本日の東京為替見通し(為替/FXニュース):ドル円、日米10年債利回り動向や中村日銀審議委員の発言に要注目(2024年6月6日)

マーケットレポート

June 6, 2024

【前日の為替概況】ドル円156.48円まで上昇、米5月ISM非製造業景況指数53.8

5日のニューヨーク外国為替市場でドル円は3営業日ぶりに反発。
終値は156.11円と前営業日NY終値(154.88円)と比べて1円23銭程度のドル高水準だった。
5月ADP全米雇用報告で政府部門を除く非農業部門雇用者数が15.2万人増と予想の17.5万人増を下回ったことが伝わると、一時155.72円付近まで下押ししたものの、5月米ISM非製造業景況指数が53.8と予想の50.8を上回ると一転買い戻しが優勢に。
23時30分前に一時156.48円と日通し高値を付けた。

ただ、前日の高値156.49円が目先レジスタンスとして意識されると伸び悩んだ。
米長期金利の指標となる米10年債利回りが4.27%台まで低下したことも相場の重し。

ユーロドルは小幅ながら続落。
終値は1.0869ドルと前営業日NY終値(1.0879ドル)と比べて0.0010ドル程度のユーロ安水準だった。
米雇用指標が予想を下回り、米労働需給の緩和を示すと23時前に一時1.0891ドルと日通し高値を付けたものの、前日の高値1.0916ドルが目先レジスタンスとして意識されると失速した。
米ISM非製造業景況指数の上振れも相場の重しとなり、1時過ぎには1.0854ドルと日通し安値を更新した。
欧州中央銀行(ECB)が明日6日の定例理事会で利下げを決めるとの観測もユーロ売りを誘った。

ユーロ円は3日ぶりに反発。
終値は169.68円と前営業日NY終値(168.50円)と比べて1円18銭程度のユーロ高水準。
ドル円の上昇につれた買いが入ると、23時30分前に一時170.02円と日通し高値を付けたが、買い一巡後は徐々に値動きが細った。

米ドルカナダドルは一時1.3741カナダドルまで上昇した。
カナダ銀行(BOC)はこの日、政策金利を現行の5.00%から0.25%引き下げて4.75%にすることを決めたと発表。
市場の予想通りとなった。
ただ、マックレムBOC総裁が会見で「金融政策はもはやそれほど引き締める必要はない。
言い換えれば、政策金利を引き下げることが適切」「インフレが引き続き緩和し、目標の2%に向かって持続的に進んでいるという確信が高まり続けるなら、政策金利のさらなる引き下げを予想するのは妥当」との見解を示すと、カナダドル売りが優勢となった。

【本日の東京為替見通し】ドル円、日米10年債利回り動向や中村日銀審議委員の発言に要注目

本日の東京外国為替市場のドル円は、中村日銀審議委員の発言や4.2%台に低下している米10年債利回りや1.0%付近の日本の10年国債利回りの動向を睨みながらの展開が予想される。

ドル円は、4日には154円台まで下落。
日銀金融政策決定会合で国債の買い入れ減額を検討するという観測報道で、一部ヘッジファンドが円の売り持ちポジションを手仕舞ったとの噂が聞かれた。
オプション市場では、来週の日銀会合での円高リスクをヘッジするため、円コール・オプションの取引が話題になっていた。

しかしながら昨日は、毎月約1兆円とされる新NISA(少額投資非課税制度)の円売りや日本の10年国債利回りが1%を割り込んだことなどで156円台を回復し、往って来いの相場展開となっている。

5月27日の植田日銀総裁と内田日銀副総裁の発言、19日の安達日銀審議委員の見解、6月4日の日銀関係筋からの報道を受けて、日銀金融政策決定会合での金融正常化への警戒感が高まっている。
本日は、10時半からの中村日銀審議委員の発言内容に注目しておきたい。

昨日は4月実質賃金が前年比-0.7%と発表され、25カ月連続でマイナスを記録したものの、マイナス幅は2022年10月の-0.6%以来の小幅な縮小率に留まった。
また、所定内給与は+2.3%と発表され、1994年10月以来の伸び率を記録しており、今夏以降の実質賃金のプラス圏への浮上が見込まれている。

しかし、実質賃金が25カ月連続で前年比マイナスを記録し、1-3月期実質国内総生産(GDP)がマイナス成長となっていることで、来週の日銀会合では、金融政策の正常化が見送られて現状維持となる可能性が残されていることも円売り要因となったのかもしれない。

今後の重要な経済指標やイベントでのシナリオは以下の通りとなる。

    6日:欧州中央銀行(ECB)理事会
     利下げが決定された場合は、ユーロ売り・ドル買い、そしてユーロ売り・円買いとなる可能性。

    7日:米5月雇用統計
     労働市場の逼迫が示された場合は、米金利上昇とドル上昇となり、年内の利下げ見通しが、現在の2回から1回となる。
     悪化していた場合はドル下落となり、年内の利下げ見通しは2回のままか。

    11-12日:米連邦公開市場委員会(FOMC)
     政策金利据え置きはほぼ既定路線、注目ポイントはドット・プロット(金利予測分布図)での利下げ開始時期と利下げの回数となる。

    13-14日:日銀金融政策決定会合
     金融政策の現状維持が決定された場合は、円安要因、追加利上げ(+0.15%~0.25%)が決定された場合は円高要因となる。
     6兆円程度の国債買い入れオペの減額に関しては、5兆円程度ならば円安抑制要因、4兆円以下ならば円高要因となる。

    21日:経済財政運営と改革の基本方針(「骨太の方針」)
     円安による輸入物価上昇を抑制するために「レパトリ減税」が盛り込まれた場合は円高要因、なければ円安要因となる。

【本日の重要指標】 ※時刻表示は日本時間

<国内>
○08:50 ◇ 対外対内証券売買契約等の状況(週次・報告機関ベース)
○10:30 ◇ 中村豊明日銀審議委員、あいさつ

<海外>
○10:30 ◇ 4月豪貿易収支(予想:54.00億豪ドルの黒字)
○14:45 ◇ 5月スイス失業率(季節調整前、予想:2.3%)
○15:00 ◎ 4月独製造業新規受注(予想:前月比0.5%/前年同月比0.3%)
○17:30 ◎ 5月英建設業購買担当者景気指数(PMI、予想:52.5)
○18:00 ◎ 1-3月期南アフリカ経常収支(予想:1124億ランドの赤字)
○18:00 ◎ 4月ユーロ圏小売売上高(予想:前月比▲0.3%/前年比0.1%)
○20:30 ◇ 5月米企業の人員削減数(チャレンジャー・グレイ・アンド・クリスマス社調べ)
○21:15 ☆ 欧州中央銀行(ECB)定例理事会、終了後政策金利発表(予想:4.25%に引き下げ)
○21:30 ◇ 4月カナダ貿易収支(予想:14.0億カナダドルの赤字)
○21:30 ◎ 4月米貿易収支(予想:761億ドルの赤字)
○21:30 ◇ 1-3月期米非農業部門労働生産性・改定値(予想:前期比0.1%)
○21:30 ◎ 前週分の米新規失業保険申請件数/失業保険継続受給者数(予想:22.0万件/179.0万人)
○21:45 ☆ ラガルドECB総裁、定例記者会見
○23:00 ◇ 5月カナダIvey購買部協会景気指数
○7日03:00 ◎ 5月ブラジル貿易収支(予想:85.00億ドルの黒字)
○欧州議会選(9日まで)
○韓国(戦没者慰霊日)、休場

※「予想」は特に記載のない限り市場予想平均を表す。▲はマイナス。
※重要度、高は☆、中は◎、低◇とする。
※指標などの発表予定・時刻は予告なく変更になる場合がありますので、ご了承ください。

>本日発表予定のその他の経済指標についてはこちら

【前日までの要人発言】

5日08:15 ブロック豪準備銀行(RBA)総裁
「第1四半期の豪GDP、かなり低い伸びになると予想」
「経済の弱さ、消費で明らかになっている」
「インフレは低下しているが、スピードは緩やか」
「政策についていかなる方向性も否定しない」

5日19:40 南アフリカ与党・アフリカ民族会議(ANC)
「全ての政党と積極的に協議する決意」

5日20:05 カジミール・スロバキア中銀総裁
「インフレは良好な軌道に乗っており、ECBによる最初の利下げが近づいていると考えている」

5日22:45 カナダ銀行(BOC、カナダ中央銀行)声明
「世界経済は2024年第1四半期に約3%成長し、4月予測とほぼ一致」
「ほとんどの先進国ではインフレが引き続き緩和しているものの、物価安定に向けた進展は不安定で、地域によって速度が異なっている」
「原油価格は平均して想定に近い水準で推移しており、金融状況は4月以降ほとんど変わっていない」
「第1四半期のGDP成長率は1.7%で、予測よりも低かった」
「在庫投資の弱さが活動を抑制。消費の伸びは約3%で堅調。企業投資と住宅活動も増加した」
「賃金圧力は残っているものの、徐々に緩和」
「4月CPIインフレ率はさらに低下し、2.7%となった」
「コアインフレ率の指標も鈍化し、3カ月間の指標は引き続き下降傾向にあることを示唆」
「しかし、住宅価格のインフレ率は依然として高い」
「基調的なインフレ率が緩和しているという証拠が継続」
「理事会は金融政策をそれほど引き締める必要はないと合意し、政策金利を25ベーシスポイント引き下げた」
「最近のデータにより、インフレ率が引き続き2%の目標に向かって進むという確信が高まった」
「とはいえ、インフレ見通しに対するリスクは依然として残っている」
「理事会はコアインフレ率の推移を注意深く監視しており、特に経済の需要と供給のバランス、インフレ期待、賃金上昇率、企業の価格設定行動に重点を置いている」
「物価安定を回復するという確固たる決意を維持」

※時間は日本時間

>本日の要人発言をリアルタイムで確認するならこちら

〔日足一目均衡表分析〕

<ドル円=三役好転だが5/29の安値を抵抗に戻り売り>

ドル円0606

パラメータ0606

陽線引け。
転換線は基準線を上回り、遅行スパンは実線を上回り、雲の上で引けていることで、三役好転の強い買いシグナルが点灯した。
しかし、抱き線で反発したものの依然として転換線を下回って引けていることで反落の可能性が示唆されている。

本日は転換線156.13円や雲の上限156.05円を念頭に置き、5月29日の安値を抵抗に戻り売りスタンスで臨み、同水準を上抜けた場合は手仕舞い。

レジスタンス2 157.99(5/1高値)
レジスタンス1 156.92(5/29安値)
前日終値 156.11
サポート1 154.79(日足一目均衡表・基準線)
サポート2 153.33(日足一目均衡表・雲の下限)

>ドル円のリアルタイムチャートはこちら

<ユーロドル=基準線を支持に押し目買いスタンス>

ユーロドル0606

パラメータ0606

陰線引け。
転換線は基準線を上回り、遅行スパンは実線を上回り、雲の上で引けていることで、三役好転の強い買いシグナルが点灯している。
2手連続陰線でも、依然として転換線を上回って引けており反発の可能性が示唆されている。

本日は転換線1.0852ドルを念頭に置き、基準線を支持に押し目買いスタンスで臨み、同線を下抜けた場合は手仕舞い。

レジスタンス1 1.0981(3/8高値)
前日終値 1.0869
サポート1 1.0795(日足一目均衡表・基準線)

>ユーロドルのリアルタイムチャートはこちら

<ポンド円=横ばいの転換線を支持に押し目買いスタンス>

ポンド円0606

パラメータ0606

大陽線引け。
転換線は基準線を上回り、遅行スパンは実線を上回り、雲の上で引けていることで、三役好転の強い買いシグナルが点灯している。
孕み線で反発して転換線を上回って引けており続伸の可能性が示唆されている。

本日は横ばいの転換線を支持に押し目買いスタンスで臨み、同線を下抜けた場合は手仕舞い。

レジスタンス1 200.65(6/3高値)
前日終値 199.62
サポート1 198.98(日足一目均衡表・転換線)

>ポンド円のリアルタイムチャートはこちら

<NZドル円=横ばいの転換線を支持に押し目買いスタンス>

NZドル円0606

パラメータ0606

陽線引け。
転換線は基準線を上回り、遅行スパンは実線を上回り、雲の上で引けていることで、三役好転の強い買いシグナルが点灯している。
4日の大陰線を5日の大陽線が打ち消して「往って来い」となり、転換線を上回って引けていることで続伸の可能性が示唆されている。

本日は横ばいの転換線を支持に押し目買いスタンスで臨み、同線を下抜けた場合は手仕舞い。

レジスタンス1 97.48(ピポット・レジスタンス2)
前日終値 96.65
サポート1 96.06(日足一目均衡表・転換線)

>NZドル円のリアルタイムチャートはこちら

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