July 17, 2024
【前日の為替概況】ドル円6月米小売売上高で158.86円まで上昇後、米金利低下で伸び悩み
16日のニューヨーク外国為替市場でドル円は続伸。
終値は158.35円と前営業日NY終値(158.06円)と比べて29銭程度のドル高水準だった。
米長期金利の指標となる米10年債利回りが低下すると円買い・ドル売りが先行し、21時30分前に158.26円付近まで下げたものの、米商務省が発表した6月米小売売上高が予想を上回ったことが分かると一転買い戻しが優勢となり158.86円と日通し高値を付けた。
ただ、米10年債利回りが再び低下傾向を強めると徐々に上値が重くなった。
市場では「米連邦準備理事会(FRB)が9月にも利下げに動くとの観測が相場の重しとなったほか、政府・日銀による為替介入への警戒感も根強い」との声が聞かれ、5時前には158.32円付近まで下押しした。
ユーロドルは小反発。
終値は1.0899ドルと前営業日NY終値(1.0894ドル)と比べて0.0005ドル程度のユーロ高水準だった。
米長期金利の低下とともにユーロ買い・ドル売りが先行すると一時1.0905ドルと日通し高値を付けたものの、前日の高値1.0922ドルが目先レジスタンスとして働くと失速。
予想を上回る米小売指標も相場の重しとなり、22時30分前には1.0872ドルと日通し安値を更新した。
もっとも、米長期金利が再び低下すると1.0903ドル付近まで持ち直している。
18日の欧州中央銀行(ECB)定例理事会を前に投資家の様子見姿勢が強く、方向感が出にくい面もあったようだ。
なお、市場では「まとまった規模のオプションが1.0900ドルに観測されており、小幅なレンジに収れんしやすい」との指摘もあった。
ユーロ円は続伸。
終値は172.59円と前営業日NY終値(172.20円)と比べて39銭程度のユーロ高水準。
ただ、NY市場に限れば狭いレンジでのもみ合いに終始した。
ドル円とユーロドルの値動きの影響を同時に受けたため、相場は大きな方向感が出なかった。
【本日の東京為替見通し】トランプトレードのドル買いと引き続き円買い介入の可能性に要警戒か
本日の東京外国為替市場のドル円は、トランプトレードによるドル買いに対して、引き続き本邦通貨当局による円買い介入の可能性に警戒する展開が予想される。
トランプ前大統領銃撃事件を受けて、トランプ氏が11月の大統領選に勝利する可能性が高まったことで、減税や関税引き上げという公約が実施された場合、インフレ圧力が高まるとの見通しからトランプトレード(ドル買い・米国債売り)への警戒感が高まりつつある。
しかし、トランプ前米大統領は先ほど「トランプノミクスは低金利と関税」と述べており、米10年債利回りは4.15%台まで低下しており、本邦通貨当局による円買い介入への警戒感などから、過去26日間の中心値である一目均衡表・基準線158.84円が上値を抑える展開となっている。
シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)グループがFF金利先物の動向に基づき算出する「フェドウオッチ」での利下げ開始時期は9月米連邦公開市場委員会(FOMC)となっており、11月と12月FOMCでも追加利下げが見込まれており、年末のFF金利誘導目標4.50-75%と想定されている。
今月末に退任する神田財務官は、先週、日米金利差が縮小傾向にある中で過去1カ月間の急激な円安の進行は投機的と指摘し、輸入物価上昇により国民生活が脅かされるなら「由々しきこと」と懸念を示して、先週11日と12日に円買い介入を実施している。
ドル売り・円買い介入が実施された水準は、4月29日の第1弾が159円台、第2弾が157円台、5月2日の早朝の第3弾が157円台、7月11日の第4弾が161円台、7月12日の第5弾が159円前後だと推測される。
さらに、東京市場が休場の15日にドル円が157.19円まで急落した局面でも円買い介入の可能性が噂されており、今夕公表される日銀当座預金見通しで確認することになる。
神田財務官が円買い介入に乗り出した防衛ゾーンは157円~161円にあることから、本日の158円台での円買い介入の可能性に警戒しておきたい。
・4月23日時点のIMM通貨先物の投機部門の円の売り持ちポジション:179919枚
・4月29日(介入推定6兆円規模)高値160.17円~安値154.54円
※円買い介入水準は159円前後と157円前後
・5月2日未明(介入推定3.7兆円規模)高値157.99円~安値153.04円
※円買い介入水準は157円前後
・7月9日時点のIMM通貨先物の投機部門の円の売り持ちポジション:182033枚
・7月11日(介入推定3.5兆円規模)高値161.76円~安値157.44円
※円買い介入水準は161円台半ば
・7月12日(介入推定2.1兆円規模)高値159.45円~安値157.38円
※円買い介入水準は158円台前後
【本日の重要指標】 ※時刻表示は日本時間
<国内>
特になし
<海外>
○15:00 ◎ 6月英CPI(予想:前月比0.1%/前年比1.9%)
○15:00 ◎ 6月英CPIコア指数(予想:前年比3.5%)
○15:00 ◇ 6月英小売物価指数(RPI、予想:前月比0.2%/前年比2.9%)
○18:00 ☆ 6月ユーロ圏消費者物価指数(HICP)改定値(予想:前年比2.5%)
○18:00 ☆ 6月ユーロ圏HICPコア改定値(予想:前年比2.9%)
○20:00 ◇ 5月南アフリカ小売売上高(予想:前年同月比0.7%)
○20:00 ◇ MBA住宅ローン申請指数
○21:30 ◇ 5月対カナダ証券投資
○21:30 ◎ 6月米住宅着工件数(予想:130.0万件、前月比1.8%)
◎ 建設許可件数(予想:140.0万件、前月比0.1%)
○22:00 ◎ バーキン米リッチモンド連銀総裁、講演
○22:15 ◎ 6月米鉱工業生産指数(予想:前月比0.3%)
◇ 設備稼働率(予想:78.4%)
○22:35 ◎ ウォラー米連邦準備理事会(FRB)理事、講演
○23:30 ◇ EIA週間在庫統計
○18日02:00 ◎ 米財務省、20年債入札
○18日03:00 ◎ 米地区連銀経済報告(ベージュブック)
○インド(イスラム教新年)、休場
※「予想」は特に記載のない限り市場予想平均を表す。▲はマイナス。
※重要度、高は☆、中は◎、低◇とする。
※指標などの発表予定・時刻は予告なく変更になる場合がありますので、ご了承ください。
【前日までの要人発言】
16日06:04 デイリー米サンフランシスコ連銀総裁
「金利の決定を行う前に、より多くの情報が必要」
「インフレ率を2%にするという持続可能なペースに近づいているという自信が高まっている」
「米国経済は減速している」
「インフレは低下しているが、まだそこ(政策変更)までには至っていない」
「目標達成の日は近づいている」
16日11:19 林官房長官
「為替の過度な変動は望ましくない、しっかり注視し万全の対応行う」
「為替介入について具体的に申し上げるのは控える」
17日03:47 クーグラー米連邦準備理事会(FRB)理事
「状況が好転すれば、今年後半に緩和するのが適切」
「インフレ上昇リスクと雇用下降リスクはより均衡している」
「労働市場が冷え込みすぎれば、早めに金利を引き下げるのが適切」
「金利をもう少し据え置くのが適切かもしれない」
「インフレ率は今年初めにいくつかの波があったにもかかわらず、引き続き低下傾向にある」
「労働市場の継続的な再調整は、インフレが2%の目標に向かって動き続けることを示唆している」
17日 06:13 トランプ前米大統領
「パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長を解任する予定はない」
「トランプノミクスは低金利と関税」
「FRBは11月の選挙前に金利を引き下げるべきではない」
※時間は日本時間
〔日足一目均衡表分析〕
<ドル円=基準線を抵抗に戻り売りスタンス>
陽線引け。
転換線は基準線を上回り、遅行スパンは実線を上回り、雲の上で引けていることで、三役好転の強い買いシグナルが点灯中。
しかし、2手連続陽線でも依然として転換線を下回って引けていることで反落の可能性が示唆されている。
本日は基準線を抵抗に戻り売りスタンスで臨み、同線を上抜けた場合は手仕舞い。
レジスタンス2 159.50(日足一目均衡表・転換線)
レジスタンス1 158.84(日足一目均衡表・基準線)
前日終値 158.35
サポート1 157.19(7/15安値)
サポート2 155.83(日足一目均衡表・雲の上限)
<ユーロドル=上昇中の転換線を支持に押し目買いスタンス>
小陽線引け。
転換線は基準線を上回り、遅行スパンは実線を上回り、雲の上で引けていることで、三役好転の強い買いシグナルが点灯中。
孕み線で反発して依然として転換線を上回って引けており続伸の可能性が示唆されている。
本日は上昇中の転換線を支持に押し目買いスタンスで臨み、同線を下抜けた場合は手仕舞い。
レジスタンス1 1.0981(3/8高値)
前日終値 1.0899
サポート1 1.0862(日足一目均衡表・転換線)
<ポンド円=横ばいの転換線を抵抗に戻り売りスタンス>
陽線引け。
転換線は基準線を上回り、遅行スパンは実線を上回り、雲の上で引けていることで、三役好転の強い買いシグナルが点灯中。
しかし、2手連続陽線でも依然として転換線を下回って引けており続落の可能性が示唆されている。
本日は横ばいの転換線を抵抗に戻り売りスタンスで臨み、同線を上抜けた場合は手仕舞い。
レジスタンス1 205.99(日足一目均衡表・転換線)
前日終値 205.45
サポート1 203.52(日足一目均衡表・基準線)
<NZドル円=転換線・基準線を抵抗に戻り売りスタンス>
陰線引け。
同値の転換線と基準線を下回り、遅行スパンは実線を下回り、雲の上で引けているものの、売りシグナルが優勢な展開となっている。
5手連続陰線で転換線を下回って引けていることで続落の可能性が示唆されている。
本日は転換線と基準線を抵抗に戻り売りスタンスで臨み、同線を上抜けた場合は手仕舞い。
レジスタンス1 97.38(日足一目均衡表・転換線=基準線)
前日終値 95.79
サポート1 93.52(日足一目均衡表・雲の下限)
Provided by
DZH Finacial Research
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