June 7, 2024
【前日の為替概況】ユーロドル1.0902ドルまで強含み、ECBは0.25%のタカ派的利下げ
6日のニューヨーク外国為替市場でユーロドルは3営業日ぶりに反発。
終値は1.0890ドルと前営業日NY終値(1.0869ドル)と比べて0.0021ドル程度のユーロ高水準だった。
欧州中央銀行(ECB)定例理事会を前にポジション調整目的の売りが先行すると、21時前に一時1.0862ドルと日通し安値を付けた。
ただ、前日の安値1.0854ドルが目先サポートとして働くと下げ止まった。
ECBはこの日、市場予想通り政策金利を0.25%引き下げたものの、今回の利下げについては織り込みが進んでいたため、ECBの発表を受けてユーロ買い・ドル売りで反応。
市場では「今後の利下げに慎重なタカ派的な利下げ」との受け止めもあり、21時30分過ぎには1.0902ドルと日通し高値を更新した。
もっとも、明日7日に5月米雇用統計の発表を控えており、ユーロ買いの勢いは長続きしなかった。
ドル円は反落。
終値は155.61円と前営業日NY終値(156.11円)と比べて50銭程度のドル安水準だった。
欧州株相場の上昇を背景に投資家のリスク志向が改善すると円売り・ドル買いが先行。
22時過ぎに一時156.44円と日通し高値を付けた。
ただ、前日の高値156.48円が目先レジスタンスとして意識されると次第に上値が重くなった。
明日の米雇用統計を前に様子見ムードも広がる中、4時30分過ぎには155.48円付近まで下押しした。
米10年債利回りが上昇幅を縮めたことも相場の重し。
ユーロ円も反落。
終値は169.47円と前営業日NY終値(169.68円)と比べて21銭程度のユーロ安水準。
22時過ぎに一時170.28円と日通し高値を付けたものの、買い一巡後は徐々に上値を切り下げた。
5時前には169.31円付近まで下押しした。
ドル円と似た動きとなった。
【本日の東京為替見通し】ドル円、動きづらい展開か 今夜は米5月雇用統計の発表
本日の東京外国為替市場のドル円は、今夜発表される米5月雇用統計を控えて動きづらい展開が予想される。
ドル円の一目均衡表によるテクニカル分析では、攻防の分岐点である雲の上限155.75円付近での推移となっている。
雲の上限は来週13日まで155.75円のままだが、日銀金融政策決定会合の結果が発表される14日には155.21円に低下していく。
14日の日銀決定会合の結果が、0.15-0.25%の追加利上げと国債買い入れ(※6兆円程度)の大幅な減額ならば、ドル安・円高要因となり、ドル円は雲の上限を抵抗に下落トレンドに入ることになる。
しかし、昨日の中村日銀審議委員の発言「当面は現状の政策維持が妥当。
今のタイミングで利上げは早い」が示唆したように、現状維持だった場合は、雲の上限を支持に上昇トレンドが再開することになるのかもしれない。
昨日の参院財政金融委員会で答弁した植田日銀総裁は、「2%のインフレ目標への距離感」への言及により現状維持を示唆した。
一方で、「国債買い入れの減額が適当」との発言では金融政策正常化の可能性を言及していた。
米国の5月雇用統計の予想は、非農業部門雇用者数が前月比+18.5万人で4月の+17.5万人から増加幅が拡大、失業率は3.9%で前月から横ばいと見込まれている。
来週11-12日の米連邦公開市場委員会(FOMC)では、FF金利誘導目標5.25-50%の据え置きは既定路線。
今回の雇用統計の強弱は、ドット・プロット(金利予測分布図)での利下げ開始時期や年内利下げの回数に影響すると思われる。
シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)グループがFF金利先物の動向に基づき算出する「フェドウオッチ」での利下げ開始は、9月FOMCとされている。
12月FOMCでも追加利下げが織り込まれ、年末のFF金利誘導目標は4.75-5.00%との見込みだ。
ところで米労働省労働統計局(BLS)によると、昨年の雇用者数の伸びは月間雇用統計に基づく平均の約25.1万人よりも、毎月平均で約6万人少なかった可能性があるとした。
ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)紙も昨年、起業・廃業モデルなどを理由に事業所調査が労働市場の実情を過大評価している可能性が高い、と報じており、今後の年次改定などには警戒しておきたい。
なお本日は、5月外貨準備高が発表される。
4月29日と5月2日未明の本邦通貨当局のドル売り・円買い介入の原資が、2022年秋のように米国債の売却だったのか否かを確認することになる。
【本日の重要指標】 ※時刻表示は日本時間
<国内>
○08:30 ◇ 4月家計調査(消費支出、予想:前年比0.6%)
○08:50 ◇ 5月外貨準備高
○14:00 ◇ 4月景気動向指数速報値(予想:先行111.6/一致114.5)
<海外>
○07:45 ◇ 1-3月期ニュージーランド(NZ)製造業売上高
○未定 ◎ 5月中国貿易収支(予想:730億ドルの黒字)
○13:30 ☆ インド中銀、金融政策決定会合(予想:6.50%で据え置き)
○15:00 ◎ 4月独鉱工業生産(予想:前月比0.3%/前年同月比▲3.0%)
○15:00 ◇ 4月独貿易収支(予想:226億ユーロの黒字)
○15:45 ◇ 4月仏貿易収支
○15:45 ◇ 4月仏経常収支
○16:00 ◎ ナーゲル独連銀総裁、講演
○16:00 ◎ シムカス・リトアニア中銀総裁、講演
○17:00 ◎ ホルツマン・オーストリア中銀総裁、講演
○17:00 ◎ シュナーベル欧州中央銀行(ECB)専務理事、講演
○18:00 ☆ 1-3月期ユーロ圏域内総生産(GDP)確定値(予想:前期比0.3%/前年比0.4%)
○19:00 ◎ センテノ・ポルトガル中銀総裁、講演
○19:30 ◎ ロシア中銀、政策金利発表(予想:16.00%で据え置き)
○21:00 ◎ 5月メキシコ消費者物価指数(CPI、予想:前年比4.82%)
○21:30 ☆ 5月カナダ雇用統計(予想:新規雇用者数変化2.25万人/失業率6.2%)
○21:30 ◇ 1-3月期カナダ設備稼働率(予想:78.8%)
○21:30 ☆ 5月米雇用統計(予想:非農業部門雇用者数変化18.5万人/失業率3.9%/平均時給、前月比0.3%/前年比3.9%)
○23:00 ◇ 4月米卸売売上高(予想:前月比0.5%)
○23:15 ◎ ラガルド欧州中央銀行(ECB)総裁、講演
○8日01:00 ◎ クック米連邦準備理事会(FRB)理事、あいさつ
○8日04:00 ◇ 4月米消費者信用残高(予想:110.0億ドル)
○欧州議会選(9日まで)
※「予想」は特に記載のない限り市場予想平均を表す。▲はマイナス。
※重要度、高は☆、中は◎、低◇とする。
※指標などの発表予定・時刻は予告なく変更になる場合がありますので、ご了承ください。
【前日までの要人発言】
6日10:37 中村日銀審議委員
「現時点でのデータに基づくと、当面は現状の政策維持が妥当」
「日本経済、2%物価目標達成のチャンスつかみかけており重要な転換点」
「物価目標の達成、経済回復を確信に変える経済構造変化が必要」
「賃上げ率ほどには家計の可処分所得がのびないことを懸念」
「賃金から物価への波及はまだ遠い」
「実質賃金のプラス転換に加え、可処分所得の増加が必要」
「当面は現状の政策維持が妥当」
「今のタイミングで利上げは早い」
「急速かつ一方的な円安は望ましくない」
6日13:39 植田日銀総裁
「2%物価目標実現するにはインフレ予想が2%付近で安定的に推移することが必要」
「現実のインフレ予想は、まだ2%に達するには少し距離がある」
「国債買い入れは、減額することが適当であると考えている」
6日21:20 欧州中央銀行(ECB)声明
「2024年の経済成長率は0.9%と予想」
「2024年と2025年の総合インフレ率とコアインフレ率の最新のユーロ圏スタッフ予測は上方修正」
「PEPP、2024年6月末まで全額再投資する」
「インフレ目標を達成するために必要な期間、政策金利を十分に制限的な水準に維持」
「下半期は、平均で毎月7億5000万ユーロのペースでPEPPポートフォリオを削減」
「インフレ率は2025年10-12月に目標の2%に届く見通し」
6日21:52 ラガルド欧州中央銀行(ECB)総裁
「特定の金利経路に前もって拘束されるつもりはない」
「経済が回復を続けるものと予想」
「製造業に安定化の兆しが見られる」
「物価上昇圧力は徐々に弱まっている」
「賃金は高い伸び率で上昇している」
「インフレ率は2025年下半期にかけて目標に向けて低下するだろう」
「インフレ率は年内を通じて現在の水準付近で変動が続くだろう」
「中期的には成長リスクは下方向だが、当面はバランスが取れている」
「利下げは今後の進路への確信があったことで正当化された」
「ECBはすべての手段を必要に応じて調整する準備がある」
「ECBは巻き戻しに動いているとは言わない」
「スピードとタイミングはデータが決定する」
※時間は日本時間
〔日足一目均衡表分析〕
<ドル円=三役好転消滅、6/4高値を抵抗に戻り売りスタンス>
陰線引け。
転換線は基準線を上回り、遅行スパンは実線を上回り、雲の中で引けたことで三役好転が解消した。
依然として買いシグナルが優勢な展開だが、孕み線で反落して転換線156.13円を下回って引けていることで続落の可能性が示唆されている。
本日は雲の上限155.75円を念頭に置き、6月4日の高値を抵抗に戻り売りスタンスで臨み、同水準を上抜けた場合は手仕舞い。
レジスタンス2 157.99(5/1高値)
レジスタンス1 156.49(6/4高値)
前日終値 155.61
サポート1 154.79(日足一目均衡表・基準線)
サポート2 153.33(日足一目均衡表・雲の下限)
<ユーロドル=上昇した基準線を支持に押し目買いスタンス>
陽線引け。
転換線は基準線を上回り、遅行スパンは実線を上回り、雲の上で引けていることで、三役好転の強い買いシグナルが点灯中。
2手連続陰線の後、抱き線で切り返して転換線を上回って引けており続伸の可能性が示唆されている。
本日は転換線1.0852ドルを念頭に置き、1.0820ドルまで上昇してきた基準線を支持に押し目買いスタンスで臨み、同線を下抜けた場合は手仕舞い。
レジスタンス1 1.0981(3/8高値)
前日終値 1.0890
サポート1 1.0820(日足一目均衡表・基準線)
<ユーロ円=6/6高値を抵抗に戻り売りスタンス>
陰線引け。
転換線は基準線を上回り、遅行スパンは実線を上回り、雲の上で引けていることで、三役好転の強い買いシグナルが点灯している。
しかし、孕み線で反落して転換線を下回って引けており続落の可能性が示唆されている。
本日は転換線169.49円を念頭に置き、6日の高値を抵抗に戻り売りスタンスで臨み、同水準を上抜けた場合は手仕舞い。
レジスタンス1 170.28(6/6高値)
前日終値 169.47
サポート1 168.09(6/4安値)
<豪ドル円=5/29高値を抵抗に戻り売りスタンス>
小陰線引け。
転換線は基準線を上回り、遅行スパンは実線を上回り、雲の上で引けていることで、三役好転の強い買いシグナルが点灯中。
しかし、孕み線で反落して転換線103.74円をわずかに下回って引けていることで続落の可能性が示唆されている。
本日は転換線を念頭に置き、5月29日の高値を抵抗に戻り売りスタンスで臨み、同水準を上抜けた場合は手仕舞い。
レジスタンス1 104.87(5/29高値)
前日終値 103.73
サポート1 102.66(日足一目均衡表・基準線)
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