一目均衡表・雲の上限)
<ユーロ円=5日線割れの調整も念頭に置き臨む局面>
小陰線引け。
169.94円まで上値を試す動きが進んだものの頭打ちとなった。
170円の節目を目前に方向感を鈍らせている。
本日169.34円前後へ上昇した5日移動平均線を下回るような調整も念頭に置いて臨む局面。
20日安値も近くに位置する169円前後が下押した場合の目先のめど。
深押しがあっても上昇傾向の一目均衡表・転換線168.64円は支えになるとみる。
レジスタンス1 170.28(ピボット・レジスタンス2)
前日終値 169.51
サポート1 168.99(5/20安値)
<豪ドル円=転換線の切り上がり支援に底堅さ維持できそう>
小陰線引け。
20日高値104.57円を目先の上値に、4月29日につけた年初来高値104.94円を狙うじり高の流れは一巡している。
本日104.07円前後で推移している5日移動平均線付近でやや調整傾向の推移となるか。
ただ、一目均衡表・転換線は本日103.59円へ切り上がり、今週末にも103.69円と上昇が断続的に進む見込み。
押し目で下支えとなる水準が切り上がる状態であり、底堅さを維持するだろう。
レジスタンス1 104.66(ピボット・レジスタンス2)
前日終値 104.10
サポート1 103.59(日足一目均衡表・転換線)
Provided by
DZH Finacial Research
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