December 6, 2024
【前日の為替概況】ユーロドル、3日続伸 仏政局を巡る懸念が後退
5日のニューヨーク外国為替市場でユーロドルは3日続伸。
終値は1.0586ドルと前営業日NY終値(1.0511ドル)と比べて0.0075ドル程度のユーロ高水準だった。
内閣不信任案可決を受けてバルニエ仏首相が辞任したが、極右・国民連合(RN)を実質的に率いるルペン氏が「今後数週間で2025年度の予算を可決できる」との見解を示すと、仏政局を巡る懸念が後退し仏国債のリスクプレミアムが低下。
独長期金利が上昇したことも相まって一時1.0589ドルと本日高値を付けた。
11月29日高値の1.0597ドルが目先のレジスタンスとして意識されると1.0551ドル付近まで伸び悩む場面も見られたが、米10年債利回りが低下に転じたこともあり下値は堅かった。
ドル円は反落。
終値は150.10円と前営業日NY終値(150.59円)と比べて49銭程度のドル安水準だった。
米10年債利回りが4.22%台まで上昇したことも支えに150.70円前後まで値を上げたが、東京市場で付けた高値150.78円には届かなかった。
その後は米金利の一転低下に伴って徐々に上値を切り下げる動きに。
「米カリフォルニア州北部でマグニチュード7の地震が発生、津波の可能性もあり」との報道が伝わったことも売り材料視され150円を割り込む場面も見られた。
市場では足元で発表された米経済指標が弱いため、「11月米雇用統計に対する警戒感が高まっている」との指摘があった。
ユーロ円は3日続伸。
終値は158.91円と前営業日NY終値(158.30円)と比べて61銭程度のユーロ高水準だった。
仏政局を巡る不透明感がいったん落ち着いたとの見方からユーロ高が進行。
一時159.39円まで買い上げられた。
その後はドル円が下げた影響などから158.49円近辺まで伸び悩んだが下値は限られた。
【本日の東京為替見通し】円相場は実質賃金が3カ月連続でマイナスになるかに注目
本日の東京時間のドル円は、10月の毎月勤労統計調査で発表される実質賃金に注目したい。
実質賃金がプラスに戻った場合には、日銀の早期利上げ期待で円が買われやすいだろう。
ただし、実質賃金は6月に27カ月ぶりに前年同月比でプラスに転じたが、8月(-0.8%)から再びマイナスに戻っている。
9月も-0.4%(速報値から下方修正)となり、10月もわずかながらもマイナスになるとの予想で、仮に3カ月連続のマイナスとなった場合でも、今月もしくは1月の政策決定会合で利上げを行うかが注目される。
実質賃金がマイナスになった場合は、今月は利上げを行わず据え置きに傾くとの声がある。
中村日銀審議委員などが兼ねてから「賃金から物価への波及はまだ遠い」「実質賃金のプラス転換に加え、可処分所得の増加が必要」と発言していたように、審議委員の一部が利上げを進めることに難色を示すとの予想がある。
中村委員は昨日「消費者物価(除く生鮮食品)前年比で2025年度以降は2%に届かない可能性がある」と発言したように、今後はインフレが抑制される可能性も指摘している。
一方で、実質賃金がマイナスになった場合でも、政策決定会合にさほどは影響を与えないとの声もある。
8・9月と連続して実質賃金はすでにマイナスになり、コア消費者物価指数(CPI)は2%台を維持しているが低下し、実質国内総生産(GDP)も低下している。
それにも関わらず、植田日銀総裁は「データはオントラック」と週末の日経新聞で述べていることは、植田日銀総裁は実質賃金やほかの経済指標が多少弱くなろうが、利上げをしたいと捉えることもできる。
昨日中村委員も「利上げに反対しているわけではない、データに基づいて判断するべき」と発言したが、このデータには毎月勤労統計や日銀短観、GDPなどとも述べている。
毎月勤労統計の実質賃金がマイナスになった場合でも(13日発表予定の)短観が好結果だった場合は利上げに反対しないとも受け止められる。
企業に対するアンケート調査である短観と、国民の実態生活に結び付いている他のインフレ指標が同列に扱われるのは違和感があるが、このように発言したのは日銀の早期利上げは既定路線で、実質賃金がマイナスになった場合でも、ほかの好結果指標を要因とし弱い指標結果を無視する可能性もある。
いずれにしろ、本日は実質賃金の結果次第では、週末を含めて様々な憶測記事が出る可能性があり、市場は神経質な動きになりそうだ。
本日は本邦からはほかにも10月家計調査、10月景気動向指数速報値などが発表されるが、それ以外はアジア、オセアニア諸国では市場を動意づける経済指標の発表はない。
中国の人民元取引の基準値設定やトランプ次期大統領のSNS(TruthSocial)などには警戒をしておきたいが、それ以外には突発的なことが起きない限りは、本日の米雇用統計の発表まではトレンドを作る動きにはなりにくそうだ。
【本日の重要指標】 ※時刻表示は日本時間
<国内>
○08:30 ◇ 10月毎月勤労統計(現金給与総額、予想:前年比2.6%)
○08:30 ◇ 10月家計調査(消費支出、予想:前年比▲2.6%)
○08:50 ◇ 11月外貨準備高
○14:00 ◇ 10月景気動向指数速報値(予想:先行108.8/一致117.7)
<海外>
○13:30 ☆ インド中銀、金融政策決定会合(予想:6.50%で据え置き)
○16:00 ◎ 10月独鉱工業生産(予想:前月比1.2%/前年同月比▲3.3%)
○16:00 ◇ 10月独貿易収支(予想:157億ユーロの黒字)
○16:45 ◇ 10月仏貿易収支
○16:45 ◇ 10月仏経常収支
○19:00 ☆ 7-9月期ユーロ圏域内総生産(GDP)確定値(予想:前期比0.4%/前年比0.9%)
○22:30 ☆ 11月カナダ雇用統計(予想:新規雇用者数変化2.50万人/失業率6.6%)
○22:30 ☆ 11月米雇用統計(予想:非農業部門雇用者数変化20.0万人/失業率4.2%/平均時給、前月比0.3%/前年比3.9%)
○23:15 ◎ ボウマン米連邦準備理事会(FRB)理事、講演
○24:00 ◎ 12月米消費者態度指数(ミシガン大調べ、速報値、予想:73.0)
○24:00 ◇ 11月カナダIvey購買部協会景気指数
○7日00:30 ◎ グールズビー米シカゴ連銀総裁、講演
○7日02:00 ◎ ハマック米クリーブランド連銀総裁、講演
○7日03:00 ◎ デイリー米サンフランシスコ連銀総裁、講演
○7日05:00 ◇ 10月米消費者信用残高(予想:100.0億ドル)
※「予想」は特に記載のない限り市場予想平均を表す。▲はマイナス。
※重要度、高は☆、中は◎、低◇とする。
※指標などの発表予定・時刻は予告なく変更になる場合がありますので、ご了承ください。
【前日までの要人発言】
5日09:04 デイリー米サンフランシスコ連銀総裁
「利下げの緊急性はない」
「慎重に政策を調整する必要、12月FOMCまで判断を見極める」
5日10:30 中村日銀審議委員
「米国経済は、累次の利上げの影響を受けつつも、個人消費を中心に底堅く推移し、ソフトランディング期待が高まっている」
「日本経済は、一部に弱めの動きもみられるが、緩やかに回復している」
「家計部門の所得環境は、足もとまで前年比+2%台後半の賃金上昇が続くなど、緩やかに改善している」
「『前向きな賃上げ』と『防衛的な賃上げ』の二極化が窺われ、今後の動向を注視している」
「賃上げの持続性にまだ自信を持てておらず、個人消費の節約志向の強まりや設備投資計画が先送りされる可能性」
「消費者物価(除く生鮮食品)前年比で2025年度以降は2%に届かない可能性がある」
「年内に利上げするかはこれから出る日銀短観などのデータをよく見て判断したい」
「利上げに反対しているわけではない、データに基づいて判断するべき」
5日16:56 カザークス・ラトビア中銀総裁
「来週の会合も含めて利下げは継続していくべき」
5日22:45 極右・国民連合(RN)のルペン議員
「新首相は本日夕方に指名される可能性が高い」
「2029年までに財政赤字を3%に縮小するのは信頼できない」
「今後数週間で2025年の予算を可決できる」
「現在の状況下でマクロン大統領が辞任する理由ない」
5日23:26 グラピンスキ・ポーランド中銀総裁
「利下げ議論は来年3月から10月まで延期される可能性がある」
6日04:10 マクロン仏大統領
「数日以内に新しい首相を指名する」
「大統領としての任期を全うする」
※時間は日本時間
〔日足一目均衡表分析〕
<ドル円=雲上限の動きに沿ってじり高で推移できるか注目>
陰線引け。
4日に目先の上値の重さを示唆するやや長めの上ひげをともなう足型を形成した後を受け、再び一目均衡表・雲の上限へ近づく下押しとなった。
本日149.98円へ小幅に切り上がる雲の上限前後で下支えされるか注視。
週明けには150円台へ上昇する雲上限の動きに沿ってじり高で推移できるか注目したい。
レジスタンス2 151.23(12/4高値)
レジスタンス1 150.78(12/5高値)
前日終値 150.10
サポート1 149.53(12/4安値)
<ユーロドル=基準線前後では戻りの動き停滞しやすいか>
陽線引け。
一目均衡表・転換線1.0511ドル前後では底堅さを示し、1.0589ドルまで上昇した。
1.05ドル後半から半ばで低下中の21日移動平均線を上抜け、目先の重しを1つこなした格好。
ただ、一目・基準線1.0636ドル前後では戻りの動きが停滞しやすいかもしれない。
レジスタンス1 1.0636(日足一目均衡表・基準線)
前日終値 1.0586
サポート1 1.0511(日足一目均衡表・転換線)
<ユーロ円=転換線を明確に上抜くことができるか注視>
下影陽線引け。
4日に戻りが5日移動平均線前後にとどまったものの、昨日は一目均衡表・転換線付近まで上昇と、段階的に上値の抵抗をこなす動きが進んでいる。
159.10円へ小幅に低下した転換線を明確に上抜くことができるか注視する局面となる。
本日の上抜けに失敗しても、週明け158.45円へ切り下がる見込みの同線をこなすことはできるとみる。
レジスタンス1 159.68(ピボット・レジスタンス1)
前日終値 158.91
サポート1 158.16(12/3-5上昇幅の38.2%押し)
<豪ドル円=雲下限付近までの戻り想定>
下影極小陽線引け。
下押しが先行しても戻し、長めの下ひげをともなう足型を形成する底堅い動きが続いている。
この流れから、一目均衡表・雲の下限97.64円付近までの戻りは想定できる。
ただ、現水準98.12円から、やがて雲を下抜けてくる見込みの一目・転換線は先々の抵抗になりそう。
レジスタンス1 97.64(日足一目均衡表・雲の下限)
前日終値 96.86
サポート1 96.34(12/5安値)
Provided by
DZH Finacial Research
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