本日の東京為替見通し(為替/FXニュース):株相場でなく金利・政治相場で円堅調か、豪・中・欧州も注目点多い(2024年12月4日)

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December 4, 2024

【前日の為替概況】ドル円、横ばい 韓国の非常戒厳で上下

3日のニューヨーク外国為替市場でドル円は横ばい。
終値は149.60円と前営業日NY終値(149.60円)と比べて同水準だった。
韓国の尹錫悦大統領が非常戒厳を宣言したことをきっかけに韓国ウォンが急落すると、リスクオフの円買いが活発化。
節目の149円を割り込み、一時148.65円と10月11日以来の安値を付けた。
ただ、10月米雇用動態調査(JOLTS)求人件数が予想を上回る結果だったことが伝わると下げ渋り。
韓国当局者が「必要に応じ市場に無制限の流動性を供給する」と表明したほか、韓国で開かれた臨時国会で「戒厳令解除の決議案」が満場一致で可決されると149円台半ばまで持ち直した。
その後149円を割り込む場面も見られたが、韓国大統領が非常戒厳を解除すると再び強含むなど下値は堅かった。

ユーロ円は3営業日ぶりに小反発。
終値は157.20円と前営業日NY終値(157.05円)と比べて15銭程度のユーロ高水準だった。
韓国大統領による非常戒厳宣言を受けて円が全面高となり、ユーロ円は一時156.18円まで急落した。
もっとも、「戒厳令解除の決議案」の可決を受けて過度な警戒感が後退すると157.20円台まで下げ幅を縮めた。

ユーロドルは小反発。
終値は1.0509ドルと前営業日NY終値(1.0498ドル)と比べて0.0011ドル程度のユーロ高水準だった。
ユーロ円が下落したタイミングで1.0493ドル付近まで下げたが、ユーロ円が下げ渋ると買い戻しが入り1.0535ドルまで切り返した。
ただ、NY時間の値幅は42pipsと狭く、総じて動きが鈍かった。

なお、マクロン仏大統領はバルニエ内閣の不信任決議が成立すれば大統領も辞任するとの見方を否定し、任期の2027年まで職務を全うする姿勢を示したが、ユーロ相場への影響は限られた。

【本日の東京為替見通し】株相場でなく金利・政治相場で円堅調か、豪・中・欧州も注目点多い

本日の東京時間のドル円は、引き続き上値が重いか。
この数日の東京時間では、一昨日はフランスの内閣不信任案が採決される可能性が高まったことによるユーロ売り・ドル買い、昨日は中国の景気停滞懸念からの中国長期金利低下による人民元売り・ドル買いなどの影響で、対円でもドルは強含んだ。
しかしながら、韓国の戒厳令騒動はひと段落ついたがドル円の戻しが限られているように、引き続き上値が重い。
また、昨日は大幅に日経平均株価が上昇したのにもかかわらずリスク選好による円売りは限定的で、市場は各国の中銀の政策決定や政治動向に目が集まっている。
その中で日銀が他国中銀と比較して利上げの可能性が高いことが、ドル円の上値を抑えそうだ。

もっとも、12月に入り東京時間はドル買い・円売りのフローが入りやすいことが、ドル円のある程度の支えになるだろう。
本日は本邦からは市場を動意づけるような経済指標の発表は予定されていないこともあり、明日行われるハト派の日銀の中村審議委員の講演や、18-19日に控えた日銀政策決定会合への観測記事などが注目されることになるか。

本日は円だけでなく、オセアニア通貨や人民元、そしてユーロの値動きもボラタイルになる可能性がある。
まずは、東京時間9時半に豪州からは7-9月期の四半期国内総生産(GDP)が発表予定。
市場では前期比、前年比ともに上昇が予想されている。
来週9-10日に豪準備銀行(RBA)理事会が行われ政策金利の据え置きが予想されているが、GDPが市場予想を下回った場合にはRBAがタカ派姿勢を弱める可能性もあることで注目される。

中国からは11月Caixinサービス部門購買担当者景気指数(PMI)が発表される。
昨日の人民元(CNH)は対ドルでは昨年11月上旬以来の元安水準を更新した。
また、中国10年債利回りは心理的節目2%を割り込むなど22年ぶりの低水準を記録している。
市場ではPMIは前月より小幅にプラス幅を広げるとの予想になっているが、トランプ政権樹立後に更に中国経済は苦境に立たされる可能性が高いことで、よほど予想よりも良い結果にならない限りは元買いにはつながりにくそうだ。
昨日のように元の対ドル相場が他通貨にも影響を与えることで目が離せないだろう。

そして、ユーロの値動きも警戒。
フランスの内閣不信任案について、本日から審議が始まり、本日可決する可能性もある。
フランス政局の動向がユーロに大きな影響を与えることになりそうだ。

また、韓国の戒厳令騒動後の尹大統領の動向にも引き続き注目したい。

【本日の重要指標】 ※時刻表示は日本時間

<国内>
特になし

<海外>
○09:30 ☆ 7-9月期豪国内総生産(GDP、予想:前期比0.4%/前年比1.1%)
○10:45 ◎ 11月Caixin中国サービス部門購買担当者景気指数(PMI、予想:52.4)
○17:00 ◇ 10-12月期南アフリカ経済研究所(BER)消費者信頼感指数
○17:50 ◎ 11月仏サービス部門PMI改定値(予想:45.7)
○17:55 ◎ 11月独サービス部門PMI改定値(予想:49.4)
○18:00 ◎ 11月ユーロ圏サービス部門PMI改定値(予想:49.2)
○18:00 ◎ チポローネ欧州中央銀行(ECB)専務理事、講演
○18:00 ◎ ベイリー英中銀(BOE)総裁、講演
○18:30 ◎ 11月英サービス部門PMI改定値(予想:50.0)
○19:00 ◎ 10月ユーロ圏卸売物価指数(PPI、予想:前月比0.4%/前年比▲3.3%)
○未定 ◎ ポーランド中銀、政策金利発表(予想:5.75%で据え置き)
○21:00 ◇ MBA住宅ローン申請指数
○22:15 ☆ 11月ADP全米雇用報告(予想:15.0万人)
○22:30 ◇ 7-9月期カナダ労働生産性指数(予想:前期比▲0.3%)
○22:30 ◎ ラガルドECB総裁、議会証言
○22:45 ◎ ムサレム米セントルイス連銀総裁、講演
○23:00 ◎ マクルーフ・アイルランド中銀総裁、講演
○23:00 ◎ バーキン米リッチモンド連銀総裁、インタビューに応対
○23:45 ◎ 11月米サービス部門PMI改定値(予想:57.0)
○23:45 ◎ 11月米総合PMI改定値(予想:55.3)
○24:00 ☆ 11月米サプライマネジメント協会(ISM)非製造業指数(予想:55.5)
○24:00 ◎ 10月米製造業新規受注(予想:前月比0.2%)
○5日00:30 ◇ EIA週間在庫統計
○5日02:10 ◎ ナーゲル独連銀総裁、講演
○5日03:40 ☆ パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長、討論会に参加
○5日04:00 ◎ 米地区連銀経済報告(ベージュブック)

※「予想」は特に記載のない限り市場予想平均を表す。▲はマイナス。
※重要度、高は☆、中は◎、低◇とする。
※指標などの発表予定・時刻は予告なく変更になる場合がありますので、ご了承ください。

>本日発表予定のその他の経済指標についてはこちら

【前日までの要人発言】

3日05:22 ウォラー米連邦準備理事会(FRB)理事
「12月の利下げ支持に傾いている」
「金融政策は十分に制限的であり、12月の利下げでも、必要に応じて後に利下げペースを緩める余地は十分にある」

3日06:30 ウィリアムズ米ニューヨーク連銀総裁
「インフレは徐々に2%に向けて低下し続けると予想」
「労働市場はインフレの要因になる可能性は低い」
「金融政策は引き締め的な姿勢を維持」
「政策の方向性は今後のデータに依存」
「経済と政策の見通しは依然として非常に不確実」
「米国経済は良好な状態にあり、労働市場は堅調でバランスが取れている」
「米国にリセッションの兆候は見られず」
「インフレ率を2%に戻すことが重要」
「インフレを考慮すると、ある程度制約的な政策が適切」
「方向性は金利の引き下げ」

3日15:07 石破首相
「日銀には政府と緊密に連携を図り、経済物価金融情勢を踏まえつつ、2%の物価目標実現に向けて適切な政策運営を期待」
「金融政策の具体的な手法は日銀に委ねられるべきものと認識」

3日19:11 チポローネECB専務理事
「米関税は、欧州の成長とインフレを低下させる可能性」
「米国の関税は経済を弱体化させ、消費縮小につながり、価格への圧力が弱まる」
「米市場から締め出された中国製品は、欧州で割引価格で販売されることになる」

3日19:32 カザークス・ラトビア中銀総裁
「ECBの緩和ペースや幅はデータによって決定される」
「依然として段階的なアプローチが適切」

3日22:58 韓国与党・国民の力のハン・ドンフン党首
「戒厳令の宣言は間違いであり、これを阻止することを誓う」
「戒厳令は違憲」

3日23:37 韓国中銀当局者
「必要に応じ市場を安定させるため十分な措置を準備」

3日23:09 韓国最大野党「共に民主党」の李在明代表
「大統領の戒厳令を無効にしようとするが、軍が国会議員を逮捕しようとする可能性」
「韓国国会の入り口が封鎖され、議員が入れない状況」

3日23:40 戒厳令司令官のパク・アンス陸軍大将
「すべてのメディアが軍の検閲下に置かれる」
「すべての政治活動が禁止される」
「国会、地方議会、政党の活動が禁止される」

4日01:05 韓国の国会議長
「戒厳令の宣言は無効」
「警察に国会から退去するよう要請」

4日02:15 ホルツマン・オーストリア中銀総裁
「12月に適度な利下げの可能性がある」

4日02:22 デイリー米サンフランシスコ連銀総裁
「利下げのタイミングは議論の余地があるが、政策金利を引き下げ続ける必要がある」
「12月の利下げはテーブル上にある」
「米国経済は非常に良い状態にある」

4日02:36 クーグラー米連邦準備理事会(FRB)理事
「これまでの利下げは、政策的な制約を取り除くためのステップ」
「政策をより中立的な設定に移行する過程」
「現在のFRBの政策は不確実性に対処するために適切な位置にある」
「政策は事前に設定されたコースに沿っているわけではなく、会合ごとに決定を行う」
「米国経済は良好な状態にあり、労働市場は堅調で、インフレは2%の目標に向かっている」

4日02:49 マクロン仏大統領
「2027年の任期満了前に辞任することはない」
「ルペン氏は左派の内閣不信任に加わらないと確信」

4日04:32 尹錫悦・韓国大統領
「戒厳令を解除する」

※時間は日本時間

>本日の要人発言をリアルタイムで確認するならこちら

〔日足一目均衡表分析〕

<ドル円=雲上限を挟んで上下、気迷いの状態>

ドル円1204

パラメータ1204

同事線引け。
一目均衡表・雲の上限149.63円を挟んだレンジで上下した。
結局は寄り引け同じレートとなり、気迷いを示す状態で引けている。

雲の上限は緩やかに切り上がり来週は150円台まで上昇。
同上限前後で推移しつつ戻りを試す展開も想定できる。
ただ、150.03円前後で低下中の5日移動平均線や、現水準151.84円から雲の上限付近まで今後低下してくる見込みの一目・転換線と、抵抗になりそうなテクニカル指標も上値に控えている。
反発を限定しそうだ。

レジスタンス2 150.75(12/2高値)
レジスタンス1 150.24(12/3高値)
前日終値 149.60
サポート1 148.75(ピボット・サポート1)

>ドル円のリアルタイムチャートはこちら

<ユーロドル=転換線やや上回る限られたレンジの振れ>

ユーロドル1204

パラメータ1204

小陽線引け。
一目均衡表・転換線1.0466ドルをやや上回る水準1.05ドルの節目を挟んだ限られたレンジの振れだった。
目先のサポートである転換線が明日にも1.0511ドルへ切り上がる状況に変化はない。
同線前後で底堅い一方、1.0571ドル前後で低下中の21日移動平均線や、先週の高値水準1.05ドル後半が重しになりそうな点も変わらない。
様子見ムードになりやすいか。

レジスタンス1 1.0589(12/2高値)
前日終値 1.0509
サポート1 1.0425(11/26安値)

>ユーロドルのリアルタイムチャートはこちら

<ユーロ円=戻り限定される流れ続くと予想>

ユーロ円1204

パラメータ1204

小陽線引け。
156.18円まで下値を探る動きが進んだ。
同水準を下値に気迷い気味の足型を形成。
次に動き出す方向をうかがう状態となっている。
157.95円前後へ切り下がった5日移動平均線が目先の重し。
低下が続きそうな一目均衡表・転換線159.34円も反発局面の抵抗になるとみられ、戻りの限定される流れが続くと予想する。

レジスタンス1 157.95(5日移動平均線)
前日終値 157.20
サポート1 156.26(ピボット・サポート1)

>ユーロ円のリアルタイムチャートはこちら

<豪ドル円=雲を下回る水準で戻り鈍いか>

豪ドル円1204

パラメータ1204

小陽線引け。
97.55円まで戻りを試したものの一目均衡表・雲の下限97.64円にとどかず、前日安値を下回る96.17円まで一時下落と、方向感が定まらなかった。
しばらく雲に反発を抑えられそう。
やがて雲を下抜けてくる一目・転換線98.60円も上値に控えており、戻りの鈍い状態が続くとみる。

レジスタンス1 97.64(日足一目均衡表・雲の下限)
前日終値 97.03
サポート1 96.29(ピボット・サポート1)

>豪ドル円のリアルタイムチャートはこちら

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