August 22, 2024
【前日の為替概況】9月FOMCの利下げ観測でドル全面安 対円144.46円、対ユーロ1.1174ドル
21日のニューヨーク外国為替市場でユーロドルは4日続伸。
終値は1.1150ドルと前営業日NY終値(1.1130ドル)と比べて0.0020ドル程度のユーロ高水準だった。
米労働省が公表した年次改定では3月までの年間雇用者数の伸びが81.8万人下方修正されたため、米長期金利の指標となる米10年債利回りが3.75%台まで低下。
全般ドル売りが優勢となった。
米連邦準備理事会(FRB)が公表した7月30日-31日分の米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨で「大多数の当局者は9月の利下げは適切とみている」「数人の当局者が7月会合で利下げの論拠を指摘」「一部当局者は労働市場のより深刻な悪化のリスクを指摘」との見解が示されたこともドル売りを促した。
3時30分前には一時1.1174ドルと昨年7月20日以来約1年1カ月ぶりの高値を更新した。
主要通貨に対するドルの値動きを示すドルインデックスは一時100.92と昨年12月28日以来の低水準を付けた。
なお、米雇用統計の年次改定公表が予定されていた23時を過ぎても発表されなかったことから、仕掛け的なドル買いが入ると一時1.1100ドルと日通し安値を付ける場面があった。
市場では「昨年の数字である30.6万人の下方修正と勘違いした向きがドル買いを進めた」との声も聞かれた。
ドル円は小幅ながら4日続落。
終値は145.21円と前営業日NY終値(145.26円)と比べて5銭程度のドル安水準だった。
市場が注目していた米雇用統計の年次改定の公表が遅れたことで仕掛け的なドル買いが先行すると、23時過ぎに一時146.77円まで値を上げたものの、すぐに失速した。
予定より30分以上遅れて発表された米雇用統計の年次改定の結果が伝わると米利下げ観測が強まり、米金利の低下とともにドル売りが優勢に。
FOMC議事要旨を受けてドル売りが加速すると一時144.46円と7日以来の安値を付けた。
ただ、「145円割れの水準では本邦実需勢のビッドの厚さが意識される」との声が聞かれる中、押し目を拾いたい向きも多く、引けにかけては下げ渋った。
ユーロ円は4営業日ぶりに反発。
終値は161.95円と前営業日NY終値(161.67円)と比べて28銭程度のユーロ高水準。
欧州株相場の上昇を背景に円売り・ユーロ買いが先行すると、23時過ぎに一時162.92円と日通し高値を付けた。
そのあとは一転売りが優勢となり161.41円付近まで下押ししたものの、引けにかけては持ち直した。
ドル円と似た動きとなった。
【本日の東京為替見通し】ドル円、9月FOMCでの利下げ開始観測から上値が重い展開か
本日の東京外国為替市場のドル円は、9月の米連邦公開市場委員会(FOMC)での利下げ開始観測が高まったことで上値が重い展開が予想される。
スワップ市場では、9月FOMCで利下げが開始され、年内の利下げ幅が約1.0%になるとの見方を織り込んでいる。
シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)グループがFF金利先物の動向に基づき算出する「フェドウオッチ」は、9月FOMCで0.25%の利下げ(※FF金利:5.00-25%)が開始され、11月FOMCでは0.50%利下げ(※FF:4.50-75%)、12月FOMCでは0.25%の利下げ(※FF:4.25-50%)が見込まれている。
昨日公表された7月のFOMC議事要旨では、数人の当局者が7月会合で利下げを実施することに前向きだった可能性や、大多数が経済指標がほぼ予想通りとなれば、次回9月の会合で金融政策を緩和することが適切となる公算が大きいことが示された。
FOMCは、2022年3月の利上げ開始以来、2大責務(「雇用の最大化」と「物価の安定」)のうち、「物価の安定」に特段の重点を置き、FF金利誘導目標を0.00-25%から5.25-50%まで引き上げてきた。
しかし、7月の声明文では、「2大責務の『両面』のリスクに留意する」との文言に変更され、雇用情勢に配慮するスタンスが示された。
雇用情勢に関しては、米労働統計局が昨日発表した年次ベンチマーク改定の速報値によれば、2024年3月までの1年間の雇用者増は81万8000人下方修正されることが示された。
改定前の雇用者数は1年間に290万人増(月平均で24万2000人増)だったが、今回の改定を受けて、1カ月当たり約17万4000人増のペースとなった。
7月FOMC議事要旨で「一部当局者は労働市場のより深刻な悪化のリスクを指摘」していたように、労働市場が想定よりはるかに早い段階から減速していた可能性が示された。
7月の失業率が4.3%まで上昇し、FRBが完全雇用と見なす4.2%をわずかに上回っていたことで、パウエルFRB議長は明日のジャクソンホール会合での講演で、2020年8月のジャクソンホール会合での見解、すなわち、FRBの金融政策の主軸を「物価安定」から「雇用最大化」へ大転換することを再表明する可能性が高まっている。
【本日の重要指標】 ※時刻表示は日本時間
<国内>
○08:50 ◇ 対外対内証券売買契約等の状況(週次・報告機関ベース)
<海外>
○未定 ◎ 韓国中銀、政策金利発表(予想:3.50%で据え置き)
○15:00 ◎ 4-6月期ノルウェー国内総生産(GDP、予想:前期比0.2%)
○16:15 ◎ 8月仏製造業購買担当者景気指数(PMI)速報値(予想:44.4)
○16:15 ◎ 8月仏サービス部門PMI速報値(予想:50.3)
○16:30 ◎ 8月独製造業PMI速報値(予想:43.5)
○16:30 ◎ 8月独サービス部門PMI速報値(予想:52.3)
○17:00 ◎ 8月ユーロ圏製造業PMI速報値(予想:45.8)
○17:00 ◎ 8月ユーロ圏サービス部門PMI速報値(予想:51.9)
○17:30 ◎ 8月英製造業PMI速報値(予想:52.1)
○17:30 ◎ 8月英サービス部門PMI速報値(予想:52.8)
○20:30 ☆ 欧州中央銀行(ECB)理事会議事要旨(7月18日分)
○21:00 ◎ 4-6月期メキシコGDP確定値(予想:前期比0.2%/前年比2.2%)
○21:30 ◎ 前週分の米新規失業保険申請件数/失業保険継続受給者数(予想:23.0万件/186.7万人)
○22:45 ◎ 8月米製造業PMI速報値(予想:49.6)
○22:45 ◎ 8月米サービス部門PMI速報値(予想:54.0)
○22:45 ◎ 8月米総合PMI速報値(予想:53.0)
○23:00 ◎ 8月ユーロ圏消費者信頼感指数(速報値、予想:▲12.6)
○23:00 ◎ 7月米中古住宅販売件数(予想:前月比1.0%/年率換算393万件)
○米カンザスシティー連銀主催のシンポジウム(ジャクソンホール会議)、
テーマは「金融政策の有効性と伝達の再評価」(ワイオミング州ジャクソンホール、24日まで)
※「予想」は特に記載のない限り市場予想平均を表す。▲はマイナス。
※重要度、高は☆、中は◎、低◇とする。
※指標などの発表予定・時刻は予告なく変更になる場合がありますので、ご了承ください。
【前日までの要人発言】
22日03:00 米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨(7月30日-31日分)
「大多数の当局者は9月の利下げは適切とみている」
「数人の当局者が7月会合で利下げの論拠を指摘」
「多くの当局者は金利は抑制的だと指摘」
「雇用に対する下振れリスクは増大しているとみられている」
「ほぼ全員の当局者が利下げ前にインフレデータの詳細を希望している」
「ほぼ全員当局者がディスインフレの継続を予想」
「一部当局者は労働市場のより深刻な悪化のリスクを指摘」
「当局者はインフレの上振れリスクは低下したと指摘」
「7月に利下げの論拠を複数の当局者が示した」
※時間は日本時間
〔日足一目均衡表分析〕
<ドル円=転換線を抵抗に戻り売りスタンス>
小陰線引け。
転換線は基準線を下回り、遅行スパンは実線を下回り、雲の下で引けていることで、三役逆転の強い売りシグナルが点灯している。
4手連続陰線で転換線を下回って引けており続落の可能性が示唆されている。
本日は転換線を抵抗に戻り売りスタンスで臨み、同線を上抜けた場合は手仕舞い。
レジスタンス2 147.35(8/20高値)
レジスタンス1 146.93(日足一目均衡表・転換線)
前日終値 145.21
サポート1 144.46(8/21安値)
サポート2 143.63(8/6安値)
<ユーロドル=上昇中の転換線を支持に押し目買いスタンス>
陽線引け。
転換線は基準線を上回り、遅行スパンは実線を上回り、雲の上で引けていることで、三役好転の強い買いシグナルが点灯中。
4手連続陽線で依然として転換線を上回って引けており続伸の可能性が示唆されている。
本日は上昇中の転換線を支持に押し目買いスタンスで臨み、同線を下抜けた場合は手仕舞い。
レジスタンス1 1.1276(2023/7/18高値)
前日終値 1.1150
サポート1 1.1042(日足一目均衡表・転換線)
<ポンド円=8/21安値を支持に押し目買いスタンス>
陽線引け。
転換線は基準線を下回り、遅行スパンは実線を下回り、雲の下で引けていることで、三役逆転の強い売りシグナルが点灯中。
しかし、3手連続陰線の後、孕み線で切り返して転換線を上回って引けており、反発の可能性が示唆されている。
本日は21日の安値を支持に押し目買いスタンスで臨み、同水準を下抜けた場合は手仕舞い。
レジスタンス1 192.17(日足一目均衡表・基準線)
前日終値 190.20
サポート1 188.95(8/21安値)
<NZドル円=8/19安値を支持に押し目買いスタンス>
小陽線引け。
転換線は基準線を下回り、遅行スパンは実線を下回り、雲の下で引けていることで、三役逆転の強い売りシグナルが点灯中。
しかし、切り込み線で反発して転換線を上回って引けており続伸の可能性が示唆されている。
本日は転換線89.03円を念頭に置き、19日安値を支持に押し目買いスタンスで臨み、同水準を下抜けた場合は手仕舞い。
レジスタンス1 90.22(8/20高値)
前日終値 89.39
サポート1 88.24(8/19安値)
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