本日の東京為替見通し(為替/FXニュース):ドル円、円買い介入の可能性や神田財務官の人事発表に要警戒か(2024年6月27日)

マーケットレポート

June 27, 2024

【前日の為替概況】ドル円1986年12月以来の高値160.87円、ユーロ円誕生以来高値171.80円

26日のニューヨーク外国為替市場でドル円は続伸。
終値は160.81円と前営業日NY終値(159.70円)と比べて1円11銭程度のドル高水準だった。
円の先安観を背景に全般円売りが先行すると、レジスタンスとして意識されていた4月29日の高値160.17円や1990年4月17日の高値160.20円を上抜けて、22時過ぎに一時160.41円まで値を上げた。
市場では「本邦貿易赤字など構造的な円売り要因は早期に解消されず、当面は円安・ドル高基調が続くだろう」との声が聞かれた。

神田財務官が「為替の足もとの動きは急激」「行き過ぎた動きには必要な対応をとっていく」「高い警戒感を持って市場の動向を注視している」と述べ、足もとの円安進行をけん制すると160.02円付近まで下げたものの、下押しは限定的。
このところ、米連邦準備理事会(FRB)高官らが利下げに慎重な考えを示す中、米長期金利の上昇に伴うドル買いも出て、取引終了間際には一時160.87円と1986年12月以来約37年半ぶりの高値を付けた。

ユーロドルは続落。
終値は1.0681ドルと前営業日NY終値(1.0714ドル)と比べて0.0033ドル程度のユーロ安水準だった。
FRBが利下げを慎重に判断するとの見方が広がる中、米長期金利の上昇に伴うドル買いが先行。
22時30分過ぎに一時1.0666ドルと5月1日以来の安値を付けた。

ただ、同日安値の1.0650ドルが目先サポートとして働くと下げ渋った。
ユーロ円の上昇につれた買いも入り1.0696ドル付近まで下値を切り上げる場面があった。

なお、レーン欧州中央銀行(ECB)専務理事兼チーフ・エコノミストは講演で「基本シナリオが維持されるのであれば、追加利下げはあるだろう」と述べたほか、カザークス・ラトビア中銀総裁は「金融緩和を急ぐ必要はない」「利下げは一歩ずつ進めてゆく」などと話した。

ユーロ円は反発。
終値は171.75円と前営業日NY終値(171.10円)と比べて65銭程度のユーロ高水準。
円の先安観を背景に全般円売りが優勢になると、レジスタンスとして意識されていた4月29日の高値171.56円を上抜けて上昇が加速。
取引終了間際に一時171.80円と1999年のユーロ導入以来の高値を更新した。

【本日の東京為替見通し】ドル円、円買い介入の可能性や神田財務官の人事発表に要警戒か

本日の東京外国為替市場のドル円は、1986年以来の高値圏に到達していることで本邦通貨当局のドル売り・円買い介入の可能性に警戒しながら、神田財務官の退任人事の発表にも注目しておきたい。

ドル円は、今年4月29日の高値160.17円や1990年4月の高値160.20円(※ブローカー経由では160.35円)を上抜けて、1985年9月のプラザ合意を受けた240円台から120円台までのドル下落途上の1986年の水準160.80円台まで上昇している。

昨日のニューヨーク市場では、神田財務官は円買い介入に踏み切ることなく、円安を牽制する口先介入、「為替の足もとの動きは急激。
行き過ぎた動きには必要な対応をとっていく。
高い警戒感を持って市場の動向を注視している」に留まっており、本日の東京市場での円買い介入の有無に警戒しておきたい。

本邦通貨当局による円買い介入の目安としては、神田財務官が警戒するボラティリティーの上昇を示すボリンジャー・バンド+2σが161.04円、「神田ライン」(過去28日間の安値から10円上昇)が164.55円(154.55円+10円)などが挙げられる。

また、1年前の昨年6月27日に神田財務官の続投人事が発表されており、本日は神田財務官退官の人事が発表される可能性があることで、円の守護神である神田財務官が退場することで円売りに拍車がかかる可能性には警戒しておきたい。

ドル円の上昇にブレーキがかかる材料としては、明日28日に発表される米連邦準備理事会(FRB)がインフレ指標として注視している米5月PCEデフレーターが前年比+2.6%と予想されており、4月の同比+2.7%からの伸び率鈍化が見込まれていること、そして週末のフランス総選挙を受けた政局不安がリスク回避の円買いに繋がる可能性などが挙げられる。

ドル売り・円買い介入を指揮した財務官は、1985年9月のプラザ合意を受けた大場財務官、1998年のアジア・日本の金融危機を受けた榊原財務官、1991年の千野財務官、そして現在の神田財務官の4名だけなので、来月からは第27代財務官(市場の噂では三村国際局長が昇格)の市場への対応に要注目となる。

【本日の重要指標】 ※時刻表示は日本時間

<国内>
○08:50 ◇ 5月商業販売統計速報(小売業販売額、予想:前年比2.0%)
○08:50 ◇ 対外対内証券売買契約等の状況(週次・報告機関ベース)
○未定 ◇ 6月月例経済報告

<海外>
○10:00 ◇ 6月ANZ企業信頼感
○15:15 ◎ ミュラー・エストニア中銀総裁、講演
○16:30 ◎ スウェーデン中銀、政策金利発表(予想:3.75%で据え置き)
○17:00 ◇ 4-6月期南アフリカ経済研究所(BER)消費者信頼感指数
○17:00 ◎ カジミール・スロバキア中銀総裁、講演
○18:00 ◎ 6月ユーロ圏経済信頼感指数(予想:96.2)
○18:00 ◎ 6月ユーロ圏消費者信頼感指数(確定値、予想:▲14.0)
○18:30 ◇ 5月南アフリカ卸売物価指数(PPI、予想:前月比0.3%/前年比4.8%)
○20:00 ◎ トルコ中銀、政策金利発表(予想:50.00%で据え置き)
○21:00 ◇ 5月メキシコ失業率(季節調整前、予想:2.70%)
○21:00 ◇ 5月メキシコ貿易収支(予想:20.41億ドルの赤字)
○21:30 ☆ 1-3月期米国内総生産(GDP)確定値(予想:前期比年率1.3%)
○21:30 ◎ 1-3月期米個人消費(確定値、予想:前期比年率2.0%)
○21:30 ◎ 1-3月期米コアPCE(確定値、予想:前期比年率3.6%)
○21:30 ◇ 5月米卸売在庫(予想:前月比0.1%)
○21:30 ◎ 5月米耐久財受注額(予想:前月比▲0.1%/輸送用機器を除く前月比0.2%)
○21:30 ◎ 前週分の米新規失業保険申請件数/失業保険継続受給者数(予想:23.6万件/182.4万人)
○23:00 ◎ 5月米住宅販売保留指数(仮契約住宅販売指数、予想:前月比0.5%/前年比▲4.6%)
○28日02:00 ◎ 米財務省、7年債入札
○28日04:00 ◎ メキシコ中銀、政策金利発表(予想:11.00%で据え置き)
○米大統領選候補者討論会
○欧州連合(EU)首脳会議(ブリュッセル、28日まで)

※「予想」は特に記載のない限り市場予想平均を表す。▲はマイナス。
※重要度、高は☆、中は◎、低◇とする。
※指標などの発表予定・時刻は予告なく変更になる場合がありますので、ご了承ください。

>本日発表予定のその他の経済指標についてはこちら

【前日までの要人発言】

26日09:47 ケントRBA総裁補
「豪中銀はインフレ抑制に必要なら追加引き締めも排除しない」
「緩和を急ぐ必要はない。足元の経済指標はまちまちだが、インフレの上振れリスクを警戒する必要性が高まっている」
「現行4.35%の政策金利が需要の伸び鈍化とインフレ率低下につながっている」
「金利は中立金利(景気を熱しも冷ましもしない水準)の推計値を明らかに上回っている」

26日13:09 レーン・フィンランド銀行(中央銀行)総裁
「欧州中央銀行(ECB)の利下げ、今年あと2回との期待は妥当」

26日19:24 パネッタ伊中銀総裁
「金利変更のタイミングに関する軽率なフォワードガイダンスさえも避けるべきだ」
「ECBは見通しが維持されれば徐々に金利を引き下げる可能性がある」
「粘着的なサービスインフレは決して異常ではないと信じる理由がある」

26日21:29 カザークス・ラトビア中銀総裁
「金融緩和を急ぐ必要はない」
「利下げは一歩ずつ進めてゆく」

26日22:08 神田財務官
「為替、行き過ぎた動きには必要な対応をとっていく」
「特定の相場水準は考えていない、無秩序な動きには対応」
「方向としては必ずしも円安を正当化する状況ではない」
「高い警戒感を持って市場の動向を注視している」
「最近の為替の動きは一方向」
「最近の急速な円安進行に関しては深刻な懸念を有する」
「為替の足もとの動きは急激」

※時間は日本時間

>本日の要人発言をリアルタイムで確認するならこちら

〔日足一目均衡表分析〕

<ドル円=6/26の安値を支持に押し目買いスタンス>

ドル円0627

パラメータ0627

陽線引けで、1986年12月以来の高値圏に到達した。
転換線は基準線を上回り、遅行スパンは実線を上回り、雲の上で引けていることで、三役好転の強い買いシグナルが点灯している。
2手連続陽線で依然として転換線を上回って引けていることで続伸の可能性が示唆されている。

本日は26日の安値を支持に押し目買いスタンスで臨み、同水準を下抜けた場合は手仕舞い。

レジスタンス2 162.70(1986/12/23高値)
レジスタンス1 161.68(ピポット・レジスタンス2)
前日終値 160.81
サポート1 159.62(6/26安値)
サポート2 159.02(日足一目均衡表・転換線)

>ドル円のリアルタイムチャートはこちら

<ユーロドル=横ばいの基準線を抵抗に戻り売りスタンス>

ユーロドル0627

パラメータ0627

陰線引け。
転換線は基準線を下回り、遅行スパンは実線を下回り、雲の下で引けていることで、三役逆転の強い売りシグナルが点灯している。
2手連続陰線で依然として転換線を下回って引けており続落の可能性が示唆されている。

本日は、低下中の転換線1.0714ドルを念頭に置き、横ばいの基準線を抵抗に戻り売りスタンスで臨み、同線を上抜けた場合は手仕舞い。

レジスタンス1 1.0791(日足一目均衡表・基準線)
前日終値 1.0681
サポート1 1.0611(4/19安値)

>ユーロドルのリアルタイムチャートはこちら

<ユーロ円=6/26安値を支持に押し目買いスタンス>

ユーロ円0627

パラメータ0627

陽線引けで、ユーロ誕生以来の高値を更新した。
転換線は基準線を上回り、遅行スパンは実線を上回り、雲の上で引けていることで、三役好転の強い買いシグナルが点灯している。
抱き線で切り返して転換線を上回って引けており続伸の可能性が示唆されている。

本日は26日の安値を支持に押し目買いスタンスで臨み、同水準を下抜けた場合は手仕舞い。

レジスタンス1 172.42(ピポット・レジスタンス2)
前日終値 171.75
サポート1 170.85(6/26安値)

>ユーロ円のリアルタイムチャートはこちら

<豪ドル円=上昇中の転換線を支持に押し目買いスタンス>

豪ドル円0627

パラメータ0627

陽線引け。
転換線は基準線を上回り、遅行スパンは実線を上回り、雲の上で引けていることで、三役好転の強い買いシグナルが点灯中。
抱き線で切り返して依然として転換線を上回って引けていることで続伸の可能性が示唆されている。

本日は上昇中の転換線を支持に押し目買いスタンスで臨み、同線を下抜けた場合は手仕舞い。

レジスタンス1 107.61(ピポット・レジスタンス2)
前日終値 106.91
サポート1 105.28(日足一目均衡表・転換線)

>豪ドル円のリアルタイムチャートはこちら

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